首都圏で中古一戸建て問合せ増、㎡単価で割安に

首都圏中古戸建て調査

開催日:9月12日

首都圏中古戸建て調査
中古一戸建てって本当にマンションより安いの?
調査では2025年1~8月の㎡単価が中古一戸建て39.8万円/㎡、中古マンション51.9万円/㎡で約12.1万円/㎡の差。㎡・総額ともに地域によっては一戸建ての方が割安感があります。
どのエリアで問合せが多いの?
2025年1~8月の問合せランキング上位は八王子市、川口市、横須賀市と郊外ベッドタウンが中心。物件数が多く価格上昇が緩やかな点が問い合わせ増の背景です。

首都圏で中古一戸建てが注目される理由と調査の目的

株式会社LIFULL(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、首都圏における中古一戸建て物件の問い合わせ動向を調査しました。プレスリリースは2025年9月12日 14時00分付で公開され、調査対象はLIFULL HOME’Sに掲載された中古一戸建て(築40年未満・敷地面積50㎡以上)となっています。

調査の背景には、新築・中古マンション価格の高騰や住宅市場全体の物価上昇があり、比較的価格が安定している中古一戸建てへの関心が高まっていることが挙げられます。本稿では、LIFULL HOME’Sが公表した数値データ、都県別の価格差、市区町村別ランキング、そしてLIFULL HOME’S総研の分析コメントを網羅的に整理します。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 2

調査結果の主要数値と価格比較

LIFULL HOME’Sの調査では、2024年の中古一戸建てへの問合せ数は2019年と比較して135.9%となり、明確な増加傾向が示されました。調査対象の条件は前述の通り「築40年未満・敷地面積50㎡以上」です。

価格面では、中古一戸建てと中古マンションの単価比較が行われています。2025年(1~8月)の中央値(㎡単価)は以下のとおりです。

  • 中古一戸建て:平均39.8万円/㎡
  • 中古マンション:平均51.9万円/㎡

この結果から、㎡単価で比較すると中古一戸建ては中古マンションに対して12.1万円/㎡の割安感が生じており、価格面での魅力が示唆されます。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 3

都県別の平均掲載価格と年収倍率

都道府県ごとの平均掲載価格(LIFULL HOME’Sに掲載された中古一戸建ての平均)も公表されています。数値は以下のとおりです。

都道府県 平均掲載価格(万円)
東京都 8,219
神奈川県 3,841
千葉県 3,739
埼玉県 2,507

これらの金額を、LIFULL HOME’S総研が国税庁「民間給与実態調査」などを基に算出した東京都民の平均年収502万円で換算すると、東京都民が周辺3県(神奈川・千葉・埼玉)で中古一戸建てを購入した場合の年収倍率は5~7.7倍となると示されています。具体的には、埼玉県では約5倍、神奈川・千葉ではおおむね7倍台となり、一般的な年収倍率での購入が見込める水準です。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 4

市区町村別の問い合わせランキングと地域性

LIFULL HOME’Sが集計した「中古一戸建てへの問合せ数が多い市区町村ランキング(2025年1-8月)」では、上位に郊外の市区町村が多くランクインしました。上位3位は以下の通りです。

  1. 八王子市(東京都)
  2. 川口市(埼玉県)
  3. 横須賀市(神奈川県)

郊外のベッドタウンと呼ばれるエリアで問い合わせが多い傾向は、中古一戸建ての物件数が豊富で、価格上昇の度合いが緩やかな点と関連しています。物件の供給側・需要側双方の要因により、実需層からの注目が集まっています。

ランキングは2025年1~8月の問い合わせ集計に基づくもので、首都圏全体の検索・問合せ動向を反映しています。都心部だけでなく近郊・郊外の市区町村が高順位にある点が特徴です。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 5

LIFULL HOME’S総研の分析:価格高騰と中古一戸建ての立ち位置

LIFULL HOME’S総研 副所長/チーフアナリストの中山登志朗氏は、プレスリリース内で首都圏の住宅市況について詳細な見解を示しています。中山氏は、新築住宅価格の上昇が止まらないことを指摘し、その要因として以下を挙げています。

  • 円安に伴う資材価格の上昇
  • 建築・運輸関連の人件費高騰
  • 地価の安定的な上昇
  • 住宅性能の基準適合が義務化されたことによるコスト上昇

これらのコストプッシュにより、新築住宅(戸建て・マンションともに)の価格相場は今後も上昇する可能性が示唆されています。また、新築マンションの上昇に連動して中古マンション価格も上昇しており、とくにコロナ禍前後の5年間に分譲された築浅の都心物件は、エリアによっては分譲当時の2倍程度にまで価格が上がる事例もあると述べられています。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 6

中古一戸建てが関心を集める要因

中山氏は、中古一戸建てに注目が集まる理由を複数挙げています。主なポイントは次のとおりです。

  1. 近郊~郊外のベッドタウンに多く、流通価格が上がりにくい点
  2. 「安心R住宅」など品質を担保する制度の整備
  3. 買取再販物件の増加により「不安・汚い・わからない」といった負のイメージの軽減
  4. リフォームや断熱改修などで可変性が高く、購入後の選択肢が多い点

これらの背景により、心理的ハードルが下がって実需層の問合せが増加しているという分析が示されています。中山氏はまた、東京都の中古一戸建て平均価格が8,219万円である一方、周辺3県は2,000~3,000万円台に留まっている点を指摘し、東京都内居住者が周辺エリアで購入を検討する流れが自然であると説明しています。

さらに、リフォーム費用(1,000万円前後)を見込んでも総費用として現実的であるケースが多く、都心から周辺へ購入ニーズが移る要因になっていると分析しています。また、中古一戸建ては物件数が豊富で、価格面・可変性の観点から実需の受け皿になっているとまとめています。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 7

調査・発表の詳細、企業情報、関連リンク

本調査はLIFULL HOME’Sの掲載データに基づいて実施されたもので、問合せ数の増減や掲載価格はLIFULL HOME’S上での集計結果です。プレスリリースの発表日は2025年9月12日 14時00分です。

以下に、調査に関連するプロフィールや組織情報、関連リンクを整理します。

LIFULL HOME’S総研 中山登志朗(なかやま としあき)
出版社を経て1998年から不動産調査会社にて不動産マーケット分析・知見提供業務を担当。テレビ、新聞、雑誌、ウェブ等へのコメント提供や寄稿、年間多数の不動産市況セミナーでの講演を行う。2014年9月にLIFULL HOME’S総研副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都などの審議会委員を歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。
LIFULL HOME’Sについて
「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに、賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅、売却まで幅広い不動産・住宅情報を提供するサービス。URL:https://www.homes.co.jp/
株式会社LIFULL
コーポレートメッセージは「あらゆるLIFEを、FULLに。」。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」、空き家再生を軸にした「LIFULL 地方創生」、シニア向けサービス「LIFULL 介護」などを展開。東証プライム:2120。URL:https://lifull.com/

関連するLIFULL HOME’Sの各サービスページもプレスリリース内で案内されています。主要なリンクは以下の通りです。

LIFULL HOME’S「首都圏 中古一戸建て」調査 画像 8

本調査の要点整理

以下の

は、本記事で取り上げたLIFULL HOME’Sの調査結果・数値・主要事項をわかりやすく整理したものです。記事本文で示した内容をまとめて確認できます。

項目 内容
発表者 株式会社LIFULL(LIFULL HOME’S)
発表日時 2025年9月12日 14時00分
調査対象条件 中古一戸建て(築40年未満・敷地面積50㎡以上)掲載データ
問合せ数の変化(2024 vs 2019) 2019年比 135.9%(増加)
㎡単価(2025年1~8月) 中古一戸建て:39.8万円/㎡、中古マンション:51.9万円/㎡(差12.1万円/㎡)
平均掲載価格(都県別) 東京都:8,219万円、神奈川県:3,841万円、千葉県:3,739万円、埼玉県:2,507万円
東京都民の平均年収(推計) 502万円(LIFULL HOME’S総研算出)
年収倍率(東京都民が周辺3県で購入する場合) 5~7.7倍(埼玉約5倍、神奈川・千葉で7倍台)
市区町村別問合せランキング(上位3) 1位:八王子市(東京都)、2位:川口市(埼玉県)、3位:横須賀市(神奈川県)
分析の要点 新築・中古マンション価格の高騰に伴い、流通価格が安定し物件数も多い中古一戸建てへの問い合わせが増加。安心R住宅や買取再販の拡大により購入の心理的ハードルが下がっている。
関連リンク https://www.homes.co.jp/(LIFULL HOME’S)ほか複数のサービスページ

本稿はLIFULL HOME’Sの発表内容を基に作成しました。市場動向、数値、分析コメントはプレスリリースの情報を忠実に反映しています。調査の条件や数値はLIFULL HOME’Sが集計した掲載データに基づいているため、詳細な算出方法や原データの確認が必要な場合はLIFULL HOME’Sの公式情報を参照してください。

参考リンク: