11月3日開始:JPYCで始まるオンチェーン円金利市場

JPYC固定金利開始

開催日:11月3日

JPYC固定金利開始
JPYCで具体的に何ができるようになるの?
JPYCを使った固定金利レンディングやWBTC/ETH担保での借入、Yearn Vault連携による自動運用、オンチェーン円金利ベンチマークやx402決済が可能になり、世界から日本円金利へアクセスできる仕組みが整います。
いつから利用開始になるの?
初回の板寄せは2025年11月3日に開始、オープン価格決定の翌週に取引開始予定。初期満期は2025年12月26日と2026年3月27日で、その後四半期ごとに市場を追加していきます。

日本円ステーブルコインJPYCを核にしたオンチェーン金利カーブの構築

2025年10月28日、分散型金融(DeFi)プロトコルを開発するSecured Finance AGは、日本円ステーブルコインJPYCの取り扱い開始に合わせ、JPYCエコシステムを活用した複数の新プロダクトを発表しました。発表はスイス・ツークと東京を拠点に行われ、発表日時は2025年10月28日 17時23分と明記されています。

Secured Financeの発表は、日本円市場の金利構造をオンチェーン上に再現し、世界中の投資家が日本円金利にアクセスできる分散型インフラを構築することを目的としています。オンチェーン金利の可視化と流通を通じて、従来のオフチェーン金融との接続を図る取り組みです。

背景と位置づけ

Secured Finance AGはスイス・ツークに拠点を置くDeFiプロトコル開発会社で、Ethereum、Arbitrum、Filecoinなど複数のチェーンで固定金利レンディング市場やFilecoin担保ステーブルコイン「USDFC」を展開してきました。今回の発表は、JPYCを介した日本円のオンチェーン金利レイヤー構築へ向けた拡張にあたります。

同社はJPYCを用いることで、日本円という通貨の国内外での金利情報をブロックチェーン上で再現し、透明性の高い金利ベンチマークや信用市場の基盤を整備する狙いを示しています。代表のMasa “Senshi” Kikuchi氏は声明で、日本円を世界の金利ベンチマークとして位置づける意図を明確に述べています。

発表日
2025年10月28日 17:23
発表者
Secured Finance AG(スイス・ツーク)
対象資産
JPYC(日本円ステーブルコイン)

新プロダクト群の内容と導入スケジュール

Secured FinanceはJPYCの導入に合わせて、以下の主要プロダクトと取り組みを公表しました。各プロダクトはオンチェーンかつノンカストディアルを原則とし、透明性ある執行を重視しています。

以下に列挙するプロダクトと計画は、発表文に含まれる詳細を漏れなく記載しています。

  • JPYC固定金利レンディング:JPYC建ての固定金利レンディング市場を提供。貸し手は安定利回り、借り手は予測可能な金利での資金調達が可能となり、オンチェーン日本円金利カーブの基盤を形成します。
  • WBTC/ETH担保によるJPYC借入(将来的なRWA担保への拡張):初期段階ではWBTCとETHを担保にJPYCを借り入れられるようにし、将来的にはRWA(実世界資産)トークンや利回り資産トークンも担保対象に拡張する計画です。
  • JPYC Yearn Vault v3連携:Yearn Financeと連携し、JPYC建てVault(v3対応)を開発中。固定金利オーダーブックへの自動マーケットメイキングやデルタニュートラル戦略など、分散型アルゴリズムによる運用を想定しています。
  • オンチェーン円金利ベンチマークの構築:JPYCレンディング市場の成熟に合わせ、オンチェーンで日本円金利のベンチマーク指標を開発・公表する計画です。市場実勢に基づく金利の可視化を目指します。
  • JPYC x402 Facilitator:Coinbaseが提唱するx402プロトコル(EIP-3009対応)を通じて、コードベースでのJPYC自動決済を実現します。これによりウェブサービスやAIエージェントがJPYCで直接安全かつ即時に決済を行えるようになります。

スケジュールと初期条件

固定金利レンディング市場の立ち上げスケジュールとして、Secured Financeは具体的な日程を示しています。初回の板寄せは2025年11月3日に開始され、翌週にオープン価格決定後に取引が開始されます。

初期満期日としては2025年12月26日と2026年3月27日が設定されており、その後は需要と満期到来に応じて四半期ごとに新市場を追加する予定です。これらのスケジュールは市場形成と流動性供給のロードマップに沿った段階的な導入を示します。

項目 内容
初回板寄せ 2025年11月3日開始
取引開始 初回板寄せ翌週、オープン価格決定後
初期満期 2025年12月26日、2026年3月27日
市場追加 需要と満期到来に応じ四半期ごとに新市場を追加

技術的連携、担保拡張、決済インフラの意義

Secured Financeの発表は単なる資金調達手段の提供にとどまらず、複数の技術的連携と市場インフラ整備を同時に進める点が特徴です。特にYearn FinanceとのVault連携やx402による自動決済の仕組みは、DeFiと実世界の決済・自動化を橋渡しする要素になります。

また担保の拡張方針は、初期段階での暗号資産(WBTC、ETH)から実世界資産(RWA)トークンや利回り資産へと拡大する計画です。これにより、DeFi上の信用市場は理論的により広い資産クラスを取り込むことになり、オンチェーンで表現される信用供与の幅が拡張されます。

x402と自律エージェント決済の位置づけ

x402はCoinbaseが提唱するプロトコルで、EIP-3009に対応する形でHTTPの「402 Payment Required」を再定義します。Secured Financeはこのx402を通じてJPYCの自動かつコードベースの決済を実現する方針を示しています。

発表資料は、a16zの『State of Crypto 2025』を引用し、自律エージェント決済市場が2030年までに30兆ドル規模に達するとの見通しを示しています。x402を介した即時決済は、Web2およびWeb3のeコマースやマシンエコノミーに直接影響を与える可能性が示唆されています。

  1. 当面の担保:WBTC、ETH
  2. 将来的な担保拡張:RWAトークン、利回り資産トークン
  3. 決済プロトコル:x402(EIP-3009対応)
  4. アルゴリズム運用:自動マーケットメイキング、デルタニュートラル戦略(Yearn Vault v3連携)

オンチェーンベンチマークとしての意義

Secured Financeは、JPYCレンディング市場の成熟に伴い、オンチェーン上で日本円金利のベンチマーク指標を開発・公表していく計画を示しています。これは市場実勢に基づく金利を可視化する点で、過去のLIBORのような役割を想定しています。

同社は初期段階の流動性は限定的であると認めつつも、公開市場で形成される金利データには公共的価値があるとしています。オンチェーン化されたベンチマークは、JPYCを含む日本円ステーブルコインの信頼性や資本市場との接続性を高める可能性があります。

要点の整理とまとめ

本章では、発表内容を主要なポイントごとに分かりやすく整理します。発表に含まれる全ての情報を表にまとめた後、短く締めの文章を添えます。

項目 内容
発表企業 Secured Finance AG(スイス・ツーク拠点)
発表日 2025年10月28日 17:23
対象資産 JPYC(日本円ステーブルコイン)
主なプロダクト JPYC固定金利レンディング、WBTC/ETH担保でのJPYC借入、JPYC Yearn Vault v3連携、オンチェーン円金利ベンチマーク、JPYC x402 Facilitator
初期スケジュール 初回板寄せ:2025/11/03、初期満期:2025/12/26、2026/03/27
担保 初期:WBTC、ETH。将来的にRWAトークンや利回り資産トークンを検討
連携・技術 Yearn Finance(Vault v3)、x402(EIP-3009対応)、自動マーケットメイキング、デルタニュートラル戦略
ベンチマーク構築 オンチェーンで日本円金利の指標を開発・公表予定。初期は流動性が限定的だが公共価値があると説明
引用・市場予測 a16z『State of Crypto 2025』によると自律エージェント決済市場は2030年までに30兆ドル規模に達する可能性
代表コメント 「日本円は国内通貨にとどまらず、世界の金利ベンチマークです。JPYCのエコシステムを活用することで、日本円金利カーブをオンチェーン化し、実世界の金融市場とDeFiをつなぐ新しいインフラを構築していきます。」 — Secured Finance AG ファウンダー& CEO Masa “Senshi” Kikuchi
関連リンク https://www.coindeskjapan.com/211675/

以上がSecured FinanceによるJPYCを活用した新プロダクト群の発表内容の要約と整理です。発表には具体的なスケジュール、担保方針、技術連携の方向性、およびオンチェーンベンチマーク構築計画が含まれており、これらはDeFiと実世界金融の接続を目指す一連の取り組みとして位置づけられます。

掲載した情報は、発表資料の記載に基づくものであり、導入時の詳細や条件は市場環境や技術実装の進展により変わる可能性があります。関係各社の公式発表やリンク先の報道も併せて確認されることを推奨します。

参考リンク: