少数株ドットコム、さんわ機工に株主代表訴訟 ガバナンス問題を追及
ベストカレンダー編集部
2025年9月11日 06:07
さんわ機工株主代表訴訟
開催日:9月11日
少数株ドットコムがさんわ機工に対して株主代表訴訟を提起した経緯と趣旨
2025年9月11日付で公表されたプレスリリースによると、少数株ドットコム株式会社(代表取締役社長:山中 裕、本社:東京都練馬区、以下「少数株ドットコム」)は、さんわ機工有限会社(代表取締役社長:野口 宏之、本社:愛知県稲沢市、以下「さんわ機工」)に対して、同社取締役らを被告とする株主代表訴訟を提起したと発表しました。発表時刻は2025年9月11日 00時10分です。
少数株ドットコムは、非上場企業の株式流動化や企業価値向上支援を事業の柱としており、今回の提訴は、さんわ機工の企業価値向上とコーポレートガバナンスの改善を目的として行われた措置であると説明しています。本件は、同社が投資を通じて得た情報や対話の中で判明したガバナンス上の問題を踏まえての法的対応です。
提訴に関する基本情報
プレスリリースに記載された当事者情報は次のとおりです。原告は少数株ドットコム、代表取締役 山中裕。被告として氏名が挙げられているのは、さんわ機工有限会社の代表取締役である野口宏之氏、取締役の野口良太氏、監査役の村田つぎ子氏です。
少数株ドットコムは2024年10月25日にさんわ機工の発行済株式の40%を取得しています。取得後、同社はさんわ機工の経営陣や従業員等との対話・情報交換・調査を継続してきましたが、その過程で法令違反に該当し得る活動を確認したため、問題の究明と再発防止、会社の損害回復を求める対応へと移行しています。
当事者の詳細(プレスリリース記載)
- 原告
- 少数株ドットコム株式会社 代表取締役 山中 裕(本社:東京都練馬区)
- 被告
- 野口 宏之(さんわ機工有限会社 代表取締役)
- 野口 良太(さんわ機工有限会社 取締役)
- 村田 つぎ子(さんわ機工有限会社 監査役)
上記はプレスリリースに明記された当事者情報であり、請求の主旨や訴訟の具体的な請求額などの詳細は、同リリースには記載されていません。少数株ドットコムは訴訟を通じて会社に生じた損害の賠償を求める方針です。
指摘された具体的なガバナンス上の問題点
少数株ドットコムは、さんわ機工の調査を通じて少なくとも4つの法令違反に該当し得る行為を確認したとしています。これらの指摘は会社法や内部統制の観点から重大な問題点と位置づけられており、具体的事実関係を明確にすることが訴訟提起の直接的な理由となっています。
以下に、プレスリリースに記載された4点の指摘内容を本文の記載どおり列挙します。各項目は少数株ドットコムが確認したとする事実であり、当事者による法的な争点となる可能性があります。
確認された4点の法令違反(プレスリリース記載)
少数株ドットコムがプレスリリースで挙げた4点は、会社運営の基本的な手続や利益相反防止に関する重要事項を含んでいます。以下はその列挙と簡潔な説明です。
- 株主総会が、第58期定時株主総会を除いて過去5年間開催されていないこと
- 株主総会が開催されていない時期に選任された野口良太氏及び村田つぎ子氏が、報酬請求権を有していないにもかかわらず報酬を受け取っていること
- さんわ機工代表取締役の野口宏之氏が代表を務める別会社(サーティーコーポレーション株式会社)との利益相反取引が存在すること
- 工場用土地について、株主総会の承認なく野口宏之氏との利益相反取引がなされていること
上述の各項目は、株主総会の開催義務、取締役等の報酬決定手続き、役員と会社との利益相反の管理と開示といった会社法及びコーポレートガバナンスに関する基本原則に直接関係します。少数株ドットコムはこれらの事実に基づき、役員らに対する返還請求や賠償請求を求めています。
関連会社や取引の点検
プレスリリースは、野口宏之氏が代表を務めるとされるサーティーコーポレーション株式会社との間に利益相反が存在する点を明示しています。利益相反取引がある場合には、適切な手続きや開示、場合によっては株主総会の承認が求められます。
また工場用土地に関する取引も、株主総会の承認を経ないまま実行されたとされており、これらの行為が会社に損害をもたらしたとして、少数株ドットコムは損害賠償の請求を訴訟手続で追求する方針です。
会社側の対応、少数株ドットコムの立場と関連情報
少数株ドットコムは、取得した株式40%の保有株主として対話や調査を行ってきた経過を示し、会社側に対しては経営管理体制の改善や法令遵守の徹底、関係者への返還請求を要請してきたと説明しています。これらの要請に対して、さんわ機工は期限内に被告らに対する責任追及を提訴していなかったため、株主として容認できないとして自ら訴訟を提起するに至ったと明記されています。
プレスリリースは、会社側の未対応が法的措置を選択する契機になったことを示しており、少数株ドットコムは今後、株主代表訴訟を通じて損害の回復とガバナンス改善を図る姿勢を示しています。
少数株ドットコムの事業理念と遵守する規範
少数株ドットコムはプレスリリースで自社のミッションを明確にしています。非上場株式の流動性を高め、上場株式のような取引市場が存在しない場合でも株主が選択肢を持てるようにすること、また自社での株式買取を積極的に行い、社会的責任のある株主として非上場企業のガバナンス強化や信頼向上に寄与することを掲げています。
さらに同社は、金融庁の「責任ある機関投資家のための原則」(日本版スチュワードシップ・コード)に準拠し、同原則に沿って投資先企業のモニタリングと対話を行っている旨を明示しています。関連リンクとして、少数株ドットコムのスチュワードシップ・コードに関するページ(https://www.shosukabu.com/stewardship-code/)や同社ウェブサイト(https://www.shosukabu.com/)が示されています。
事案の要点整理と参考情報
ここまでに示した情報を整理すると、本件は少数株ドットコムが2024年10月25日に取得したさんわ機工株式40%の地位をもとに、同社のガバナンス上の疑義を追及し、会社が適切な責任追及を行わなかったとして株主代表訴訟を提起した事案です。訴訟の主張は、株主総会の開催状況、報酬の不当受領、関連会社との利益相反取引および工場用土地に関する無承認取引の4点に集約されます。
以下の表はプレスリリースに基づく本件の主要事項を整理したものです。訴訟の詳細や今後の手続きの進展については、当事者からの追加発表や裁判手続の公開情報を待つ必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表会社(原告) | 少数株ドットコム株式会社(代表取締役社長:山中 裕) |
| 発表日時 | 2025年9月11日 00時10分 |
| 被告(さんわ機工側) | 野口 宏之(代表取締役)、野口 良太(取締役)、村田 つぎ子(監査役) |
| 対象会社 | さんわ機工有限会社(本社:愛知県稲沢市) |
| 少数株ドットコムの保有比率 | 発行済株式の40%(2024年10月25日取得) |
| 指摘された主な問題点 | 1) 過去5年間で第58期定時株主総会以外開催なし 2) 報酬請求権がない時期に報酬が支払われている 3) サーティーコーポレーション株式会社との利益相反取引 4) 工場用土地の株主承認なしの利益相反取引 |
| 少数株ドットコムの方針 | 会社の損害賠償を求める株主代表訴訟を提起し、ガバナンス改善を図る。 |
| 関連リンク | さんわ機工有限会社:https://sanwakiko.jp/ 少数株ドットコム:https://www.shosukabu.com/ スチュワードシップ・コード関連:https://www.shosukabu.com/stewardship-code/ |
本稿は、少数株ドットコムが2025年9月11日に公開したプレスリリースの内容を忠実に整理・要約したものです。訴訟の詳細な経過や裁判所の判断、当事者による追加説明などが公表された際には、さらに具体的な事実が明らかになる可能性があります。
参考リンク: