12/1公募開始|金乃竹が旅館で日本文化体験の提供者を募集
ベストカレンダー編集部
2025年11月27日 15:42
リョカンス一般公募開始
開催日:12月1日
旅館滞在を「体験」に変えるプロジェクト「Ryocance(リョカンス)」の全貌
金乃竹リゾートが2024年1月に導入した「Ryocance(リョカンス)」は、“旅館 × バカンス”をコンセプトに、宿泊中に日本文化を実際に体験できるプログラム群です。茶道や着付け、よさこい踊り、握り寿司体験といった多彩なメニューを通じて、滞在時間そのものを体験価値に変える仕組みが特徴です。
導入の背景には、金乃竹リゾートの宿泊者の約6割がインバウンドであり、日本文化を深く体験したいというニーズの高まりがあります。滞在に新たな体験価値を加えることで顧客満足度や連泊率の向上を図ると同時に、チェックイン・チェックアウトや清掃など運営面の効率化にもつなげています。
提供中の体験メニューと現場の声
現在提供されているプランは伝統衣装(浴衣/着物/甲冑)体験、書道体験、お茶体験(抹茶)、Sake倶楽部(地酒/ジャパニーズウィスキー)、よさこい踊り体験、握り寿司体験など多岐にわたります。これらは、滞在客が地域文化に触れる機会として好評を得ています。
現場のスタッフの感想もプロジェクトの特徴を物語ります。あるスタッフは77歳で、松坂屋本店に4年勤務、普段は設備保守を担当しています。茶道歴は約14年あり、自らの得意や知識を海外のお客様に提供できることが新たなやる気につながっていると述べています。英語が話せない場合でも他スタッフが言語面をサポートし、言葉を超えた交流が生まれている点が強調されています。
- スタッフのプロフィール(抜粋)
- 年齢:77歳/勤務先:松坂屋本店(4年)/担当業務:設備保守/茶道歴:約14年/コメント:海外のお客様との感情的なコミュニケーションが楽しい、言語はスタッフがサポート
一般公募開始 — 誰でも提供者になれる仕組みと報酬
金乃竹リゾートはこれまで社内に限定していた体験提供者の募集を、2025年12月1日より一般公募へと拡大します。プロ資格や指導経験を問わず、日本文化や箱根の魅力を伝えたい熱意のある個人であれば応募可能です。
対象となる候補者像として、定年退職後に新しい挑戦を求める方、子育てがひと段落した主婦・主夫、自宅では教室を開きにくいフリーランスなどが挙げられています。個人の知識やスキルを旅館という場で提供することができ、提供する側にも収入や交流の機会が生まれます。
公募の具体的条件と募集例
募集では性別・国籍・特別な資格や経歴は問われません。募集開始は2025年12月1日で、報酬は販売料金の80%が提供者の収入となり、残り20%が手数料として運営側に設定されています。
提供内容の例としては華道・陶芸・和菓子作り・紙芝居体験・風呂敷の包み方などが明示されています。短時間のプログラムや半日程度の体験まで、多様なメニュー設計が想定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集開始日 | 2025年12月1日 |
| 応募条件 | 年齢・性別・国籍不問、資格不問。日本文化や箱根の魅力を伝えたい熱意があること |
| 報酬 | 販売料金の80%(手数料20%) |
| 想定提供時間 | 10:30〜13:00のアイドルタイム活用例あり(短時間枠中心) |
- 提供施設:金乃竹 塔ノ澤(塔ノ澤)
- 松坂屋本店(芦之湯)
- 金乃竹 茶寮(仙石原)
- 金乃竹 仙石原(仙石原)
- Hotel坐樂閑(箱根湯本)
地域課題と旅行者ニーズをつなぐ狙い
一般公募に踏み切った背景には、訪日旅行者の行動変化と社会課題の両面があります。2025年時点で訪日外国人の旅のスタイルは従来の観光地巡りから、地域の人々と交流し文化や暮らしを体験する“体験型の旅”へとシフトしています。こうした変化に対応することで、地域ならではの魅力を体験商品として提供する狙いがあります。
同時に、内閣府が指摘する孤独・孤立の問題に代表されるように、地域内のリアルな交流機会は減少しています。ビジネス化されていない才能や特技を持つ個人を発掘し、旅館というプラットフォームで活躍機会に結びつけることで、個人の社会参加と地域の活性化を目指します。
期待される効果と社会的意義
この取り組みは、単なる観光の充実だけではなく、教育(地域文化の継承)、健康(滞在による心身のリフレッシュ)、雇用(新たな収入機会の創出)、コミュニケーション(多様な人々の交流)といった複数の社会的効果を念頭に置いています。地域経済の活性化と文化継承を同時に目指す構想です。
旅館側の狙いは、滞在時間に価値を付与することで顧客満足度と滞在日数を伸ばし、運営面では業務の効率化やスタッフの副収入機会の提供につなげることにもあります。
- 観光:体験型旅行ニーズの受け皿
- 地域活性化:眠れる才能の可視化と活用
- 社会貢献:孤独・孤立の緩和、異文化交流の促進
金乃竹リゾートの歩みと取り組みの整理
金乃竹リゾートは1947年に神奈川県箱根町仙石原で最初の温泉旅館を開業し、1999年には貸切露天風呂による新たな楽しみ方を提供して以来、旅館経営の多様化を進めてきました。現在は旅館5施設と飲食店3店舗を運営し、クラフトビールなどの新規事業も展開しています。
本プロジェクトは、こうした長年の事業基盤と地域資源を活かしつつ、外部環境の変化に対応して持続可能な成長を図る戦略の一環です。代表取締役社長は八幡 正昭氏、本社は神奈川県箱根町にあります。
サステナビリティ関連の取り組み
グループのシンボルである「竹」は持続可能な素材である一方、放置竹林の課題もあります。金乃竹グループはこの課題に対し、竹製歯ブラシやヘアブラシといった客室アメニティの導入、Spaでのナチュラル素材使用、鉄板焼「禅」における野菜の皮や石づきなど通常廃棄される食材の活用を進めています。
これらは食材ロス削減や環境配慮を通じた持続可能な運営の一部であり、地域資源の循環と旅館経営の両立を目指す取り組みでもあります。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| プロジェクト名 | Ryocance(リョカンス) |
| 導入時期 | 2024年1月導入(一般公募は2025年12月1日開始) |
| 募集対象 | 年齢・性別・国籍・資格不問。地域文化を伝えたい個人 |
| 報酬 | 販売料金の80%(手数料20%) |
| 提供例 | 茶道、着付け、握り寿司、よさこい、書道、華道、陶芸、和菓子作り、紙芝居、風呂敷包み等 |
| 提供施設 | 金乃竹 塔ノ澤、松坂屋本店、金乃竹 茶寮、金乃竹 仙石原、Hotel坐樂閑 |
| 会社情報 | 株式会社金乃竹(本社:神奈川県箱根町)、代表取締役社長:八幡 正昭、旅館5店舗・飲食店3店舗運営 |
この記事では、金乃竹リゾートが進める「Ryocance(リョカンス)」の内容、一般公募の条件・報酬体系、地域活性化やサステナビリティへの取り組み、会社の沿革と戦略を整理しました。旅館という場を通じて個人の特技を活かす仕組みは、観光需要の多様化と地域資源の再評価という両面で意義があるといえます。