SHIFTのAI×人的資本経営を図解、アーカイブ配信開始
ベストカレンダー編集部
2025年11月20日 12:02
SHIFTのAI×人的資本配信
開催日:11月20日
急成長企業SHIFTが提示した“AI×人的資本経営”の全体像と配信開始
一般社団法人プロティアン・キャリア協会は、2025年11月5日(水)11:00に開催されたオンラインセミナー「急成長企業SHIFTの挑戦 ~AIを活用する経営の現場から~」のアーカイブ配信を、2025年11月20日付で開始しました。本稿では当日の講演内容と登壇者の発言、ならびに本セミナーで示されたデータや具体的手法を網羅的に整理して報告します。
本セミナーは、従業員数が約1万5,000人に達するメガベンチャーSHIFTが、どのように人的資本経営を定義し、データとAIを使って組織と個人の成長を両立させているかを具体的に示したものです。アーカイブは無料で視聴可能で、視聴URLは以下です。
- アーカイブ視聴URL:https://youtu.be/UO8X0MsnKSQ
- 配信対象セミナー:2025年11月5日(水)11:00開催分のアーカイブ
SHIFTが実践する人的資本経営――指標と“街の経営”メタファー
SHIFTは組織の人的資本を経営指標として明確に扱うため、独自の指標としてLTV(Life Time Value)を定義しました。LTVは組織における「人の生涯価値」を示すもので、次の式で表現されています。
LTV = ①エンジニア人数 × ②在籍期間 × ③『個』の価値創出
この式に基づき、退職率やエンジニア単価、評価満足度などの人事KPIがLTVへどのように影響するかを定量分析。セミナーでは、2023年度における人的資本投資が69億円であり、これが将来的に+1,043億円のLTV増加に繋がるという試算が公表されました。数値は社内での投資対効果の議論に重要な示唆を与えます。
上岡氏は人的資本経営を「街の経営」という比喩で説明しました。具体的には、「人口流入(採用)の最大化」「人口流出(離職)の最小化」「人の価値の最大化(育成・エンゲージメント)」を基本方針とし、それぞれに対応する施策と数値管理を行っています。
人的資本に関する評価と運用のしくみ
SHIFTがLTVを運用するために整備した仕組みは、主に三つの柱で構成されています。これらはデータ可視化・意思決定プロセス・個別施策という異なるフェーズをつなぎます。
- ヒトログ:全従業員約1万5,000人の属性・行動・スキルを含む450項目をデータ化し一元管理するタレントマネジメントツール。
- 評価会議:役員陣が半期で合計約1,200時間を投下し、ヒトログのデータを基に全従業員の評価と配置最適化を議論する仕組み。『3分でその人のことを把握できる』レベルの情報整備を目指す。
- 人事施策(壮大なおせっかい):データから導かれる年代・属性ごとの関心事(介護や育児、教育、結婚など)に応じた、きめ細かい施策群。
AI導入の現場――採用からオンボーディングまでの具体例と効果
SHIFTは自社を「AIネイティブなSIカンパニー」と位置づけ、人事フローの各段階でAIを導入し効果を検証しています。登壇した上岡氏は、導入済みのツールとその定量的効果を具体的に示しました。
採用、内定、オンボーディングの各プロセスで用いられている主なAIツールと効果は以下の通りです。
| フェーズ | ツール名 | 主な効果 |
|---|---|---|
| 書類選考 | 履歴書分析AI『Resumiru』 | 書類選考時間を15分→8分へ短縮 |
| 内定通知 | AIオファーレター作成ツール『kitene』 | 候補者向けの魅力的なレターを自動生成し、承諾率が+10ポイント改善 |
| オンボーディング | 従業員対応AIエージェント『mentai(めん太くん)』 | 全社員5,200人を対象に実証実験。心理状態や悩みをヒアリングし、上司に言いにくい本音を把握可能に |
上岡氏は『めん太くん』によるAIを用いた対話が、従業員の本音やキャリアの悩みといった定性的な情報を構造化する点を強調しました。AIは単なる自動化にとどまらず、リスク早期発見や育成機会の特定に寄与しています。
データに基づく意思決定と現場の連携
AIやタレントデータは、管理職や役員の判断を補完するための材料として運用されています。評価会議や人事施策は、データを基にした仮説検証の循環を回すことで、組織全体の改善に繋げられています。
そのために必要なデータ整備、会議での時間投下、施策の実行という一連のオペレーションを組織的に回すことが、SHIFTの人的資本経営の肝となっています。
主催側の視点と関連セミナー、登壇者・協会情報の詳細
本セミナーの冒頭では、主催である一般社団法人プロティアン・キャリア協会の森 隆剛が登壇し、協会パーパスである「心理的成功があふれる社会の実現」を紹介しました。協会は個人の主体性を重視する現代版のキャリア理論、すなわち「プロティアン・キャリア」理論に基づく支援を進めています。
協会は今後も、AI時代のキャリア開発や管理職支援をテーマにオンラインセミナーを継続的に開催します。直近の関連セミナーは以下の通りです。
- 【令和時代のマネジメント】開催日時:2025年11月27日(木)11:00-12:00。登壇者:有山 徹(4designs株式会社 代表取締役社長CEO)。詳細・申込:https://4designs-od001.peatix.com/
- 生成AI×キャリア開発―最先端のプロティアン・キャリアドック 開催日時:2025年12月3日(水)11:00〜。登壇者:田中 研之輔(一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事)。詳細・申込:https://protean-ai-career20251203.peatix.com/
登壇者と協会・関連企業のプロフィール
登壇者および関連組織の要点は以下の通りです。職歴や著作、導入実績などが明示されています。
- 上岡 隆(株式会社SHIFT 人事本部 VPoHR)
- 国内大手SIerでのSE経験後、保育事業のNPOを設立。2012年SHIFT入社。部門責任者経験を経て2018年より人事に異動し、年間1,000名超の中途採用を実現するなど採用戦略を主導。
- 田中 研之輔(法政大学キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事)
- 一橋大学大学院後、UC Berkeley、University of Melbourneでの客員研究を経て学術的・実務的にキャリア論・組織論を牽引。著書36冊、社外取締役や顧問を多数歴任。
- 4designs(フォーデザインズ)株式会社
- 所在地:東京都中央区日本橋茅場町2-12-10。設立:2019年7月。代表:有山 徹。事業:経営コンサルティング、人的資本最大化に向けた組織開発支援。導入実績にパナソニックインダストリー、住友商事、森永製菓など200社以上。
協会の基礎情報もあわせて整理すると、正式名称は一般社団法人プロティアン・キャリア協会、所在地は東京都新宿区西新宿3-2-9新宿ワシントンホテルビル本館2F、設立は2020年3月、代表理事は田中 研之輔・有山 徹です。協会の詳細は公式サイトで確認できます:https://protean-career.or.jp/
本記事の要点整理(表形式)と締めくくり
以下に、本記事で触れた主要事項を表にまとめ、最後に簡潔に整理して締めます。本文で示した数値やツール名称、日程、リンクなどを網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セミナー名 | 急成長企業SHIFTの挑戦 ~AIを活用する経営の現場から~(アーカイブ配信) |
| 開催日時(本配信) | 2025年11月5日(水)11:00(アーカイブ配信開始日:2025年11月20日) |
| アーカイブ視聴URL | https://youtu.be/UO8X0MsnKSQ |
| 主な登壇者 | 上岡 隆(株式会社SHIFT 人事本部 VPoHR)、田中 研之輔(法政大学/プロティアン・キャリア協会 代表理事)、森 隆剛(協会) |
| 主要トピック | LTVによる人的資本評価、ヒトログ(450項目)、評価会議(約1,200時間/半期)、データに基づく人事施策 |
| AI導入の具体例 | Resumiru(書類選考時間:15分→8分)、kitene(承諾率+10pt)、mentai(めん太くん、5,200名で実証) |
| LTV試算 | 2023年度:人的資本投資69億円 → 将来的なLTV増加見込み +1,043億円(社内試算) |
| 関連セミナー | 令和時代のマネジメント(2025/11/27)・生成AI×プロティアン・キャリアドック(2025/12/03) 各申込先は本文参照 |
| 主催 | 一般社団法人プロティアン・キャリア協会(所在地:東京都新宿区、設立:2020年3月) |
本セミナーは、人的資本を企業価値に直結させるための指標設計、データ基盤の整備、AIを活用した業務効率化と心理・行動の可視化といった複合的な取り組みを一つの事例として示しました。提示された数値やツール名、登壇者の発言を踏まえると、人的資本経営の推進にはデータ整備と経営レイヤーの時間投下、そして現場と管理層をつなぐ運用設計が不可欠であることが改めて確認できます。
本稿で整理した情報は、アーカイブ視聴や各種公式ページで原文をご確認いただくことで、より詳細な理解につながります。
参考リンク: