3/19開幕のGREEN×EXPOで着る循環PoCが始動

サーキュラー・ユニフォーム実証

開催期間:3月19日〜9月26日

サーキュラー・ユニフォーム実証
ユニフォームって本当に堆肥化できるの?
Plant-First(コットン・セルロース・PLA等)を使い、P-FACTSの回収→堆肥化プロセスで自然に還す仕組みを実証します。P-FACTS認証や会期中のKPI公開で分解・再資源化の実効性を検証します。
どれくらいの規模でいつ実施されるの?
約1万人超のボランティア・運営スタッフを対象に実装し、GREEN×EXPO 2027の会期中(2027/03/19〜2027/09/26)に着用→回収→再資源化を実証。素材検討は2025〜2026年に進行します。

植物由来素材のユニフォームで「着る循環」を見せる試み

株式会社ピエクレックス(本社:滋賀県野洲市、代表取締役社長:玉倉大次)が代表構成員を務めるTeam P-FACTS(構成員:株式会社V&A Japan)は、GREEN×EXPO協会(公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、会長:筒井義信)の共創パートナーとして、サーキュラー・ユニフォームの社会実証プロジェクト(PoC)を始動します。本PoCは、ボランティアや運営スタッフ合わせて1万人超のユニフォームを対象に、着用から回収、堆肥化、再資源化に至る一連の循環を「見える体験」として来場者に提示することを目指します。

本稿では、PoCの目的、ユニフォームの設計思想、Team P-FACTSの役割分担、循環インフラ「P-FACTS(ピーファクツ)」の仕組み、スケジュールおよびGREEN×EXPO 2027の開催概要まで、プレスリリースの全情報を網羅的に整理して伝えます。関係各社のコメントや技術的特徴も具体的に紹介します。

GREEN×EXPO 2027 植物由来素材のユニフォームで「着る循環」社会実証プロジェクトを始動 画像 2

実証の核となる考え方と到達目標

このPoCは単なる衣服提供ではなく、ユニフォーム自体を循環インフラとして機能させる実験です。導入されるユニフォームはPlant-First(植物由来)素材で統一され、当社が推進する循環インフラ「P-FACTS」に基づき、会期を通じて運用・評価が行われます。

設定された到達目標には、次の4点が明記されています。規模面での実装、回収・再資源化に関するKPIの公開、暑熱下での機能性評価、そして標準化に向けた横展開のためのモデル構築です。これにより、単発の実験にとどまらない運用ノウハウの蓄積を目指します。

  • 規模:1万人超が着用するユニフォームの循環モデルを実装・評価
  • 循環:回収率・再資源化率などのKPIを公開、会期中も継続更新
  • 快適性:暑熱下での着心地、乾燥時間、通気性を含む機能性を測定
  • 標準化:実証結果を基に他イベントへの横展開を見据えたモデル構築
GREEN×EXPO 2027 植物由来素材のユニフォームで「着る循環」社会実証プロジェクトを始動 画像 3

ユニフォームの設計意図と機能性

ユニフォームの設計は、見た目の“祝祭感”と現場で求められる“機能美”を両立させることを狙いとしています。国際博の公式ユニフォームとして華やかさを保ちつつ、長時間の稼働や暑熱環境に対処するための素材・構造設計が施されます。

設計思想は大きく分けて六つに整理されています。Plant-First、Circular by Design、祝祭感と品位、ジェンダーフリー設計、暑熱・長時間稼働対応、そしてUniform as Media(循環を来場者に伝える“見える化”)です。これらの要素を組み合わせることで、普段着とは異なる「着用がそのまま循環に参加する」体験を創出することを目指します。

Plant-First
コットン、セルロース、PLAなど植物由来素材を基本とした素材構成。
Circular by Design
P-FACTSに準拠した回収・再資源化(堆肥化等)プロセスを製品設計段階から組み込む。
祝祭感と品位
国際園芸博の“顔”として、華やかさと機能美を両立したデザイン。
ジェンダーフリー設計
すべての人が美しく、快適に着用できるシルエットとサイズ展開。
暑熱・長時間稼働対応
通気性、接触冷感、速乾、IR反射など現場ニーズに即した高機能性素材の採用。
Uniform as Media
タグや掲示により、循環の流れを“見える化”して来場者に伝達。
GREEN×EXPO 2027 植物由来素材のユニフォームで「着る循環」社会実証プロジェクトを始動 画像 4

測定と情報公開の仕組み

ユニフォームのパフォーマンスは、暑熱下での着心地や乾燥時間、通気性といった機能面を含めて定量的に測定されます。回収率や再資源化率といったKPIは公開され、会期中に継続して更新される予定です。

これにより、実データに基づく改善サイクルを確立し、他の大規模イベントへの適用や産業標準化に資する情報を提供することが想定されています。

GREEN×EXPO 2027 植物由来素材のユニフォームで「着る循環」社会実証プロジェクトを始動 画像 5

Team P-FACTS の構成と各社の役割

Team P-FACTSは株式会社ピエクレックスを代表構成員とし、株式会社V&A Japanが構成員として参加する共同企業体です。GREEN×EXPO2027のボランティア及びアテンダントスタッフのユニフォームを協賛提供し、制作から回収、堆肥化、再資源化までを協働で実施します。

各構成企業とGREEN×EXPO協会の役割は明確に分担されています。ピエクレックスは循環設計・運用支援と新素材の適用検討を担当し、V&A Japanは素材提供と製品供給を担います。GREEN×EXPO協会は会期運用や品質基準、サステナブル方針に沿った社会実装プロジェクトを統括します。

  • 株式会社ピエクレックス:「P-FACTS」による循環設計・運用支援、新素材「ピエクレックス」等の植物由来繊維の適用検討。
  • 株式会社V&A Japan:テキスタイル事業CRAFTEVO等を基盤に素材提供及び製品供給、快適性と環境配慮の両立。
  • GREEN×EXPO協会:会期運用、品質基準、サステナブル方針(CN/NP/CE)に沿った統括。

Team P-FACTSは制作過程で排出される端切れ素材や会期中に着用されたユニフォームの回収→堆肥化→資源循環までを協賛にて実施することが明記されています。これにより、製造から使用後の処理まで一貫したサーキュラー・テキスタイル・インフラの社会実装が図られます。

P-FACTS(ピーファクツ)の技術と運用、スケジュール

「P-FACTS」(PIECLEX FAbrics Composting Technology Solution)は、植物由来繊維製品を使用後に回収し堆肥化を通じて自然に還す循環インフラです。対応製品には「P-FACTS認証マーク」が付与され、堆肥化によって新たな植物を育む循環の象徴として機能します。

P-FACTSは既に複数の自治体・企業・教育機関と連携して社会実装が進んでいるとされ、今回のGREEN×EXPO 2027でのユニフォームPoCは、さらに大規模な実運用データを取得する重要な機会となります。

想定スケジュール(プレスリリース記載)

プレスリリースに示されたスケジュールは以下のとおりです。段階的に素材選定から大規模運用まで進められる計画となっています。

  1. 2025年:素材選定/型紙・サイズ設計、パイロット生産・小規模回収テスト
  2. 2026年3月:主要ユニフォーム発表(開催1年前イベント)、全量生産準備
  3. 2026年3月~2027年3月:制作過程で排出された素材の堆肥化
  4. 2027年3月〜9月:会期中社会実証プロジェクト運用(着用・回収・再資源化・KPI公開)

この期間に得られるデータは、回収導線の有効性、KPI(回収率・再資源化率等)、着用者からのフィードバック、堆肥化プロセスの実効性など多岐にわたります。国際博という長期会期(6か月)を活用し、実データを蓄積する点が特徴です。

関係者からのコメント

公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会 代表理事 河村正人氏は、Team P-FACTSの参画を歓迎するとコメントしています。河村氏は「P-FACTSは、衣服を“使い捨て”から“自然に還る循環インフラ”へ転換する挑戦の中核です。ユニフォームPoCで〈着る→集める→資源へ〉を“見える体験”として来場者と共有します」と述べ、公的プロジェクトとしての位置づけを明確にしました。

株式会社ピエクレックス 代表取締役社長 玉倉大次は、Team P-FACTSとして国際園芸博覧会に協賛できることを光栄に思うとし、「P-FACTSは、衣服を“使い捨てるもの”から“自然に還る循環インフラ”へと進化させる挑戦です。今回のユニフォームPoCを通じて、サステナビリティを“見える体験”として来場者の皆さまと共有し、誰もが自然に循環に参加できる未来をここ横浜から広げていきたいと考えています」と述べています。

GREEN×EXPO 2027の開催概要と関連企業情報

GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)は、神奈川県横浜市で開催されるA1クラス(AIPH承認+BIE認定)の国際園芸博です。会期は2027年3月19日から2027年9月26日までの6か月間、博覧会区域は約100ha(会場区域80ha)です。

主な数値は次のとおりです。参加者数は1500万人、うち有料来場者は1,000万人以上を想定しています。イベントのテーマは「幸せを創る明日の風景 ~Scenery of the Future for Happiness~」で、公式マスコットキャラクターは「トゥンクトゥンク」です。

項目 内容
名称 2027年国際園芸博覧会(International Horticultural Expo 2027, Yokohama, Japan)
略称 GREEN×EXPO 2027
開催期間 2027年3月19日〜2027年9月26日
場所 神奈川県横浜市
博覧会区域 約100ha(会場区域80ha)
クラス A1(AIPH承認+BIE認定)
参加者数(想定) 1500万人(有料来場者1,000万人以上)
テーマ 幸せを創る明日の風景 ~Scenery of the Future for Happiness~
公式サイト https://expo2027yokohama.or.jp/

本プロジェクトに関わる企業の紹介もプレスリリースに含まれています。株式会社V&A Japanは欧州・北米向けに環境配慮型素材を提供し、堆肥中分解ポリエステルやCRAFTEVO ReTEなどの素材で実績があります。日本国内では2025年大阪・関西万博のスタッフ用ユニフォームにも採用された実績があることが明記されています。

株式会社ピエクレックスは、村田製作所の100%子会社として「ピエクレックス」という新素材を開発。村田製作所と帝人フロンティアの共同出資を背景に、電気の繊維「ピエクレックス」を通じた革新を掲げ、P-FACTS認証製品の社会実装に取り組んでいます。関連情報は公式サイトやYouTube、X、Instagramアカウントでも公開されています。

関連リンクと文書

プレスリリースには関連資料やPDFが添付されています。詳細情報は次のリンクから参照可能です。

  • ピエクレックス ニュース: https://pieclex.com/news/20250527.html
  • ピエクレックス 公式: https://pieclex.com/
  • 公式YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/channel/UCAoOivJOkh2MEDywpvSLXGA
  • 公式Xアカウント: https://x.com/PIECLEX_JP
  • 公式Instagramアカウント: https://www.instagram.com/pieclex_official/

付随するPDF資料(d122972-62-0986a32383f3c60caac6437fefa6756b.pdf)も公表されており、素材仕様や回収導線のイメージ等が含まれている可能性があります。

要点の整理

ここまでに示した情報を表形式で整理します。記事の締めくくりとして、プロジェクト名、目的、範囲、主要スケジュール、関係団体および技術的特徴を一覧化します。

項目 内容
プロジェクト名称 GREEN×EXPO 2027 サーキュラー・ユニフォーム社会実証プロジェクト(Team P-FACTS)
代表構成員 / 構成 株式会社ピエクレックス(代表構成員)、株式会社V&A Japan(構成員)
目的 植物由来素材で統一したユニフォームの「着用→回収→堆肥化→資源循環」までの一連の社会実証(PoC)を実施し、KPIの公開とモデル化を行う
対象規模 1万人超のボランティア・運営スタッフのユニフォーム
主要機能・設計思想 Plant-First、Circular by Design、祝祭感と品位、ジェンダーフリー、暑熱対応、Uniform as Media
P-FACTSの役割 回収と堆肥化を通じた再資源化の循環インフラの設計・運用支援、P-FACTS認証マークの付与
スケジュール(要旨) 2025年:素材選定・パイロット、2026年3月:主要ユニフォーム発表、2026年3月〜2027年3月:制作過程の堆肥化、2027年3月〜9月:会期中PoC運用
GREEN×EXPO 2027 概要 会期:2027/3/19〜2027/9/26、場所:横浜市、参加者数想定:1500万人、テーマ:幸せを創る明日の風景
関連リンク https://pieclex.com/news/20250527.html、https://pieclex.com/、https://expo2027yokohama.or.jp/

以上がプレスリリースに基づく本プロジェクトの全体像の整理です。ユニフォームを起点にした「着る循環」は、制作・使用・回収・再資源化を一体化する取り組みであり、国際博の長期会期を活用して実データを蓄積し、他の大規模イベントや産業へと横展開できるモデルの構築を目指しています。

参考リンク: