モースマイクロ、8,800万豪ドル調達で国際展開を加速

シリーズC資金調達完了

開催日:9月24日

この調達で具体的に何が変わるの?
調達資金は国際展開と生産能力の拡大、HaLowLink 2など評価プラットフォームやエコシステム強化に充てられ、量産化と市場浸透を加速させる狙いです。
Wi‑Fi HaLowって何がすごいの?
Wi‑Fi HaLowは低消費電力で長距離通信が可能な規格で、従来Wi‑Fi比で約10倍の通信距離と約100倍のカバー面積を実現しスマートホームや産業用途に適します。

モースマイクロがシリーズCで8,800万豪ドルを調達 — 次世代IoTの段階的移行を加速

オーストラリア拠点のWi‑Fi HaLowチップベンダー、Morse Micro PTY. LTD.(以下モースマイクロ)は、2025年9月24日にシリーズC資金調達ラウンドを完了し、8,800万豪ドル(約5,900万米ドル)の資金を確保したと発表しました。本発表は同日付の報道資料として公開されました。

今回の調達により、モースマイクロの累計調達額は2億9,000万豪ドル(約19億3,000万米ドル)を超える

発表の背景とタイミング

資金調達の発表は、同社が次世代グローバル評価プラットフォーム「HaLowLink 2」を公表した週に行われました。これまでに第2世代システムオンチップ(SoC)のリリース、リファレンスデザインの提供、エコシステムパートナーの拡大、主要OEMとの量産化などの実績を示しており、概念実証段階から実運用・量産へと移行している局面での資金調達完了となります。

モースマイクロは、Wi‑Fi HaLowを中心とした製品群で広範な用途のIoT接続を想定しており、今回の資金は国際展開と生産拡大、エコシステム形成の加速に充てられる予定です。

出資者の顔ぶれと資金の具体的な用途

本ラウンドは株式会社メガチップス(MegaChips)が主幹投資を務め、複数の戦略的および機関投資家が参加しました。参加者一覧にはナショナル・リコンストラクション・ファンド・コーポレーション(NRFC)、Blackbird(ブラックバード)、Main Sequence(メイン・シーケンス)、Uniseed(ユニシード)、個人投資家としてRay Stata、Malcolm & Lucy Turnbull(マルコム&ルーシー・ターンブル)、Startmate(スタートメイト)、および機関投資家としてHostplus、NGS、UniSuperなどが含まれます。

この資金は主に以下の目的で使用されます。国際市場への展開加速、Wi‑Fi HaLowチップの生産能力拡大、そして「IoT 2.0」と称する高スループット・長距離・高拡張性接続へ向けたエコシステムの移行支援です。資金使途は明示的に国際展開と生産拡大に重点が置かれています。

  • 主幹投資者: 株式会社メガチップス(MegaChips)
  • 参加投資者(抜粋): NRFC、Blackbird、Main Sequence、Uniseed、Ray Stata、Malcolm & Lucy Turnbull、Startmate、Hostplus、NGS、UniSuper
  • 累計調達額: 2億9,000万豪ドル 超(約19億3,000万米ドル)
資金調達日
2025年9月24日(発表日)
調達金額
8,800万豪ドル(5,900万米ドル)
用途
国際展開、生産拡大、IoT 2.0エコシステム支援

出資者コメントの要点

メガチップス代表取締役社長の肥川哲士氏は、モースマイクロがWi‑Fi HaLowの生産・販売拡大で中心的役割を果たす点を評価し、投資はWi‑Fi HaLow時代の到来を確信した表明として説明しました。投資により国際的リーダーシップと公開市場での将来成功が強固になるとの見解を示しています。

NRFCのCEO、David Gall氏はモースマイクロをオーストラリア最大の半導体メーカーの一つとして位置づけ、オーストラリア発の次世代Wi‑Fi接続を世界へ示す事例だと述べています。NRFCは国内製造業基盤の強化や半導体設計の専門性構築に資する投資であると明言しました。

技術と製品ラインナップ — Wi‑Fi HaLowの特長と市場適用

モースマイクロはWi‑Fi HaLowファブレス半導体のリーダーであり、同社のチップは長距離通信、低消費電力、及び高いスループットを両立するよう設計されています。公開された製品には既存のMM6108に加え、最新発表のMM8108およびMM8102が含まれます。これらは同社の主張する「最速、最小サイズ、最低消費電力、最長伝送距離」を実現するチップ群です。

Wi‑Fi HaLowの仕様的な優位性として、従来のWi‑Fiネットワークと比較して通信距離が約10倍、カバーする面積が約100倍に達することが強調されています。この特性はスマートホーム、産業オートメーション、スマートシティなど多様な分野でのIoT接続に直接的な利点をもたらします。

モースマイクロ主要チップの特長(公表情報に基づく)
型番 主な特長 想定優位点
MM6108 市場投入済みの高性能HaLowチップ 実績ある長距離・低消費電力性能
MM8108 最新発表の第2世代SoCに属するチップ 速度・サイズ・消費電力での最適化を強化
MM8102 最新発表製品の一つ 小型化と低消費電力を志向した設計
  • 評価プラットフォーム: HaLowLink 2(次世代グローバル評価プラットフォーム)
  • ソフト/ハード面での支援: リファレンスデザイン提供、エコシステムパートナーシップ拡大
  • 量産実績: 主要OEMメーカーとの量産化達成を公表

展開地域と組織体制

モースマイクロは本社をシドニーに置き、米国、台湾、中国、インド、日本、英国にも海外オフィスを有しています。これにより、グローバルな顧客基盤およびパートナーとの連携を強化してきました。

組織面では、ニューサウスウェールズ州の地方部も含めて130人以上の従業員を雇用していると報告されています。NRFCのコメントでは、地方部の雇用を含む点が強調され、国内の雇用創出と半導体産業基盤の強化が注目されています。

経営陣のコメントと産業的な意義

モースマイクロの共同創業者でありCEOのMichael De Nil(マイケル・デニル)氏は、今回の資金調達を「世界一の無線IoTチップ企業になるという当社の使命に対する強い信頼の裏付け」と位置づけました。デニル氏はIoTの未来を長距離・低消費電力・安全性・スループットを兼ね備えた接続性が担うとし、今回の資金で拡大を加速し次の成長段階に向けた準備を進めると述べています。

肥川哲士(メガチップス代表取締役社長)は、モースマイクロがIoT 2.0への世界的移行を牽引する点を評価し、同社の製品とチームが国際的リーダーシップおよび将来の公開市場での成功を確固たるものにすると述べました。NRFCのDavid Gall氏はオーストラリア発の成功事例として投資の意図を説明し、国内製造業基盤の強化と半導体設計の専門知識構築に寄与する点を指摘しています。

これらのコメントは、資金提供側と被投資側の間で技術的優位性と市場展望が相互に評価された結果であることを示しています。投資家構成には戦略的パートナーと機関投資家が混在しており、資金調達は単なる資本提供に留まらず、供給網や市場開拓の両面で実務的な支援を伴うことが期待されます。

要点整理(表)

以下の表に、本記事で触れた主要な事実と数値、関係者を整理しました。発表内容の全項目を網羅的に一覧化しています。

項目 内容
発表主体 Morse Micro PTY. LTD.(モースマイクロ)
発表日 2025年9月24日
調達ラウンド シリーズC
調達金額 8,800万豪ドル(5,900万米ドル)
累計調達額 2億9,000万豪ドル(約19億3,000万米ドル)を超える
主幹投資者 株式会社メガチップス(MegaChips)
参加投資者(主なもの) NRFC、Blackbird、Main Sequence、Uniseed、Ray Stata、Malcolm & Lucy Turnbull、Startmate、Hostplus、NGS、UniSuper
資金使途 国際展開の加速、Wi‑Fi HaLowチップの生産拡大、IoT 2.0エコシステムの支援
主要製品 MM6108、MM8108、MM8102、評価プラットフォーム HaLowLink 2
技術的優位性 従来Wi‑Fiの約10倍の通信距離、約100倍の面積カバーを実現するWi‑Fi HaLow
拠点 本社: シドニー(オーストラリア)、海外オフィス: 米国、台湾、中国、インド、日本、英国
従業員数 130人以上(ニューサウスウェールズ州地方部の従業員を含む)
公式情報リンク https://www.morsemicro.com/ja/

以上がモースマイクロの今回のシリーズC資金調達に関する公表情報の全体像です。資金調達の規模、出資者の構成、用途、そして同社が掲げる技術的優位点と市場での位置づけを網羅して整理しました。

参考リンク: