東京電機大学「とんがりAO」初回合格15名を発表

とんがりAO合格発表

開催日:11月1日

とんがりAO合格発表
とんがりAOって他のAOと何が違うの?
東京電機大学が独自に設計した総合型選抜で、学力だけでなく5分類・20項目の「とんがり要件」で実践経験や創作、社会貢献などの“とがり”を評価し、書類とプレゼン・面接で選ぶ方式です。
今回の合格者は何人で選考の流れはどうなってるの?
第一次(書類)で26名が通過し、第二次はプレゼンテーションと面接で教員と直接対話。最終で15名が合格と発表されました。大学は運用の改善点を踏まえ次年度も継続予定です。

工学部が掲げた「とがった人材」を具体化した独自選抜の誕生

学校法人東京電機大学(学長 射場本忠彦)は、2025年11月1日14時10分に、工学部(全6学科)で本年より導入した新たな総合型選抜「とんがりAO」の合格者を発表した。本制度は、従来の学力偏重型の評価に留まらず、工学分野で特に突出した関心や経験を有する受験生と大学教員が出会うことを目的として設計されている。

導入の背景には、工学教育に求められる多様な資質を明確に示し、入学後の学修・研究活動で長期にわたり情熱を維持できる学生を選抜する意図がある。大学側はアドミッション・ポリシーを具体化する形で、20項目から構成される「とんがり要件」を出願資格として設定した。詳細は大学の公式ページに掲載されている(https://www.dendai.ac.jp/about/admission/undergraduate/tongariao.html)。

とんがり要件の構成と出願資格の考え方

「とんがり要件」は、本学工学部が「本当に出会いたい“とがった個性や経験”を持つ受験生像」を明示するために、5つの分類に分けて合計20項目を設定している。学習成績だけでなく、実践的な活動や独自の探究、社会的な関与など、多面的な要素を評価対象とする点が特徴である。

要件は受験生の多様な背景や経験を想定しつつも、受験時に具体的な証明や説明が可能であることを重視しているため、出願書類や面接でのプレゼンテーションにおいて、受験生自身の言葉と成果で表現することが求められる。組織的な評価基準と個別面接での質的評価を組み合わせることで、ポテンシャルと意欲を総合的に判断する方式である。

要件の分類構成(概要)

以下は要件の枠組みを理解しやすく整理したものであり、個別の20項目は大学の公表資料を参照のこと。各分類は、学術的探究、課外での実践経験、創作・発明的活動、社会貢献・協働、独自の学び方・学習歴という視点で構成されている。

学術的探究
物理・化学などの基礎分野での深い関心や独自の研究活動を評価する項目。
実践経験
ものづくりやプロジェクト参加など、継続的な実践経験を重視する項目。
創作・発明
独自の発想で具体的な成果を生み出した経験を評価する項目。
社会貢献・協働
チームでの活動や地域貢献など、協働性と影響力を確認する項目。
独自の学び方・学習歴
自発的な学習や専門性を深めるための継続的取り組みを示す項目。

選考の流れと今回の結果

選考は第一次選考(書類審査)と第二次選考(プレゼンテーション・面接)の2段階で実施された。第一次選考では出願書類を基にとんがり要件との整合性、活動内容の具体性、独自性などを評価した。

第一次選考を通過した受験生26名が第二次選考に進み、プレゼンテーションと面接により最終的な評価が行われた。最終結果は合格者15名であった。この合格者数は各学科の募集枠や応募状況に応じたもので、全6学科を対象とした工学部の新たな選抜運用の初回結果となる。

選考プロセスの詳細

  • 出願時:とんがり要件に合致する項目を選択し、具体的な活動や成果を提出。
  • 第一次選考:書類審査により26名が通過。
  • 第二次選考:プレゼンテーション(受験生の経験・意欲を可視化)および面接で教員と直接対話。
  • 合格発表:2025年11月1日14時10分に最終結果を発表し、合格者は15名。

面接官の評価と制度運用で見えた課題

面接を担当した教員からは、従来の選抜では捉えにくかった個性や情熱が直接伝わる機会となったとの報告が寄せられている。受験生が自身の体験を詳細に語ることで、単なる数値や資格では測りにくい「とがり」を評価できた点が評価された。

一方で、応募者が選択したとんがり要件の中には、要件の意図を汲み取ることが難しく感じられ、受験生が記述や説明に苦慮した可能性を指摘する教員の声もあった。大学は今回の運用で得られた知見を踏まえ、要件の表現や運用の改善点を整理する必要性を認識している。

教員の具体的な声

  1. 「寝食を忘れものづくりに熱中する様子を、目を輝かせながら話してくれた。」
  2. 「まさに『博士ちゃん』のような、突出した個性に出会えた。」
  3. 「体験に基づいた独自の視点や考察力を感じた。」

これらの評価は、定量的な試験だけでは把握しにくい受験生の内発的動機や継続性を示す指標として有効であったことを示しているが、要件の解釈による受験生間の差異が生じる問題も確認された。

次年度に向けた調整方針と制度の継続

大学は今回の初回運用で得られた反省点を踏まえ、とんがり要件の表現や運用方法の調整を行った上で、次年度も本選抜方式を継続する方針を示している。具体的な修正は、要件の明確化、出願書類の記載例や評価基準の見直し、面接官のガイドライン整備などが想定される。

継続実施により、大学は「とがった人材」「我々が出会いたい人材」との接点をさらに広げ、工学教育の多様性と創造性を高めることを目指す。参考情報として、2025年1月16日に導入を発表したリリース(PR Times)も公表されている(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000128963.html)。

改善に向けた検討項目

  • とんがり要件の文言修正と項目ごとの意図説明の充実。
  • 受験生が要件に沿った実績を示しやすい書類フォーマットの提示。
  • 面接官向け評価ガイドラインの整備と評価者間の判定精度向上。
  • 出願前説明会やQ&Aの充実による解釈差の縮小。

要点の整理

以下の表は、本記事で伝えた東京電機大学工学部の「とんがりAO」に関する主要情報を整理したものである。導入の目的、要件の構成、選考の流れ、今回の結果、教員の評価および今後の対応が一目で把握できるようにまとめている。

項目 内容
発表日 2025年11月1日 14時10分(学校法人東京電機大学 発表)
実施学部 工学部(全6学科)
選抜名称 総合型選抜(とんがりAO)
出願資格 5分類・20項目から成るとんがり要件を満たすこと(学習成績のみでなく多面的に評価)
選考方式 第一次選考(書類)→第二次選考(プレゼンテーション・面接)
今回の通過・合格数 第一次通過 26名 → 合格 15名
面接官の評価 強い情熱や独自視点を持つ受験生と出会えた一方、要件の解釈で受験生が苦慮したとの指摘もあり
今後の対応 とんがり要件等の調整を行い、次年度も継続実施予定。関連発表(2025.01.16)および大学の詳細ページあり
関連リンク https://www.dendai.ac.jp/news/20251101-04.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000128963.html

以上が本制度の導入背景、要件の構成、今回の選考結果と面接官の反響、確認された課題および次年度に向けた調整方針の全体像である。東京電機大学は今回の運用を踏まえ、制度の精緻化を図りながら継続的に受験生との接点を構築していくことを明示している。

参考リンク: