ソニー銀行と富士通、生成AIで勘定系開発を加速へ

生成AIを勘定系へ適用開始

開催期間:9月1日〜4月1日

生成AIを勘定系へ適用開始
いつから生成AIの適用が始まるの?
ソニー銀行の新勘定系では2025年9月に開発・テスト領域で生成AI適用を開始。富士通と段階的に拡大し、全機能適用を2026年4月までに完了予定と2025年10月6日付で発表しています。
生成AI導入で何が変わるの?
テストケース自動生成、コード生成・修正支援、テスト自動化などで作業工数とミスを削減し、ナレッジグラフ拡張RAGで精度を高め、開発期間を約20%短縮することを目指します。

生成AIを核に据えた勘定系システム開発の全体像

ソニー銀行株式会社(以下、ソニー銀行)と富士通株式会社(以下、富士通)は、2025年9月からソニー銀行の新勘定系システムにおける機能開発領域へ生成AIの適用を開始しました。本プレスリリースは2025年10月6日14時00分に発表され、両社は2026年4月までにすべての勘定系システム機能開発に生成AIを適用する計画を示しています。

今回の取組は、ソニー銀行が2025年5月に実現した、クラウドネイティブな勘定系システムへの全面的なクラウドシフトを土台にしています。富士通の勘定系ソリューションFujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)を採用した新システム上で、生成AIを中核技術として開発エコシステムを構築することを目指すものです。

導入の背景と位置づけ

ソニー銀行は、バンキングシステム全体の柔軟性と拡張性を高めるためにクラウドネイティブ化を推進してきました。富士通側は、xBankのソリューション性と自社のAI技術や金融業務ナレッジを結び付けることで、開発速度と品質を同時に高める仕組みを提供します。

両社は本取組を、日本の金融業界におけるAI活用の先進モデルとして確立することを見据えています。短期的には開発・テスト領域で適用を開始し、段階的に対象工程を拡大していく計画です。

適用する技術要素と期待される効果

生成AI適用における主要な技術的要素は、富士通が提唱するナレッジグラフ拡張RAG(Retrieval-Augmented Generationの拡張)の活用です。これは保有データの関係性をナレッジグラフで明示的に紐づけ、生成AIへの入力データを高度化するアプローチです。

ナレッジグラフ拡張RAGは、大規模データ間の関係性を把握して生成AIの応答精度を高めることを目指します。関係性を明確にした情報を生成AIに繰り返し与え、得られた知見を蓄積することで精度改善を図る仕組みです。

初期適用領域と長期的な展開

まずは開発・テスト領域で生成AIを適用し、テストケースの生成、コード生成・修正支援、テスト自動化の高度化などを行います。これにより作業工数の削減とミスの低減を期待しています。

将来的には、管理・要件定義・運用保守を含む全システム開発工程にわたって生成AIを適用することで、一貫したAIドリブンのシステム開発を実現する計画です。これにより、開発期間の20%短縮を目標に据えています。

AWSとの連携とセキュリティ・スケーラビリティ

本取組ではAmazon Web Services(以下、AWS)上でプロセスが完結することが特徴として挙げられています。AWSを基盤にすることで、高度なスケーラビリティとセキュリティ要件に対応しつつ、継続的な品質向上と迅速な開発サイクルの実現を図ります。

AWSを利用する点については、運用の可用性、アクセス管理、データ保護、監査ログの整備などが前提条件となり、これらを満たした上で生成AIを安全に活用する設計が求められます。

関係企業の役割、スケジュール、関係者コメント

本取組における主な役割分担は以下の通りです。富士通はxBankの提供とAI技術・業務ナレッジの投入を行い、ソニー銀行はクラウドネイティブな実運用環境を提供して共同で導入と評価を進めます。

スケジュール面では、2025年9月に生成AI適用を開始し、2026年4月までにすべての勘定系システム機能開発への適用完了を目標としています。なお、ソニー銀行は2025年5月にxBankを活用したクラウドネイティブ勘定系の稼働により全面クラウド移行を完了している点が基盤となります。

両社のコメント(プレスリリース原文)

ソニー銀行株式会社 執行役員 福嶋 達也 のコメント:

ソニー銀行は、テクノロジーの力でお客様に新たな価値を提供することを常に目指してきました。今回、富士通様とともに生成AIを活用した勘定系システム開発に取組むことで、開発の効率化と品質向上を両立し、より柔軟で迅速なサービス提供が可能になると確信しています。クラウドネイティブな環境とAIの融合によって、金融サービスの未来を切り拓く新たな一歩を踏み出せることを大変嬉しく思います。

富士通株式会社 執⾏役員常務 八木 勝 のコメント:

本年5月の次世代デジタルバンキングシステム稼働に続き、システム開発における生成AIの活用においてソニー銀行様と共同の発表となりましたことを大変嬉しく思います。今回の取組は、ソニー銀行様で稼働した「Fujitsu Core Banking xBank」に対し、弊社AI技術および業務ナレッジを最大限に活用し、生成AIを中核に据えたAIドリブンな開発エコシステムの構想実現に向け始動することを宣言するものです。これにより、ソニー銀行様のスピーディーな商品開発やサービス提供に、より一層貢献できるものと確信しています。今後も、「Fujitsu Core Banking xBank」を通じてUvance for Financeの取組を推進し、多くの企業様をご支援していきます。

関連情報と問い合わせ先

本件に関するお問い合わせは富士通株式会社のお問い合わせフォームを通じて受け付けられています。なお、同社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用している旨を明示しています。プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容は発表日現在のものであり、予告なしに変更される場合があります。

関連リンク:https://global.fujitsu/ja-jp/pr

概要の整理と要点の一覧

ここまでに記載した主要項目を整理して一覧化します。下の表は、取組の目的、スケジュール、技術要素、関係者情報、期待される効果を簡潔にまとめたものです。

表は本記事で触れた事実情報を基に作成しています。発表日時や各種注釈、商標に関する記載も含めて網羅しています。

項目 内容
プレスリリース発表日時 2025年10月6日 14時00分(富士通発表)
適用開始 2025年9月(勘定系システムの機能開発への生成AI適用を開始)
全適用完了目標 2026年4月(すべての勘定系システム機能開発への生成AI適用完了を予定)
基盤ソリューション Fujitsu Core Banking xBank(クラウドネイティブな勘定系ソリューション、FBaaSからの発展、2025年6月提供開始)
初期適用領域 開発・テスト領域(ナレッジグラフ拡張RAGを活用)
長期的展開 管理・要件定義・運用保守を含む全工程への適用を目指す
期待効果 開発期間の20%短縮(目標)、開発効率・品質の向上、迅速なサービス提供
クラウド基盤 AWS(Amazon Web Services)上でプロセスを完結、スケーラビリティとセキュリティを確保
ソニー銀行 代表 本社:東京都千代田区、代表取締役社長:南 啓二
富士通 代表 本店:神奈川県川崎市、代表取締役社長:時田 隆仁(表示注意:弊社では別文字が表示される場合の注釈あり)
商標・注釈 記載の製品名等は各社の商標または登録商標。Amazon Web Services: Amazon Web Services, Inc.(本社:米国ワシントン州シアトル、CEO:Matt Garman)
関連リンク https://global.fujitsu/ja-jp/pr
問い合わせ 富士通株式会社 お問い合わせフォーム(プレスリリース記載)

上表は本プレスリリースで示された事実に基づく要点の整理です。ソニー銀行と富士通の共同の取組は、クラウドネイティブ環境と生成AI技術、ナレッジグラフ拡張RAGおよびAWS上の運用を組み合わせることで、開発効率と品質を高め、2026年4月までに勘定系システムの機能開発すべてに生成AIを適用することを目標としています。

参考リンク: