11月1日発足へ JICが8,000億円PEファンド組成
ベストカレンダー編集部
2025年10月31日 21:16
JIC PE2組成
開催日:11月1日
JICが組成した「JIC PE2」──規模8,000億円の全体像とスケジュール
2025年10月31日15時00分に株式会社産業革新投資機構(以下、JIC)から発表されたプレスリリースによると、JICおよび傘下のJICキャピタル株式会社(以下、JICC)は、2025年11月1日付で新たなプライベートエクイティ(PE)ファンド群「JIC PE2」を組成します。発表日・発足日ともに明記されており、透明性の高い日程で公表が行われています。
JIC PE2は、運用者であるJICCが管理する2つのファンドから構成され、合計ファンド規模は8,000億円です。具体的には、JICCが運用するメインファンドである「JIC PEファンド2号投資事業有限責任組合(PEF2)」が6,000億円、これと共同で大型案件向けに投資を行う「JIC PE共同投資ファンド2号投資事業有限責任組合(PEFJ2)」が2,000億円となっています。
発表に記載された主要人物と組織
プレスリリースでは代表者名や拠点も明記されています。JICの代表取締役社長 CEOは横尾敬介氏、JICCの代表取締役社長 CEOは池内省五氏で、両社とも本社所在地は東京都港区にあります。JICCは2020年9月に設立された運用会社です。
本発表はJICの公式情報として公開されており、関連リンクとしてJICの公式サイト(https://www.j-ic.co.jp/jp/)が参照されています。発表日時、組成日、ファンド名、規模、運用会社情報といった基本情報が明確に提示されています。
組成の背景:なぜ今、大型リスクマネーが求められるのか
発表文は、国内のリスクマネー供給の現状と課題を具体的に指摘しています。とりわけ設備投資額が大きい製造業やGX(グリーントランスフォーメーション)/DX(デジタルトランスフォーメーション)分野において、大規模な成長投資や事業再編、新規事業創出を支えるためのリスクマネーが不足していると述べています。
また、国内のPEファンドは多数存在するものの、大型のグロース/バイアウト案件を対象とする国内ファンドは依然少ない点を問題視しています。さらに、東京証券取引所で進む市場改革に伴う「資本コストや株価を意識した経営」の導入や、国際競争力強化に向けた大規模な事業再編が進むことで、大型のリスクマネー需要は高まっていると説明されています。
これらの現状認識を踏まえ、JICは産業政策的観点から中長期的なリスクマネー供給を強化することが必要だと判断し、JIC PE2の組成に至ったと公表しています。
JIC PE2の投資方針とファンド構成
JIC PE2は産業競争力強化と社会的インパクトを意識した投資を目的としています。投資テーマとして「業界再編」「成長投資」「事業再編」の三本柱を明確に掲げ、それぞれに対して具体的な投資姿勢が示されています。
投資方針ではSociety 5.0の実現やGX・DXを通じた新規事業・新産業の創造、国内産業の国際競争力強化、業界の再編などを挙げ、これらに対して中長期的かつ産業政策的観点から資金を供給することを打ち出しています。
PEF2(メインファンド)とPEFJ2(共同投資ファンド)の役割
PEF2(JIC PEファンド2号/規模6,000億円)は、主に大規模案件を対象として長期的な投資を行います。メインの資金供給源として、成長投資・業界再編等の案件に対して中心的な投資を担う設計です。
PEFJ2(JIC PE共同投資ファンド2号/規模2,000億円)は、大型案件においてPEF2と共同で投資を行うことを目的とします。共同投資によって民間ファンド等との協力関係を強化し、大型案件の資金需要に柔軟に対応する役割を果たします。
三つの投資テーマの中身
各投資テーマは以下のように定義・説明されています。各テーマは投資対象の合理性と政策的意義を踏まえたものです。
- 業界再編
- 投資先企業の属する業界内および業界横断的な構造変革を促進し、産業競争力を高めることを目的とする投資。業界の再編を通じて国際競争力強化や効率化を図る。
- 成長投資
- 優れた技術・ビジネスモデルを有する日本発のグローバルリーダー創出や、海外の優れた経営資源を国内に還流させることを企図した投資。グローバル展開や技術移転を視野に入れる。
- 事業再編
- 日本企業の事業ポートフォリオ再編を後押しし、生産性向上と競争力強化を狙うマイノリティ投資を含む。民間ファンド主導の事業再編機会に協調投資することで、民間資金を補完する。
JICの役割、LP投資のねらい、投資人材の育成
プレスリリースはJICの役割について、単なる資金供給者に留まらない多面的な狙いを明確に示しています。JICは2018年9月に産業競争力強化法に基づき発足した投資会社であり、国内投資とイノベーションの好循環創出を重点的に掲げています。
JICのLP(出資者)としての投資の狙いは大きく三つに整理されています。これらはJICが資金提供を通じて市場に与える影響を念頭に置いた設計です。
- 「呼び水」としてのリスクマネー供給: 民間投資が不足している分野(セクター、ステージ、地域等)へ資金を供給し、短期および中長期的な民間投資の増加を促す。
- 投資人材と投資チームの育成: ファンド運用チームの経験値とトラックレコードを積み上げ、運用者の成長を促進。JVCAや機関投資家等と協力してベストプラクティスの導入と人材育成を支援する。
- 投資戦略の多様化: 日本に定着している戦略以外の戦略に対してLP投資を行うことで、市場に多様性と厚みを付加する。
これらの施策を通じて、JICは産業政策的な観点からの資金供給と、長期的な投資エコシステムの構築に寄与することを意図しています。
組織情報、参考情報、および要点の整理
本節では、発表に含まれる組織情報や参考情報を整理し、記事全体の要点を明確にします。JICCは2020年9月に設立され、JICグループの運用会社として機能します。また、JIC自体は2018年9月に発足した公的性格の強い投資会社で、産業競争力強化法に基づく活動を行っています。
プレスリリースは詳しい投資戦略やLP投資のねらいについても記載しており、産業競争力強化のためのリスクマネー供給と、投資プロフェッショナルの育成を両輪で進める姿勢が示されています。以下に記事で紹介した主要情報を表形式で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表主体 | 株式会社産業革新投資機構(JIC)、JICキャピタル株式会社(JICC) |
| 発表日時 | 2025年10月31日 15:00 |
| ファンド名称(総称) | JIC PE2(PEF2およびPEFJ2の合称) |
| 組成日 | 2025年11月1日 |
| ファンド規模(合計) | 8,000億円(PEF2:6,000億円、PEFJ2:2,000億円) |
| 運用会社 | JICキャピタル株式会社(設立:2020年9月、所在地:東京都港区、代表:池内省五) |
| JIC代表者 | 代表取締役社長 CEO:横尾敬介 |
| 主な投資テーマ | 業界再編、成長投資、事業再編(民間ファンドとの協調投資含む) |
| 狙い・目的 | 産業競争力強化、Society 5.0実現、GX/DXによる新産業創出、投資人材育成、民間資金の呼び水 |
| 参考リンク | https://www.j-ic.co.jp/jp/ |
以上が発表内容の要点整理である。発表資料はJICの公式ウェブサイトで参照可能であり、投資家や関係者に対して具体的なファンド構成・目的・運用体制が明確に示されています。
この記事ではプレスリリースで示されたすべての情報をできる限り忠実に整理し、日付・金額・組織名・代表者名・投資方針を網羅的に提示した。読者はここでJIC PE2の構成と狙いを把握できるようになっている。
参考リンク: