ケコム工法、掘削延長3万m突破で都市下水道更新を後押し
ベストカレンダー編集部
2025年11月29日 09:50
ケコム工法3万m達成
開催日:11月28日
都市部で増す下水道更新の課題と求められる工法像
高度経済成長期に整備された下水道の多くが更新時期を迎えており、道路陥没や設備劣化に起因する事故が全国で発生しています。国土交通省が埼玉県八潮市の道路陥没を受けて行った調査の途中経過では、設置後30年以上が経過した大型下水道管のうち、緊急度1と判定された要対策延長が約72kmにのぼるとされ、空洞が6か所発見されたことが明らかになっています。
こうした背景の下、都市部の工事では通行止め時間を短くする必要、振動・騒音を抑える必要、さらに深刻な人手不足に対応するために省力化・機械化を推進する必要性が高まっています。加えて、豪雨対策としての新設管需要も見込まれており、工期短縮と安全性・環境配慮を両立する工法が求められています。
短納期・低公害・省力化が必須条件
都市部工事での課題は、単に掘る・埋めるという作業にとどまりません。近隣住民への振動・騒音への配慮、夜間や早朝の作業制約、そして道路規制を最小限にする必要があります。これらを実現するには、従来の人力中心の工法から機械化・一体化された施工方式への移行が重要です。
また人手不足対策として、立坑内部での人力作業を減らすことが求められており、これが可能な工法は現場で高い評価を受けます。下水道更新や新設案件の増加を見据えた現場運営が必要です。
ケコム(KCMM)工法の到達点と適用実績
2025年11月28日12時、株式会社コプロス(山口県下関市、代表取締役社長:宮﨑薫)は、ケコム工法による掘削総延長距離が3万m、総掘削土量が27万平方メートルを突破したと発表しました。本件は同社が1982年に開発したケコム(KCMM)工法の累積実績を示す重要な指標です。
コプロスはこの工法により、都市部の下水道更新・新設工事において市場シェア1位を獲得しているとしています。特に東京・上野駅前や東京・秋葉原の下水道工事といった大規模都市現場での適用実績が紹介されており、路上施工による影響を抑えつつ短期間での工事完了を可能にしている点が強調されています。
適用事例と現場での効果
公表された適用例には東京の主要駅前など交通量が多い都市部が含まれており、路面規制を小さくして施工できること、振動や騒音を抑えられる点が現地で評価されています。これにより交通や周辺生活環境への影響を最小化しつつ、工期短縮に貢献していることが示されています。
コプロスは、自社の累積掘削距離や掘削土量の達成を通じ、都市インフラの更新需要に応える実績を積み重ねていると報告しています。発表日や会社本社所在地などの基本情報は以下に含まれます。
- 発表日:2025年11月28日 12:00
- 発表会社:株式会社コプロス(代表取締役社長:宮﨑薫)
- 本社所在地:〒752-8609 山口県下関市長府安養寺1-15-13
- 関連URL:https://copros.co.jp/
工法の仕組みと技術的利点 — 無振動・低騒音と高い施工性
ケコム工法はコプロスが1982年に独自開発した立坑構築工法で、下水道やガス管の敷設、高層建築の土台造成などの「穴を掘る」需要に対応します。専用機械で鋼管を地中に圧入し、立坑内部の土砂を掘削して立坑を構築する方式です。
この工法は無振動・低騒音化を実現し、都市部での施工時に近隣環境への影響を抑えることができます。加えて、立坑内での人力作業を不要にする設計で、安全性と工期短縮の両立が図られています。
具体的な技術的特徴
ケコム工法の主な技術的利点は以下の通りです。これらの特長により、従来困難であった大深度・大口径工事や硬質土、礫混じり土の施工が可能となっています。
- 全工程機械施工:立坑構築完了まですべて機械によって施工するため、立坑内での人力作業が不要で安全性と工期短縮を実現。
- 水圧バランス利用による掘削:水圧バランスを利用する方式で薬液注入が不要。これにより環境負荷を低減し、周辺への影響を小さくする。
- コンパクトな一体型施工機械:施工機械が一体化・コンパクトなため道路規制を最小限に抑制できる。
- カッティングロック(CR)専用機の高耐力:特殊刃先を併用することでN値50以上の硬質土や、礫率200mm以上の玉石・転石混じり土の施工が可能。
- 低空間での施工対応:特殊アタッチメントの使用により作業中の上空制限が4.0mからの施工を可能にしている。
これらの技術は、無振動・低騒音という都市型土木工事の要請に応え、採掘・施工の安全性向上と省力化に寄与しています。詳細はコプロスの工法紹介ページが参照可能です(https://copros.co.jp/kcmm/)。
開発の経緯、表彰、および企業の取り組み
ケコム工法は、コプロスの前社長である宮崎衛氏によって1982年に開発されました。当時の小口径管推進工事における岩盤や地下水の問題に起因して、ケースイング工法をベースに自走式小型立坑機を考案し、その後推進用立杭に応用したものが始まりです。
開発者の現場感覚に基づく改良と蓄積されたノウハウにより、ケコム工法はメーカー型建設業であるコプロスの象徴的技術へと成長しました。業界内では幅広く浸透しており、多くの大手ゼネコンなどからの依頼に基づき全国で施工が行われています。
受賞歴とDX推進の取り組み
コプロスはケコム工法による技術評価として、日本推進技術協会黒瀬賞、建設機械化協会奨励賞、国際非開削技術協会NO-DIG賞などの受賞歴を有しています。これらは工法の技術的有効性と実績を裏付けます。
また、企業としては来年創業80年を迎える長い歴史を有し、建設分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも取り組んでいます。山口県で初めて建設用3Dプリンターを導入したほか、ドローンやICT建機(情報通信技術を活用した建設機械)の導入による生産性向上、人手不足対策、工期短縮を進めています。こうした取り組みが評価され、「DXセレクション2025(経済産業省)」準グランプリおよび「中国インフラDX(国土交通省)」といった賞を受賞しています。
会社の基本情報は次の通りです。
- 会社名
- 株式会社コプロス
- 本社所在地
- 〒752-8609 山口県下関市長府安養寺1-15-13
- 代表者
- 代表取締役社長 宮﨑 薫
- 創業/設立
- 創業:昭和21年7月1日(1946年)/設立:昭和44年1月9日(1969年)
- 関連URL
- https://copros.co.jp/
要点の整理(表形式)
ここまでの情報を主要項目ごとに表で整理します。数値や日付、技術的特徴、受賞歴等をまとめて提示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月28日 12:00 |
| 発表会社 | 株式会社コプロス(代表取締役社長:宮﨑 薫) |
| 本社所在地 | 〒752-8609 山口県下関市長府安養寺1-15-13 |
| ケコム工法の累積実績 | 掘削総延長距離:3万m、総掘削土量:27万平方メートル |
| 主な適用現場 | 東京・上野駅前、東京・秋葉原 等(都市部の下水道工事) |
| 技術的特徴 | 全工程機械施工(立坑内の人力不要)、水圧バランス掘削(薬液注入不要)、CR専用機でN値50以上の硬質土や礫率200mm以上の玉石・転石混じり土の施工可能、上空制限4.0mからの施工対応 |
| 開発年/開発者 | 1982年/前社長 宮崎 衛 氏 |
| 受賞歴 | 日本推進技術協会黒瀬賞、建設機械化協会奨励賞、国際非開削技術協会 NO-DIG 賞 等 |
| 企業のDX・先進技術導入 | 建設用3Dプリンター導入(山口県で初)、ドローン、ICT建機の活用。受賞:DXセレクション2025(準グランプリ)、中国インフラDX(国土交通省) |
| 関連URL | 工法紹介:https://copros.co.jp/kcmm/ / 会社:https://copros.co.jp/ |
本稿では、コプロスが発表したケコム工法の累積実績(掘削総延長3万m、総掘削土量27万平方メートル)と、その技術的特徴、開発の経緯、受賞歴、企業としてのDX推進の取り組みを整理しました。都市部の下水道更新や新設における短納期化、低公害化、省力化という条件に対して、ケコム工法が果たす役割と実績を具体的に示す情報をまとめています。
関係者や技術検討を行う立場では、上記の数値や技術仕様、実施工例を踏まえて工法選定やスケジュール策定を行うことが重要です。詳細な技術資料や具体的な施工条件は、コプロスの公式ページや技術資料に記載されている情報を参照することが適切です。
参考リンク: