DBJがK2 Picturesへ5億円出資 映画ファンドの狙い
ベストカレンダー編集部
2025年11月28日 19:18
DBJがK2に5億出資
開催日:11月28日
K2 PicturesとDBJが描く“映画×ファイナンス”の新たな一歩
2025年11月28日17時、株式会社K2 Pictures(代表取締役 紀伊宗之)は、株式会社日本政策投資銀行(代表取締役 地下誠二、以下DBJ)より、K2 Picturesが運用する映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト)」へ5億円の出資を受けたことを発表しました。本リリースは当該資金調達の公表であり、出資の背景、ファンドの意義、今後の制作計画などが明示されています。
K2 Picturesは2023年8月に事業を開始した新しい映画会社で、昨年5月のカンヌ国際映画祭期間中に同ファンド設立を発表。「日本映画の新しい生態系をつくる」ことを掲げ、国内外の投資家参入を容易にし、クリエイターへの利益還元を拡大することを目指しています。今回のDBJからの投資は、政府系金融機関による評価と支援を受けた形であり、ファンド運営の信頼性を高める重要な節目となります。
ファンドの狙いと具体的な仕組み:投資家・クリエイター双方へ配慮した設計
K2P Film Fund Ⅰの基本方針は二点に整理できます。第一に、国内外の新たな投資家の参入を促し、資金調達の選択肢を多様化すること。第二に、映像制作に携わるクリエイターへの利益配分を改善し、才能が持続的に活躍できる経済的環境を整備することです。
具体的には、従来の手数料率を低く設定することで投資家へのリターンを早める工夫を導入し、さらに成功報酬等を設ける形でクリエイター還元の仕組みを構築していると説明されています。このような設計により、投資家と製作側の利害を調整し、持続可能な制作スキームを確立することを目指します。
投資家誘致と手数料構造
ファンドによる資金調達を通じて、国内外の投資家が参加しやすい体制をつくることが強調されています。従来の個別作品への出資や従来型のスキームでは参入が難しかった投資家層にもアクセスしやすい仕組みを提示することで、幅広い資金源を確保する狙いです。
また、手数料率の低減は投資家へのリターンを早期化するための戦術であり、資金循環を速めることで次の作品制作にもつなげる循環モデルを構築しようとしています。
- 投資家参入の容易化:国内外を問わない投資家招聘を目指す。
- 手数料率の低下:投資家への早期リターンを可能にする。
- 成功報酬制度:クリエイターの利益配分を改善するための設計。
クリエイター還元と制作支援の方策
K2 Picturesは「十分とは言えない」現状のクリエイター還元を改善するため、成功報酬を取り入れるなど、仕組みの根本から再構築する方針を打ち出しています。これにより、優れた才能が映画産業で長期的に活動を続けられる環境づくりを目指しています。
併せて、ファンドは制作体制の強化や海外市場へのアクセス確保といった点でも活用され、作品の国際展開を視野に入れた資金使途が想定されています。
- クリエイター向け仕組み
- 成功報酬の導入、利益配分の見直し、長期的なキャリア支援を意図。
- 制作支援
- 制作費の安定確保、海外展開支援、マーケティング資金の供給。
DBJの参画意義と両社の連携体制
DBJは政府系金融機関として、コンテンツ産業を含む日本企業の国際競争力強化に向け、リスクマネー供給等を通じたサポートを行っています。日本のコンテンツ産業は海外輸出の成長が期待される一方で、国際競争力のあるIP(知的財産)の創出・育成および収益化には資金確保が課題です。
今回DBJが本ファンドに出資した評価点は、幅広い投資家参入を可能にする体制づくりと、国内外を問わない投資家招聘の取り組みが、コンテンツ産業のグローバル化と資金調達手段の多様化に資する点にあります。DBJ側のコメントでも、K2 Picturesのビジョンと手法に共感し、周辺産業も含めた広いプレイヤーを巻き込む点が評価されています。
両社が模索する新しいファイナンスの形
K2 PicturesはDBJからの投資を受け、作品製作の推進と並行して、ファイナンスにおける新しい形の模索を掲げています。映画製作側と金融側の両面から世界市場を見据えた体制構築を行うことで、制作と資金調達の双方に強みを持つスキームを目指します。
DBJは出資を通じて、映画製作や資金調達手法の革新に向けた取り組みを後押しする姿勢を示しており、K2 Picturesとの協働を通してコンテンツ産業における金融活用を推進する方針です。
制作スケジュール、代表者コメント、企業情報の全容
K2 Picturesは現在もファンド投資家を募りつつ、才能豊かなクリエイターと映画製作を進めています。第1作目として、ゆりやんレトリィバァ監督作品『禍禍女』を2026年2月6日(金)に公開予定としています。公開予定日と監督名、作品名はいずれも発表内容に明記されています。
以下に、プレスリリースに含まれる代表コメントや各社の基本情報を整理します。コメントは原文の趣旨に沿って紹介します。
各社コメント(要旨)
- K2 Pictures 代表取締役CEO 紀伊宗之
ファンド立ち上げにより日本映画産業へ新しい資金調達の選択肢を提示したいとの考えを示しています。準備を丁寧に重ね、DBJが取り組みを評価して出資参加したことを喜びとして表明しています。
エンターテインメントと金融を結びつけ、世界市場を視野に入れた映画製作を進める意向を述べています。
- 株式会社日本政策投資銀行(DBJ)コメント要旨
K2 Picturesの日本映画産業のグローバル化というビジョンに共感したこと、映画製作や資金調達手法の革新に向けて周辺産業を含む幅広いプレイヤーを巻き込む取り組みに感銘を受け、仲間入りした旨が述べられています。
DBJとしても、映画製作をはじめとしたコンテンツ産業における金融の活用推進に取り組む姿勢を示しています。
会社概要(プレスリリース記載の通り)
以下はプレスリリースに記載されたK2 PicturesおよびDBJの基本情報です。所在地・代表者・資本金等が明記されています。
| 会社 | 代表者 | 所在地 | 資本金 / 設立・事業開始 | URL |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社K2 Pictures | 代表取締役CEO 紀伊宗之 | 東京都目黒区青葉台1−11−16 | 資本金:492,142,000 円(資本準備金含む) / 事業開始:2023年8月 | https://k2pic.com/ |
| 株式会社日本政策投資銀行(DBJ) | 代表取締役社長 地下誠二 | 東京都千代田区大手町1丁目9番6号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー | 資本金:1兆4億24百万円 / 設立:2008年10月 | https://www.dbj.jp/ |
本リリースの要点まとめ
以下の表に、今回の発表内容を主要な項目ごとに整理して示します。出資額やファンド名、発表日時、作品公開予定日など、記事内で触れた重要事項を一覧化しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月28日 17時00分 |
| 出資者 | 株式会社日本政策投資銀行(DBJ) 代表取締役 地下誠二 |
| 受益者 / 運用会社 | 株式会社K2 Pictures(代表取締役CEO 紀伊宗之) |
| ファンド名 | K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト) |
| 出資金額 | 5億円 |
| 設立・事業開始 | K2 Pictures:事業開始 2023年8月 / DBJ:設立 2008年10月 |
| 第1作目の公開予定 | 作品名:『禍禍女』 監督:ゆりやんレトリィバァ 公開日:2026年2月6日(金) |
| 所在地(代表的) | K2 Pictures:東京都目黒区青葉台1−11−16 / DBJ:東京都千代田区大手町1丁目9番6号 |
| 資本金 | K2 Pictures:492,142,000 円(資本準備金含む) / DBJ:1兆4億24百万円 |
| 関連URL | https://k2pic.com/ (K2 Pictures) / https://www.dbj.jp/ (DBJ) |
本記事では、プレスリリースに記載されたすべての情報を含めて整理しました。K2P Film Fund ⅠへのDBJ出資は、日本の映像・コンテンツ産業が直面する資金調達の課題に対し、投資家参入の拡大とクリエイター還元の改善を目指す具体的な試みとして位置づけられます。また、公開予定の作品など実務的な制作スケジュールも明示されており、資金の使途と成果が検証可能な形で進められていく点が重要です。
参考リンク: