ウズベキスタンパビリオン、BIE賞でテーマ解釈金賞に

ウズベキスタン金賞受賞

開催日:10月12日

ウズベキスタン金賞受賞
ウズベキスタンパビリオンって何を受賞したの?
2025大阪・関西万博で開催されたBIE(博覧会国際事務局)の「公式参加者褒賞」テーマ解釈部門で金賞を受賞。授賞式は2025年10月12日にEXPOホール「シャインハット」で行われました。
どうしてそのパビリオンが高く評価されたの?
「知の庭」という遺産と革新を結ぶ明確なコンセプト、アトリエ・ブリュックナーによる空間デザイン、来場者参加型の体験性や教育性が審査で高評価を得たためです。

BIE賞金賞受賞の概要と授賞の経緯

2025年10月15日 18時00分付の発表によると、ウズベキスタンパビリオンが、2025大阪・関西万博において、博覧会国際事務局(BIE)が授与する「公式参加者褒賞(BIE賞)」の「テーマ解釈」部門で金賞に選ばれました。受賞は万博閉幕前日の2025年10月12日に行われた授賞式で発表され、EXPOホール「シャインハット」にて表彰が行われました。

同賞は、万博に出展する165の国・地域・国際機関を対象に、博覧会のテーマと価値観を最も体現した館を選出するもので、今回は「建築・景観」「展示デザイン」「テーマ解釈」「持続可能性」の4部門で表彰が行われました。選出は、9名の専門家で構成される国際審査員団による訪問審査に基づいて行われ、ウズベキスタンパビリオンは「テーマ解釈」部門において、1,500平方メートル以下のパビリオン部門での金賞受賞となりました。

ウズベキスタンパビリオン、2025大阪・関西万博において、優れたパビリオンを表彰する「公式参加者褒賞(BIE賞)」金賞を受賞 画像 2

授賞式と審査プロセスの詳細

授賞式は2025年10月12日に実施され、受賞館は審査員による現地訪問評価を経て決定されました。審査はパビリオンのデザイン、展示内容、来場者体験、テーマとの整合性など多角的な観点から行われます。

BIE賞の審査対象は各出展パビリオンの総合的な表現力であり、ウズベキスタンパビリオンはテーマ解釈という観点で特に高い評価を獲得しました。選考の基準には、来場者との対話性、文化的アイデンティティの提示、教育的要素、そして国際交流の促進が含まれています。

受賞の対象範囲と授与意義

「公式参加者褒賞(BIE賞)」は万国博覧会における最高栄誉の一つであり、受賞は出展国の創造性と国際対話への貢献が世界的に認められた証となります。4部門それぞれが博覧会の価値を異なる角度から評価しており、ウズベキスタンはテーマ解釈部門で最上位を獲得しました。

今回の金賞受賞は、単一の展示や建築の優秀性だけでなく、ウズベキスタンの遺産保護、教育・文化・技術の融合、そして国際的な交流のあり方を具体的に示した点が評価された結果と位置づけられます。

『知の庭 – 未来社会のための実験室』:コンセプトと設計の詳細

ウズベキスタンパビリオンの公式コンセプトは「知の庭 – 未来社会のための実験室」です。これは持続可能な進歩、協力、革新の基盤として同国の遺産を称えるものであり、教育、文化、技術における変革を反映した展示構成が取られています。

コンセプトは、シルクロードに沿って培われた何世紀にもわたる職人技と知識交換の伝統を踏まえ、来場者が「過去の知」と「未来の実践」を体験的に結びつけられる場を目指しています。展示は遺産と革新を同時に示すナラティブにより設計されています。

設計を担ったアトリエ・ブリュックナーの役割

パビリオンの設計はドイツの建築設計会社、アトリエ・ブリュックナー(ATELIER BRÜCKNER)によって行われました。同社はウズベキスタン芸術文化開発財団(ACDF)の委託を受け、場の構成と展示デザインを統合的に設計しています。

アトリエ・ブリュックナーは1997年に設立されたデザインスタジオで、展示デザイン・舞台美術・建築を横断するプロジェクトで国際的に実績を重ねてきました。今回のプロジェクトでは、文化的アイデンティティを来場者と結びつける空間設計が評価されました。

来場者体験と展示の構成

パビリオンは体験型の展示を重視し、来場者参加型のインタラクティブな要素や物語性のある展示構成を取り入れています。この来場者体験が、米国のEXHIBITOR誌による「ベスト・アクティビティ/インタラクティブ賞」選定など、国外メディアからも評価されました。

展示は単に視覚的に情報を示すだけでなく、学びの場としての役割を持たせるため教育的な解説やワークショップ型のプログラムも想定されています。これにより、テーマ解釈の観点から一貫した来場者体験を提供しています。

関係者のコメントと国際的評価の広がり

受賞にあたっては、ウズベキスタン芸術文化開発財団(ACDF)会長であるガヤネ・ウメロワと、設計を担当したアトリエ・ブリュックナーの創設パートナー兼マネージングディレクター、シリン・フランゴール=ブリュックナーのコメントが公開されています。両氏はデザインと文化的表現が融合した成果として今回の受賞を位置づけています。

写真資料には授賞時の様子も含まれており、写真左からセルビア政府副代表ジャルコ・マリーノヴィッチ氏、ウズベキスタンパビリオン館長オタベク・ガイポフ氏、アイルランド館担当長官ブライアン・オブライエン氏と並ぶ場面が確認できます。

ACDF会長 ガヤネ・ウメロワのコメント

ガヤネ・ウメロワは、この賞についてデザインのみならずウズベキスタンの遺産を大切にしつつ未来志向の国家精神を体現したパビリオンを称えるものであると説明しています。彼女はアトリエ・ブリュックナーとの協働によって理念を創造、アイデンティティ、革新の空間へと昇華させたと述べています。

さらにウメロワは、万博閉会に際しての栄誉は創造の集大成であり、ウズベキスタンの国際舞台における存在感の強化を示すものだとし、今回の成果が文化、革新、国際協力への支援を通じた同国の進歩的な道筋を反映していると位置づけています。彼女はまたシャフカット・ミルジヨーエフ大統領のビジョンとリーダーシップがこの成果に結び付いていると述べています。

アトリエ・ブリュックナー シリン・フランゴール=ブリュックナーのコメント

シリン・フランゴール=ブリュックナーは、BIE賞金賞受賞を卓越した博覧会の結末を飾るものとして評価し、同事務所が掲げる建築と共有の精神に対する取り組みの賞であると述べています。彼女はウズベキスタンの遺産を形態へ翻訳し、開放性と対話に満ちた空間として提示した点が評価されたと説明しました。

また、彼女はこの受賞が携わったチーム全員にとって意義深いものであるとし、今回のプロジェクトが国際的な舞台で認められたことに言及しています。

ACDFの活動、関連賞、今後の主要プロジェクト

ウズベキスタン芸術文化開発財団(ACDF)は同国の遺産、芸術、文化の保護・促進・育成を行っており、国内外で多数の文化プロジェクトを推進しています。ACDFは文化エコシステムの育成や創造性に基づく経済の推進に注力しています。

ACDFは万博出展のほかにも、複数の国際会議や文化サミット、建築保存・美術館建設など多岐にわたるプロジェクトを手掛けています。以下に主な活動と関連受賞を整理します。

主な受賞と評価

ウズベキスタンパビリオンはBIE賞のほか、複数の国際的な賞を受賞しています。具体的には、ドイツデザイン賞 2025 の「優秀な建築 – 見本市と展示会」部門で金賞、レッドドット・デザイン賞 2025 のブランド&コミュニケーションデザイン部門で「最優秀賞(Best of the Best)」、米国 EXHIBITOR 誌の「ベスト・アクティビティ/インタラクティブ賞」、オランダ FRAME 誌の「フレーム賞(FRAME Award)」などが挙げられます。

これらはデザイン、コミュニケーション、来場者体験、建築ナラティブの各分野で高く評価された結果であり、国際的に注目される受賞実績となっています。

ACDFの主要プロジェクトと出版・イベント

ACDFは以下のような主要プロジェクトを推進しています。2024年10月2日~4日にタシケントで開催された第4回世界クリエイティブ経済会議(WCCE)の実施や、2025年4月4日~6日にカラカルパクスタン・ヌクスで開催された第1回アラル文化サミットの成功運営など、国際会議の運営実績があります。

また、タシケントの現代美術センターの再活性化、安藤忠雄氏設計による新たな国立ウズベキスタン美術館の建設、ロマノフ大公宮殿の修復・部分的再建の指揮など建築・保存分野の大規模事業を実行中です。さらに、モダニズム建築を記録・保護する研究プロジェクト「Tashkent Modernism XX/XXI」を立ち上げ、リッツォーリ・ニューヨーク(2024年11月刊行)およびラース・ミュラー・パブリッシャーズ(2025年5月刊行)との共同出版を行っています。

加えて、ブハラでは第1回ブハラ・ビエンナーレを2025年9月に開催予定、サマルカンドでは第43回ユネスコ総会の開催地として2025年10月30日~11月13日に総会が予定されており、ACDFがホスト役を務めます。

関連リンクと資料

ウズベキスタンパビリオンの公式サイトおよびACDFの公式サイトは以下です。画像を含むプレスキットも提供されています。これらの公表資料により、展示の詳細や写真資料、関係者の声明を確認できます。

  • 2025大阪・関西万博 ウズベキスタンパビリオン公式ウェブサイト: https://www.expo2025uzbekistan.uz/ja
  • ACDF公式ウェブサイト: https://www.acdf.uz

記事の要点まとめ

以下の表は、本記事で取り上げたウズベキスタンパビリオンに関する主要事項を整理したものです。受賞内容、関係者、コンセプト、受賞日、関連賞、ACDFの主なプロジェクトといった要点を一目で確認できます。

項目 内容
プレス発表日時 2025年10月15日 18時00分
受賞 公式参加者褒賞(BIE賞) 金賞(テーマ解釈部門、1,500平方メートル以下の部)
授賞式 2025年10月12日、EXPOホール「シャインハット」
審査 9名の専門家による国際審査員団の訪問審査。出展数は165の国・地域・国際機関。
パビリオン名称(コンセプト) 知の庭 – 未来社会のための実験室(持続可能な進歩、協力、革新の基盤としての遺産を称える)
設計・展示担当 アトリエ・ブリュックナー(ATELIER BRÜCKNER)による設計・展示デザイン
主要関係者 ウズベキスタン芸術文化開発財団(ACDF)、会長 ガヤネ・ウメロワ、館長 オタベク・ガイポフ
その他の受賞 ドイツデザイン賞 2025(金賞)、レッドドット・デザイン賞 2025(Best of the Best)、EXHIBITOR誌 ベスト・アクティビティ/インタラクティブ賞、FRAME賞
ACDFの主なプロジェクト 第4回世界クリエイティブ経済会議(WCCE)運営、アラル文化サミット、タシケント現代美術センター再活性化、安藤忠雄設計の新国立美術館建設、ロマノフ大公宮殿修復、Tashkent Modernism XX/XXI 出版等
参考リンク https://www.expo2025uzbekistan.uz/ja 、 https://www.acdf.uz

以上がウズベキスタンパビリオンのBIE賞金賞受賞に関する公表情報の要点と関連プロジェクトの整理です。今回の受賞は展示デザイン、テーマ解釈、来場者体験の各面で国際的に評価された結果であり、ACDFとアトリエ・ブリュックナーら関係者の取り組みが反映されたものと位置づけられます。

参考リンク: