災害時に安心:保険簿がオフライン閲覧対応
ベストカレンダー編集部
2025年10月17日 12:12
保険簿オフライン機能追加
開催日:10月17日
震災の現場で生まれた発想――保険情報をいつでも手元に残すという設計
株式会社IB(代表取締役CEO:井藤健太、本社:東京都世田谷区)が提供する保険管理アプリ「保険簿」は、東日本大震災での現場経験を起点に生まれたサービスです。2025年10月17日11時00分にリリースされた今回のアップデートでは、iOS版・Android版の両プラットフォームで通信環境に依存せず保険契約情報へアクセスできるオフライン閲覧機能が追加されました。
東日本大震災のボランティア経験から、CEOの井藤は「津波で家が流された方や亡くなった方のご家族は、保険を請求できたのだろうか」という疑問を抱き、紙の証券だけに頼らない保険情報の管理・共有方法を構想しました。保険簿ではこの理念に基づき、保険証券の電子化と家族間共有、オンライン上のマイページ情報の統合などを進めてきましたが、通信インフラが寸断される大規模災害時の閲覧不能という課題が残っていました。
創業のきっかけと考え方
創業時の発想は、個々の保険加入者が加入しているすべての保険情報を一箇所で管理し、必要なときに速やかに参照できるようにすることです。紙の証券が失われてもデータがあれば手続きの入口を失わないという点を重視しています。
この考え方は、単にデータのバックアップを提供するだけでなく、家族や代理店との情報共有、事故や病気が発生した際の保険金請求候補の提示といった機能群にも反映されています。今回のオフライン閲覧機能は、その基本設計を災害対応の観点から補完するものです。
現場で想定される利用シーン
想定される利用シーンとしては、被災により自宅を失った場合、移動中に通信回線が不安定な状況で保険会社や代理店への連絡先・証券番号を確認する場合などが挙げられます。必要な連絡先や契約情報が端末内に保存されていることで、保険金請求や手続きの初動を速めることが可能になります。
事前にデータ同期を済ませておくことで、通信が途切れた状況でも保険内容を読み取り、どの保険が請求対象になり得るかの確認や関係者との連絡手段の把握ができる点が、オフライン閲覧機能の主な利用価値です。
オフライン閲覧機能の詳細――利用上の前提と機能制限
今回の機能追加により、あらかじめ端末に同期された保険契約情報は通信環境に関係なく閲覧可能になります。対応プラットフォームはiOS版とAndroid版で、幅広いユーザー環境に配慮した実装です。
ただし、オフライン利用には利用上の前提や制限事項があります。事前のデータ同期にはネットワーク環境が必要であり、オフライン時は閲覧に特化するため一部の機能(オンライン認証が必要な操作や外部サービスとの即時連携など)が制限される場合があります。
具体的な機能一覧
オフライン閲覧機能で利用可能な内容は次の通りです。端末に保存された情報は災害時に素早く参照できるよう最適化されています。
- 保険契約情報の閲覧:証券番号、契約者名、保障内容、保険期間などの基本情報
- 保険会社・代理店の連絡先:電話番号や所属情報の表示
- 保険金請求の候補ピックアップ:事故や病気・ケガなどの発生事象を選択すると、保存済みの保険から請求対象となり得るものを表示
以上の機能により、例えばけがを負った際や住居喪失後の初動対応に必要となる情報を手元で確認できます。
注意点として、同期後に契約内容が変更された場合は最新情報が反映されない可能性があるため、定期的な同期操作を推奨します。また、オフライン時の操作により新たなデータの取得やクラウド同期は行われません。
利用時のセキュリティと運用上の留意点
端末内に保存される情報は個人情報を含むため、端末ロックの設定やアプリ内ロックなどの適切なセキュリティ対策が重要です。オフライン閲覧は利便性を高めますが、端末盗難や不正利用に対する想定も必要です。
運用面では、ユーザーに対して事前のデータ同期方法やオフラインで利用できる範囲、定期的なバックアップの案内を行うことが想定されます。アプリ側でも同期のタイミングや大容量データの取り扱いについての説明を明確にすることが重要です。
保険会社やユーザーに対する利点とサービス概要
オフライン閲覧機能は個人ユーザーにとっての利便性向上に加え、保険会社や保険代理店にとってもBCP(事業継続計画)や顧客支援の観点から有用です。IBはこの機能を通じて、保険会社側の災害対応力強化を支援するとしています。
金融庁が示すガイドラインに関連する事業継続性の要件の一部を、保険簿を活用することで自社開発のコストを抑えつつ満たすことが可能になります。これにより、保険会社は被災時の顧客サポート体制を強化できるという利点があります。
アプリの基本機能と提供形態
保険簿は、加入している保険や共済の保険証券をアップロードすることで一括管理・共有ができるアプリです。無料で利用でき、必要なときに契約内容を把握しやすい操作性を提供します。
主な機能は以下の通りです。
- 保険証券のアップロードと一覧管理
- 家族や関係者との共有機能
- 事故・病気・ケガ等の事象選択による保険金請求候補の抽出
これらは日常的な保険の管理だけでなく、災害時の初動や手続きの支援につながるよう設計されています。
運営企業としての立ち位置とビジョン
株式会社IBは「保険の請求もれをなくす」をビジョンに掲げ、ミッションとして「人が人らしく生きる時間を、創り、守る」を定めるインシュアテック企業です。中立的立場で保険加入者と保険業界の間に立ち、保険の価値を享受する機会の損失を減らすことを目指しています。
また、アプリの詳細やインストール方法、サービスに関する情報は公式サイトで案内されています:https://hokenbo.com/
今回のリリース情報の整理と要点の一覧
ここまでに記載したリリースの主要項目を表形式で整理します。リリースは2025年10月17日11時00分に発表され、オフライン閲覧機能の追加が中心です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月17日 11時00分 |
| 発表者 | 株式会社IB(代表取締役CEO:井藤健太、本社:東京都世田谷区) |
| 対象サービス | 保険管理アプリ「保険簿」(iOS版・Android版) |
| 新機能 | オフライン閲覧機能(事前同期された保険契約情報の端末内表示) |
| 主な機能 | 保険契約情報閲覧、保険会社・代理店の連絡先表示、保険金請求候補のピックアップ |
| 対応プラットフォーム | iOS版・Android版 |
| 利用上の前提 | 事前のデータ同期にはネット環境が必要。オフライン時は一部機能が制限される場合あり。 |
| 保険会社向けの利点 | 金融庁ガイドラインに関連するBCP要件の一部を自社開発コストなしで補完可能 |
| アプリの提供形態 | 無料で利用可能。保険証券のアップロードによる一括管理・共有機能を提供 |
| 公式情報 | https://hokenbo.com/ |
以上が今回のリリースに含まれる主要な情報の整理です。災害時に通信が途絶する状況でも事前に同期した保険情報を端末で参照できる点は、保険金請求の初動対応や被災後の手続きにおける情報アクセスの確保という観点で重要な機能です。提供企業のミッションとあわせて、利用者・保険会社双方の運用上の注意点や同期の運用が今後の利用実態を左右する要素になることが示されています。
参考リンク: