IMAGICA GROUPの90周年記念『Future Talks』開催報告

IMAGICA90周年トーク

開催日:10月31日

IMAGICA90周年トーク
このイベントって何のために開かれたの?
IMAGICA GROUPの創業90周年を機に、学生と業界に感謝を示しつつ創作支援と技術共有を行う場として開催。東京国際映画祭期間中に無料・事前申込制で監督トークや技術セッションを実施しました。
どんな話が聞ける場だったの?
学生向けは三池崇史や木下麦らの監督トークで創作論や短尺・発信の話、業界向けはANIMINS関連の生成AI技術紹介(SHIAGEDO・AGI Search)や『Gundam GQuuuuuuX』の色表現とグレーディング事例でした。

創業90周年を機に開かれた「Future Talks by IMAGICA GROUP」 — 開催の趣旨と基本情報

株式会社IMAGICA GROUPは創業90周年を迎えるにあたり、映像・映画業界への感謝を込めて、2025年10月31日(金)に特別セッション「Future Talks by IMAGICA GROUP ~90年の感謝とともに、未来をつくる人へ~」を開催しました。本イベントは第38回東京国際映画祭の会期中に、東京ミッドタウン日比谷6F BASE Q HALL1(東京国際映画祭開催エリア内)を会場として行われ、合計4セッションで構成されました。

開催時間は13:00~19:00、参加費は無料(要事前申込)で、学生向けの監督トークが前半に、業界向けに技術・制作の最先端を紹介するセッションが後半に行われました。主催は株式会社IMAGICA GROUP、共催には株式会社ROBOT、株式会社ピクス、株式会社オー・エル・エム、株式会社オー・エル・エム・デジタル、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスが名を連ね、協力団体としてAI Mage株式会社、株式会社バンダイナムコフィルムワークス、東京国際映画祭が参加しました。

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開催の背景と位置づけ

本イベントは、IMAGICA GROUPの長い歴史を踏まえつつ、若手クリエイターの育成支援と業界の技術的進化を同時に掲げる内容で構成されました。映画祭期間中という立地を生かし、作り手と技術者、配給・放送・配信関係者が一堂に会する場を意図しています。

プログラムは全4セッションで、前半2つを学生向けの監督トーク、後半2つを映像業界向けの技術紹介・実例紹介に割り当て、幅広い層の参加を想定しました。プレスリリースは2025年11月5日13:50に発表されています。

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学生向けセッション:監督と若手が語る「表現」と「創作の現場」

前半の2セッションは、映像を志す学生や若手クリエイター約120名を対象に行われ、実作や表現論、制作環境について深掘りする場となりました。1stおよび2nd Sessionともに赤ペン瀧川氏がMCを務め、登壇者が自身の経験や考えを直接学生に伝える構成でした。

学生向けセッションは、映画監督・アニメーション監督それぞれの視点から、国際映画祭という場が持つ意味や、短尺コンテンツやAIとの関係性など現代的なトピックに言及した点が特徴です。

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1st Session:「Director’s Dialogue-三池崇史監督と実写映画の未来を考える-」

登壇者は映画監督の三池崇史氏、MCは赤ペン瀧川氏。会場には学生が多数参加し、三池監督が映画祭の意義や作家性、作品性について語りました。前半では三池監督自身の視点から各映画祭の特色を整理し、映画監督としての立ち位置や作品作りに関する考えを述べました。

後半は対話コーナーとして学生からの質問に答える形式が採られ、「幅広い表現のモチベーション」「ショートビデオやショートフィルムの可能性」「AIと映画の関係性および創作手段としての活用法」などの質問に対し、三池監督は自身の経験と考えを交えつつ、参加者一人ひとりに丁寧に返答しました。

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2nd Session:「Animating Dialogue -木下麦監督/ユージン監督 若き制作者と未来を語るオープントーク」

登壇者は木下麦氏(アニメーション監督 / キャラクターデザイナー / イラストレーター、P.I.C.S. management所属)とユージン氏(映像作家 / アニメーション作家、ROBOT所属)、MCは赤ペン瀧川氏。セッション前半は木下監督の最新作『ホウセンカ』(全国劇場公開中)にまつわる話題や、国際映画祭における作品発表の位置づけから始まりました。

後半では学生から「伏線の多い物語の構成法」「アナログとデジタルの使い分け」「原作のないオリジナル作品の導入と視聴者の心を掴む工夫」など具体的な制作に関する質問が寄せられ、世代感の近い両監督が実践的な視点で答えました。制作環境や発信を続ける力にも触れ、プロダクションに所属することの利点と挑戦についても議論が行われました。

  • 参加者数(学生向け):約120名
  • 主なテーマ:国際映画祭の意義、作家性、ショートコンテンツ、制作環境、アナログ/デジタルの使い分け、原作のない作品の導入
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映像業界向けセッション:AI活用と色表現・グレーディングの実務

後半の2セッションは映像業界従事者向けに設計され、アニメ制作におけるAI利活用の最新調査・技術紹介や、劇場アニメにおける色表現とグレーディング技術の実践的な解説が行われました。参加者には配給会社、配信・放送事業者、エンジニアを含む約200名が集まりました。

セッションは研究プロジェクトの報告とプロダクションユースを想定したデモンストレーション、さらに大作アニメの色管理ワークフローとグレーディング比較を通じた技術解説から構成され、実務者にとって有益な具体的手法や成果が示されました。

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3rd Session:「AI CREATION:アニメ制作の新たなパートナー - AI Mage|オー・エル・エム・デジタル」

登壇者は张 鑫(Xin Zhang、AI Mage株式会社 代表取締役CEO)、四倉 達夫氏(株式会社オー・エル・エム 取締役執行役員、オー・エル・エム・デジタル取締役 R&Dスーパーバイザー、株式会社IMAGICA GROUP Advanced Research Group リサーチディレクター、博士(工学))。このセッションでは、経済産業省/NEDOによるGENIACプロジェクト「ANIMINS(ANIMe INSight)」の取り組み(2024年12月始動)を踏まえた調査・中間成果が説明されました。

後半はプロダクションユースを見据えた技術紹介として、四倉氏が「彩色支援技術:SHIAGEDO」を、張氏が「類似画像検索支援技術:AGI Search」をデモを交えて紹介しました。これらはアニメ制作現場での効率化と表現の拡張を意図した技術であり、生成AIの利活用に関する具体例として示されました。

プロジェクト名
ANIMINS(ANIMe INSight) — 経済産業省/NEDO GENIACプロジェクト(2024年12月始動)
紹介技術
SHIAGEDO(彩色支援)、AGI Search(類似画像検索支援)
登壇者
張 鑫(AI Mage 代表)、四倉 達夫(オー・エル・エム/IMAGICA GROUP ARグループ)
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4th Session:「TECH-FUSION:『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』における色表現と新たな取り組み」

登壇者は小形 尚弘氏(株式会社バンダイナムコフィルムワークス 取締役 ガンダム事業本部 本部長)、関口 正人氏(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス カラリスト)、モデレーターは鈴木 基子氏(同社 プロダクション営業部 アニメーション営業グループ マネージャー)。本セッションでは「ガンダムにおける“色”とは」を軸に、プロダクションとしての色の意識、制作上の留意点、劇場上映の意図、カラー担当者との共同制作に関する四つの視点から解説が行われました。

続いて鈴木氏から『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』における色管理の流れが説明され、関口氏が劇場版アニメーション作品のグレーディングおよびHDR化作品のグレーディングについて技術的観点から詳細に述べました。実際の作業工程を基に複数シーンのグレーディング〈前〉と〈後〉の比較が示され、具体的な技法やワークフローが共有されました。

  • 登壇者(4th Session):小形 尚弘氏(バンダイナムコフィルムワークス)、関口 正人氏(IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)、鈴木 基子氏(モデレーター)
  • 主な解説項目:色のコンセプト、色管理の流れ、グレーディング技術(SDR/HDR)、劇場上映の意図、実作業での前後比較
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イベントの全体的な成果とIMAGICA GROUPの紹介

イベントは学生向けに約120名、映像業界向けに約200名が参加し、合計4セッションを通じて作り手と技術者の対話、研究開発の中間成果の共有、商業作品における技術実践の提示が行われました。セッション内容は、創作と技術の双方を具体的に結びつける構成であり、参加者にとって実務的にも示唆に富むものとなりました。

以下にIMAGICA GROUPに関する基本情報を整理します。IMAGICA GROUPは1935年2月18日に創業し、映像の企画・制作・編集・配信・流通に至るワンストップサービスを提供しています。事業は映像コンテンツ事業、映像制作技術サービス事業、映像システム事業等を含み、産業や医療、学術研究といった分野へも映像技術を展開しています。

項目 内容
会社名 株式会社IMAGICA GROUP / IMAGICA GROUP Inc.
代表者 代表取締役社長 社長執行役員 長瀬 俊二郎
所在地 〒105‐0022 東京都港区海岸一丁目14番2号
創業 1935年2月18日
資本金 33億6百万円
事業内容 映像コンテンツ事業、映像制作技術サービス事業、映像システム事業 等
90周年特設サイト https://www.imagicagroup.co.jp/90th-anniversary/
イベント特設ページ https://www.imagicagroup.co.jp/90th-anniversary/TIFF_event/
note https://www.note.imagicagroup.co.jp/
X(旧Twitter) https://twitter.com/IMAGICAGROUP

イベントを通じて示されたポイントは、(1)国際映画祭や短尺コンテンツなど表現の場に関する考察、(2)生成AIを含む技術の制作現場への組み込みとその実装事例、(3)劇場アニメにおける色表現・グレーディングの実務手法の3点です。参加者層と議題の両面から、文化的・技術的な知見の交換が行われたと整理できます。

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イベント要点の整理(表形式)

以下の表は、本記事で紹介した「Future Talks by IMAGICA GROUP」の主要情報を簡潔にまとめたものです。登壇者や日時、会場、各セッションのテーマと技術紹介のポイントを記載しています。

項目 内容
イベント名 Future Talks by IMAGICA GROUP ~90年の感謝とともに、未来をつくる人へ~
日時 2025年10月31日(金)13:00~19:00
会場 東京ミッドタウン日比谷 6F BASE Q HALL1(東京国際映画祭開催エリア内)
主催・共催・協力 主催:株式会社IMAGICA GROUP / 共催:株式会社ROBOT、株式会社ピクス、株式会社オー・エル・エム、株式会社オー・エル・エム・デジタル、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス / 協力:AI Mage株式会社、株式会社バンダイナムコフィルムワークス、東京国際映画祭
参加者数 学生向け:約120名、業界向け:約200名
セッション構成 1st:三池崇史監督(実写)/2nd:木下麦監督・ユージン監督(アニメ)/3rd:ANIMINS関連(四倉・張)/4th:『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の色表現(小形・関口・鈴木)
技術紹介の主題 生成AIによる制作支援(SHIAGEDO、AGI Search)、アニメ制作におけるAIの調査・開発事例、劇場アニメのカラーグレーディング(SDR/HDR)
関連リンク イベント特設ページ:https://www.imagicagroup.co.jp/90th-anniversary/TIFF_event/

以上が「Future Talks by IMAGICA GROUP ~90年の感謝とともに、未来をつくる人へ~」の開催概要および各セッションの内容の整理です。本イベントは創作と技術をつなぐ場として、学生と現場の対話、研究開発の中間成果提示、商業制作における技術実践の三点を軸に構成され、IMAGICA GROUPの90年の歩みと次の時代に向けた取り組みを示す内容となりました。

参考リンク: