福島工場の匠技で実現 樽用バンド材を量産開始

樽用バンド材量産開始

開催日:11月6日

樽用バンド材量産開始
国内でウイスキー樽のバンド材が手に入るようになるの?
はい。日本金属が福島工場でロールフォーミングと異形圧延を組み合わせた高耐食めっき鋼板の樽用バンド材を量産開始し、ウィズワンら向けに国内供給が可能になります。
ウィズワンはいつからそのバンド材を使い始めるの?
ウィズワンは2025年12月から本バンド材を使った樽のリメイクを開始する予定で、同社のオリジナルジャパニーズウイスキーは2026年秋に発売予定です。

福島工場の“匠の技”で国内対応が難しかったウイスキー樽用バンド材を製品化

日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志)は、株式会社ウィズワン(本社:大阪府大阪市中央区、代表取締役:澤田宗士)と共同開発したウイスキー貯蔵用樽に使用するバンド材(帯鉄)の製造・販売を開始することを、2025年11月6日 08時30分付で発表しました。本リリースは当社の福島工場における技術を活用した製品化の完了と量産開始を伝えています。

ウィズワン社は兵庫県養父市に開設した養父蒸溜所で2023年からウイスキーの製造を始めており、貯蔵用樽のリメイクを自社で行う計画を進めていました。樽本体は現在海外からの輸入が中心である一方、リメイクに用いるバンド材については国内調達を強く希望していましたが、樽特有の稜線に沿ったテーパ角を正確に付ける必要があるなど加工の難易度が高く、国内の多くのメーカーでは対応が困難とされていました。

日本金属、ウイスキー貯蔵用樽に使用するバンド材(帯鉄)の製造・販売を開始 画像 2

ロールフォーミングと異形圧延の組合せで難形状を克服

福島工場は長年にわたり精密異形圧延・ロールフォーミング・プレス加工を核とする塑性加工技術を蓄積してきた技術拠点です。本製品では、帯状の薄板を複数のロールで少しずつ成形するロールフォーミングと、平坦な金属を目的とする断面形状へ連続加工する異形圧延を組み合わせることで、従来対応が難しかったリング状のテーパ付きバンドを高精度で成形できる工程を確立しました。

約1年にわたる試作開発を経て、樽の稜線に沿ったテーパ角を持つリング形状を高い精度で製造することが可能になり、高耐食めっき鋼板を用いた耐久性の高いバンド材の量産開始に至りました。ロールフォーミングおよび異形圧延に関する詳細は、当社の製品ページにも記載されています:

製造技術の要点

ロールフォーミングにより連続的に形状を付与すると同時に、異形圧延によって断面精度を確保することで、樽の曲面にぴったりと沿うリング形状を得ています。高耐食めっき鋼板の採用により、貯蔵環境下での耐久性向上も図られています。

福島工場では精密加工を担当する熟練技術者が工程全体を管理し、寸法管理や表面処理、曲げ・圧延の各工程での品質を担保しています。これにより、国内での供給が難しかった製品仕様に対応できる体制が整いました。

製品仕様・導入スケジュールと共同開発パートナーの役割

本バンド材の主な仕様は次のとおりです。材質には高耐食めっき鋼板を用い、サイズは2.0mmt×45mmw×約2,000mmLとなっています。製品は樽に合わせたリング状に加工され、ウイスキー貯蔵の厳しい環境下でも長期にわたり使用可能な耐食性と形状保持性を備えています。

量産開始に伴い、ウィズワン社は2025年12月よりこのバンド材を使用した樽のリメイクを開始する予定です。ウィズワン社は卸売・小売の事業に加え、オリジナルブランドのジャパニーズウイスキーづくりにも取り組んでおり、同社の製品は2026年秋に発売予定です(ウィズワン社ホームページ:https://www.with-one.net/)。

共同開発の背景と役割分担

ウィズワン社側はリメイクのための国内供給を強く要望し、貯蔵樽の形状要件や現場ニーズを提示しました。日本金属側は、福島工場の技術を用いて形状設計・試作・量産立ち上げを担当しました。両社の連携により約1年の試作期間を経て製品化が実現しました。

養父蒸溜所(兵庫県養父市)は理想的な熟成環境と醸造技術を活かしてウイスキーを製造しており、今回のバンド材導入は蒸溜所でのリメイク作業や長期熟成に影響を与える重要な供給要素となります(養父蒸溜所ホームページ:https://yabu-distillery.co.jp/)。

企業戦略・支援サービス・お問い合わせ先

日本金属は、第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のもとで「Multi & Hybrid Material」「Near Net Shape」「Near Net Performance」をキーワードに、素材から最終製品に求められる性能を実現する取り組みを進めています。本製品はこれらの戦略に沿った開発事例の一つと位置づけられます(経営計画:https://www.nipponkinzoku.co.jp/investor-relations/strategies)。

また、同社は2025年4月1日より『試作・委託加工サポート受付』サービスを開始しており、プロダクションプロセス・サポート部が試作・サンプル・委託加工を受け付けています。設備・技術・外部ネットワークを活用した開発支援を提供することで、今回のような共同開発体制を支援する仕組みが整えられています(試作サポート:https://www.nipponkinzoku.co.jp/pp-support)。

問い合わせ先と関連リンク

本リリースに関する問い合わせ先は次のとおりです。総務部:TEL 03-5765-8100、製品および技術情報に関する問い合わせはプロダクションプロセス・サポート部:TEL 03-5765-8113。問い合わせページ:https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact(総務)、https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact-other(製品・技術)。

当リリースに関連する情報や画像は当社ウェブサイトのプレスリリース素材からダウンロード可能です。また、当社の公式サイト(https://www.nipponkinzoku.co.jp)でも各種情報を掲載しています。

本件の要点整理

以下の表に、本リリースで示された主要項目を整理します。各項目は製品仕様、開発経緯、導入スケジュール、担当窓口など実務上重要な情報を含んでいます。表の後に本記事の締めくくりとして要旨を述べます。

項目 内容
発表日 2025年11月6日 08時30分
発表企業 日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志)
共同開発パートナー 株式会社ウィズワン(本社:大阪府大阪市中央区、代表取締役:澤田宗士)
対象製品 ウイスキー貯蔵用樽に使用するバンド材(帯鉄)
材質 高耐食めっき鋼板
サイズ 2.0mmt×45mmw×約2,000mmL
製造技術 ロールフォーミング、異形圧延、プレス加工(福島工場)
量産開始 試作開発期間約1年を経て量産開始(発表時点で量産開始済)
導入スケジュール(ウィズワン社) 2025年12月より樽のリメイクにて使用開始予定
関連サイト 日本金属:https://www.nipponkinzoku.co.jp、ウィズワン:https://www.with-one.net、養父蒸溜所:https://yabu-distillery.co.jp
問い合わせ(総務) TEL:03-5765-8100、https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact-other
問い合わせ(技術・製品) プロダクションプロセス・サポート部 TEL:03-5765-8113、https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact
関連拠点 福島工場(白河市)、本社(東京都港区)、ウィズワン(大阪市)、養父蒸溜所(兵庫県養父市)

本件は、国内で対応が難しかった樽用バンド材の加工技術を福島工場のロールフォーミングと異形圧延の組合せで実現した事例を示すものです。製品は高耐食めっき鋼板を用い、ウィズワン社の樽リメイク現場で2025年12月からの適用が予定されています。問い合わせや詳細確認は上記の窓口とリンクをご利用ください。

参考リンク: