2029年3月就役へ 小田急新型ロマンスカーの全貌
ベストカレンダー編集部
2025年11月17日 14:47
新型ロマンスカー発表
開催日:3月1日
「水」をテーマに描く新しいロマンスカー──コンセプトの核心
小田急電鉄は、2029年3月の就役を目指す新型ロマンスカーの車両開発コンセプトを「きらめき走れ、ロマンスカー」と決定した。本開発は2024年9月に設計へ着手して以降、社内の鉄道・非鉄道部門、外部デザイナー等が連携して検討が進められてきたものである。開発の背景には、沿線を彩る多様な「水」の風景への敬意と、次の100年に向けた持続的な地域連携の意図がある。
コンセプト名には、陽に照らされた水面がきらめき波紋を広げるように、乗車体験を通じて心の動く瞬間(きらめき)を生み、それが世代を超えて波及していくという思いが込められている。小田急線は2027年4月に開業100周年を迎えることから、次の100年における存在価値を見据えた車両計画になっている。
コンセプトに込めた具体的な意図
本コンセプトは、沿線に点在する多摩川、芦ノ湖、相模湾などの「水」に触発されたものである。これらの風景は沿線に潤いをもたらし、住環境や地域の活気に寄与してきた経緯がある。新型車両は、人・地域・自然をつなぐ存在として、沿線の風景と調和するデザインと機能を備えることを目指す。
デザインにあたっては、乗るたびに生まれる「新しい発見や出会い」を重視し、各世代の利用シーンに応じた体験を提供することが基本理念となっている。特に水面のきらめきや波紋の連鎖をモチーフに、外観・内装の両面で表現が図られている。
外観デザインと車体の特徴──淡い水色と展望席の復活
外観の基本設計では、VSE(50000形)の後継として展望席を復活させる点が大きな特徴である。最前・後部の展望車両は、水の雫をイメージした大型の曲面ガラスで運転席周辺と一体的に包み込む意匠とされている。
車体カラーは淡い水色を基調に採用し、見る時間帯や環境により見え方が変化することを意図している。また、車両連結部には伝統色であるバーミリオンオレンジをアクセントとして配し、歴代ロマンスカーとの連続性を保つ。
外装の細部表現と窓・形状の工夫
車体側面(窓下等)には水面の波紋を連想させる「ゆらぎ」と称する曲線的な形状を設け、瑞々しさと柔らかさを外観で表現する。これにより単なる色彩表現にとどまらない立体的な印象を生み出す設計が採り入れられている。
また、沿線の自然豊かな風景を美しく切り取るために大型の窓を採用する予定であり、用途や気分により選択できる複数の座席種別を組み合わせることで、多様な利用シーンに対応する車内環境を実現することが想定されている。
車両概要と技術的要件──形式・編成・仕様の全容
今回公表された新型ロマンスカーの主要スペックは以下の通りである。新たにお知らせする項目には★が付されている。
- 就役予定
- 2029年3月
- 車両形式★
- 80000形
- 開発コンセプト★
- 「きらめき走れ、ロマンスカー」
車両概要(★は今回新たに発表された主要項目)について、詳細は以下のとおりである。
- 編成:7両編成
- 台車方式:ボギー車
- 展望車両:最前・後部に展望車両を配置し、水の雫をイメージした大型ガラスを採用
- 車体カラー:淡い水色(基調)
- 連結部:伝統色のバーミリオンオレンジをアクセントとして施す
- 外板形状:「ゆらぎ」と呼ばれる曲線的形状を設置
- 座席:用途や気分に応じて選択可能な複数の座席種別を用意
- 窓:沿線風景を美しく切り取る大型窓を採用
- 乗入れ:箱根登山線へ乗入可能な車両仕様
- 環境性能:次の100年において自然と共存共生できる高い環境性能を想定
- 保守性:メンテナンスの省力化が実現できる機器の搭載を計画
また、新型車両は特急ロマンスカー・EXE(30000形)の代替であり、VSE(50000形)の後継に位置付けられている。これにより、車両の役割と系譜を明確にした上での設計が求められている。
設計体制と公開情報、問い合わせ先
車両デザインは株式会社COA一級建築士事務所の長曽我部亮氏と岡野道子氏が担当し、車両設計は日本車輌製造株式会社が担う。社内では鉄道・非鉄道部門横断の体制で詳細設計に着手するとともに、車両製造に向けた社内手続きも順次進められる。
本プロジェクトにおいては、デザイナーと当社社員によるコンセプトやデザインの経緯を伝えるインタビュー記事が、2025年11月17日(月)11時より小田急グループブランドサイトに掲載される予定である。該当ページのURLは以下である。
- 参照URL: https://www.odakyu.jp/group/brand/article/specialissue-010/
問い合わせは小田急お客さまセンターが担当する。連絡先は以下のとおり。
- 小田急お客さまセンター
- 電話 044-299-8200(受付 9:00~17:00)
設計・製造の進め方
今後は、開発コンセプトに関わったデザイナーおよび社内関係部署が詳細設計に着手し、将来にわたるお客さまニーズを追求する。沿線の自然豊かな風景との調和や上質な乗車体験の実現を目標に、具体的な内装仕様や機器選定、環境性能の検討が進められる。
また、車両製造に向けた社内手続きも順次進行するため、設計と並行して製造準備が行われる見込みである。採用予定の技術や機器は省力化・高環境性能を重視したものとなることが明記されている。
要点の整理
以下の表は、本記事で提示した新型ロマンスカーに関する主要な情報を分かりやすく整理したものである。項目ごとに要点をまとめ、今後の参照に役立つよう構成している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 就役予定 | 2029年3月 |
| 車両形式 | 80000形 |
| 開発コンセプト | 「きらめき走れ、ロマンスカー」(水をテーマにしたデザイン思想) |
| 編成 | 7両編成 |
| 台車方式 | ボギー車 |
| 展望席 | 最前・後部に展望車両。水の雫をイメージした大型曲面ガラス |
| 車体色 | 淡い水色(基調)、連結部にバーミリオンオレンジを配色 |
| 外観特徴 | 車体側面に「ゆらぎ」形状、沿線風景を切り取る大型窓 |
| 乗入れ | 箱根登山線へ乗入可能 |
| 環境・保守 | 高い環境性能、メンテナンス省力化を目指した機器搭載 |
| デザイン担当 | 株式会社COA一級建築士事務所(長曽我部 亮氏、岡野 道子氏) |
| 設計担当 | 日本車輌製造株式会社 |
| 問い合わせ | 小田急お客さまセンター 電話 044-299-8200(9:00~17:00) |
| 関連公開 | インタビュー記事掲載(小田急グループブランドサイト) 2025年11月17日11時公開予定 URL: https://www.odakyu.jp/group/brand/article/specialissue-010/ |
本稿では、小田急電鉄が発表した新型ロマンスカーに関するすべての公表情報を整理して伝えた。就役は2029年3月を予定し、形式は80000形、7両編成で展望車両や淡い水色の車体、箱根登山線乗入れなどの特徴が示されている。設計・製造は株式会社COA一級建築士事務所および日本車輌製造株式会社が担当し、詳細設計と製造準備が今後進められる予定である。