旧進藤鉄工所を再生、CADARが2026年春開業へ
ベストカレンダー編集部
2025年10月30日 13:43
CADAR開業プロジェクト
開催日:10月30日
旧進藤鉄工所を「おいしいファクトリー」へ〜男鹿に生まれる新たな交流拠点
2025年10月30日11時、まちづくりスタートアップの株式会社NEWLOCALと、秋田県男鹿のクラフトサケ醸造所・稲とアガベ株式会社による合弁会社、株式会社男鹿まち企画は、複合施設CADAR(カダール)のプロジェクト始動を発表しました。開業は2026年春を予定しており、旧進藤鉄工所(1921年創業)の建物をリノベーションして新たな場づくりを行います。
本プロジェクトは、秋田県内でも人口減少が顕著な男鹿市において、地域資源を活かした産業と交流のかたちをつくることを目的としています。施設名のCADARは秋田方言の「かだる(仲間になる・参加する)」に由来し、食と人が交わる場としての役割を明確に打ち出しています。プロジェクトの発表に伴い、施設統括マネージャーとオープニングシェフ(ピザ部門)の採用募集が開始されました。
4つのエリアで描く「循環」と「かだる」の場
CADARは、旧鉄工所の記憶を受け継ぎながら、地域資源の循環を体現する4つのエリアで構成されます。それぞれが機能的に結び付き、地域内外の人々が交流する場を生み出す設計です。
以下に各エリアの特徴を整理します。各エリアは相互に連携し、稲とアガベの醸造過程で生まれる素材を活用するなど、資源循環を前提とした運営を想定しています。
- 蒸留所:稲とアガベのクラフトサケ醸造で生じる酒粕を再利用し、スピリッツやジンなど香り豊かな蒸留酒を生み出す施設です。資源を余すところなく使い切ることで、地域の原材料に新たな付加価値を与えます。
- 物販エリア:秋田や全国各地から“おいしい”を軸に食品やクラフト品をセレクト。稲とアガベの酒粕を再利用した商品など、地域資源循環の発想に基づく商品も取り扱います。物販を通じて男鹿と全国の地域がゆるやかにつながることが狙いです。
- ピザ屋:丸いピザを「循環」の象徴として位置付け、地元食材を用いたピザ提供を通じて地域住民と観光客の共食を促進します。ピザづくりだけでなく、食材の開発やイベント企画にも関わる場です。
- 交流テーブル:蒸留所のスピリッツや稲とアガベのクラフトサケの試飲、物販で購入した商品を持ち寄って楽しめる共用のテーブルゾーンを設けます。食を介した会話と参加(かだる)を促す設えです。
空間デザインと建築の継承
設計は蒸留所部分を秋田出身の小野琢也建築事務所が、物販・ピザ部分をツバメアーキテクツが担当します。旧進藤鉄工所に残る緑の鉄骨梁を大胆に残しつつ、工場の力強さとクラフトの柔らかさが共存する空間をつくります。
この設計方針は「新たに建てるのではなく、受け継がれてきた建物を再生する」という男鹿まち企画の思想に沿ったものであり、〈余白をポジティブに変える〉まちづくりの実践です。
採用情報:立ち上げメンバーとして期待される役割
開業に向け、男性・女性問わず立ち上げを担う正社員の募集が行われています。募集ポジションは施設統括マネージャーとオープニングシェフ(ピザ部門)です。勤務地は秋田県男鹿市で、U・Iターン歓迎、地域移住支援制度があります。
募集は現在開始されており、応募手続きについてはプレスリリース内の文言どおり「応募はこちら」とされているため、関心のある方は関連窓口を通じて応募する形になります。
- 施設統括マネージャー
- 施設全体の運営を設計・実行する中心的役割です。接客を軸に、商品選定・仕入管理・売上管理・イベント企画・運営改善など、多岐にわたる業務を担います。単なる運営スタッフではなく、自らルールをつくり場を育てることを楽しめる人材を求めています。将来的に自分の店を持ちたい方や、経営的視点を学びたい方に向くポジションです。
- オープニングシェフ(ピザ部門)
- ピザを中心に、地域食材を活かしたレシピ開発、イベント企画、集客施策にも関与する役割です。ピザづくりの技術だけでなく、地域と食を結びつける企画力や対外的な発信力も期待されます。
待遇・支援など
勤務地は秋田県男鹿市で、Uターン・Iターン歓迎の表記があり、地域移住支援制度を用意しています。地域で起業を志す方にとっても学びの多い環境である旨が明記されています。募集に関しては、それぞれの募集枠に対して正社員としての採用を行うとのことです。
採用に関する具体的な応募先のURLや詳細な条件はプレスリリース本文に「応募はこちら」と記載されていますが、公開された情報の範囲内では応募窓口の直接URLは記載されていません。
運営体制・スケジュールと事業の位置づけ
運営は合弁会社の株式会社男鹿まち企画が行います。男鹿まち企画は2023年3月設立で、代表取締役は岡住修兵氏です。事業内容には施設の企画・開発・運営、男鹿市のブランディングやエリアマネジメントが含まれます。
まちづくりのパートナーである株式会社NEWLOCALは、不動産開発を中心にまちづくり事業を展開するスタートアップで、代表取締役は石田遼氏。NEWLOCALは2022年7月に設立され、野沢温泉・御代田・男鹿・丹後・小松・丸亀の6地域での取り組みを進めており、2027年までに10地域への展開を目指しているとされています。
- 2025年秋:改修工事開始(プレスリリース記載のスケジュール)
- 2026年春:CADAR開業予定(施設構成は蒸留所/物販エリア/ピザ屋/交流テーブル)
- 開業後:蒸留や発酵をテーマにした体験イベントや、全国のローカルブランドとのコラボレーションを順次展開予定
このプロジェクトは、旧産業の遺構を活用して新たな雇用・交流・創造の循環を生み出す試みであり、男鹿まち企画が掲げる「何歳になっても自分のやりたいことに挑戦できるまち」という理念の具体化の一つです。
企業概要(発表時点の情報)
以下に、発表に含まれる企業情報を整理します。いずれもプレスリリースで示された会社概要を基に記載しています。
- 株式会社NEWLOCAL
-
- 代表者:代表取締役 石田 遼
- 設立:2022年7月
- 所在地:東京都中央区日本橋小舟町14-7
- 事業概要:建築・不動産・エリア開発の企画・開発・運営およびコンサルティング、まちづくりや地域活性化のコンサルティング、地域商社の設立・運営など
- WEBサイト:https://www.newlocal.co.jp/
- 株式会社男鹿まち企画
-
- 代表者:代表取締役 岡住 修兵
- 設立:2023年3月
- 所在地:秋田県男鹿市船川港船川新浜町1-21
- 事業内容:施設の企画・開発・運営、男鹿市のブランディング・エリアマネジメント、その他不動産事業・コンサルティング事業
- WEBサイト:https://www.ogamachi.co.jp/
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名称 | CADAR(カダール) |
| 所在地 | 秋田県男鹿市船川港船川字化世沢175-11(旧進藤鉄工所跡地) |
| 開業予定 | 2026年春 |
| 改修工事開始 | 2025年秋 |
| 構成 | 蒸留所/物販エリア/ピザ屋/交流テーブル |
| 設計 | ツバメアーキテクツ(物販・ピザ部分) + 小野琢也建築事務所(蒸留所部分) |
| 運営 | 株式会社男鹿まち企画(合弁:NEWLOCAL + 稲とアガベ) |
| 採用情報 | 施設統括マネージャー(正社員)・オープニングシェフ(ピザ部門、正社員)募集(U・Iターン歓迎、地域移住支援制度あり) |
| 主要コンセプト | 旧鉄工所のリノベーションによる地域資源の循環(酒粕の再利用等)と、食を通じた交流・参加(かだる)の場づくり |
以上がプレスリリースに基づくCADARプロジェクトの要点です。本稿では発表日時や関係企業、設計者、施設構成、採用情報、スケジュールなど、プレスリリースに含まれるすべての情報を整理して紹介しました。地域資源の循環と食を軸にした交流の場づくりという観点から、旧進藤鉄工所の再生という具体的なプロジェクトがどのように進行するかが示されています。