出生数が過去最少に 女性の73%が育児費を懸念

しゅふJOB少子化調査

開催期間:7月19日〜8月1日

しゅふJOB少子化調査
出生数がここまで減ったのは何が原因?
この調査では「子育てにお金がかかり過ぎる」が73.5%で最多。加えて育児負担の女性偏重、両立しやすい仕事の不足、結婚率の低下など複数要因が絡み合っていると指摘されています(有効回答727名、女性)。
具体的にどんな対策が求められてるの?
上位は「子育てにかかるお金を減らす」67.0%、「両立しやすい仕事を増やす」66.6%、「育児負担を女性に偏らせない」58.2%。調査は複数の対策を同時に進める必要性を示しています。

出生数減少の現場感――調査が示す「お金」と「仕事」のリアル

厚生労働省の速報値によると、2025年上半期の出生数は33万9,280人と過去最少を更新しました。こうした人口動態の変化を受け、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情を把握する目的で、しゅふJOB総研(運営:株式会社ビースタイル ホールディングス)は少子化をテーマに女性を対象としたアンケート調査を実施しました。

調査は2025年7月19日〜8月1日の間にインターネットリサーチ手法で行われ、有効回答数は727名(女性のみ)

調査実施
2025年7月19日(土)〜2025年8月1日(金)
有効回答者数
727名(女性のみ)
調査手法
インターネットリサーチ(無記名式)
対象
ビースタイル スマートキャリア登録者・求人サイト『しゅふJOB』登録者
<少子化対策> 上半期出生数が過去最少、女性が思う有効策は?「育児のお金減らす」67.0%/「育児と両立しやすい仕事を増やす」66.6% 画像 2

原因の実感と有効と思われる対策 ― 上位項目の数値

調査で最も多かった少子化の原因に関する回答は、「子育てにお金がかかり過ぎる」73.5%でした。次いで、「育児の負担が女性に偏っている」「育児と両立しやすい仕事が少ない」「結婚する人が少ない」といった項目が5割以上の回答を集めています。2年前の2023年調査と傾向は変わっておらず、経済的負担や負担配分、雇用環境が依然として主要な要因であることが確認されました。

少子化への対処策として有効だと考えられているのは、「子育てにかかるお金を減らす」67.0%が最多でした。続いて「子育てと両立しやすい仕事を増やす」66.6%、および「育児の負担を女性に偏らせない」58.2%が上位に挙がっています。これらは、原因として高く挙がった項目への直接的な対処を求める声と整合しています。

<少子化対策> 上半期出生数が過去最少、女性が思う有効策は?「育児のお金減らす」67.0%/「育児と両立しやすい仕事を増やす」66.6% 画像 3

原因と対策のポイント(要点)

年代別に見ると、概ね若年層ほど各項目への回答比率が高くなる傾向がありました。特に「子育てにお金がかかる」「心身への負担が大きい」「キャリアにとってマイナスになる」といった項目は30代以下で高く、育児負担を実際に担っている世代の切実さが示されています。

例外的に「結婚する人が少ない」という項目は60代以上の回答比率が最も高く、世代によって課題の感じ方に差があることが示唆されます。調査顧問の分析では、少子化は「お金」「負担」「仕事」「結婚」といった複数要因が相互に影響し合う構造であり、複数の対策を同時並行で進める必要があると指摘しています。

  • 少子化の原因(上位)
    • 子育てにお金がかかり過ぎる:73.5%
    • 育児の負担が女性に偏っている:5割以上
    • 育児と両立しやすい仕事が少ない:5割以上
    • 結婚する人が少ない:5割以上
  • 少子化対策(有効だと思う上位)
    • 子育てにかかるお金を減らす:67.0%
    • 子育てと両立しやすい仕事を増やす:66.6%
    • 育児の負担を女性に偏らせない:58.2%
    • 出産や子育てを職業キャリアとして評価する:上位5位に入る
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自由記述で表れた現実の声(全文掲載)

調査では多数の自由記述が寄せられました。以下に原文のまますべて掲載します。回答者の年代と就業形態も併記されています。

以下は寄せられたフリーコメントの全てです。

  • 子供にお金がかかりすぎるから、産みたくなくなる。周りにも助けを求めやすい環境作りをすべきだと思う(50代:パート/アルバイト)
  • 何人でも欲しいが実際には金銭面であきらめた(40代:派遣社員)
  • 出産後の再就職がむずかしい、女性だけキャリアがなくなる(30代:パート/アルバイト)
  • いまの世の中に子供を産んで明るい未来なんて見えないから、当たり前(40代:パート/アルバイト)
  • お金だけの問題ではない。そもそも結婚をする人が増えないと子供が増えない。結婚をする人が増えない理由がある(50代:今は働いていない)
  • 1人子供がいますが、大学生ですでにかなりお金がかかっています。とても複数はむりです。2.3人居ると充分な教育もできない不安もある(40代:パート/アルバイト)
  • 少子化だけでなく、若い人が「家を買う」「子供を育てる」等の未来に夢や希望を持てるような余裕がないのではないでしょうか(40代:派遣社員)
  • 不妊も多いと思うので、もっと治療がしやすい環境になると良い(40代:パート/アルバイト)
  • 仕事をしない期間があっても復職しやすい会社を増やす(50代:派遣社員)
  • 周りに子どもが多いので、少子化だと感じたことがない(30代:パート/アルバイト)
  • 女性は出産と育児の負担が男性より多くなると思う。出産後も女性がキャリアの断絶をしないようになる枠組みなどが積極的に採用されるといいと思う(50代:今は働いていない)
  • 少子化は仕方ないことだと思う(50代:パート/アルバイト)
  • 物価高騰かつ給与据え置き、自分の生活だけで精一杯である(40代:派遣社員)
  • 少子化は止まらないし、解決することでもない。日本人は減っていくのだという認識に変えるだけ。なぜ出産しないかは、人生の楽しみ方が多様化したこと。そしてそれを許容する社会になったこと(50代:パート/アルバイト)
  • 勤務時間を短くすれば余裕ができ、結構や子育てしやすくなるのでは(40代:パート/アルバイト)
  • 結局最後にたどり着くところは生活費やお金に関することです。夫の収入だけで生活できればもっと主婦として余裕も出るし、もう1人と考えることもできます。でも収入が少なければどうやって生活すればいいかと考えると子供がほしいと思っても現実問題かなり難しいです。自分も収入が原因で子供を1人しか出産できませんでした(50代:今は働いていない)
  • そもそも、結婚が遅いからというのもあるのでは?現代は、結婚しなくても楽しめることがたくさんあるから、結婚自体に魅力がなくなっているのかと思う(40代:パート/アルバイト)
  • 結婚しない人が増えたこともあると思うが、金銭面や介護や援助の必要のある家族が居るなど、家庭の事情で子供が欲しくても諦める選択をするしか無い家庭もあると思うので、その人たちが諦めなくても良いような制度や援助があって欲しいと思う(30代:今は働いていない)
  • 結婚や育児、その家庭が幸せだと感じられないと、若者たちは結婚したがらないし、子供を産もうとしない(50代:パート/アルバイト)
  • 私は出産でやりたい仕事を諦めた。子供がいることでストレスも疲れも雑務も増え、後悔している(40代:派遣社員)
  • 女性がフルタイム勤務をするには1人2人が限界だと思う(40代:パート/アルバイト)
  • 子育てにかかる金銭ではなく、家庭の所得に対して、税金、社会保険料が高い(40代:派遣社員)
  • 子育てと仕事の両立が大変過ぎるし旦那だけの稼ぎではやっていけないので奥さんの負担が大きいので子供を躊躇してしまうのは仕方ないと思ってしまう(30代:パート/アルバイト)
  • 親世代がカツカツしてきたのを子供に見せた結果、子供をもつと大変なんだという結果になったんだと思う(50代:正社員)
  • 女性が1人で生きていけるだけの地位や給与を得られる様になり結婚のメリットが無くなったからだと思う。出産によりキャリアがストップし生活が激変するのはどうせ女性なので(40代:パート/アルバイト)
  • とても子どもが欲しいのだが、結婚したいと相互に思える人に出会えません(40代:フリー/自営業)
  • お金の問題じゃないと思います。キャリアを求める女性が増えたから出産を望まないのだと思う(50代:パート/アルバイト)
  • 大学まで行かせるとなると、かなりの資金が、必要になる為金銭的に余裕が無いと難しい(40代:派遣社員)
  • 若い同僚の女性達が、結婚しなくてもいい、子供も持たない人生設計をすると話していました。経済的理由ばかりでは無いと思います。結婚が女性にとって夢のある未来ではなくなってきたのでしょう(60代:パート/アルバイト)
  • 子育てはキャリアとそもそも天秤にかかるものではなくて、全く別の喜びをもたらしてくれるものなのに、天秤にかける状況になってしまっている(40代:パート/アルバイト)
  • 子供を作るかどうかは、本人の自由なので強制はできないと思います。いかに、子供を作りたい。と思わせるかが重要な気がします。職場の子供がいる女性たちが活き活きと働いていたり、出世していたり羨ましいと思う環境であれば、自ずと子供を作りたいと思う女性が増えるのではないでしょうか(50代:派遣社員)
  • 現在、2人の乳幼児を育児していて、少子化って言ってる割に上記の原因に加え様々な面で補償や手当て、サービスが少なすぎて積極的に子供を作ろうと思えないので少子化になるのも無理ないなと思うのが正直な所です(30代:今は働いていない)
  • 子供が沢山欲しい!と思えないから少子化なのだと思う。教育費とか、仕事とかは1番の理由ではない ちゃんと育てる自信ない、お金かかる、楽したい、贅沢もしたい、だから1人(50代:パート/アルバイト)
<少子化対策> 上半期出生数が過去最少、女性が思う有効策は?「育児のお金減らす」67.0%/「育児と両立しやすい仕事を増やす」66.6% 画像 5

研究顧問の分析と組織紹介

しゅふJOB総研 研究顧問の川上敬太郎は、本調査の結果について、育児費用の大きさや育児負担の偏り、両立しやすい仕事の少なさが出産や結婚をためらわせる理由になりうると指摘しています。年齢別の差異についても触れ、若年層ほど切実に感じている項目が多い一方で、「結婚する人が少ない」については60代以上で高く出ている点を示しました。

川上は、少子化が単一要因で起きているわけではなく、複数要因が相互に影響しているため、複数の対策を同時に進めていく必要があると述べています。また、出産や子育てを単なるブランクとみなさず、職業キャリアとして評価する視点の重要性も指摘されています。

<少子化対策> 上半期出生数が過去最少、女性が思う有効策は?「育児のお金減らす」67.0%/「育児と両立しやすい仕事を増やす」66.6% 画像 6

川上敬太郎のプロフィール(要旨)

生年
1973年(三重県津市生まれ)
学歴
愛知大学文学部卒業
経歴の概略
大手人材サービス企業の管理職、業界専門誌の営業推進部部長兼編集委員を経て2010年に株式会社ビースタイル入社。翌年に『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。2021年に独立し現職。
研究・実績
これまでに主婦・主夫層を中心にのべ50,000人以上の声を調査・分析し、300本以上のレポートを配信。
メディア出演・執筆
NHK『あさイチ』などテレビ解説、ラジオ・新聞・雑誌・webでのコメント多数。ITメディア、JBpress連載等。
その他
男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。厚生労働省委託事業検討会委員など委員歴多数。

しゅふJOB総研は2011年設立で「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」という志のもと、定期的なアンケートや調査結果の発信を行っています。ビースタイルグループは、『時代に合わせた価値を創造する』を存在意義とし、『しゅふJOB』や『スマートキャリア』などの人材サービスを展開しています。

項目 内容
調査期間 2025年7月19日〜2025年8月1日
回答者 727名(女性のみ、ビースタイル登録者等)
主要な原因(最多) 子育てにお金がかかり過ぎる:73.5%
主要な対策(最多) 子育てにかかるお金を減らす:67.0%
その他上位対策 子育てと両立しやすい仕事を増やす:66.6%/育児の負担を女性に偏らせない:58.2%/出産や子育てを職業キャリアとして評価する:上位5位
関連リンク 過去の調査結果:https://www.bstylegroup.co.jp/news/category/report/
補足(政府統計) 2025年上半期出生数:33万9,280人(厚生労働省速報値)

本稿では、しゅふJOB総研による2025年調査の主要データと自由記述の声、研究顧問の解説をまとめました。調査は女性の働き方と生活実感を示す一次資料として多くの示唆を含んでいます。少子化に関する数値と当事者の声を照らし合わせることで、政策や企業の対応を検討するための材料が得られると考えられます。

参考リンク: