20代の転職で生成AIが浸透 学情調査が示した実態と利用場面

20代の転職AI利用調査

開催日:10月14日

20代の転職AI利用調査
20代の転職でどれくらい生成AIが使われてるの?
学情の調査では「よく利用」19.8%と「時々利用」26.7%を合わせて46.5%。自己PRや応募書類の作成・添削で特に活用され、利用は広がっている一方で利用・非利用は二極化しています。
生成AIを使ったら企業にマイナス評価されるの?
調査では採用選考で企業が生成AIを使っていても「特に印象は変わらない」が51.2%と最多。直ちにマイナス評価になるとは限らず、透明性や運用方法で印象は変わり得ます。

20代の転職活動で生成AIが日常的に使われる理由と現状の利用率

株式会社学情が2025年8月2日から8月18日に実施したインターネットアンケートの結果、20代の転職希望者において、就職・転職活動で生成AIを利用している人は「よく利用している」19.8%、「時々利用している」26.7%を合わせて46.5%に達しました。この数値は、20代の転職活動における生成AIの浸透度が高まっていることを示しています。

一方で「利用していない」37.3%、「あまり利用していない」16.2%を合わせると過半数を占め、利用状況はまだ二極化している点も確認されました。デジタルリテラシーや利用への心理的抵抗、正確性への不安感などが利用の差に影響していると考えられます。

  • 調査主体:株式会社学情(プレスリリース発表日:2025年10月14日 10時00分)
  • 調査対象:20代就職・転職希望者(「Re就活」来訪者)
  • 有効回答数:303件(Webアンケート)
  • 調査期間:2025年8月2日~8月18日
20代転職希望者の半数近くが「転職活動で生成AIを利用」。「自己PR作成・添削」が最多。応募書類・面接対策・企業研究など様々な場面で活用 画像 2

調査で示された主要なトピックス

学情がまとめた主要トピックスは次の5点です。これらは、個々の利用場面から企業選びにおける重視点まで、20代の行動と意識の幅広い側面をカバーしています。

トピックスは(1)~(5)まで整理され、利用率や心理的な受け止め方、企業のAI活用が転職先選びに与える影響などが具体的な数値とともに示されています。

  1. 20代転職希望者の半数近くが「転職活動で生成AIを利用」
  2. 生成AIの活用場面は「自己PRの作成・添削」が最多。応募書類・面接対策・企業研究などにも
  3. 生成AI活用の意識は「時短・効率化」が最多。「情報が正しいか不安」「企業のマイナス評価が心配」な人も
  4. 転職先で生成AIなど最新技術を活用できるかどうか、「重視する」は4割ほど
  5. 採用選考で企業の生成AI活用に対しては、「印象は変わらない」が過半数
20代転職希望者の半数近くが「転職活動で生成AIを利用」。「自己PR作成・添削」が最多。応募書類・面接対策・企業研究など様々な場面で活用 画像 3

最も多い利用場面は「自己PRの作成・添削」──具体的な活用領域と割合

生成AIを転職活動に取り入れている人が、どの場面で活用しているかを複数回答で尋ねたところ、「自己PRの作成・添削」61.7%が最多でした。続いて「応募書類(履歴書・職務経歴書)などの作成・添削」60.3%「志望動機の作成・添削」55.3%「自己分析やキャリアの棚卸し」53.2%など、書類作成や自己整理に強く利用されている点が明確です。

同時に、面接対策や企業研究へも一定の活用が見られ、転職活動の主要プロセス全般で生成AIが補助的な役割を果たしていることがうかがえます。

転職活動における生成AIの利用場面(複数回答可)
利用場面 割合(%)
自己PRの作成・添削 61.7
応募書類(履歴書・職務経歴書)などの作成・添削 60.3
志望動機の作成・添削 55.3
自己分析やキャリアの棚卸し 53.2
面接対策 37.6
業界・企業研究 24.8
20代転職希望者の半数近くが「転職活動で生成AIを利用」。「自己PR作成・添削」が最多。応募書類・面接対策・企業研究など様々な場面で活用 画像 4

利用場面の特徴と背景

書類作成や自己表現に関わる場面での利用が特に多い点は、文章表現や構成のサポートをAIに求める傾向を示しています。履歴書や職務経歴書、志望動機などは応募先ごとに微調整が必要なため、時短・効率化の効果が実感されやすい領域です。

面接対策や企業研究への利用も一定の割合で示されていることから、模擬面接の質問生成や企業情報の整理といった補助的な使い方が広がっていると考えられます。生成AIはあくまで補助ツールとして使われることが多く、最終的な判断や言葉の選択は応募者自身に委ねられるケースが多いようです。

20代転職希望者の半数近くが「転職活動で生成AIを利用」。「自己PR作成・添削」が最多。応募書類・面接対策・企業研究など様々な場面で活用 画像 5

生成AI活用に対する意識と不安、企業選びへの影響

生成AIを活用する目的として最も多かったのは「作業時間の短縮や効率化に繋がる」55.8%でした。これに続いて「自分にない視点や表現を得られる」44.6%、および「あくまで補助的なもので、自分の言葉で考えることが重要」43.9%が高く、実務的な効率化と同時に利用を限定的に捉える姿勢も広がっています。

一方で、懸念点としては「AIの情報や回答が正しいかどうか不安がある」22.4%「転職活動にAIを使うこと自体に抵抗がある」13.2%「企業からマイナス評価されるのではと心配」12.9%といった回答も確認され、利用に伴う信頼性や評価面での懸念を抱く人も一定数います。

転職先企業の技術活用の重視度

転職先の企業で生成AIなど最新技術を活用できるかどうかをどの程度重視するかについては、「重視しない」21.8%と「あまり重視しない」38.9%を合わせて60.7%が重視しないと回答しました。逆に「重視する」層は約4割にとどまり、現時点では企業選びにおける技術活用の重要度は限定的であると読み取れます。

ただし、世代・職種・業界によってはこの傾向が変わる可能性があり、技術重視の企業や職種を志望する人にとっては重視度が高くなることが想定されます。

選考時の企業側の生成AI活用に対する印象

企業の採用選考で生成AI(自動マッチング、適性診断、チャット面談など)を導入している場合の印象については、最も多い回答が「特に印象は変わらない」51.2%でした。好印象とマイナスの印象を比較すると、好印象のほうが多いものの、全体としては淡々と受け止める傾向が強いとまとめられます。

この結果から、採用選考でのAI活用はまだ決定的な好悪を生む段階にはなく、透明性や運用方法次第で受け止め方が変化し得ることが示唆されます。

調査概要と株式会社学情の事業概要

本調査の設計・実施は株式会社学情によるもので、対象は20代専門転職サイト「Re就活」の来訪者を中心とした20代の就職・転職希望者です。回答はWeb上で収集され、有効回答数は303件でした。集計にあたっては数値を小数点第二位を四捨五入して小数点第一位まで表記しているため、択一式回答の合計が100.0%にならない場合がある旨の注記があります。

株式会社学情は東証プライム上場、経団連加盟企業であり、2004年から「20代通年採用」を提唱してきた企業です。会員数260万人の20代向け転職サイト〈Re就活〉が同社の主要サービスの一つであり、その他にも30代向けサービスやスカウト型就職サイトなど若年層向けの採用支援事業を展開しています。

主なサービス・実績
・20代専門転職サイト〈Re就活〉(会員数260万人、2019年~2024年で20代向け転職サイト第1位:東京商工リサーチ調査)
・30代向けダイレクトリクルーティングサービス〈Re就活30〉
・スカウト型就職サイト〈Re就活キャンパス〉(会員数60万人、2025年3月1日にブランドリニューアル)
・合同企業セミナーや大型イベント(転職博・就職博)運営
・2019年:外国人材の就職・採用支援サービス「Japan Jobs」開始
会社データ
創業:1976年
資本金:15億円
加盟団体:一般社団法人 日本経済団体連合会、公益社団法人 全国求人情報協会、一般社団法人 日本人材紹介事業協会、日本就職情報出版懇話会、公益財団法人 森林文化協会
公式情報:https://company.gakujo.ne.jp

この記事の要点まとめ

以下の表は、本記事で扱った主要な調査結果と調査概要を整理したものです。数値は発表資料に基づき、小数点第一位まで表記しています。

項目 内容
発表元 株式会社学情(プレスリリース日:2025年10月14日 10:00)
調査期間 2025年8月2日~2025年8月18日
調査対象・方法 20代就職・転職希望者(Re就活来訪者)/Webアンケート
有効回答数 303件
生成AIの利用状況 「よく利用」19.8%+「時々利用」26.7%=46.5%(転職活動での利用)
主な利用場面(上位) 自己PR作成・添削61.7%、応募書類作成・添削60.3%、志望動機55.3%、自己分析53.2%
利用のメリット(最多) 作業時間の短縮や効率化55.8%
利用への懸念 情報の正確性に不安22.4%、利用自体への抵抗13.2%、企業評価の懸念12.9%
転職先でのAI活用重視度 「重視しない」21.8%+「あまり重視しない」38.9%=60.7%
選考での企業AI活用の印象 「特に印象は変わらない」51.2%(好印象はマイナス印象を上回るが、過半数は中立)
関連リンク https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/251007/

以上の結果は、20代の転職希望者が生成AIを実務的な補助ツールとして活用しつつも、情報の正確性や評価面に一定の懸念を抱いていること、そして現時点では企業の技術活用姿勢が転職先選びに決定打とはなっていないことを示しています。調査結果の詳細や出典は学情の公開資料に記載されています。

参考リンク: