TOYOの尿素造粒技術がカザフスタン初プラントに採用
ベストカレンダー編集部
2025年11月12日 16:26
カザフスタン初の尿素プラント
開催日:11月12日
カザフスタン初の尿素プラントにTOYOの造粒技術が採用された背景
発表の要点と関係者
東洋エンジニアリング株式会社(代表取締役 取締役社長 CEO: 細井栄治、以下 TOYO)は、同社の独自技術である尿素造粒ライセンスが、カザフスタン共和国の化学肥料製造会社である KazAzot Prime LLP(カズアゾット) が計画する尿素プラントに採用されたと、2025年11月12日付の発表で公表しました。発表日時は同日午前10時00分です。
本プロジェクトでは、EPC(設計・調達・建設)を中国の Wuhuan Engineering Co. Ltd.(中国五环工程有限公司 ウーハンエンジニアリング、以下 ウーハン)が請け負い、TOYOは尿素造粒のライセンサーとしてライセンス供与・Process Design Package(PDP)作成・主要機器調達・技術サービスを担当します。今回の採用は、TOYOの尿素分野での豊富な実績とウーハンとの協業実績が評価された結果と説明されています。
選定理由とプロジェクトの位置づけ
TOYOはこれまでに100件以上の尿素技術の供与および尿素プラント建設実績を有している点が、今回の採用理由として挙げられています。加えて、ウーハンとの過去の協業実績が信頼関係の基盤となり、共同でのプロジェクト推進が可能であることが評価されました。
このプラントはカザフスタン国内での初めての尿素生産設備となる点が特筆されます。生産される尿素は主に肥料用途に供されることが予定されています。国別に見て新規に尿素生産能力を構築する動きは、農業生産と食料供給の安定化に直接的に関わる点で重要とされています。
プロジェクトの役割分担と技術的範囲
各当事者の役割
本プロジェクトにおける主要な役割分担は明確に定められています。エンドユーザーは KazAzot Prime LLP、EPC請負は Wuhuan Engineering Co. Ltd.、尿素造粒ライセンサーは 東洋エンジニアリング株式会社(TOYO) です。役務範囲の分割により、技術供与と現場建設が効率的に進められる体制が組まれています。
TOYOの担当範囲は以下の通りです。これらは技術供与から施工サポートまでを包含する内容であり、プラントの基本設計と稼働に直結する重要な役割です。
- ライセンス供与:尿素造粒技術の使用権と関連技術ドキュメントの提供。
- Process Design Package(PDP)作成:プロセスフロー図、P&ID(配管計装図)、機器データシート等を含むプラント建設の基本ドキュメントの提供。
- 主要機器調達:造粒工程に必要な専用機器の調達手配。
- テクニカルサービス:建設・試運転・立ち上げ段階での技術支援。
- Process Design Package (PDP)
- プラント建設の基本となるドキュメントをパッケージ化したもので、プロセスフロー図、P&ID、機器データシートなどが含まれます。今回のTOYOの提供範囲にも明示されています。
技術供与の性質と実務的な連携
技術供与は単なる図面提供に留まらず、専用機器の調達と現場でのテクニカルサービスを含む実務的な支援が求められます。特に造粒工程は品質・歩留まり・運転安定性に直結するため、ライセンサー側の経験と機器選定がプロジェクト全体の成否に大きく影響します。
ウーハンがEPCを担うことで、設計から建設まで一貫した管理が行われ、TOYOのPDPと現場実務が連結される体制となります。過去の協業実績は、この連携をスムーズにする要因として働く見込みです。
設備仕様・立地・スケジュール
設備の概要と生産能力
対象となる設備は尿素造粒プラント(日産1,750トン)です。これは日次生産量で表記された設備能力であり、稼働後は主に肥料用途として製品が供給されます。造粒工程の導入により、肥料としての取り扱いや施用性の向上が期待されます。
本プラントはカザフスタン国内で初となる尿素生産設備であり、同国における化学肥料供給の体制に新たな生産能力を付与することになります。地域の農業用途への直接的な供給源の確保という意義があります。
建設予定地とスケジュール
建設計画地はカザフスタンの海岸都市 Aktau(アクタウ) です。Aktauはカスピ海に面した都市であり、港湾や物流面での利便性が期待される立地です。
完成予定は2029年となっており、プロジェクトは今後数年かけて設計・調達・建設・試運転の各段階を経て進められます。PDPの作成と主要機器の調達、EPCの進捗がスケジュール管理の鍵となります。
TOYOの技術的背景とプロジェクトが持つ意義
TOYOの企業プロフィールと実績
東洋エンジニアリング(TOYO)は1961年創立の総合エンジニアリング会社で、世界60ヶ国以上に対してエンジニアリングサービスとプラント建設を提供してきました。祖業であるアンモニア・尿素分野で培った独自技術を基盤に、石油化学、石油・ガス処理、資源開発、発電など多領域に事業を拡大しています。
会社としては「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」というミッションを掲げ、環境に配慮したソリューションや最新技術の導入、脱炭素社会の実現に取り組んでいると説明されています。詳細は TOYO の公式サイト(https://www.toyo-eng.com/jp/ja/)で公表されています。
プロジェクトの地域的・社会的意義
カザフスタンでの初の尿素プラント建設は、同国の肥料供給体制にとって重要な転換点です。国内生産が確立されることで輸入依存度の軽減や供給安定性の向上が期待されます。TOYOはライセンサーとして技術供与を行うことで、同国の食糧供給安定化に寄与する意図を示しています。
また、国際的な技術移転と現地建設の組合せは、現地の産業基盤強化や雇用創出にも寄与する可能性があります。EPCを担当するウーハンとの協業によって、設計・建設・運転準備の各段階で現地との連携が図られていきます。
プロジェクト要点の整理
以下の表に、本リリースに記載された主要事項を整理してまとめます。プロジェクトの関係者、設備仕様、役務内容、完成予定日など、報道資料に含まれる事実関係を網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月12日 10:00 |
| エンドユーザー | KazAzot Prime LLP |
| EPC(建設請負) | Wuhuan Engineering Co. Ltd.(中国五环工程有限公司 ウーハンエンジニアリング) |
| 尿素造粒ライセンサー | 東洋エンジニアリング株式会社(TOYO) |
| 建設計画地 | カザフスタン Aktau |
| 対象設備 | 尿素造粒(日産1,750トン) |
| 役務内容 | ライセンス供与、Process Design Package(PDP)作成、専用機器の調達、テクニカルサービス |
| 完成予定 | 2029年 |
| PDPの定義 | プロセスフロー図、P&ID、機器データシート等を含むプラント建設の基本ドキュメント |
| TOYOの概要 | 1961年創立。世界60ヶ国以上でエンジニアリングサービスを提供。アンモニア・尿素を始めとする化学分野での技術と実績。 |
以上が、東洋エンジニアリングの尿素造粒ライセンス採用に関する発表内容を整理した要点です。プロジェクトは今後、PDP作成、機器調達、EPCの各フェーズを経て2029年の完成を目指して進められます。