6割がパワハラ経験、退職を招く職場の実態を全国200名調査
ベストカレンダー編集部
2025年11月28日 14:56
ハラスメント実態調査
開催期間:11月14日〜11月17日
調査の背景と実施概要:なぜ退職につながるハラスメントを改めて問うのか
WebGiftが公開した調査レポートは、退職につながるハラスメントの実態を明らかにすることを目的に実施されました。調査は職場でのハラスメントが原因で会社を辞めた人、もしくは退職を検討した人を対象に行われ、現場レベルでの「辞めざるを得ない」状況を数量的に把握することを主眼としています。
発表はWebGift(株式会社ウェブギフト)が運営する「オフィスギフト」によるもので、公開日時は2025年11月28日 11時59分となっています。本リリースは、社内の対策が進む中で依然として残る現場の現実を可視化するための一次資料として位置づけられます。
- 調査対象期間
- 2025年11月14日〜2025年11月17日
- 調査機関・方法
- クラウドワークスによるインターネットアンケート
- 調査対象
- ハラスメントが原因で会社を辞めた人、もしくは辞めることを検討している人
- 有効回答数
- 200名(単一回答)
調査では単に発生率を問うだけでなく、どのような行為が退職の決定打となったのか、加害者は職場のどの立場の人物だったのか、会社の対応はどうだったのか、といったプロセスを追っています。以下では、調査結果の主要な数値と実際の体験談を網羅的に紹介します。
何が決定打になったのか:被害の種類と具体的な事例
まず退職や退職検討に至ったハラスメントの種類について、今回の回答からは「パワーハラスメント」が最も多く、約6割を占めました。次いで「モラハラ」が約3割を占め、これら二つが大半を占める構図です。セクハラやマタハラ・パタハラ、カスハラなどは限定的ではあるものの、被害として挙がっています。
以下は、調査で寄せられた具体的な体験談の抜粋です。職場での言動や勤務形態、行為の性質が多岐にわたっていることがわかります。
育児・妊娠に関する配慮不足とマタハラ事例
育児や妊娠に関する配慮が欠如していたことで退職に至ったケースが報告されています。時短勤務やつわりへの理解不足が明確に記述されていました。
代表的な声として、「時短勤務に対して上司から『正社員なのになぜ時短勤務なのか』と言われた」(30代女性)や、「妊娠中のつわりに『病気じゃないから我慢して』とプレッシャーをかけられた」(40代女性)といった発言が挙がっています。
暴言・威圧・人格否定の事例(パワハラ)
上司や先輩からの怒鳴りや人格否定によって精神的に追い詰められ、体調を崩して退職した例が多数挙がりました。会議中や同僚の前での叱責が継続的に行われていることが共通しています。
具体的には「『仕事ができない』『君は使えない』と日常的に言われ、最終的に体調を崩して退職した」(30代女性)、「『お前を雇ってくれるのはこの会社しかない』などと言われる」(30代女性)という声が寄せられています。
セクハラや不適切な性的発言の事例
性的な発言や行為で強い不快感を覚えたという事例も報告されています。職場内や出張先での性に関する不適切な質問や言動が含まれます。
例として、「髪型や胸に関する性的な発言が毎日のように続き、不快で退職に至った」(40代女性)、「海外出張の場で下着のストックを尋ねられるなどの性的質問を受けた」(40代女性)といった記述があります。
過重労働・業務押し付けによる疲弊
長時間労働や過重な雑務の押し付けも退職の要因となっています。休職や配置転換の要求がかえって不利益を招いたという例もありました。
具体例では、「最大19連勤があり過労で体を壊した後、休職を勧められ収入が途絶えて退職に追い込まれた」(50代女性)、「雑務を押し付けられ長時間労働でうつ病になり退職した」(40代男性)などがあります。
無視・孤立化などモラハラ的行為
挨拶を無視される、業務連絡から意図的に外されるといった孤立化も退職の一因です。関係の断絶が精神的負担を増大させています。
被害者の声には「挨拶をしても無視され質問しても答えない」「シフトを急に変えられ無視された」などが含まれます(20〜30代の男女の事例が寄せられています)。
誰が加害者で、その後どのような対応がとられたか
被害を受けた人が感じた職場内の力関係やその後の行動については、加害者の立場や会社の対応が重要な指標になります。本調査では加害者の立場と被害者の対応行動、会社側の対応の評価を数値で示しています。
下記に調査の主要な数値を整理します。数値は単一回答の集計に基づいています。
- 加害者の立場(200名中)
- 直属の上司:120名(60%)
- 経営者・管理職層:43名(21.5%)
- 同僚:32名(16%)
- 顧客・取引先:4名(2%)
- 部下:1名(0.5%)
- 被害後の行動(200名中)
- 転職・退職を決意した:71件
- 我慢した(相談できなかった):60件
- 上司・人事に相談した:36件
- 同僚に相談した:28件
- 労働組合・外部窓口に相談した:5件
会社の対応の実態
会社に相談しない選択が最多であり、相談した場合でも問題解決につながる対応はほとんど見られませんでした。組織内での対応が信頼を得られていない実態が浮かび上がります。
具体的な内訳は以下のとおりです(単一回答)。
- 会社には相談していない:90件
- 取り合ってもらえなかった:53件
- 調査はしたが改善しなかった:32件
- 一応注意はしてくれた:17件
- 何もしなかった:6件
- 加害者の異動や処分で解決した例:0件
退職までのトラブルと具体例
退職を申し出てから実際に辞めるまでにトラブルがあったと答えた人は69名、なかった人は131名でした。トラブルの内容は引き止めや有給消化の不当対応、退職勧奨の行き過ぎなど多岐にわたります。
寄せられた具体的事例を抜粋します。
- 有給を消化させてもらえない、必要書類を渡さないなどで金銭面・業務面の不利益が生じた(30代男性)
- 退職意思を伝えた後、役員面談や連日3時間の説得で精神的苦痛を受けた(40代女性)
- モラハラ上司に対する謝罪を事実上強要された(40代女性)
- 退職勧奨がエスカレートし労働審判・裁判に発展した(30代女性)
- 復帰後に雑務のみを割り当てられ窓際に追いやられた(40代男性)
職場で “新たなハラスメント” と捉えられている事象
法的なグレーゾーンにあるものの日常的な違和感として受け止められている行為も報告されています。職種による差別的扱いや勤務時間外の連絡などが例示されました。
代表的なエピソードには「職種が違うだけで声かけをされない」「勤務時間外の電話連絡が常態化している」などがあり、個々の小さな出来事の蓄積が被害者の精神的負担を増していると考えられます。
被害の広がりとレポートの要点整理
本調査は、被害の所在が一部の業種や地域に限られないことを示しています。職場による対応の差や組織内の力関係が被害の広がりに影響している様子が見て取れます。
この章では、エリア別の発生件数や同僚の被害状況、そして本記事の監修者と調査元情報を含めて整理します。
エリア別件数(単一回答・200名)
ハラスメントによる退職は全国で認められますが、件数は人口分布と業務集中の影響を受けています。以下が回答に基づく地域分布です。
| エリア | 件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 関東 | 83件 | 全体の約4割で最多 |
| 関西 | 37件 | |
| 中部 | 32件 | |
| 北海道・東北 | 19件 | |
| 中国・四国 | 15件 | |
| 九州・沖縄 | 14件 |
同僚への影響と職場の実情
調査回答者のうち110名(55%)が「同僚にハラスメントが原因で退職した人がいる」と回答しており、個人の被害が職場内で波及している状況が示されています。
同僚の事例も人格否定や無視、シフト調整など多様で、職場全体の運営や人間関係に恒常的な歪みが生じていることを示唆します。以下に寄せられた同僚の事例を挙げます。
- 毎日のイヤミで鬱病になり退職(50代女性)
- 人格否定や故意のシフト調整で退職(30代女性)
- 無視や業務連絡外しで孤立し退職(30代女性)
- 過剰な業務負担で心身疲弊し退職(50代女性)
- 妊婦に対するマタハラ(30代女性)
監修者・運営元・会社概要
本記事の監修はギフトコンシェルジュの冨田仁(とみたひとし)氏が担当しています。冨田氏は株式会社ウェブギフト代表取締役で、オフィスギフト事業を運営しています。
運営・調査の出典情報は以下の通りです。転載の際にはオフィスギフトのサイトURLの記載が求められています。
- 運営企業
- 株式会社ウェブギフト(本社:東京都豊島区南大塚3-52-7 ブリッジファースト2階)
- 代表取締役
- 冨田 仁(とみたひとし)
- 問い合わせ電話番号
- 0120-666-937
- 事業内容
- ギフト・胡蝶蘭・観葉植物の販売
- コーポレートサイト
- https://www.webgift.co.jp/
- オフィスギフト公式サイト
- https://www.officegift.jp/
- 関連リンク(商品一覧)
- https://www.officegift.jp/product/list/
要点の整理(表形式)と締めのまとめ
以下の表に本記事で取り上げた主要データを整理しました。調査の基本情報から主要な統計、寄せられた代表的な事例まで網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元 | 株式会社ウェブギフト(オフィスギフト) |
| 公開日時 | 2025年11月28日 11時59分 |
| 調査期間・方法 | 2025年11月14日〜11月17日/クラウドワークスによるインターネットアンケート |
| 調査対象・有効回答 | ハラスメントが原因で退職した、または退職を検討した人/200名 |
| 最も多かったハラスメントの種類 | パワハラ(約60%)、モラハラ(約30%) |
| 加害者の立場 | 直属の上司:120名(60%)、経営者・管理職:43名(21.5%)、同僚:32名(16%) |
| 被害後の行動 | 転職・退職を決意:71件、我慢:60件、上司・人事に相談:36件、同僚に相談:28件 |
| 会社の対応 | 相談しない:90件、取り合ってもらえなかった:53件、調査したが改善しない:32件、加害者への処分で解決した例:0件 |
| 退職までのトラブル | あった:69名、なかった:131名(引き止めや書類不交付などの事例あり) |
| エリア別件数(上位) | 関東:83件、関西:37件、中部:32件 |
| 同僚の退職確認 | 同僚にハラスメントが原因で退職した人がいると回答した割合:55%(110名) |
本調査は、退職に直結するハラスメントが依然として全国各地で発生していること、被害の多くが職場の権力構造に起因していること、そして被害者が相談に踏み切れない現実や相談しても解決につながらないケースが多い点を示しています。数値と寄せられた声は、企業側の制度や対応の在り方が現場で十分に機能しているかどうかを検証するための重要な示唆を提供します。
参考リンク: