第32回キネコ国際映画祭が10/31開幕、長編17本発表
ベストカレンダー編集部
2025年10月7日 11:40
第32回キネコ国際映画祭
開催期間:10月31日〜11月4日
子ども向け映画の多様性を示す第32回キネコ国際映画祭の長編ラインナップ
第32回キネコ国際映画祭は、2025年10月31日(金)から11月4日(火)まで、東京・二子玉川周辺を会場に開催されます。一般社団法人キネコ・フィルム(代表:椎名 保)が主催する本映画祭は、1992年の第1回開催以来、児童映画を中核に据えたプログラム編成で評価されてきました。今年で32回目を迎え、アジア最大級の子ども国際映画祭としての規模と歴史を有します。
今年は世界中から集められた約700本の作品群から厳選され、長編・短編合わせて67作品(コンペティション作品51本/特別上映16本)を全24プログラムで上映します。今回発表された長編コンペティション部門(チルドレン長編・ティーンズ長編)とドキュメンタリー部門の合計17作品は、エンターテインメント性の高い作品から社会課題に向き合う作品まで幅広く、観客に多様な映画体験を提供する構成となっています。
チルドレン長編(小学生以下対象)と審査プロセス
チルドレン長編映画部門は、9〜12歳(小学4年生〜小学6年生)を対象に事前に募集した「キネコ審査員」が鑑賞した上でグランプリを選出します。子どもたち自身の視点で「本当に見たい、心に残った」作品を選ぶ仕組みで、観賞後の対話や気づきを重視する編成です。
チルドレン長編には、実写とアニメーションが交錯するポーランド作品や、日本発の成長物語、自然や地域との結びつきを描く作品など、6作品が出品されます。以下に各作品の上映日時、会場、製作情報、あらすじを整理します。
- ランポ〜旅するわんこ〜(ポーランド)(日本初上映)
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上映:11月2日(日)15:00-17:10 会場:ライズホール
監督:マグダレナ・ニエッチ ポーランド/98分/2023年
内容:重い心臓病を抱える11歳の少女ズージャと一匹の白い犬ランポの友情を描く物語。治療費のためのクラウドファンディングやSNSでの支援呼びかけなど現代的な要素を織り込みつつ、希望に満ちたハッピーエンドへと導く作品です。
- ディプロドクス〜恐竜とボク〜(ポーランド)
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上映:11月1日(土)15:10-16:55/11月4日(火)10:00-11:50 会場:ライズホール
監督:ヴォイテク・ヴァヴシュチク ポーランド/93分/2024年
内容:現実のコミック作家の世界(実写)と彼が描いたキャラクターの世界(アニメーション)が行き来する、実写とアニメーションが交錯する独創的なファンタジー。小さな恐竜が消されゆく世界から逃げ出すというスリリングな物語と、深層心理へ向き合うポーランド映画らしい繊細さが共存します。
- こびと〜新しいはじまり〜(ポーランド=チェコ)(日本初上映)
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上映:11月2日(日)17:55-20:05 会場:ライズホール
追加上映:11月2日(日)14:00-15:50 玉川髙島屋 S.C./11月3日(月)16:00-17:50 シュクレペールカフェ監督:クシシュトフ・コマンデル ポーランド=チェコ/100分/2025年
内容:母から聞かされた「こびと」の話を信じ続ける少女ハニアの成長物語。いじめや孤独、喪失の受け止め方を温かいトーンで描き、子どもと大人の双方に訴えかける作品です。
- ふつうの子ども(日本)
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上映:11月1日(土)13:35-15:35 会場:109シネマズ/11月3日(日)16:35-18:35 玉川髙島屋 S.C.
監督:呉 美保 日本/96分/2025年
内容:“ふつう”の10歳の男の子を主人公に、子どもたちの日常と感情をそのまま切り取った作品。純粋な正義感や行動が周囲に影響を与えたとき、親・当事者はどう向き合うかを問いかけ、鑑賞後の親子の対話を促します。ズリーン国際映画祭(チェコ)ノミネート作。
- ちくわっちゃ!(日本)
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上映:11月2日(日)13:40-15:15 会場:109シネマズ
監督:三坂 知絵子 日本/42分/2025年
内容:東京で暮らす兄弟が下関の叔母のもとで夏休みを過ごす中、名産品ちくわの配信番組作りに挑戦。地域の人々との出会いや自然、地域性が描かれ、子どもたちの成長が瑞々しく描写されています。第78回カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナー正式出品。
- あの川の向こう(中国)(海外初上映)
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上映:11月1日(土)16:00-17:45 会場:109シネマズ
監督:デ・ツジ 中国/91分/2025年
内容:壮大なチベットの自然を舞台に暮らす幼い姉弟の成長物語。母との再会を願い、古い言い伝えをたどる旅を通して大自然の中で翻弄されながら成長していく姿が、圧倒的な映像美とともに描かれます。
ティーンズ長編 — 等身大の葛藤と社会課題を描く6作品
ティーンズ長編映画部門は13歳以上を対象とし、13〜18歳の「ティーンズ審査員」が鑑賞のうえグランプリを選出します。等身大の青春群像や社会問題を真正面から描いた作品が揃い、ティーン世代の共感や対話を促すプログラムです。
ここで発表された6作品は、ケニアの児童婚を扱った実話ベースの作品や、音楽・恋愛・環境問題など多彩なテーマを網羅しています。以下に個別の上映情報と作品概要を示します。
- ナウィ〜未来の私へ〜(ケニア=ドイツ)(日本初上映)
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上映:11月2日(日)15:40-17:35 会場:109シネマズ
監督:ヴァレンティーネ・チェルーゲ、アプー・モウリーネ、ケヴィン・シュミュッツラー、トビー・シュミュッツラー ケニア=ドイツ/99分/2024年
内容:学力優秀な13歳の少女ナウィが、家計の苦しさのために家畜と引き換えに嫁がされる児童婚の現実を描く実話に基づくフィクション。世界では5人に1人の少女が18歳未満で結婚する現状があり、本作はその問題を広く伝えるために制作されました。
- 秘密のお届け物(チェコ=スロバキア=セルビア)(アジア初上映)
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上映:11月1日(土)17:40-19:50 会場:ライズホール
監督:ヤーン・セベフレブスキー チェコ=スロバキア=セルビア/97分/2025年
内容:第二次世界大戦末期、雪深い山岳地帯で子どもたちがフランス人パイロット救出のために密かに“使命”をつなぐ実話に基づくファミリーアドベンチャー。友情と勇気が命をつなぐリレーのように描かれます。
- HONEY〜わたしの歌〜(デンマーク)(日本初上映)
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上映:11月3日(月)13:55-15:45 会場:109シネマズ
監督:ナターシャ・アーシー デンマーク/97分/2024年
内容:家庭の事情や内面的な迷いを抱える主人公ハニーが、音楽を通して自分の本当の気持ちに向き合う姿を描く。ティーンズに共感される「今の自分」を描いた作品です。
- イーダと動物たちの魔法学園 3(ドイツ)(日本初上映)
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上映:11月3日(月)17:15-19:30 会場:ライズホール
監督:スヴェン・ウンテルワルドット ドイツ/105分/2024年
内容:ドイツでヒットを記録している人気シリーズの第3弾。特別な学校で生徒が「魔法の動物」と相棒になる世界観を通じて、ティーンの葛藤や初恋、環境問題を歌唱シーンやファッション性豊かに描きます。
- 夏の日のカメラ(韓国)(日本初上映)
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上映:11月3日(月)16:10-17:45 会場:109シネマズ
監督:ソン・ディヴァイン 韓国/83分/2025年
内容:写真家の父の死をきっかけに写真をやめた少女が、同性の同級生に恋心を抱き写真を撮ることで再び自分に向き合っていく。十代の同性愛をきめ細かく、普遍的な「人を愛することとは何か」を問いかける作品です。
- BISHU〜世界でいちばん優しい服〜(日本)
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上映:11月2日(日)18:00-20:15 会場:109シネマズ
監督:西川 達郎 日本/125分/2024年
内容:尾州(日本の毛織物産地)を舞台に、発達障害を抱える少女史織が家族や友人とともに夢に挑む姿を描くヒューマンドラマ。主演は服部樹咲、姉役に岡崎紗絵、父役に吉田栄作。音楽は小山絵里奈、ファッション業界からの参加など地域産業や文化が色濃く反映された作品です。
ドキュメンタリー部門と短編の焦点
ドキュメンタリー部門には長編・短編合わせて5作品が出品され、世界中の映画祭関係者で構成される国際審査員がグランプリを決定します。社会性と芸術性を兼ね備えた作品群が選ばれており、国内初上映や海外初上映の作品も含まれます。
ここで取り上げられている作品は、ウクライナの紛争地帯で暮らす若者たちの姿や、虐待や貧困に耐えながら生きる少女たちのリアル、国際協力の現場に関わる若者たちの記録など、多様なテーマが並びます。短編作品も子どもから大人まで楽しめる視点で構成されています。
- GIRLS DON’T CRY(ドイツ)(日本初上映)
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上映:11月1日(土)18:10-19:55 会場:109シネマズ/11月2日(日)16:30-18:10 玉川髙島屋 S.C.
監督:シグリッド・クラウスマン/リナ・ルジテ ドイツ/91分/2025年
内容:虐待や迫害、貧困、10代の妊娠などに向き合いながら現代を生きる6か国(タンザニア、チリ、セルビア、韓国、イギリス、イラク/ドイツ)の少女たちの姿を描くドキュメンタリー。国境や文化の違いを超えて、観客に世界の現実を体感させます。
- 私たちは終わらない(ウクライナ=ポーランド=フランス)
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上映:映画祭のプログラムにて上映(上映日時はプログラム内に記載)
制作:Trueman Production 監督:アリサ・コヴァレンコ ウクライナ=ポーランド=フランス/100分/2023年
内容:ドンバス紛争地域に暮らす5人の10代の若者が閉塞した日常の中で生きる姿を、本人たちの言葉と表情で描くドキュメンタリー。彼らが得た一度きりの登山参加の機会などを通して、日常の不安や閉塞感が映し出されます。
- つながりミライ(日本)
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上映:11月2日(日)13:40-15:15 会場:109シネマズ
監督:野中 秀憲 日本/43分/2025年
内容:カンボジアの子どもたちと日本から訪れた若者たちが共に小学校建設に向き合う日々を通して、「助ける/助けられる」という関係を超えて、ともに生き、未来を強くする姿を描くドキュメンタリーです。
- おやまのじかん〜ゆっくりと、はやく〜(台湾)(海外初上映)
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上映:11月1日(土)13:35-15:35 会場:109シネマズ/11月3日(月)16:35-18:35 玉川髙島屋 S.C.
監督:チェン・グアンユ(鄭光育) 台湾/12分/2024年
内容:山中のオレンジ農園で暮らす姉弟を描く短編ドキュメンタリー。季節や行為によって「時間の感じ方」が変わることを通して、山での暮らしの豊かさや楽しさが描かれます。大人も子どもも楽しめる作品です。
- はじめまして、パパ(台湾)
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上映:11月1日(土)11:40-13:10/11月3日(月)10:00-11:30 会場:109シネマズ
監督:ワン・シンチャオ 台湾/10分/2024年
内容:「パパのお仕事は?」という子どもの問いかけに応えるべく、子どもたちが父の職場に突入するドキュメンタリー。職場の実態に触れることで子どもの視点が広がる短編です。
開催情報、会場一覧、チケットと参加方法の詳細
第32回キネコ国際映画祭の開催概要と会場、チケット情報を以下に整理します。前売券や当日券、寄付つきチケットの取り扱い、販売スケジュールなどの実務的な情報も含めて記載します。
主催は一般社団法人キネコ・フィルム(32.キネコ国際映画祭事務局)、寄付協力はティーワイリミテッド株式会社。公式サイトは https://www.kineko.jp/ です。
- 開催期間:2025年10月31日(金)〜11月4日(火)
- 会場(上映会場):
- 二子玉川ライズ スタジオ & ホール(世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット2F)
- 109シネマズ二子玉川 シアター1(世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット3/4F)
- 玉川髙島屋S.C. 南館6Fホワイトモール(世田谷区玉川3-17-1)
- 世田谷区民会館 せたがやイーグレットホール(世田谷区世田谷4-21-27)
- シュクレペールカフェ(世田谷区玉川3-34-2 リオヴェルデ1F)
- ふたこビール醸造所(世田谷区玉川3丁目13-7 柳小路南角2F)
- イベント/ワークショップ会場:二子玉川ライズ 中央広場、二子玉川ライズ ガレリア
チケット料金と販売スケジュール
チケットは上映形式により異なる料金設定がなされています。高校生は子ども料金の扱いとなります。前売券は公式サイトでの販売が予定されています。
前売チケットは2025年10月15日(水)10:00より公式サイトにて販売開始し、前売券販売は10月28日(火)23:59までです。当日券の販売は上映当日9:15より開始されます。
| 種別 | 前売券 | 当日券 |
|---|---|---|
| ライブシネマ(3歳〜17歳) | 700円 | 1,000円 |
| ライブシネマ(大人 18歳以上) | 1,700円 | 2,000円 |
| その他(日本語・英語字幕)子ども(3歳〜17歳) | 400円 | 500円 |
| その他(日本語・英語字幕)大人(18歳以上) | 1,200円 | 1,500円 |
| 寄付つきチケット(一般・前売のみ) | 5,000円 | 販売なし(前売のみ) |
寄付つきチケットは前売券のみの取り扱いで、チケット代金の一部は子どもたちに映画を届けるための活動資金に充てられます。購入者にはキネコオリジナルステッカーが贈られます(対象:二子玉川ライズ スタジオ&ホール/109シネマズ上映作品のみ)。
まとめ:上映作品・日程・会場の一覧
本章では、この記事で取り上げた長編コンペティション部門(チルドレン/ティーンズ)とドキュメンタリー部門の主要情報を表形式で整理します。各作品の上映日時や会場、国・監督・上映時間などを一覧にまとめ、確認しやすくしています。
| 部門 | 作品名 | 上映日時 | 会場 | 国/監督/上映時間(年) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| チルドレン長編 | ランポ〜旅するわんこ〜 | 11/2 15:00-17:10 | ライズホール | ポーランド/マグダレナ・ニエッチ/98分(2023) | 日本初上映 |
| チルドレン長編 | ディプロドクス〜恐竜とボク〜 | 11/1 15:10-16:55、11/4 10:00-11:50 | ライズホール | ポーランド/ヴォイテク・ヴァヴシュチク/93分(2024) | - |
| チルドレン長編 | こびと〜新しいはじまり〜 | 11/2 17:55-20:05(他:11/2 14:00、11/3 16:00) | ライズホール(ほか玉川髙島屋 S.C./シュクレペールカフェ) | ポーランド=チェコ/クシシュトフ・コマンデル/100分(2025) | 日本初上映 |
| チルドレン長編 | ふつうの子ども | 11/1 13:35-15:35、11/3 16:35-18:35 | 109シネマズ/玉川髙島屋 S.C. | 日本/呉 美保/96分(2025) | ズリーン国際映画祭ノミネート |
| チルドレン長編 | ちくわっちゃ! | 11/2 13:40-15:15 | 109シネマズ | 日本/三坂 知絵子/42分(2025) | カンヌSFC正式出品 |
| チルドレン長編 | あの川の向こう | 11/1 16:00-17:45 | 109シネマズ | 中国/デ・ツジ/91分(2025) | 海外初上映 |
| ティーンズ長編 | ナウィ〜未来の私へ〜 | 11/2 15:40-17:35 | 109シネマズ | ケニア=ドイツ/ヴァレンティーネほか/99分(2024) | 日本初上映/児童婚を題材 |
| ティーンズ長編 | 秘密のお届け物 | 11/1 17:40-19:50 | ライズホール | チェコ=スロバキア=セルビア/ヤーン・セベフレブスキー/97分(2025) | アジア初上映 |
| ティーンズ長編 | HONEY〜わたしの歌〜 | 11/3 13:55-15:45 | 109シネマズ | デンマーク/ナターシャ・アーシー/97分(2024) | 日本初上映 |
| ティーンズ長編 | イーダと動物たちの魔法学園 3 | 11/3 17:15-19:30 | ライズホール | ドイツ/スヴェン・ウンテルワルドット/105分(2024) | 日本初上映/シリーズ第3弾 |
| ティーンズ長編 | 夏の日のカメラ | 11/3 16:10-17:45 | 109シネマズ | 韓国/ソン・ディヴァイン/83分(2025) | 日本初上映/10代の同性愛を繊細に描く |
| ティーンズ長編 | BISHU〜世界でいちばん優しい服〜 | 11/2 18:00-20:15 | 109シネマズ | 日本/西川 達郎/125分(2024) | 尾州の織物産業と家族の物語 |
| ドキュメンタリー | GIRLS DON’T CRY | 11/1 18:10-19:55、11/2 16:30-18:10 | 109シネマズ/玉川髙島屋 S.C. | ドイツ/シグリッド・クラウスマンほか/91分(2025) | 日本初上映 |
| ドキュメンタリー | 私たちは終わらない | 映画祭プログラム内で上映(詳細は公式プログラム参照) | 会場:プログラム記載 | ウクライナ=ポーランド=フランス/アリサ・コヴァレンコ/100分(2023) | ドンバスの若者たちのドキュメンタリー |
| ドキュメンタリー | つながりミライ | 11/2 13:40-15:15 | 109シネマズ | 日本/野中 秀憲/43分(2025) | カンボジアでの小学校建設を巡る記録 |
| ドキュメンタリー(短編) | おやまのじかん〜ゆっくりと、はやく〜 | 11/1 13:35-15:35、11/3 16:35-18:35 | 109シネマズ/玉川髙島屋 S.C. | 台湾/チェン・グアンユ/12分(2024) | 海外初上映 |
| ドキュメンタリー(短編) | はじめまして、パパ | 11/1 11:40-13:10、11/3 10:00-11:30 | 109シネマズ | 台湾/ワン・シンチャオ/10分(2024) | 父の職場に子どもが突入する短編 |
この記事では、発表された長編コンペティション部門(チルドレン6作品・ティーンズ6作品)とドキュメンタリー部門(5作品)の計17作品について、上映日時・会場・制作情報・紹介文を網羅的に整理しました。公式プログラムや公式サイト(https://www.kineko.jp/)でさらに詳しいスケジュールやチケット購入方法を確認することができます。
参考リンク: