帝国データバンク:2025年の食品値上げ2万609品目

食品値上げ動向2025

開催日:11月28日

食品値上げ動向2025
値上げはどれくらい広がってるの?
帝国データバンクの調査で2025年の飲食料品の値上げは累計2万609品目、前年比+64.6%。特に調味料(6221品目)や酒類(4901品目)が大幅に増え、平均値上げ率は約15%です。
来年(2026年)は落ち着くの?
2026年は4月まで判明分で1044品目にとどまり、来春にかけて一旦値上げラッシュは収束する見通し。ただし原材料高や円安など次第で追加の値上げが起こる可能性は残ります。

帝国データバンクの調査が示す2025年の“値上げの実態”

株式会社帝国データバンクが2025年11月28日午前9時に公表した「食品主要195社 価格改定動向調査(2025年12月/2026年)」によれば、2025年の飲食料品における値上げは合計2万609品目に達した。この数は前年の1万2520品目を64.6%上回る規模で、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超える水準である。

調査は食品主要195社を対象に、各社が発表した価格改定情報を基に集計しており、年内に複数回値上げを行った品目はそれぞれ別品目としてカウントされている。値上げ率は発表時点の最大値を採用し、価格据え置きや内容量減による「実質値上げ」も対象に含めている。

2026年の値上げ、累計1044品目 今年の8割減ペース 値上げラッシュは来春にかけて一時収束へ 2025年は2万609品目、2年ぶり2万品目超 画像 2

品目別・分野別の傾向

2025年の分野別では、調味料が最も多く6221品目、前年の1715品目から大幅に増加し、+4506品目・+262.7%となった。酒類・飲料も清涼飲料水、ビール、清酒、焼酎、ワイン等を含めて4901品目と大きく増加した。

1回当たりの平均値上げ率は2025年通年で15%となり、前年の17%からやや低下している。一方で、値上げの勢いは依然として強く、分野により値上げの広がりに違いが見られる。

  • 調味料:6221品目(前年比+262.7%、2022年以降で2番目に多い水準)
  • 酒類・飲料:4901品目(清涼飲料水や各種酒類で幅広く値上げ)
2026年の値上げ、累計1044品目 今年の8割減ペース 値上げラッシュは来春にかけて一時収束へ 2025年は2万609品目、2年ぶり2万品目超 画像 3

2026年の値上げ見通し――一時的な収束の兆しと構造的要因

2026年の値上げ予定品目数は、2026年4月までに判明した分で1044品目となった。これは前年同時期に公表された2025年の見通し(4417品目)を大幅に下回る水準であり、同時点での推移は2024年以降で最も少なかった2024年の水準を下回る見込みである。

11月末時点の状況では、2026年分として単月あたり1千品目を超える大規模な値上げは確認されておらず、来春にかけて断続的に続いた「値上げラッシュ」は一旦収束する見通しとなっている。ただし、中長期的には粘着的な値上げ機運が続く可能性は残る。

分野別内訳と割合

2026年に判明した1044品目のうち、酒類・飲料が509品目で約半数を占め、冷凍食品やパックごはんなどの加工食品が397品目であった。これら2分野で全体の約9割を占めている。

簡潔な内訳は以下の通りで、分野集中が鮮明である。

酒類・飲料
509品目(約半数)
加工食品
397品目

値上げ要因の詳細――原材料高が主因、サービス由来は低下傾向

2026年の値上げ要因としては、2025年に続いて「原材料高」が最も多く、全体の99.7%を占めた。天候不順による不作や原材料価格の上昇が目立ち、値上げ主因がサービス由来からモノ由来へと再び回帰する動きが見られる。

一方で、包装資材や物流、人件費などサービス由来のコスト上昇も要因として存在するが、2024年に比べるとその割合は低下傾向にある。

主要な要因の割合

調査で示された主な要因と割合は以下のとおりである。複数要因が重なるケースもある。

  • 原材料高:99.7%
  • 包装・資材:51.5%
  • 物流費(輸送コスト):36.1%(トラックドライバーの時間外労働規制などの影響も含む)
  • 人件費:34.4%

また、為替の影響としては1ドル150円台半ばで推移する円安が続いており、原油高を背景に紙パック、食品トレー、包装フィルムなどの資材価格上昇が見込まれている。これにより、今冬以降に資材由来の追加的な値上げが順次出る可能性がある。

2025年12月の動きと年間の特徴、そして主要数字の整理

2025年12月単月では、チョコレート菓子や大豆加工品、調味料など217品目で値上げが確認され、1回あたりの値上げ率平均は17%であった。前年12月の109品目から+108品目、+99.1%と2カ月ぶりに前年を上回ったが、単月の品目数としては2025年内で11月に次いで2番目に少ない低水準だった。

これらの月次動向を踏まえ、2025年通年では累計2万609品目、1回当たりの平均値上げ率は15%という結果になっている。2023年の水準を下回る月もあったが、年間で見ると依然として高い水準が続いた。

調査上の留意点

集計にあたっては各社の発表を基にしており、年内に複数回の値上げを実施した品目はそれぞれ別品目としてカウントしている。また、値上げ率は発表時点の最大値を採用している点にも留意が必要である。

加えて、価格据え置きによる実質値上げ(内容量の削減等)も本調査の対象に含めているため、数値にはこうした実務的な価格改定の手法も反映されている。

以下の表は、本文で触れた主要な数値やポイントを整理したものである。調査対象、期間、品目数、主な要因等を一目で確認できるようにまとめている。

項目 数値・内容
発表機関 株式会社帝国データバンク(発表日:2025年11月28日 09:00)
調査対象 食品主要195社(家庭用中心)
2025年 合計値上げ品目数 2万609品目(前年:1万2520品目、増減率:+64.6%)
2026年 判明分(~4月)の値上げ予定数 1044品目(前年同時期見通し:4417品目と比較し約8割減)
2025年12月の値上げ 217品目、1回当たり平均値上げ率:17%
2025年の平均値上げ率 15%(前年:17%)
分野別の突出項目 調味料:6221品目(+262.7%)、酒類・飲料:4901品目
2026年の分野別内訳(判明分) 酒類・飲料:509品目、加工食品:397品目(合計で約9割を占める)
主な値上げ要因(割合) 原材料高:99.7%、包装・資材:51.5%、物流費:36.1%、人件費:34.4%

本調査の結果は、物価動向や企業のコスト転嫁の実態を示す重要な指標であり、分野ごとの偏り、要因別の構成比、季節的な動きなど多面的な情報を提供している。2026年にかけて単月の値上げのピークは一旦落ち着く見通しであるが、原材料価格や為替、資材価格の動向次第では追加的な値上げが発生する可能性が残されている点は注目すべきである。