20代の6割が周囲重視で就職、約4割が3年未満で退職
ベストカレンダー編集部
2025年9月19日 13:20
見栄就活で早期離職
開催日:9月19日
「誰にどう見られるか」で決めた就職が、早期離職を招く実態
カールツァイス株式会社が2025年9月19日付で発表した調査は、20代の会社員における新卒時の企業選びに関する行動と、その後の離職傾向を明確に示している。特に注目すべきは、周囲の評価や見え方を重視した結果、入社後の早期離職率が高まっている点である。
調査では、新卒時の企業選びで「家族・親からの評価・期待」を重視した人が48.0%、「友人や周囲からの評価・印象」が45.4%、「異性から見られた時の企業イメージ」が44.4%と回答しており、いずれか一つでも重視した人は65.0%に達した。また、20代会社員のうちこの「周囲の見え方」で企業を選んだ人の39.7%が入社3年未満で退職しており、全体の3年未満離職率31.8%と比べて約10ポイント高い。
- 周囲の見え方を優先して選んだ人:65.0%(家族・友人・異性などの評価をいずれか重視)
- そのうち入社3年未満で退職した割合:39.7%
- 全体の入社3年未満離職率:31.8%
このデータは、企業名や肩書といった外的価値が「キャリアの近視眼化」を助長している可能性を示す。SNSにより他者の成功やライフスタイルが可視化されやすくなった現代、目に見えるステータスが選択基準となりやすく、結果として本人の本質的な志向や職務内容との齟齬が生じやすくなる。
入社時と入社後で変化する重視項目――「肩書」はモチベーションに直結しない
調査は、就職・転職時に重視する項目と、実際に働き始めてから重視する項目に乖離があることも明らかにした。志望動機では「働きやすさ(37.9%)」「待遇・報酬(37.6%)」「企業知名度・安定性・将来性(25.4%)」が上位を占めている。
一方、実際に現職で重視される動機としては「働きやすさ(32.1%)」「待遇・報酬(32.1%)」に続き「達成感のある業務(18.6%)」「成長・キャリアアップ(17.1%)」が挙がり、当初重視された「企業知名度・安定性・将来性」は16.9%で5位に後退した。つまり、入社前はブランド性や知名度に引かれて企業を選ぶ人が多いが、実際に働き始めると仕事内容や成長実感が重要性を増す。
志望動機と入社後の重視点のギャップ
志望動機と入社後の動機が一致しないことは、ミスマッチの発生を示唆している。企業の名前や肩書を理由に選んだ場合でも、日々の業務や成長実感が欠けると満足度は低くなりやすい。
このギャップは長期的なキャリア形成に影響を与える。目先の肩書に惑わされず、自分がどのような業務で達成感を得たいのか、どのようなスキルや経験を積みたいのかといった視点から企業を選ぶことが重要であり、カールツァイスはこれを「キャリア視力」と表現している。
- 入社時に重視:働きやすさ 37.9%、待遇・報酬 37.6%、企業知名度等 25.4%
- 入社後に重視:働きやすさ 32.1%、待遇・報酬 32.1%、達成感のある業務 18.6%、成長・キャリアアップ 17.1%
「企業知名度重視」で感じる入社後ギャップとキャリアビジョンの希少性
転職時に「企業知名度・安定性・将来性」を重視した人(34.1%)のうち、76.2%が入社後に「思っていたのと違った」と感じていた。具体的なギャップの主な要因は、1位「ワークライフバランスが想定より悪い(33.7%)」、2位「入社前の説明や面接時の印象と違った(31.8%)」、3位「職場の人間関係・雰囲気がよくない(30.5%)」であった。
加えて、調査では自身のキャリアビジョンを具体的に描けている人は全体のわずか10.3%に過ぎないことも示された。言い換えれば、多くのビジネスパーソンが明確な長期ビジョンを持たないまま企業選びをしており、その結果として入社後の不一致や早期離職につながっている実態が浮かび上がる。
- 転職時に「企業知名度」を重視した割合
- 34.1%
- そのうち入社後にギャップを感じた割合
- 76.2%
- ギャップの上位要因
- ワークライフバランスが想定より悪い 33.7%、入社前説明と違う 31.8%、人間関係・雰囲気がよくない 30.5%
- 自身のキャリアビジョンを具体的に描けている人
- 10.3%
これらの結果は、単に企業名や肩書を追うことのリスクを示している。転職や就職の判断材料として、表面的なステータスよりも実務内容、働き方、成長機会といった内的動機を重視することが、長期的満足につながる可能性が高い。
調査概要とカールツァイス(ZEISS)の背景、要点の整理
今回の調査は、全国のビジネスパーソン1,000名(20歳~59歳)を対象に、インターネット調査で実施された。調査期間は2025年8月22日から8月25日である。調査主旨は、ビジネスパーソンのキャリア形成における満足度と、その要因の可視化にある。
発表元のカールツァイス株式会社は、光学・精密機器の開発製造を行う国際企業であり、コーポレートアイデンティティとして「Seeing Beyond(視る力=本質を見抜き、可能性を広げ、未来を切り拓く力)」を掲げている。今回の調査は、同社の「視る力」に基づき、ビジネスパーソンのキャリア選択における『見え方』と『本質』の対比を検証する目的がある。
| 調査名 | ビジネスパーソンのキャリア形成における満足度に関する調査 |
|---|---|
| 調査期間 | 2025年8月22日~8月25日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 全国20歳~59歳のビジネスパーソン男女1,000名 |
以下はカールツァイス株式会社(ZEISS)に関する主な情報である。企業背景や事業領域の理解は、今回の調査結果を読み解くための重要な文脈となる。
- 創業:1846年(ドイツ)
- 日本設立:1911年に日本へ進出、カールツァイス株式会社は1961年9月30日設立
- 事業セグメント:半導体製造技術、産業品質・研究、医療技術、消費者市場の4セグメント
- 売上高:100億ユーロ超(グローバル)
- 研究開発投資:売上高の15%(2024年現在)
- 従業員数:約46,000人、35の生産拠点、60以上の販売・サービス拠点、約40の研究開発施設、約50カ国で事業展開
- オーナー:カールツァイス財団(科学振興を目的とするドイツ最大級の財団)
- 本社所在地(東京本社):東京都千代田区麹町2丁目10番9号
- 代表取締役:ヴィンセント・マチュー
- コーポレートサイト:https://www.zeiss.co.jp/corporate/home.html
- オウンドメディア:「ZEISS PEOPLE」https://www.people.zeiss.co.jp/
| 項目 | 数値・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| プレスリリース発表日 | 2025年9月19日 11時00分 | カールツァイス株式会社発表 |
| 対象人数 | 1,000名 | 全国、20歳~59歳のビジネスパーソン男女 |
| 「周囲の見え方」を重視した割合 | 65.0% | 家族・友人・異性からの見え方をいずれか重視 |
| そのうち3年未満で退職した割合 | 39.7% | 全体31.8%と比較して高い |
| 「将来のキャリアプランに合っている業務」を重視した人の満足度 | 76.7%(満足) | 該当者は55.0%(業務内容重視) |
| 転職で「企業知名度等」を重視した人の入社後ギャップ | 76.2%が「違った」と回答 | ギャップ要因:ワークライフバランス、説明と印象の相違、人間関係等 |
| 自身のキャリアビジョンを具体的に描けている人 | 10.3% | 長期ビジョンを持つ人は少数派 |
調査は「調査レポート」として分類され、関連キーワードには『カールツァイス』『ZEISS』『転職』『就職』『キャリア』『調査』『ビジネス』『光学』『顕微鏡』『カメラ』などが含まれている。付随するプレスリリース添付資料や画像はダウンロード可能とされている。
本稿は調査結果の要点を整理して伝えた。外的評価や見栄えに流される選択が短期的には理解しやすい一方で、長期的な満足やキャリアの積み上げには「将来を見据えた選択」が重要であることが、今回の数値から明確に示された。