立教新座高生へ伝えるIT業界の実情とキャリア対話

キャリアデザイン対話

開催日:10月2日

キャリアデザイン対話
どんなイベントだったの?
アルサーガパートナーズが2025年10月2日に渋谷本社で立教新座高等学校の生徒を招き実施した対話型セッション。松濤取締役副社長が登壇し、目標設定や生成AI時代の学び、地方でのDX展開などを具体的に解説したイベント報告です。
参加すると何が得られるの?
高校生向けに、計画立案ややりきる力、情報の裏取り・一次情報重視の習慣、英語力や起業マインド等、実務的なキャリア形成の指針と短期目標で成功体験を積む方法が得られます。

立教新座高等学校の生徒を対象に行われた「キャリアデザイン・ダイアログ」開催の全容

企業のDX推進を担うアルサーガパートナーズ株式会社は、2025年10月2日(木)に渋谷本社で立教新座高等学校の生徒を招いたインタビュー形式のセッション「キャリアデザイン・ダイアログ」を実施した。本記事は同イベントの内容を時系列かつテーマ別に整理し、発言の要点や企業側の取り組みを網羅的に伝える。

プレスリリースは2025年10月22日11時00分に公表されており、今回のイベントは立教新座高等学校のキャリア教育の一環として開催された。目的は次世代のIT業界の実情把握と、社会で求められるビジネスパーソン像の理解促進である。アルサーガパートナーズは、自社の知見をもとに生徒の疑問に応える形でセッションを行った。

イベントの基本情報は以下の通りである。

  • 開催日:2025年10月2日(木)
  • 開催場所:アルサーガパートナーズ 渋谷本社
  • 主催:アルサーガパートナーズ株式会社
  • 対象:立教新座高等学校の生徒
  • 形式:インタビュー形式の対話セッション
【イベントレポート】立教新座高等学校の生徒に向けた「キャリアデザイン・ダイアログ」を開催 画像 2

スピーカー紹介とその背景

本セッションの主な登壇者は、アルサーガパートナーズ取締役副社長の松濤 徹氏である。氏は長年にわたりITや旅行事業、マーケティング領域で実務経験を積んできた。

松濤氏の経歴は以下の通りで、セッションでは経歴を踏まえた具体的な実践論が語られた。

経歴ハイライト
近畿日本ツーリストを経て2000年にヤフー株式会社入社。Yahoo!トラベル、Yahoo!地図、Yahoo!路線情報の事業責任者を歴任。
2012年にグーグル株式会社の広告本部統括部長として旅行事業関連のデジタル化を推進。
2015年11月より株式会社エボラブルアジア(現 株式会社エアトリ)の取締役CMOに就任し、旅行サービス「エアトリ」の企画・サービス開発・マーケティングを統括。
2021年にアルサーガパートナーズに上級執行役員として入社し、2022年4月取締役就任、2023年9月より取締役副社長就任。

松濤氏は自身の転身経験や大手企業・外資系企業での実務経験を踏まえ、生徒に向けた具体的な助言を行った。

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セッションでの主な論点:目標設定とスキル形成

セッションでは生徒からの質問を起点に、目標設定、スキル習得、計画立案の重要性が繰り返し示された。特に高校生の段階で何を意識すべきか、どのように行動すべきかについて具体的な示唆が与えられた。

以下に生徒からの代表的な質問と松濤氏の回答の要旨を列挙する。

質問 松濤氏の回答(要旨)
高校生のうちにどんなスキルを身につけた方がいいか? 計画立ての能力とやりきる力を重視。短期・身近な目標を全力で達成する経験を積むことが重要。
将来の夢が定まっていない場合の目標設定は? 多くの人は夢が定まっていないため、まずは短期目標を設定し達成することで成功体験を積むべき。

松濤氏は「なぜ目の前のことを一生懸命やるべきか」について、日々の小さな成功体験が将来の大きな挑戦を可能にする基盤になる点を強調した。挫折の経験だけでなく、達成のためのプロセスを経験することが重要だという見解である。

また、キャリア選択の軸としては「ワクワクできるかどうか」を重視する考えを示した。本人が心から興味を持てる分野であるほど継続して努力できるため、興味関心を原動力に据えることが勧められた。

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具体的な行動指針

短期的に取り組むべき具体的な行動として、松濤氏は以下の点を挙げた。

  • 日々の課題に対する計画を立て、実行・振り返りを繰り返すこと。
  • 情報を多面的に調べる習慣をつけること(一次情報や権威ある情報源を優先)。
  • 英語やコミュニケーション能力など、将来的に差別化要因となるスキルを磨くこと。

これらは高校生の段階から取り組める実践的な要素として紹介された。

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生成AI時代とIT業界の理解:高校生が今からできること

生成AIが普及する現在、情報の扱い方や学習の姿勢についての問いが多く投げかけられた。松濤氏はAIの性質を踏まえた上で、人間が深く理解する必要性を指摘した。

具体的には、生成AIは既存のデジタル情報をもとに出力を行う性質があり、表面的な検索だけでなく、情報の裏取りや一次情報の確認、より深い理解が重要だと述べた。

情報収集の方法と信頼性の見極め

情報の信頼性を見極めるための手法として、松濤氏は以下を推奨した。

  1. 実名で発信される情報や権威ある発信者の情報を重視すること。
  2. 書籍や教科書などプロの編集を経た情報を参考にすること。
  3. 企業の公式サイトなど一次情報の確認を習慣化すること。

学校図書館や自治体の図書館を活用することも具体的な手段として挙げられた。

さらに、IT業界の理解については「業界を理解する力」を挙げ、インターネットサービス、インフラ、ソフトウェア開発、DXコンサルティングなど業務領域の違いや、各産業がどのように収益を上げているかを研究することの重要性が説かれた。

アルサーガパートナーズの視点:日本のデジタル課題と同社の差別化

セッションでは、アルサーガパートナーズが考える日本のデジタル課題と同社の取り組みについても詳しい説明が行われた。松濤氏は「デジタル赤字」という概念を紹介し、日本が抱える構造的課題を示した。

デジタル赤字とは、国内で得られるはずのデジタル領域の利益が外資系企業へのロイヤリティとして流出してしまう状態を指す。これを是正するために同社は国内でコンサルティングから開発、運用までを一貫して提供する体制を整えている点を強調した。

差別化要因と地域展開

アルサーガパートナーズの差別化ポイントとしては、以下の点が挙げられた。

  • 多重下請けを排し、自社でコンサルから開発・運用まで一貫提供することによる高いコストパフォーマンス
  • コンサルタント部門の多くが大手コンサルティングファーム出身であることにより高品質なサービスを提供する点

また松濤氏は、地域へのDX人材の分散と育成を目指しており、直近の取り組みとして鹿児島市に九州4か所目の拠点を開設し、九州エリアでの事業基盤を強化していることを明らかにした。最終的な目標として、全国47都道府県に支社を展開し地域にDX産業をもたらす意向を示した。

英語力と起業という選択肢:高校生への具体的示唆

英語力に関する問いに対して松濤氏は、将来的に機械翻訳技術が発達しても英語での生のコミュニケーション能力やヒアリング力はビジネスの現場での信頼構築において依然強みを持つと述べた。

さらに、起業を一つの選択肢として捉え、学生のうちから「自分が欲しいもの」や「熱中できるもの」を作る経験を持つことが重要だと語った。単に流行に乗るのではなく、熱意と実践を伴う取り組みが求められるとの指摘である。

生徒からの最終質問と企業の目標

セッションの終盤、生徒から「今後の目標は何か」と問われた松濤氏は、地方の産業と人口流出といった社会課題に取り組む意志を述べた。産業の都市集中を是正し、地方でもDX産業を育てる仕組みを作るために、全国展開と人材育成を進めていくという方針を示している。

この文脈で、同社は教育機関や地域社会との連携を通じ、次世代の技術者やリーダーの育成に注力していると説明した。

関連記事と企業概要の整理、記事の要点まとめ

イベント関連記事としてプレスリリース内で紹介されたものは次の通りである。

  • 電気通信大学のアイディア実証コンテスト「U☆PoC」への協賛
  • 中学生向け生成AIに関するワークショップの発表会(九段中等教育学校)
  • 筑波大学バスケットボール部向けキャリア支援パネルディスカッション

続いて、本記事で取り上げた主要項目を表で整理する。

項目 内容
イベント名 キャリアデザイン・ダイアログ(立教新座高等学校向け)
開催日 2025年10月2日(木)
プレスリリース公表日 2025年10月22日 11時00分
登壇者 松濤 徹(アルサーガパートナーズ取締役副社長)
主な議題 目標設定と計画立案の重要性、生成AI時代の学習法、情報源の選別、英語力の価値、起業という選択肢、日本のデジタル赤字の是正
企業の差別化 コンサル〜開発〜運用を自社一貫で提供し、中抜きのない高コスパなDXソリューションを提供
直近の地域展開 鹿児島市に九州4か所目の拠点を開設し、九州での事業基盤を拡充
企業概要(主要) 本社:東京都渋谷区桜丘町1番1号 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー18階
代表者:代表取締役会長兼CTO 小俣泰明、代表取締役CEO 渡邉純平
設立:2016年1月
資本金:14億3,470万円(資本準備金等を含む)
従業員数:414名(2025年9月末時点)
事業内容:ワンストップDXソリューション事業
Web: https://www.arsaga.jp

記事の締めとして、今回のセッションは高校生の疑問に丁寧に応えつつ、ITやDXを巡る現場の実態、計画力や実行力の重要性、情報リテラシーのあり方を具体的に提示した点が特徴である。企業側は自社の強みを説明しながら、地域展開や人材育成といった長期的な視座も示した。これらは高校生にとってキャリア形成を考えるうえで実務的かつ示唆に富んだ内容となっている。

参考リンク: