星野リゾートが発表：全国7施設の新規開業計画

星野リゾートが示したブランド戦略とオンライン発表会の概要

2025年10月22日、星野リゾートはオンラインプレス発表会「星野リゾート LIVE 2025 秋」を開催しました。開催は第1部が10:00～12:00、第2部が14:00～15:30で、両部とも発表内容は同一です。会の主題は「旅を楽しくする」で、星のや、界、リゾナーレ、OMO、BEB、LUCYの6つのサブブランドを中心に、2026年にかけて開業する全国の新施設や各ブランドの最新の取り組みを発表しました。

星野リゾートは、独創的なテーマによる非日常体験を提供する「星のや」、記憶に残るリゾートホテル「リゾナーレ」、心揺さぶる山ホテル「LUCY」など、多様な旅のニーズに応える6つのブランドを展開しています。本発表会では各施設ごとの設計コンセプト、地域性を活かした体験、環境配慮の取り組み、宿泊予約や開業スケジュールなどの詳細が公表されました。

開催日時

2025年10月22日（水）第1部 10:00～12:00／第2部 14:00～15:30（同内容）

発表の中心

2026年にかけて開業する全国7施設の新規情報および各種新サービス・食の取り組み・スノーシーズン施策

ブランド別に見る全国7施設の新規開業と特徴

発表された新施設はリゾナーレ下関、OMO5横浜馬車道、OMO7横浜、奈良監獄ミュージアム、界 草津、界 宮島、界 蔵王の7件です。それぞれ地域性を前面に出したコンセプトと開業時期、予約開始日などの具体的なスケジュールが提示されました。

ここでは各施設の開業日、コンセプト、特長を順に整理して紹介します。建築・環境配慮やご当地要素、客室やアクティビティの特徴まで詳細に伝えます。

リゾナーレ下関（2025年12月11日開業予定）

リゾナーレとして九州・山口エリアへ初進出する「リゾナーレ下関」は、コンセプトを「海峡のデザイナーズホテル」とし、関門海峡の景色や当地の食文化である「ふぐ」をスタイリッシュに取り入れた建築と滞在を設計しています。海峡を望むロケーションを活かしたアクティビティを用意し、海峡の景観を中心にした滞在デザインが特徴です。

環境面では、ホテルとして日本で初めてZEB Ready認証とCASBEE建築評価認証の最高Sランクを同時に達成しました。先進的な環境技術を導入し、CO2削減と快適性の両立を図っています。

OMO5横浜馬車道（2026年1月15日開業予定）

「OMO5横浜馬車道」は地上154mから横浜ベイエリアを360°見渡せる絶景ホテルで、コンセプトは「360°天空のボヤージュ」です。馬車道駅直結のロケーションを活かし、全客室が景色を独占できる回廊式の構成を採用しています。時間とともに移り変わる景色を楽しむ設計になっており、予約は既に2025年9月17日から開始されています。

この施設は2026年春に開業予定のOMO7横浜と合わせて、横浜にOMOが2軒並ぶ形となり、横浜の滞在選択を拡充します。

OMO7横浜（2026年4月21日開業予定）

「OMO7横浜」はJR関内駅前の旧横浜市庁舎跡地を活用した開発プロジェクト「BASEGATE横浜関内」内に整備されるホテルです。コンセプトは「気分上々、ハマイズム」で、村野藤吾氏が手掛けた旧横浜市庁舎行政棟をレガシーホテルとして活用します。歴史と文化を現代の解釈で掛け合わせることで新旧の融合を図ります。

予約開始日は2025年10月22日です。屋上では浜風を感じながらフェス気分で過ごす夜のイベントの開催など、滞在中の体験プログラムも予定されています。

奈良監獄ミュージアム（2026年4月27日開館予定）

重要文化財である旧奈良監獄の保存活用事業として生まれる「奈良監獄ミュージアム」は、2026年4月27日に開館予定です。旧奈良監獄は明治期に計画された五大監獄のうち唯一現存する建築であり、本ミュージアムはその保存と価値継承を目的とします。

コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」で、訪れる人が歴史や建築美を通じて自己と対話し、生き方を見つめ直す契機となることを目指します。敷地内にはミュージアムに付帯するホテル事業も展開予定です。

界 草津（2026年6月7日開業予定）

群馬県・草津温泉に開業する「界 草津」は、専用トンネルで温泉街の賑わいと静謐な温泉宿をつなぐ設計が特徴です。トンネルにより滞在中の動線と選択肢が広がり、連泊することで草津の多様な魅力を余すことなく発見できる構成となっています。

大浴場では名湯・万代鉱源泉など2種の酸性泉が楽しめ、食事は上州の食文化を味わう会席料理と、併設の「蕎麦割烹 SAI」から選択可能です。予約開始日は2025年10月23日です。

界 宮島（2026年夏開業予定）

広島県・宮島エリアに進出する「界 宮島」は星野リゾートの広島県初進出となります。全室が瀬戸内海ビューとなるご当地部屋を「海霧（うみぎり）の間」と命名し、瀬戸内の幻想的な海霧をモチーフにしたデザインを施します。

客室には庵治ガラス、福山デニム、大竹和紙など地域の伝統工芸を散りばめ、さらに瀬戸内に伝わる「石風呂」を現代に再現するなど、地域文化と歴史を深く感じられる特別な滞在を提供します。予約開始は2026年春の予定です。

界 蔵王（2026年秋開業予定）

「界 蔵王」は山形県・蔵王温泉に開業予定で、星野リゾートとして山形県への初進出となります。蔵王連峰に囲まれたロケーションを生かし、蔵王のシンボルである「御釜（おかま）」に着想を得た360度パノラマのルーフトップテラスを設けます。山々の絶景と湯浴みを同時に楽しめる設計が特徴です。

開業は2026年秋を予定しており、予約開始日は未定で今後発表される予定です。

新サービス・食の取り組み・スノー施策の具体内容

発表会では新たな宿泊サービスや食の提案、スノーシーズン向けの施策など、多岐にわたる取り組みも紹介されました。ここでは主要な項目を整理して解説します。

幾つかの取り組みは既に予約開始や販売を開始しており、新しい滞在のあり方や体験設計を打ち出しています。

LUCY（山ホテル）と宿泊予約の状況

星野リゾート初の山ホテルブランド「LUCY」の一例として「LUCY尾瀬鳩待」は、2025年の開業初年度の宿泊予約が販売開始から2週間で完売しました。これを踏まえ、2026年度宿泊は2025年10月23日より販売を開始しています。

2026年度の営業期間は4月下旬から10月24日までで、コンセプトは「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」です。山時間を快適にする新サービスやコンテンツの提供も予定されています。

新ダイニング：ブレストンコート ユカワタンと鮨 大手門

軽井沢のグランメゾン「ブレストンコート ユカワタン」では、新たなコース料理のあり方として「ミニマル・ガストロノミースタイル」を提案します。基本7品構成のコースに対し、ゲストがその日の気分や体調に合わせて料理を追加できる柔軟性を持たせる手法です。画一的な分量提供からの脱却を狙い、ゲストが自分だけの美食体験を組み立てられることが特徴です。

一方、星のや東京にはカウンター全8席の「鮨 大手門」が新設されました。コンセプトは「日本旅館の江戸前鮨」で、館内で館内着や裸足で寛ぎながら、江戸前の技法と地方の鮨文化を融合させた握りと酒肴を提供します。日本料理の技術を活かした独自性の高い美食体験を展開する狙いです。

スノー施策：「雪ッズ」とアスリート支援

2025〜26シーズンにおいて、リゾナーレ八ヶ岳、トマム、ネコマ マウンテンの3施設で、スポーツ科学に基づく新スキーレッスン「雪ッズ」が導入されます。教授との共同開発により、子どもがより楽しく確実にスキーが上達できるメソッドを目指します。

また、ネコマ マウンテンはスノーボード日本代表の荻原大翔選手とのスポンサー契約を2025年10月9日に締結しました。荻原選手との5年間の長期契約を通じて、世界レベルのスノーパークの魅力発信や選手とファンをつなぐイベント開催を予定しています。

2026年の旅トレンド予測と記事の整理

発表会では2026年に想定される旅のトレンドも示されました。代表的なトレンドは混雑対策としての「オフピーク・トラベル」、ひとり旅の拡大、深夜・早朝便に対応する送迎と直行サービスなどです。以下に主要なトレンドと関連する施策を整理します。

各トレンドは具体的な施設やサービスと結び付けられており、実施例も合わせて提示されています。

• オフピーク・トラベル：混雑を避け、エリア本来の魅力を体験できる時期を選ぶ旅の提案。例として軽井沢星野エリアのケラ池スケートリンクやOMOの夜イベントが挙げられています。
• ひとり旅のさらなる拡大：従来の「おひとりホテル」を超えた「ひとり温泉旅」需要に対応する施策を界ブランドで展開します。
• 利便性重視の深夜・早朝対応：「着陸＆チェックイン」のように深夜・早朝便でも安心して空港送迎＆客室直行できるサービスの導入。

また、リゾナーレ グアムやBEB5沖縄瀬良垣など国内外の各施設で、夜間イベントやウィンタープールパーティーなど季節性の高いプログラムが具体例として示されています。

以上が発表会で示された主要な開業計画と取り組みの内容です。星野リゾートは各地域の文化や自然を活かした施設設計と、環境配慮・新しい滞在設計・食の革新・子ども向けや一人旅向けのサービス拡充により、多様化する旅のニーズへの対応を進めています。