11月4日開始 ファミマが手話通訳を48店導入
ベストカレンダー編集部
2025年10月28日 11:53
ファミマ手話通訳導入
開催期間:11月4日〜11月30日
デフリンピック開催に合わせ、会場周辺のファミリーマート48店舗で導入
株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介)は、2025年11月に東京で開催される「デフリンピック」に合わせ、2025年11月4日(火)から11月30日(日)までの期間、会場周辺のファミリーマート48店舗にて、株式会社ミライロ(本社:大阪市淀川区、代表取締役社長:垣内俊哉)が提供する「ミライロ・コネクトオンライン手話通訳サービス」を導入すると発表した。導入はコンビニエンスストア業界として初の試みとなる。
本導入により、聴覚に障がいのある方や手話を第一言語とする利用者が、来店時に手話によるリアルタイムの通訳を受けられるようになり、ファミリーマートは「あなたと、コンビに、ファミリーマート」の理念のもと、地域に寄り添う利便性の強化を図る。導入期間は確定しており、サービス提供時間は全日9:00~18:00である。
導入の背景と狙い
ファミリーマートはこれまで、聴覚や言語に障がいのある方の買い物をサポートするため、2022年より全国のレジカウンターに指差しシートとコミュニケーションボードを設置する取り組みを推進してきた。今回のオンライン手話通訳サービス導入は、その延長線上に位置づけられ、店舗で発生する多様なコミュニケーション機会に対する対応力を高めることを目的としている。
特にデフリンピックの開催は、社会全体で多様性への理解を深める機会であり、同大会期間中に会場周辺の店舗で手話通訳サービスを提供することは、イベント参加者や来訪者の利便性確保と、手話言語に対する周囲の理解促進に寄与するものと位置づけられている。
インストール不要で使える「ミライロ・コネクト」──仕組みと操作手順
導入される「ミライロ・コネクトオンライン手話通訳サービス」は、特別なアプリのインストールを必要としない点が特徴である。店舗に設置された二次元コード(QRコード)を、お客さま自身のスマートフォン等で読み取るだけで、ブラウザ経由で手話通訳者につながる仕組みだ。
この方法により、端末の種類やOSに依存せず、利用者は簡便に手話通訳を呼び出すことが可能になる。通訳はリアルタイムで行われ、手話を使う利用者と、音声で対応するストアスタッフの間で円滑なコミュニケーションが成立することを意図している。
サービス利用の具体的な流れ
導入時の店内表示や案内に従えば、手話通訳サービスの利用は次の手順で行われる。
- 店内に設置されたPOPの二次元コードをスマートフォン等で読み取る。
- 表示された画面でお名前もしくは店舗名を入力し、呼び出しボタンをタップする。
- 手話通訳者に繋がり、通訳が開始される。
以上により、ストアスタッフは通訳者の介在を通じて、手話利用者と詳細なやり取りが行える。多くの場合、商品の説明や支払い、ATMやチケット発券など操作の補助の際にこの手順が用いられることが想定される。
スタッフ研修とユニバーサルマナーの周知で対応品質を担保
導入に先立ち、対象となる48店舗のストアスタッフには事前の勉強会や研修が実施された。研修内容は挨拶を中心とした手話講習会や、動画マニュアルの配信を含み、手話検定の資格を持つ社員が監修している点が特徴である。
この研修プログラムを通じて、全ストアスタッフが自己学習によりサポートスキルを向上させることを目標としており、店舗全体でのサービス品質の均一化と向上を図ることが狙いである。
ユニバーサルマナーBOOKの全店配信
ファミリーマートは、今回のオンライン手話通訳サービスの導入に先立ち、株式会社ミライロが開発した「ユニバーサルマナーBOOK」を全店に配信した。マニュアルは高齢者、障がいのある方、外国人、妊婦など、さまざまな利用者の特性やニーズを理解し、個別に配慮した対応ができることを目的としている。
ユニバーサルマナーの基本を学ぶことで、接客全般における理解と配慮が深まり、店舗が提供するサービスの質的向上に結び付ける意図がある。配信された教材や動画マニュアルはスタッフによる反復学習が可能で、現場での実践につながる構成になっている。
関係者のコメントと法改正の文脈、実施概要の整理
株式会社ミライロ 代表取締役社長の垣内俊哉氏は、2024年の改正障害者差別解消法の施行により、民間企業にも障がい者への合理的配慮の提供が法的義務化された点を踏まえ、環境の整備が重点項目になっていると説明している。垣内氏は、ファミリーマートによるコンビニエンスストア業界初のオンライン手話通訳サービス導入が、多くの聴覚障がい者の安心につながると述べている。
垣内氏はさらに、コンビニエンスストアが単なる小売店ではなく「インフラ」としての役割を持つことを指摘し、商品の購入以外にもチケット発券やATMの利用などでスタッフとのコミュニケーションが発生する場面が多いことを説明。その際、筆談や指差しシート、コミュニケーションボードに加えて、手話という第一言語でのやり取りが可能になる重要性を語った。
全日本ろうあ連盟の見解
一般財団法人全日本ろうあ連盟 本部事務所長の山根昭治氏は、「デフリンピック」を契機に身近なコンビニで遠隔手話サービスが提供されることを歓迎する旨を表明している。手話言語を第一言語とする人々が円滑なコミュニケーションを図れること、並びに指差しシートやコミュニケーションボードと併せての取り組みが、手話および聴覚障がいへの理解促進につながることを期待している。
山根氏のコメントは、イベントを契機とした社会的理解の深化と、日常生活におけるサービス実装の重要性を示すものである。
実施概要(再掲と詳細)
以下が本サービスの実施概要である。期間、対象、時間帯などは確定されている。
- 期間
- 2025年11月4日(火)~2025年11月30日(日)
- 対象店舗
- デフリンピック会場周辺のファミリーマート48店舗
- 内容
- ミライロ提供のオンライン手話通訳サービス導入(QRコード読み取りでブラウザ経由で通訳が接続)
- サービス提供時間
- 全日 9:00~18:00
加えて参考情報として、ファミペイに“耳マーク”ボタンを追加したことや、既に設置されているコミュニケーション支援ツールに関する過去の取り組み、サステナビリティ関連のアクセシビリティ強化に関する施策などが公開されている(詳細はファミリーマートの公式サイトを参照)。
まとめ(導入の要点を表で整理)
以下の表は、本記事で取り上げた取り組みの主要な事項を整理したものだ。導入期間、対象、提供時間、関係者情報や関連施策などを一覧で確認できる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入企業 | 株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介) |
| 協力企業 | 株式会社ミライロ(本社:大阪市淀川区、代表取締役社長:垣内俊哉) |
| サービス名 | ミライロ・コネクト オンライン手話通訳サービス |
| 実施期間 | 2025年11月4日(火)~2025年11月30日(日) |
| 対象店舗 | デフリンピック会場周辺のファミリーマート48店舗 |
| サービス提供時間 | 全日 9:00~18:00 |
| 利用方法 | 店内のQRコードをスマートフォンで読み取り、画面で名前または店舗名を入力して通訳を呼び出す(アプリ不要) |
| スタッフ研修 | 挨拶を中心とした手話講習会、動画マニュアル配信。手話検定資格者が監修 |
| 関連配信資料 | 全店への「ユニバーサルマナーBOOK」配信、ファミペイの“耳マーク”など既往のアクセシビリティ施策 |
| 関連リンク | https://www.family.co.jp/(公式) |
本記事は、ファミリーマートとミライロによる2025年11月開催のデフリンピック期間中に実施されるオンライン手話通訳サービス導入の内容を整理して伝えた。導入の目的、利用の仕組み、スタッフ教育、関係者のコメント、実施概要を網羅しているため、サービス内容や運用スケジュールを一目で確認できる構成としている。
参考リンク: