クラダシ×茨城大×HYKの米粉マドレーヌ、Kuradashiで販売
ベストカレンダー編集部
2025年10月20日 10:51
干し芋残渣マドレーヌ発売
開催日:10月20日
干し芋の「残渣」を捉え直す — 産学と企業がつないだ課題解決の線
2025年10月20日、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシは、茨城大学・石島恵美子研究室および株式会社HYKと共同で、干し芋の製造過程で発生する未利用資源である干し芋残渣(ざんさ)を活用した商品「米粉のまどれーぬ さつまいも味」を開発し、同日よりKuradashiで販売を開始したと発表した。クラダシが創設したクラダシ基金を活用した大学との共同研究から商品化に至った点が特徴である。
干し芋残渣は製造時に切り落とされる皮や身の部分を指し、原料となるさつまいもの約40%を占めるとされる一方で、廃棄されることが多く、埋め立て処理時に異臭が発生するなど環境問題にもつながる。今回の取り組みは、その未利用資源を価値ある素材に変換することを目的としている。
共同開発に至った経緯とクラダシ基金の役割
クラダシはフードロス削減を目指す事業者として、賞味期限が迫った食品や季節商品など流通が難しい商品を買い取り、Kuradashiで販売するとともに、その売上の一部を各種社会貢献活動に充てている。2024年9月にクラダシは大学・大学院のゼミや研究室と初めて共同研究を開始し、クラダシ基金を使って産学連携の機会を創出した。
茨城大学・石島研究室は地域の干し芋生産農家を取り巻くプロジェクトに取り組んでおり、未利用資源のアップサイクルと食品ロス学習プログラムの開発をテーマに共同研究を実施した。HYKは北海道の菓子製造・福祉就労支援・環境配慮の事業を組み合わせた事業体で、規格外食材や廃棄の可能性がある食材を加工商品化するノウハウを有している。三者が連携することで、研究成果の実用化が進んだ。
米粉のまどれーぬ — 素材と製法が描く製品像
今回の商品は、干し芋残渣をたっぷり練り込んだ米粉マドレーヌで、ふんわりとした食感を特徴としている。干し芋残渣はさつまいもの自然な甘みと風味を持つ素材で、これを活用することで味わいと栄養価を保ちながら廃棄量を削減する狙いがある。
マドレーヌに使用する米粉も通常流通しない規格外の米が原料となっており、素材の選定においては「未利用資源をいかに製品価値に変えるか」が重視されている。パッケージ作業やシール貼り、出荷作業はHYKが運営する就労継続支援B型事業所「ベジタブル」が担い、福祉と製造の接点も確保されている。
製品仕様と購入情報
製品は個別の商品仕様により明確に販売される。販売はKuradashiのECサイト上で行われ、販売開始日は2025年10月20日(月)である。
- 商品名:米粉のまどれーぬ さつまいも味
- 内容量:1セット4個入り
- 販売価格:1,980円(税込・送料別)
- 販売開始日:2025年10月20日(月)
- 販売場所:Kuradashi サイト(https://www.kuradashi.jp/)
三者の役割と表明されたコメント
本プロジェクトでは、クラダシがハブとなり、大学の研究成果とHYKの製造・福祉の機能を結び付ける役割を担った。茨城大学は研究と地域連携の取りまとめ、HYKは製品化と就労支援体制を提供した。
関係者から寄せられたコメントは次の通りである。これらは各者の役割や期待感、今回の成果に対する所見を端的に示している。
- 株式会社クラダシ(ブランド事業部 多田慎之介)
- 「学生の皆さまの熱意とHYKさまの卓越した技術により、フードロス削減が実現できたことを大変嬉しく思います。皆さまに心より御礼申し上げます。今後もクラダシはハブとなり、こうした価値ある連携を社会に広げてまいります。」
- 茨城大学 石島恵美子研究室 干し芋の残渣削減プロジェクト実行委員会(HZP)
- 「研究室での活動を通して、地域で生まれる未利用資源を「おいしい形」に変えることができました。大学生として、研究や学びだけでなく、実際に商品として世の中に届けられることに大きなやりがいを感じています。多くの方に召し上がっていただき、食品ロス削減や地域資源のアップサイクルの可能性について考えるきっかけとなれば嬉しいです。」
- 株式会社HYK(代表取締役 上保木聡志)
- 「地域の課題を解決したいという学生さんたちの熱意が、遠く離れた北海道にいる私たちをも動かしてくれました。この商品を一緒に開発し、ついに発売の日を迎えられたことを心から嬉しく思います。発売はゴールではなく、これからがスタートです。この商品を通じて、皆さんの想いがさらに広がるよう、応援しつづけます。」
企業情報と関連URL
HYKの会社概要と所在地、Kuradashiおよびクラダシの基本情報も公開されている。これらは連携の透明性を示すために明記されている。
- 株式会社HYK:代表者 上保木聡志、設立2011年3月、本社所在地 〒004-0802 北海道札幌市清田区里塚2条6丁目1-3 里塚ノースヴィレッヂ1階、URL https://vegetable-hokkaido.com/
- Kuradashi(ソーシャルグッドマーケット):https://www.kuradashi.jp/
- 株式会社クラダシ:代表者 河村晃平、設立2014年7月、本社所在地 〒141-0021 東京都品川区上大崎3丁目2-1 目黒センタービル 5F、URL https://corp.kuradashi.jp/
取り組みの意義と実績の整理
今回の共同開発は、大学との共同研究の成果を出発点として企業間連携を生み出し、実際の製品化と販売までつなげた事例である。産学だけでなく農と福祉を含む「産学農福連携」として位置づけられ、未利用資源の活用と福祉的就労機会の確保という複合的な課題解決を図っている。
クラダシが提示している2025年6月末時点の主な累計実績は、フードロス削減量29,627トン、経済効果144億1,471万円、CO2削減量78,541t-CO2、支援総額168,849,985円である。こうした数値は、同社の事業が環境・経済両面で影響を与えていることを示している。
用語の整理
今回の記事で用いられた専門用語や制度の意味を整理する。理解を深めるために簡潔に定義を示す。
- クラダシ基金
- クラダシが自ら社会貢献活動を行うために創設した基金。地方創生事業、フードバンク支援、教育事業、食のサステナビリティ研究会などへの支援に充てられる。
- 産学農福連携
- 産(企業)・学(大学)に加え、農(生産者)や福(福祉関連機関)を含めた広範なパートナーシップ。地域資源と社会的課題の包括的な解決を目指す枠組み。
参考・出典
干し芋残渣に関するデータは茨城大学の環境報告書2024(令和5年度)を参照している(https://www.ibaraki.ac.jp/m/corporate/environment/)。Kuradashi、クラダシ、HYKの各社情報はそれぞれの公式サイトで確認できる。
以下に本記事で扱った主要項目を整理した表を示す。日付、価格、関与者、製品の特徴などを一覧にしている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | 米粉のまどれーぬ さつまいも味 |
| 内容量 | 1セット4個入り |
| 販売価格 | 1,980円(税込・送料別) |
| 販売開始日 | 2025年10月20日(月) |
| 販売場所 | Kuradashi サイト(https://www.kuradashi.jp/) |
| 主要原料 | 干し芋残渣(干し芋の皮・切り落とし等、原料の約40%)、規格外米を使用した米粉 |
| 製造・作業 | HYKによる製造、就労継続支援B型事業所「ベジタブル」がシール貼り・出荷作業を担当 |
| 共同開発者 | 株式会社クラダシ、茨城大学 石島恵美子研究室、株式会社HYK |
| クラダシの累計実績(2025年6月末時点) | フードロス削減量29,627トン、経済効果144億1,471万円、CO2削減量78,541t-CO2、支援総額168,849,985円 |
本件は大学の研究成果を起点に、企業や地域の事業体を繋ぎ、未利用資源を製品化する具体的な事例である。製品は2025年10月20日からKuradashiで購入可能であり、素材・製法・流通・福祉的就労の各要素が組み合わさっている点が本取り組みの特徴である。
参考リンク: