「令和版ハウス55」3D住宅コンペ、応募締切は12/14

令和版ハウス55コンペ

開催日情報なし

令和版ハウス55コンペ
締切っていつなの?
応募締切は2025年12月14日(日)23:59まで。応募は建築系マッチングサービス「スタジオアンビルト」の該当コンペページから行い、提出物やファイル形式は同ページで最終確認して下さい。
採用されたら本当に建ててもらえるの?
採用案は実際に3Dプリンター住宅として具現化される予定で、採用後に設計契約を別途協議して締結します。コンペ賞金は選考段階の対価で契約金は別途協議されます。

令和の住宅危機に応える「令和版ハウス55」の意義

セレンディクス株式会社が2025年12月14日まで応募を受け付ける3Dプリンター住宅デザインコンペ「令和版ハウス55開発プロジェクト」は、現代日本が直面する住宅市場の課題に直接対応する試みとして位置づけられます。住宅ローン借入時の平均年齢が44.5歳に達し、完済予定年齢が70代後半になる事例が生じている現状や、新築マンションの年収倍率が全国平均で10.09倍、東京都では17.78倍に上るという指標は(2024年10月 株式会社東京カンテイ調べ)、住宅取得のハードルが極めて高くなっていることを示しています。

こうした状況を背景に、約50年前に政府が掲げた「ハウス55計画」の理念――低価格で住宅を大量に供給する仕組みの構築――を、3Dプリンター技術で現代に再構築することが本コンペの基盤です。参加者は、50平方メートルの住宅を「車を買う価格」で安定供給できるデザインを提案することが求められます。単なるコンセプト提示ではなく、採用された案は実際に3Dプリンター住宅として具現化され、設計契約に向けた協議が行われる点が特徴です。

セレンディクス初の3Dプリンター住宅デザインコンペを開催 画像 2

背景データと課題認識

本プロジェクトは、日本の住宅取得の困難さを数値で示した現状認識を出発点としています。住宅ローンや年収倍率といったデータは、住宅購入の負担が世代を超えて拡大していることを裏付けます。ハウス55の再評価は、コストダウンと生産効率の向上を両立させる手段として、デジタル化・自動化技術の活用を前提としています。

そのため本コンペは、単に安価であること以上に、耐久性・機能性・美しさを兼ね備えた実現可能な設計を重視します。過去の国家プロジェクトが物価変動などにより目標を達成できなかった経験を踏まえ、今回は3Dプリンター技術という現代的な手段をもって、供給の安定化を図る意図があります。

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コンペの具体的な要項と応募方法

本コンペの正式名称は「令和版ハウス55開発プロジェクト」で、応募締切は2025年12月14日(日)23:59です。応募は建築系マッチングサービス「スタジオアンビルト」を通じて行います。応募ページのURLは以下の通りです。

https://www.studiounbuilt.com/compes/19186

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賞金と採用後の取り扱い

本コンペの賞金は以下の通りに設定されています。受賞はアイデア評価の結果に基づきますが、本採用されたデザインは実際に3Dプリンター住宅として建設され、別途設計契約を協議の上で結ぶ点が明記されています。賞金はコンペの段階での金銭的対価であり、設計契約締結時の契約金は別途協議されます。

  • 1等:114,000円
  • 2等:8,000円
  • 3等:5,000円
  • アイデア賞:1,000円
  • グラフィック賞:1,000円
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応募条件と提出物

本コンペが求める仕様は具体的です。対象は夫婦2人世帯を想定した1階建て、50平方メートルの住宅で、構造は3Dプリンターによるコンクリート造、屋根まで一体成型が可能な設計であることが条件です。デザイン指針として「そぎ落とした美学」を持つシンプルな美しさが求められています。

提出物の詳細は以下の通りです。ファイルサイズや形式の指定も明確にされていますので、応募前にスタジオアンビルトの応募ページで最終確認が必要です。

必須提出物
意匠図、コンセプト、平面図・立面図(縮尺は自由)
視覚資料
イメージ(パース、スケッチ、模型写真など)
サイズ・形式
A3サイズ、ファイル形式:JPG/PNG/GIF(PDFも添付可)
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セレンディクスの実績と技術的優位性

セレンディクスは2018年創業の企業で、日本初の3Dプリンター住宅メーカーとして実務的な実績を積んでいます。2022年に日本初の3Dプリンター住宅を完成させ、2024年9月には2人世帯向け住宅「serendix50」の第1号棟を石川県珠洲市に建築しました。さらに2025年にはJR駅舎の建設を手掛けるなど、住宅以外の建築にも3Dプリンター技術を適用する実例を持ちます。

機能面では、3Dプリンター住宅は構造強度・耐火性・耐水性・断熱性の4点で既に優位性が確認されていると報告されています。今回のコンペではこれに加えて『美しさ』を5つ目の評価軸とし、設計の美学を兼ね備えた住宅設計を募集しています。

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主な事例と国際的な取り組み

セレンディクスは国内外で実用化を進める一方、国際協力にも関与しています。2024年には「日・ウクライナ経済復興推進会議」でウクライナの復興住宅建設に関して現地建設会社と覚書を締結しており、ウクライナでの復興住宅デザインイメージが参考資料として提示されています。

また、JR西日本グループとの資本業務提携により、駅舎を3Dプリンターで建設するプロジェクトも進行中です。プレスリリースでは建築事例としてJR初島駅(和歌山県有田市)とserendix50(石川県珠洲市)を挙げており、実際の出力イメージや屋根含む一体成形のイメージも公開されています。

応募にあたっての実務的注意点と採用後のプロセス

応募を検討する設計者・デザイナーは、3Dプリンターの一体成型という技術的制約を理解した上で、構造的に実現可能かつ美的要件を満たす提案を準備することが求められます。提出図面は縮尺自由ですが、意匠図・平面図・立面図といった基本的図面の他、完成イメージを具体的に伝えるためのパースや模型写真などのビジュアル資料を揃えることが推奨されます。

採用された場合は実際の住宅建設に向けた設計契約を別途協議して締結します。コンペ賞金はA案選定段階での対価であり、設計契約の対価は採用後に協議されるため、応募者はその点を理解しておく必要があります。

審査の観点(想定)

審査では以下の点が重視されることが想定されます。設計者はこれらを踏まえて提案内容を整理してください。

  1. 50㎡という面積制約下での機能性・動線の合理性
  2. 3Dプリンター一体成型に適した構造設計と施工性
  3. コスト目標(「車を買う価格」)に向けた材料選定・工法設計
  4. 日本的な「そぎ落とした美学」を表現する美術的完成度
  5. 耐火・耐水・断熱など性能面の説明・裏付け

提出前の最終確認や詳細は、応募ページ(スタジオアンビルト 公募ページ)を参照することが必要です。

要点の整理

以下の表は、本コンペに関する主要な情報を整理したものです。応募を検討する際の要点を一目で把握できるようにまとめています。

項目 内容
コンペ名 令和版ハウス55開発プロジェクト
主催 セレンディクス株式会社
応募締切 2025年12月14日(日)23:59
応募方法 スタジオアンビルト上の応募ページ(https://www.studiounbuilt.com/compes/19186)より応募
賞金 1等 114,000円/2等 8,000円/3等 5,000円/アイデア賞 1,000円/グラフィック賞 1,000円
募集対象 50平方メートル、1階建て、夫婦2人世帯想定、屋根含む一体成型が可能な3Dプリンター(コンクリート造)住宅
提出物 意匠図・コンセプト・平面図・立面図(縮尺自由)、イメージ(パース等)、A3サイズ、JPG/PNG/GIF(PDF可)
採用後 実際に3Dプリンター住宅を建設。設計契約は別途協議
技術的優位性 構造強度、耐火性、耐水性、断熱性に優れ、今回『美しさ』を評価軸に追加
主な実績 2022年 日本初3Dプリンター住宅完成、2024年 serendix50(石川県珠洲市)建築、JR駅舎建設プロジェクト等
本社所在地・創業等 兵庫県西宮市甲陽園目神山町1-1/創業:2018年8月/資本金:6億1,700万円(準備金等含む)

本稿では、セレンディクスが掲げる「令和版ハウス55」というコンセプトの意義、コンペの具体的な要項、提出物や審査の観点、セレンディクスのこれまでの実績と技術的優位性を整理しました。応募を検討する際は、上記の要点と提出要件を踏まえ、スタジオアンビルトの応募ページで最新情報を確認してください。