施行1年で8割が未認知 フリーランス新法の誤解

フリーランス新法施行1年調査

開催日:11月1日

フリーランス新法施行1年調査
フリーランス新法ってどれくらいの人に知られてるの?
リモラボの調査では施行から約1年で「全く知らない」「ほとんど知らない」合計が82.4%に達し、認知は依然低く誤解も散見されています。
実際どんなトラブルが多いの?
38.4%が発注元とのトラブルを経験。主な内容は連絡滞り29.9%、報酬遅延・未払い28.1%、契約の曖昧さ28.1%で支払いや契約が課題です。

施行1年を迎えたフリーランス新法――認知度は高まらず、誤解が散見される現状

株式会社リモラボは、2025年10月30日付のリリースで、2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)施行から約1年を経た現在の認知・理解状況について、リモラボメンバー(同社のリモートワーク実践スクール受講会員)を対象に意識調査を実施した結果を公表しました。調査実施期間は2025年9月16日~2025年9月20日、インターネット調査で有効回答数は911名(女性のみ)です。

調査対象の約8~9割がフリーランスとして活動しているメンバーであるにもかかわらず、施行から約1年が経過したにも関わらず「全く知らない」および「ほとんど知らない」を合わせた回答が82.4%に達し、新法の認知が十分に浸透していないことが明らかになりました。リモラボはこの調査結果をもとに、フリーランスの実務上の課題と法的理解のギャップについて詳細に分析しています。

フリーランス新法施行から約1年、3人に1人が「最低賃金」について誤解|フリーランス新法に関する意識調査 画像 2

発注元とのトラブル実態――報酬遅延・連絡滞り・契約の曖昧さが目立つ

調査では、実際にフリーランスや副業として収入を得ている人を中心に発注元との関係で「困った」経験の有無を尋ねたところ、38.4%が「ある」と回答し、3人に1人以上が発注元との間で何らかのトラブルや困りごとを経験していることが示されました。

困った経験の具体的な内容については、「連絡が滞りがちで、業務に支障が出た」29.9%が最も多く、次いで「報酬の支払いが遅れた、または未払いだった」28.1%、および「契約内容が明示されず、曖昧なまま業務を進めざるを得なかった」28.1%が同率で続いています。これらは実務上のコミュニケーション不足と契約周りの不備が混在していることを示しています。

リモラボのリリース冒頭には、「安心感は高まった」は約半数も、「実務上の変化なし」は5割超と記載があるように、新法の施行によって安心感を得た人がいる一方で、実務上の変化を実感していない層も多く存在します。実務面での変化が限定的である現状が、発注者とのトラブル解消にはつながっていないことが示唆されます。

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トラブル内容の内訳

トラブル経験者の内訳は図示されているが、主要項目は上記の通りであり、支払い・契約の明確化・連絡体制の3つが中心課題となっています。これらはフリーランスが実務面で直面する代表的な問題であり、法的保護が十分理解されていないことがトラブルが継続する一因とも考えられます。

発注側と受託側で期待値やルールの齟齬がある場合、発注内容の書面明示や支払期日の明確化といった新法の要請事項が守られていないケースが目立ちます。調査はこうした現場の実態を可視化しています。

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誤解が多い新法の内容――最低賃金誤認や著作権の帰属に関する混同

本調査ではクイズ形式で新法の具体的な保護内容に関する理解度も確認しています。クイズ1では複数回答から正しい項目を選ぶ形式で、正解は①取引条件を書面等で明示すること、②報酬を60日以内のできる限り早い日に支払うこと、④育児や介護との両立に配慮すること、⑤フリーランスに対するハラスメント行為についての相談に対応すること、⑧募集情報を正確かつ的確に表示することでした。

しかし、調査回答では33.8%が「フリーランスに最低賃金を保証する」と誤認していると示されており、フリーランスは労働基準法上の「労働者」ではなく発注元と対等な「事業者」として業務委託契約を結ぶ点を十分に理解していない傾向が見られます。新法は取引の透明化や支払期日の明示などを求めるものであり、最低賃金の保証までは含まれていません。

また、報酬の支払期日に関する設問では45.8%が、育児・介護両立配慮に関する設問では41.6%が、これらの義務が取り決められていないと考えているなど、新法の具体的義務に関する誤認が散見されました。特に支払いに関する認識ギャップは、実務上のトラブルと直結しやすい点です。

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解除権と著作権に関する設問結果

クイズ2の「発注者からの解除権」に関する単一選択問題では、正解は④中途解約をする場合、30日前までに通知しなければならないであり、これを76.0%が正しく選択しました。収入の継続性に関わる直接的な権利については、比較的正しい理解が進んでいることが示唆されます。

一方、クイズ3の著作権帰属に関する問い(契約で特に定めがない場合)では、正解は②著作物を制作したフリーランスに帰属するですが、誤答者が約43.4%に上り、特に26.9%が発注者に帰属すると誤認

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安心感の高まりと学習ニーズ――約半数が安心感を実感、97.4%が知識習得を重視

新法施行による安心感については、「非常に高まった」6.6%と「ある程度高まった」42.0%を合わせ、48.6%が安心感の高まりを回答しました。法整備によって一定の安心感を得た人は一定数存在します。

一方で、法律や契約など自己防衛のための知識の重要性については、「非常に重要だと思う」88.0%、「ある程度は重要だと思う」9.4%を合わせて97.4%

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リモラボの活動内容と連絡先

リモラボはリモートワーク実践スクールとして、学習から案件受注・クライアントワークに至るまで再現度の高い実践環境を提供しています。サービス開始は2021年12月、これまでSNSや口コミから延べ7,600名以上が参加しており、受講者は企業や事業主からの仕事を獲得しています。

代表/講師は小森 優(通称「こもりん」)。保育士から独立後、SNS運用や監修を5,000件以上経験した実績を持ち、著書に「私たちは“通勤”を辞めました」や「作業が遅いで悩まなくなる 仕事術図解100」(2024,KADOKAWA)などがあります。

連絡先・公式情報は以下の通りです。

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調査結果の要点と主要データの整理

ここまで本文で述べた調査の重要ポイントを整理するとともに、主要データを表形式でまとめます。調査の出典は「株式会社リモラボ調べ」であることが明記されています。

以下の表では、調査日程、対象、回答数、主要なパーセンテージ等を一覧にしています。この記事で示した数値を一目で確認できます。

項目 内容
プレスリリース日 2025年10月30日 10:00(株式会社リモラボ発表)
対象組織 リモートワーク実践スクール「リモラボ」受講会員(リモラボメンバー)
有効回答数 911名(女性のみ)
調査実施期間 2025年9月16日~2025年9月20日
フリーランス新法施行日 2024年11月1日
発注元とのトラブル経験 38.4%が「ある」
トラブルの主な内容 連絡滞り 29.9%、報酬遅延・未払い 28.1%、契約の曖昧さ 28.1%
新法の認知不足 「全く知らない」+「ほとんど知らない」合計 82.4%
最低賃金保証と誤認 33.8%が「最低賃金を保証する」と誤認
報酬の支払期日等の誤認 「報酬の支払期日」を取り決められていないと考える人 45.8%、
「育児・介護配慮」を取り決められていないと考える人 41.6%
解除通知(クイズ2)正答率 「中途解約は30日前通知」正答 76.0%
著作権(クイズ3)誤認 誤答率 43.4%、うち26.9%が発注者帰属と誤認
安心感の変化 「非常に高まった」6.6%+「ある程度高まった」42.0%=48.6%
知識習得の重要性 「非常に重要」88.0%+「ある程度重要」9.4%=97.4%
リモラボ概要(代表等) 会社名:株式会社リモラボ(所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5 リンクスクエア新宿)
代表取締役:佐伯正邦/代表講師:小森 優、設立 2021年5月、資本金 5,000,000円
連絡先 電話 03-4560-6725 / メール info@remolabo.jp

上表は本調査の主要データを整理したものであり、出典は株式会社リモラボ調べです。調査内容の詳細や全項目については、リモラボ公式ブログ(https://remolabo.co.jp/magazine/)をご参照ください。

フリーランス新法の施行によって一定の制度的整備が進んだものの、現場の理解不足や誤認が依然として多く、支払期日の認識や著作権の扱いといった基本的な事項についての学習・周知が求められています。今回の調査は、法改正後に生じた現場の課題と学習ニーズを明確に示すものと言えます。

参考リンク: