矢口史靖『ドールハウス』発売記念上映と制作秘話

ドールハウス発売記念上映

開催期間:11月17日〜11月26日

ドールハウス発売記念上映
この映画ってホラーなの?
矢口監督自身は“ホラー”とは言わず「ドールミステリー」と説明している。人形が暴れる派手な演出ではなく、家に居続ける得体の知れない存在による精神的な圧迫を丁寧に描く心理的な恐怖が中心だ。
Blu-ray豪華版の特典って何があるの?
Blu-ray豪華版は新規制作番組「生き人形は実在する」をはじめ、新撮インタビュー「矢口監督に聞く!『ドールハウス』の秘密」、メイキング、海外映画祭映像、絵コンテやデザイン画、Q&Aなど豊富な映像特典が収録される。

矢口史靖の新境地――“ドールミステリー”『ドールハウス』の誕生

第45回ポルト国際映画祭でグランプリ(Best Film Award)を受賞した映画『ドールハウス』は、矢口史靖監督が原案・脚本・監督を務めた最新作であり、従来の“青春映画”というイメージとは一線を画す作品である。監督自身が「ホラーではなくミステリーの要素を持つ」と位置づけた本作は、日常空間に居続ける“得体の知れない存在”によって精神的な圧迫が生じる様を描く、いわば日本的な恐怖表現の系譜に属する作品である。

企画の発端は、矢口監督が“カタギリ”という架空の新人脚本家名義でプロットを提出したことにある。過去作のイメージによる先入観を避ける目的で匿名性を用いたが、それが功を奏し深津智男プロデューサーらの賛同を得て企画は前進。最終的には遠藤学プロデューサー(東宝)へ渡り「ぜひ映画化したい」との判断につながった。準備段階で実は作者が矢口本人であると告白するエピソードもあり、作品完成までの経緯はユーモアと戦略が混ざったものであった。

映画『ドールハウス』Blu-ray&DVD発売記念 特別上映&トークショー開催 画像 2

物語構成と脚本の書き方

矢口監督は、まず物語の骨組みを固める手法を採る。主人公の置かれる状況と結末の骨格を定め、その上でファーストシーンから順に積み上げて脚本化していくという。プロット段階から非常に詳細に書き込むため、プロットがそのままシナリオに近い形になることもあるという。プロットは横書き、脚本は縦書きという言葉で両者の違いを説明している。

当初のプロットで外した場面の具体例も挙がっている。子どもが台所でイチゴをミキサーに入れ、誤ってスイッチを入れてしまうシーンは恐ろしさはあるものの人形の“悪さ”とは別筋になるため削除された。こうした取捨選択を経て、主題の核を明確に保つ構成が貫かれている。

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池袋・新文芸坐での特集上映とトークショーの模様

『ドールハウス』のBlu-ray&DVD発売(2025年11月19日発売)を記念して、2025年11月17日(月)から11月26日(水)まで東京・池袋の新文芸坐にて特集企画「矢口史靖の呼吸」が実施された。上映ラインナップは監督の初期作から代表作までを含む厳選5本で、次の作品がプログラムされた。

  • 『ひみつの花園’
  • 『アドレナリンドライブ』
  • 『スウィングガールズ』
  • 『WOOD JOB!~神去なあなあ日常』
  • 『ドールハウス』

会期中の11月23日(日)には、遠藤学プロデューサーを聞き手に矢口監督によるトークショーとサイン会が行われ、多数の観客が来場した。トークは監督の挨拶「今日は楽しい話…いや、怖い話をしに来ました」という導入から始まり、『スウィングガールズ』と『ドールハウス』を連続で鑑賞した観客への配慮を交えつつ進行した。

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トーク内容の主要ポイント

トークのなかでは、企画誕生の経緯、キャスティング、造形のこだわり、映画表現としての恐怖の作法、海外での反応など多岐にわたる話題が扱われた。矢口監督は“カタギリ”名義の使用理由として先入観の排除を挙げ、最終的に自らが作者であると白状した経緯を明かした。

さらに、当日は『ドールハウス』の前に『スウィングガールズ』が上映されていたため、多くの観客が2作を続けて鑑賞しており、監督はその組み合わせが精神的に影響を及ぼす可能性をユーモアを交えて語った。上映プログラムの意図と観客体験が直接結びつくかたちで進行した点が印象に残る。

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キャスティング、造形、海外反応、そしてBlu-ray&DVDの見どころ

主演の長澤まさみ起用について、矢口監督は当て書きはしないものの長澤の名前が最初に浮かび、以前の共演経験からキャラクターに没入してくれる人材だと判断したと説明している。長澤はプロットを読み「この話どこまで行ってしまうのだろう」と最後まで引き込まれ、出演を希望したという経緯がある。

劇中で重要な役割を果たす“アヤ人形”の造形は、監督が選んだ実際の子役・本田都々花に似せて制作され、藤原カクセイ氏が担当した。監督は「置いてあるだけで『人かも』と感じさせる」造形を目指し、カメラ前で人形を動かしたり喋らせたりするギミックは使用せず、日本的恐怖の作法に従って徐々に本性を示す演出を行った。

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日本的恐怖表現と海外観客の反応

矢口監督はハリウッド的な「物理で倒せる恐怖」とは異なり、「家に居続ける、壊せない存在」による精神的圧迫を描くことに重点を置いていると述べた。観客と登場人物が“どっちかわからない”状況を長く続けることで恐怖を増幅させる手法がとられている。

海外では、観客が叫びや笑いを全身で表現する様子が印象的だったと監督は語っている。ポルト国際映画祭でのグランプリ受賞や、観客の反応を通して、日本とは異なる鑑賞態度の中でも作品が伝わった点が確認された。

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Blu-ray&DVDの仕様と映像特典

『ドールハウス』のBlu-ray&DVDは2025年11月19日(水)に発売された。発売・販売元は東宝。ラインナップと価格は次の通りである。

Blu-ray豪華版
価格:8,250円(税込)
DVD通常版
価格:4,400円(税込)

映像特典として、Blu-ray豪華版に収録された新規制作番組「生き人形は実在する」が最大の見どころに挙げられている。江戸時代から続く“生き人形”文化の解説映像を通じて、作品の背景にある民俗的・歴史的要素が掘り下げられている。

そのほか、監督への新撮インタビュー「矢口監督に聞く!『ドールハウス』の秘密」、メイキング、イベント映像、海外映画祭映像、絵コンテやデザイン画、Q&Aコーナーなど、できる限り多くの資料を収録している点が強調されている。

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イベント閉幕と販売情報の整理

トークショー終了後にはBlu-ray&DVD購入者を対象としたサイン会が実施され、監督とファンとの交流が行われた。署名会は発売記念の催しとして、上映・トークという一連のイベントの締めくくりとして位置づけられた。

なお、本作の制作背景には監督が長年温めてきた要素がある。稲川淳二の「生き人形」エピソードや山岸涼子の漫画「わたしの人形は良い人形」など、大学時代からの記憶が熟成して本作に至ったとされ、監督本人も次回作については具体的な企画はないが、時間をかけて生まれる可能性を示唆している。

項目 内容
作品 映画『ドールハウス』(原案・脚本・監督:矢口史靖)
特集上映 2025年11月17日〜11月26日/新文芸坐(池袋)「矢口史靖の呼吸」全5本上映
トークショー 2025年11月23日/遠藤学プロデューサー聞き手、矢口史靖監督登壇(トーク&サイン会実施)
受賞 第45回ポルト国際映画祭 グランプリ(Best Film Award)受賞
Blu-ray&DVD発売日 2025年11月19日(水)
価格 Blu-ray豪華版:8,250円(税込)/DVD通常版:4,400円(税込)
特典(主な収録内容) 新規映像「生き人形は実在する」、新撮インタビュー、メイキング、イベント映像、海外映画祭映像、絵コンテ、デザイン画、Q&A など
発売・販売元 東宝(TOHO CO., LTD.)
公式サイト https://dollhouse-movie.toho.co.jp/
著作権表示 ©2025 TOHO CO., LTD.

以上が、『ドールハウス』に関する上映企画、トークショーの模様、制作上の背景、Blu-ray&DVDの仕様と特典に関する要点の整理である。上映と発売に伴う一連の情報は、作品理解を深めるための資料や映像が充実している点が特徴となっている。

参考リンク: