AI×専門家で間接材調達を代行 InProcが2億円調達
ベストカレンダー編集部
2025年10月28日 14:02
InProcシード資金調達
開催日:10月28日
AIと専門家が担う「調達代行」の全体像と狙い
株式会社InProc(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:吉江拓哉)は、AIと専門家を組み合わせた“調達業務代行サービス”を掲げ、企業の調達購買機能の再定義を進めています。2025年10月28日付で発表されたシードラウンドの資金調達(総額2億円)を受け、同社は「AIネイティブな調達オペレーティングモデル」の確立に向け採用と事業推進を一層加速します。
調達購買は企業活動の根幹を支える領域であり、InProcはそのうち特にコスト構造やサービス品質への影響が大きい「調達(Procurement)」領域、さらに後回しになりがちな「間接材(原材料・部品以外)」に特化したサービスを提供します。これにより、企業は中長期的なコスト最適化や品質・コスト・納期のバランスに基づく意思決定を実現できます。
- 調達(Procurement)
-
「何を・どんな仕様で・どのくらいの量を・いつまでに・いくらで買うか」を決める戦略業務。企業の成長や競争力に直結する判断を含みます。
- 購買(Purchasing)
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上記で決定した条件にもとづき、発注・検収・支払などを行う定型業務。運用の効率化によりコスト削減が図られます。
InProcは大手コンサルティングファーム出身のコンサルタントや領域専門家の知見と、AIによるオペレーション自動化を掛け合わせることで、高度かつコスト効率の高いBPOスタイルのサービスを提供します。企業が抱えがちな属人的で見えにくい間接材の調達課題に体系的に向き合う点が特徴です。
提供サービスの構成と導入による効果
InProcのサービスは大きく2つの主軸で構成されます。1つは専門家が実務を代行する「InProc Pro」、もう1つは各社内に調達AIエージェントを内製化するための支援である「InProc AI」です。両者を組み合わせることで、短期的な業務代行と中長期的な業務改善・自動化を同時に実現します。
さらに「調達戦略・組織改革の支援」や「調達専門人材の供給」も行っており、導入企業はコンサルティング企業への依存を薄めつつ、自社に最適なプロセスを定着させることが可能です。これにより、企業は“攻めの業務”へのリソース集中と業務生産性の飛躍的向上を図れます。
サービス詳細:InProc Pro(調達代行サービス)
InProc Proは調達分野とそれぞれの業務領域に精通した専門家が、日々の調達業務やコスト削減を代行するサービスです。専門家が関与することで、AIで代替できるオペレーションは自動化し、残る判断領域に専門性を集中させることができます。
難易度の高い領域にも対応可能で、修繕工事、IT、物流、マーケティングなどさまざまな領域の間接材調達に対応します。これによりBPO並みの価格で高度な調達サービスを提供できる点を強みとしています。
- 対象領域:修繕工事、IT、物流、マーケティングなどの間接材調達
- 提供価値:コスト最適化、品質・納期のバランス、専門家による意思決定支援
- 運用:AIによる定型処理の自動化と専門家による高度判断の組合せ
サービス詳細:InProc AI(調達AIエージェントの内製支援)
InProc AIは、各社固有の業務プロセスや「癖」を加味した調達AIエージェントを実装し、業務生産性を向上させるための支援サービスです。単なる汎用ツールではなく、企業ごとの最適プロセスを実現する設計が行われます。
この内製支援により、企業は外部コンサルやBPOに永久に依存する形を避け、自社で持続的にコスト最適化を行える体制を構築できます。AIによる自動化で定型業務の効率化を図る一方、重要な戦略的判断は内製化されたプロセスと専門家知見で支えます。
- 現状分析と最適化ポイントの抽出
- AIエージェント設計・導入
- 運用移行と継続的なプロセス改善
シードラウンド資金調達の詳細と投資家コメント
InProcはシードラウンドにおいて、株式会社alphaおよびAngel Bridge株式会社をリード投資家とし、株式会社ANOBAKA、杉田浩章氏(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授、ボストン・コンサルティング・グループ 元日本代表)を引受先として、総額2億円の資金調達を実施しました。資金は「AIネイティブな調達オペレーティングモデル」の確立に向け、エンジニア・営業・コンサルタント等の採用と事業推進に使われます。
同社は創業から数か月ながら、売り上げ数兆億円〜数百億円規模の複数の大手企業へのサービス提供を開始しており、調達領域における実績構築と事業拡大を同時に進めています。
投資家のコメント(原文を含む)
- 立岡 恵介 氏(株式会社alpha)
InProcが挑む「AI×専門家による間接材調達の再構築」は、企業経営の土台ともいえる領域へのチャレンジです。 共同代表の吉江さん・中島さんが、これまでコンサルティングの現場で数多くの企業の調達改革を支援してきた経験と洞察が、この構想の出発点になっています。 属人的で見えにくかった間接材調達を、AIと専門知によって体系化し、持続的なコスト最適化を実現するというビジョンは、これからの日本企業にとってとても重要です。 ALPHAはInProcが調達の在り方を着実に変えていくプロセスをこれから支援していきます。
- 河西 佑太郎 氏 / 山口 拓哉 氏(Angel Bridge株式会社)
間接材コストの最適化は経営インパクトが大きな領域であるにも関わらず、その煩雑さや専門性の高さから着手が劣後していた領域です。BCGなどでコスト最適化のご経験を豊富に積まれた吉江CEO、中島COOのコンビはまさに本課題を解決するのに適切な経営者であり、労働集約な業務と相性の良いAIの潮流も大きな追い風になることを確信しています。創業から数か月でありながら、経営陣の高いビジネス力と強いコミットを背景に利益率の高いビジネスモデルの構築、大企業を中心とした複数の顧客獲得が進んでいます。強力な経営陣とスピード感は投資の大きな決め手となりました。Angel BridgeはInProcの挑戦を全力で支援してまいります。
- 小田 紘生 氏(株式会社ANOBAKA)
企業の”買い物の最適化”は非常に課題の大きな領域。InProc社の「AI×専門家による”調達代行”で、企業の買い物を最適化する」という構想は、調達に悩む多くの企業にとって最適解になると確信しています。代表の吉江さんとは前職時代からのご縁。今回の起業でもご一緒できる機会に恵まれ、今後がとても楽しみです!!
- 杉田 浩章 氏
この度、エンジェル投資家としてInProcを支援させて頂くことになりました。「AIエージェント元年」ともいえるこの年に、先陣を切ってAIエージェントで大きなインパクトが生み出せる可能性が最も高い調達領域に切り込んでいくのは、まさに旬を捉えたチャレンジだと思います。最もQCDの高いプロダクト、サービスを購入したい企業と提供したい企業との最適なマッチングをAIエージェント同士で対話し実現していく世界がもうそこに来ています。それを実現できるのは、単にAIへの知見が高い企業ではなく、調達領域への深い知見を持ったエキスパートが作り上げるAIカンパニーだけです。BCGで培った調達エキスパートとしての能力を存分に発揮し、今まで経験したことのない素晴らしい調達マッチングの世界をInProcが実現してくれることを期待しています。
採用計画、代表コメント、問い合わせ先
調達領域の事業拡大に伴い、InProcはエンジニア、営業、コンサルタントを中心とした全方位での採用を進めます。募集に関心がある場合は採用サイト(https://inproc.jp/recruit/)を通じて詳細を確認できます。
代表取締役CEO 吉江拓哉のコメントは、同社が掲げるミッションと事業の位置付けを端的に示しています。以下に代表コメントを掲載します(原文)。
このたび、株式会社alpha、Angel Bridge株式会社、株式会社ANOBAKA、杉田浩章氏という素晴らしい投資家の皆さまにご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
私たちが暮らす社会は、テクノロジーの進化と人口構造の変化により、大きな転換点を迎えています。とりわけ日本企業は、生産性の停滞や人材不足といった構造的課題に直面し、従来型の改善努力だけでは持続的な競争力を確保することが難しくなっています。
そこで私たちは、「調達」を単なるコスト削減の手段ではなく、企業成長を支える中枢機能へと進化させるべきだと考えています。私はこれまでコンサルティングファームにて数多くの企業変革の現場に立ち会う中で、「調達改革は企業の未来を変えるレバーである」と確信してきました。
InProcはその実現のため、AIを前提に設計した「新しい型」の調達改革支援を提供しています。AIによるデータ駆動型のオペレーティングモデルと、各領域の専門家による戦力的支援を融合させ、企業の構造改革を支える新しいスタンダードをつくっていきます。
私たちが目指しているのは、“ちょっと便利なツール”の提供ではありません。私たちの挑戦は、「調達を変えることで、日本企業の競争力を変える」という社会的使命に根ざしています。現場が変わり、利益が残る——その瞬間にこそ、私たちの存在価値があります。InProcは、AIと専門家の力を掛け合わせ、調達領域における新しい常識を創るべく全力で走り続けてまいります。引き続き、よろしくお願いいたします。
問い合わせ先は以下の通りです。広報担当のE-mailや会社HPが公開されています。
- 会社名
- 株式会社InProc
- 広報担当 E-mail
- corp@inproc.org
- 会社HP / 採用サイト
- https://inproc.jp / https://inproc.jp/recruit/
要点の整理(本記事で触れた主要情報のまとめ)
以下の表は、本記事で紹介したInProcの事業内容、資金調達の概要、提供サービス、採用情報および連絡先を一覧にしたものです。情報を俯瞰的に確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社InProc |
| 本社 | 東京都渋谷区 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 吉江 拓哉 |
| 発表日 | 2025年10月28日 08時00分 |
| 資金調達 | シードラウンド:総額2億円(リード投資家:株式会社alpha、Angel Bridge株式会社、引受先:株式会社ANOBAKA、杉田浩章氏) |
| 事業ミッション | 企業競争力の源泉である「調達」を再定義する |
| 提供サービス | InProc Pro(調達代行)、InProc AI(調達AIエージェント内製支援)、調達戦略・組織改革支援、調達専門人材の供給 |
| 対象領域 | 間接材調達(修繕工事、IT、物流、マーケティング等) |
| 導入実績 | 創業数か月で売り上げ数兆億円〜数百億円規模の複数の大手企業へのサービス提供を開始 |
| 採用情報 | エンジニア、営業、コンサルタント等(採用サイト: https://inproc.jp/recruit/) |
| 問い合わせ | 広報担当 E-mail:corp@inproc.org / 会社HP: https://inproc.jp |
上記の表は、InProcが今回の資金調達を契機にどのような領域に注力するかを整理したものです。AIと専門家を組み合わせることで、間接材を中心とする調達領域の構造的な課題に対し、戦略的かつ実務的なソリューションを提供していく方針が明確になっています。