京都医療センターが導入、GEのコマンドセンターで医療DX進展

コマンドセンター稼働開始

開催日:4月1日

コマンドセンター稼働開始
コマンドセンターって何?病院で何が変わるの?
院内の多様なデータをリアルタイムで集約・解析して画面に可視化するシステム。患者フローやKPIを一元管理し、迅速な意思決定、業務効率化、患者安全の向上や残業削減につながる。
導入で具体的にどんな効果が出たの?
2025年4〜6月の前年同期比で入院7.4%増、救急からの入院13%増、RRT起動が2倍以上、看護残業40%減、医業収支46%改善などの成果を報告している。

病院経営の「デジタル司令塔」としてのコマンドセンターの導入背景と概要

国立病院機構京都医療センター(京都府伏見区、病院長:川端浩)は、医療現場の複雑化と経営課題に対応するため、GEヘルスケア・ジャパンが提供するコマンドセンターを導入しました。プレスリリースは2025年11月11日付で配信され、同センターは2025年4月より稼働を開始しています。国立病院機構が運営する約140の病院の中で初めて導入された事例です。

コマンドセンターは「病院経営のデジタル司令塔」と位置づけられ、院内の多種多様なデータを収集・解析して、リアルタイムに可視化するソリューションです。データは選択・分析され、スクリーン上のタイルとして表示されます。システムはGEヘルスケア・ジャパンが開発・提供しており、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた業務効率化と医療の質向上を目的としています。

京都医療センター、GEヘルスケア・ジャパン、国立病院機構初となるコマンドセンターの導入成果を発表 画像 2

主な機能とタイル表示の設計

コマンドセンターの主な機能は、リアルタイムデータの統合、患者フローの可視化、KGI/KPIのモニタリング、そして運用改善につながる分析可視化です。院内で発生する救急搬送数、入退院状況、重症化の兆候、看護業務の稼働状況などを包括的に解析します。

タイルと呼ばれる画面表示は、院内の各職種のニーズに合わせて看護師長らが設計・運用しています。タイルには入院数、救急搬送からの入院数、院内迅速対応チームの起動件数、残業時間や医業収支など、運営に直結する指標が表示され、関係者が同じ情報を共有しながら迅速に意思決定を行えるように設計されています。

  • リアルタイム可視化:現場のデータが時系列で更新され、現状把握が容易になる。
  • 職種横断の情報共有:医師、看護師、事務が同じ画面で状況を把握できる。
  • KGI/KPI管理:経営指標の可視化により目標達成に向けた行動が明確になる。
京都医療センター、GEヘルスケア・ジャパン、国立病院機構初となるコマンドセンターの導入成果を発表 画像 3

導入後の具体的な成果と数値的改善

京都医療センターはコマンドセンター稼働後、2025年4月から6月期を前年同期と比較して複数の主要指標で改善を報告しています。改善は医療サービスの提供能力向上と経営面の両方に及び、患者受入れ体制やスタッフの業務負担の改善が確認されました。

プレスリリースで示された主要な成果は以下の通りです。数値はすべて2025年4月~6月期を前年同期比で比較した結果です。

指標 改善度合い
入院患者数 7.4%増加
救急搬送からの入院患者数 13%増加
院内迅速対応チーム(RRT)の起動件数 2倍以上増加
看護部門の残業時間 40%削減
医業収支 46%改善
医業収支率 2.8%改善

これらの改善は、単なる数値の改善にとどまらず、現場のワークフロー改革と患者安全の向上をもたらしています。特にRRTの起動件数が2倍以上になったことは、重症化を早期に察知して対応できる体制の強化を示しています。また、看護部門の残業時間が40%削減されたことは、スタッフの負荷軽減と長期的な人材確保に寄与する重要な成果です。

改善指標の解釈と運用上の変化

入院患者数と救急搬送からの入院患者数の増加は、受け入れ能力の向上と受け入れ判断の迅速化が背景にあります。リアルタイムで状況を把握できることにより、病床管理や入院受入れの最適化が進みました。

医業収支および収支率の改善は、診療報酬や病床稼働率の適正化、業務効率化によるコスト削減など複合的な要因によるものです。コマンドセンターがKGIやKPIのモニタリングを支援し、運営改善の意思決定をサポートした点が寄与しています。

学会発表と関係者のコメント

コマンドセンターの導入成果は、2025年11月7日に金沢市で開催された第79回国立病院総合医学会において、髙田幸千子看護部長/院長補佐が発表しました。プレスリリースは同年11月11日付で配信されています。

発表では、導入の経緯、運用体制、タイル設計に携わった看護師長らの取り組み、そして導入後に得られた定量的な成果が報告されました。写真には松谷事務部長、川端院長、髙田看護部長/院長補佐、白神副院長が並ぶ場面が添えられています。

川端 浩 院長のコメント
「患者さん一人ひとりに、最適で質の高い医療を提供するため、私たちは医療DXの取り組みを積極的に進めています。この度のコマンドセンターの導入は、この取り組みの一環です。同システムの導入により、病院内の情報がリアルタイムに共有され、私たちの判断や行動の迅速化につながっています。また、経営改善のためKGIやKPIを設定し、職種の垣根を越えて、目標達成に向けて精進しております。これからもコマンドセンターの効果的な利活用に取り組んでまいります。」
若林 正基 GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOのコメント
「病院内では膨大な医療データが、日々刻々と蓄積されています。コマンドセンターは、収集したデータを選択・分析し、それらをリアルタイムでスクリーンに表示します。必要なデータの可視化によって、医療従事者に納得感と行動変容が起こり、その結果、より効率的に業務を進められるようになります。この度、京都医療センター様に導入していただいたコマンドセンターは、業務効率の改善のほか、医療の質の向上や医療従事者の残業時間の削減にも寄与しています。病院経営を取り巻く環境は年々厳しさを増していますが、私たちは今後とも効率的で安全な医療提供体制の維持に貢献してまいります。」

組織情報、問い合わせ先、製品紹介

国立病院機構京都医療センターの概要は次の通りです。所在地は京都乙訓二次医療圏に位置し、一般病床数は600床、標榜診療科は38、常勤職員数は1,008名(2025年5月1日現在)です。三次救命救急センター、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、地域災害拠点病院、原子力災害拠点病院としての機能を有しています。附属に臨床教育センターと看護助産学校も備えています。

GEヘルスケア・ジャパン株式会社は1982年に創設され、プレシジョン・ケアの実現を目指し、インテリジェント機器、データ分析、ソフトウェア、サービスを提供しています。日本国内の社員数は約1,500名で、本社は東京都日野市にあり、国内に60カ所の事業拠点を有しています。詳細は公式サイト www.gehealthcare.com を参照してください。

  • 問い合わせ先(国立病院機構京都医療センター): 事務局 看護部 TEL: 075-641-9161
  • 問い合わせ先(GEヘルスケア・ジャパン): コーポレート コミュニケーション TEL: 0120-202-021
  • 製品紹介: コマンドセンターの製品紹介ページはプレスリリース内に案内があります(表記は「こちら」)。画像やプレス素材のダウンロードも提供されています。

以下の表に、本記事で取り上げた主要な情報を整理してまとめます。数値、日付、担当者名、問い合わせ先などを明示することにより、報道関係者や医療関係者が状況を俯瞰できるよう構成しています。

項目 内容
プレスリリース日 2025年11月11日 10時17分
学会発表日 2025年11月7日 第79回国立病院総合医学会(石川県金沢市)
発表者 髙田幸千子 看護部長/院長補佐(国立病院機構京都医療センター)
導入開始 2025年4月稼働開始(国立病院機構内で初導入)
主な成果(2025年4月~6月の前年同期比) 入院患者数 7.4%増、救急搬送からの入院 13%増、RRT起動件数 2倍以上、看護残業時間 40%削減、医業収支 46%改善、医業収支率 2.8%改善
病院概要 所在地:京都府伏見区、病床数(一般)600床、標榜診療科38、常勤職員数1,008名(2025年5月1日)
病院長 川端 浩
GEヘルスケア・ジャパン(提供元) 本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:若林正基、社員数:約1,500名、事業拠点60カ所、設立:1982年
問い合わせ先 京都医療センター 事務局 看護部 TEL: 075-641-9161/GEヘルスケア・ジャパン コーポレート コミュニケーション TEL: 0120-202-021
関連ウェブ www.gehealthcare.com(GEヘルスケア公式サイト)

以上は、国立病院機構京都医療センターとGEヘルスケア・ジャパンが共同で発表したコマンドセンター導入に関する報告の要点と詳細です。導入に伴う具体的な数値改善、運用面での変化、関係者のコメント、問い合わせ先までを含めて整理しました。