行動者アワード2025:受賞10組と授賞式まとめ
ベストカレンダー編集部
2025年12月2日 15:15
行動者アワード2025
開催日:12月2日
社会をつなげた「行動」のかたち — Public of The Year 2025授賞式の全容
株式会社PR TIMESは2025年12月2日(火)、その年に社会を動かした人物とその行動をたたえる「Public of The Year 2025」授賞式を開催しました。メインMCは江口洋介、司会進行は中川安奈が務め、「芸能・スポーツ」「学術・文化」「企業・事業」の3部門で合計10組の受賞者が発表されました。授賞式の主旨は、個人の行動が社会や組織、企業を動かし、新たな価値を生み出すことを認め、次の行動者を生み出す契機とすることにあります。
当日の模様や詳細は特設サイトでも公開されています(https://prtimes.jp/public-of-the-year/)。本稿では授賞対象となった10組の受賞理由とプロフィール、審査体制、運営側のコメント、及びPR TIMESの事業紹介まで、プレスリリースに含まれるすべての情報を網羅的に整理して伝えます。
芸能・スポーツ部門の受賞者と行動の意義
芸能・スポーツ部門では4組が受賞しました。それぞれの行動は多様なかたちで公共性に寄与し、個人や集団が持つ力がどのように社会の価値を変えていくかを示しています。
以下に各受賞者の選考理由とプロフィールを原文に忠実に記載します。選考の背景にある行動のプロセスや成果を省略せず伝えるため、詳細なプロフィールも含めて整理しています。
ミャクミャク / 山下 浩平(受賞)
選考の理由:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の公式キャラクター「ミャクミャク」は、当初の賛否や批判を乗り越え、唯一無二のキャラクター性で人々の感情を揺さぶり、万博の「顔」となる歴史的存在となりました。その背景にはデザイン作者である山下浩平氏の緻密な企画と地道な努力があり、丁寧に魂を込めてつくったものは時間が経っても伝わるという信念に基づく行動がありました。山下氏がデザインを生み出すまでの行動と、「ミャクミャク」が周囲と作り上げた熱狂的なつながりが社会に新たな価値を創出した点が評価されました。
プロフィール(ミャクミャク):35億年前に細胞と水がひとつになったことで生まれた、ふしぎな生き物。2022年に大阪・関西万博の公式キャラクターに選出され、公募により愛称が「ミャクミャク」に決定。赤い部分は「細胞」で分かれたり増えたりし、青い部分は「清い水」で流れるように形を変える。特技はだれとでも仲良くなれること、踊ること、雨上がりに虹を見つけること。
- プロフィール(山下 浩平)
- 1971年生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。グラフィック・キャラクターデザインを中心に制作、絵本などを創作。著作に『きょうりゅうゆうえんち』(ポプラ社)、『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(フェリシモ)等。2025年日本国際博覧会公式キャラクターデザイン最優秀賞受賞。ミャクミャクのデザイン、イラストレーション、コンセプト制作、着ぐるみ設計にも携わる。
HANA(アーティスト)
選考の理由:ガールズグループHANAは多様な個性の尊重やルッキズムへの提言、そして「ありのままの自分を愛する」というメッセージを届け、特に若い世代の価値観に影響を与えました。デビュー後も連続ヒットを記録し、「Blue Jeans」がオリコン週間ストリーミングランキングで女性グループ史上初の9週連続1位となるなどの成果を挙げ、純粋な人気を超えて多くの人の心を動かし、未来へ続く行動の連鎖を生み出しました。
プロフィール:BMSG × ちゃんみな GIRLS GROUP AUDITION「No No Girls」より誕生した7人組(CHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINA)。メジャーデビューから2作連続で短期間にストリーミング1億再生を突破するなど、等身大の姿と7人の個性で次世代の象徴として音楽シーンを席巻しています。
遠藤 航(プロサッカー選手)
選考の理由:遠藤航選手はサッカー日本代表キャプテンとして、チームをまとめ世界最速でW杯出場権を獲得するなど来年開催の本大会への期待を高めました。所属するリヴァプールでは研鑽を重ね、クローザーという新たな形でリーグ優勝に貢献。球際の強さとリーダーシップは日本スポーツ界にパラダイムシフトを起こす存在となったことが評価されました。
プロフィール:神奈川県出身。プレミアリーグの名門リヴァプール在籍。2023年6月から日本代表キャプテンに就任。高い戦術理解力と球際の強さを持ち、リヴァプールではプレミアリーグ優勝(2024-25シーズン)を経験。日本代表ではFIFAワールドカップ2026の出場権獲得に尽力しました。
村竹 ラシッド(陸上男子110mハードル選手)
選考の理由:村竹選手は2025年8月に男子110mハードルで12秒92の日本新記録を樹立し、東京世界陸上では表彰台に0.06秒差まで迫る走りを見せました。レース直後に感情があふれ出す姿は、必死に取り組んできた者だけが示せるものであり、当たり前のことを高いレベルで実践する尊さを人々に示しました。彼の行動は社会に感動と共感をもたらし、今年のスポーツの象徴のひとつとなりました。
プロフィール:2002年千葉県生。松戸国際高校、順天堂大学を経て2024年に日本航空(JAL)入社。2024年パリオリンピックで男子110mハードル決勝に進出し5位入賞。2025年日本グランプリシリーズ・福井大会で日本人初の12秒台(12秒92)を記録し日本記録更新。東京世界陸上で5位入賞。
学術・文化部門の受賞者とその社会的意味
学術・文化部門では、研究や文学、長年の闘いを通じて社会に問いを投げ、制度や認識を変化させた3名が選ばれました。それぞれが携わった行動は、専門領域の枠を超えた公共性を持っています。
以下に選考理由とプロフィールを詳細に示します。
鈴木 俊貴(動物言語学者)
選考の理由:鈴木俊貴氏は長年にわたり鳥類を研究し、シジュウカラの言語能力を証明するという衝撃的な発見を成し遂げました。長年の自然観察から仮説を立て検証した研究はナチュラリストの本道ともいえるものであり、今年刊行されたエッセイを通じて多くの人に科学の面白さを再認識させました。鈴木氏の行動は「動物言語学」という新しい学問を創出し、その価値を社会に広げました。
プロフィール:東京大学准教授(東京大学卓越研究員)。1983年東京都生まれ。野鳥の一種・シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちの鳴き声やしぐさの意味や文法構造を探究する『動物言語学』を創出。受賞歴に文部科学大臣表彰若手科学者賞、Tinbergen Lecturer Awardなど多数。2025年に『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)刊行、本作で書店員が選ぶノンフィクション大賞、新潮ドキュメント賞、河合隼雄学芸賞を受賞。
王谷 晶(作家)
選考の理由:王谷晶氏の小説『ババヤガの夜』は英訳版が英国推理作家協会賞(CWAダガー賞)翻訳部門を日本人として初めて受賞しました。曖昧で親密な登場人物を描く独自性と、はっきりとラベリングできない関係性や人生の描写が評価され、LGBTQ+文学の権威あるラムダ文学賞の最終候補にも選出されました。作品は言語や国境を越え、多様な読者の共感を得ました。
プロフィール:1981年東京都生。2020年刊行の『ババヤガの夜』は第74回日本推理作家協会賞候補。2024年刊行の英訳版が翌2025年にCWAダガー賞翻訳部門を受賞。米国版はラムダ文学賞LGBTQ+ミステリー部門の最終候補。主な著作に『完璧じゃない、あたしたち』『君の六月は凍る』『父の回数』、エッセイ集『カラダは私の何なんだ?』。
袴田 ひで子(再審無罪を実現した元死刑囚・袴田巖氏の姉)
選考の理由:袴田ひで子氏は58年前の一家4人殺害事件で死刑が確定していた弟・巖氏の無実を信じ、潔白を訴え続けてきました。その活動は実を結び、2024年10月に巖氏の無罪判決が確定しました。この事実は個人の救済に留まらず、日本の再審制度のあり方を見直す議論を促し、事件当時に犯人視する報道を行ったメディアの責任を問う契機にもなりました。半世紀にわたり諦めず戦い続けたその行動は多くの人に勇気を与え、社会を動かしました。
プロフィール:1933年2月静岡県浜名郡雄踏町(現・浜松市中央区)生。6人兄弟の三女。1966年に末弟巖氏が逮捕され死刑判決が下される。両親死亡後、獄中の巖氏を支え続け、2014年3月に再審開始、2024年10月に無罪確定。現在は巖氏と共に浜松で生活し、再審法改正や死刑廃止を訴えている。
企業・事業部門、審査員と運営の声
企業・事業部門の受賞者は建築、金融、社会運動の分野で公共的価値を創出した3名です。審査員は産業界や報道、文化の各領域から選ばれ、受賞者の行動がもつ社会的な影響を総合的に評価しました。
また、本プロジェクトに携わった運営スタッフからのコメントも公表され、受賞発表に至る過程で審査員や運営の視点がどのように変化したかが語られています。
藤本 壮介(建築家)
選考の理由:藤本壮介氏は2025年日本国際博覧会の会場デザインにおいて、多様な人々が集まる場の公共性と一体感を追求し、大屋根リングを設計しました。世界のパビリオンを円環の中に配置することで交流を生む設計を確立し、「多様性を分断につなげない」という意志に基づく行動が社会を包括的につなぐ公共的価値を生み出しました。
プロフィール:1971年北海道生。東京大学工学部建築学科卒業。2000年に藤本壮介建築設計事務所設立。国内外で受賞多数。2025年日本国際博覧会会場デザインプロデューサー。主な作品にHouse of Music Hungary、白井屋ホテル、L’Arbre Blanc、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013等。
河合 祐子(株式会社高知銀行 取締役頭取)
選考の理由:河合祐子氏は高知銀行の頭取として組織内外の対話を重ね、組織の垣根を取り払うリーダーシップを示しました。高齢化・人口減少など地方の社会課題に対して実務的に取り組み、全国で初めての地方銀行の女性頭取というロールモデルとして日本社会に変革を促す行動を続けています。
プロフィール:京都大学法学部卒。ケミカルバンク(現JPモルガン・チェース銀行)入行後、日本銀行、Japan Digital Designを経て2023年7月高知銀行副頭取、2025年6月より頭取に就任。ペンシルバニア大学ウォートン校(MBA)卒。
井田 奈穂(一般社団法人あすには 代表理事)
選考の理由:井田奈穂氏は選択的夫婦別姓に関する社会的議論を牽引してきました。意識調査レポート、署名活動、団体間連携などを通じた継続的な働きかけにより、制度見直しの機運を高める土台を築きました。2025年6月17日には衆議院法務委員会で参考人として意見陳述も行っています。
プロフィール:会社員の傍ら2018年に選択的夫婦別姓の法制化を目指す当事者団体を創設、2023年に法人化。千人を超えるメンバー登録者があり、経済・法曹団体と協働したロビー活動を展開。2024年には国連女性差別撤廃条約に基づく日本審査にNGOとして参加、団体はForbes JAPAN「いま注目のNPO50」に選出。Think Name Projectでは世界三大広告賞に選出され、2025年6月17日に衆議院法務委員会で参考人に。
審査員と運営チーム
審査員は各部門ごとに専門家が名を連ねています。主な審査員は次の通りです。
- 企業・事業部門:日本経済団体連合会 副会長・事務総長 久保田 政一、朝日新聞東京本社 ゼネラルエディター 兼 東京本社編集局長 春日 芳晃、読売新聞東京本社 執行役員 メディア局長 滝田 恭子
- 学術・文化部門:国立科学博物館 館長 篠田 謙一、毎日新聞社 執行役員 編集担当 坂口 佳代、株式会社マガジンハウス 執行役員 BRUTUS編集長 田島 朗
- 芸能・スポーツ部門:日本スポーツ協会 副会長 三宮 恵利子、株式会社文藝春秋 執行役員Number編集局長兼ライフスタイル編集局長 松井 一晃、株式会社朝日新聞出版 AERAブランドプロデューサー 木村 恵子、未来のテレビを考える会 代表理事兼静岡新聞社・静岡放送 CCIO 西田 二郎
審査員のプロフィール詳細は特設サイトで確認できるとされています。運営チームからはプロジェクトに携わった須田良祐(PR TIMES PRパートナーサービスBグループ 第四チーム)と重富太壱(PR TIMES 第二営業部 オンボーディングチーム)により、それぞれの参加動機や受賞候補者に触れたことで受けた影響、そして今後も行動の連鎖を生む場でありたいというメッセージが寄せられています。
PR TIMESのミッションと「Public of The Year」のステートメント
PR TIMESは「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」をミッションに掲げ、行動を起こした人をたたえ、その情報を伝えることで次なる行動者を生むことを目指しています。プレスリリース配信サービス『PR TIMES』の利用企業数は11万2000社を超え、国内上場企業の62%超に利用されています。
また、PR TIMESは発表後の情報整理や顧客対応を支援するツール(Jooto、Tayori等)を運営し、発表が次の行動に繋がるよう支援しています。Public of The Yearプロジェクトは、個人の行動や想いを紡ぎ出し、社会に広める場として位置づけられています。
Public of The Year ステートメント(要旨):
- 1人の、その行動が、できそうにないこと、想像もしていなかったことを実現し、その事実に多くの人が励まされる。
- 1人の行動が多くの人の希望や力になり、企業や組織や社会を動かしていく。新しい不可能を可能にしていくという考えを示しています。
- 1人の、その行動が人を超えて業種を越えて国を超えて世の中に広がっていくような手応えを多くの人が感じられるようにしたい。
- 個々の行動が次の行動を生み続け、同じ時代につながって生きていることの意味を確かめられる場を目指すという宣言です。
受賞者一覧と主要情報の整理
最後に本稿で取り上げた受賞者と主要情報を表形式で整理します。受賞理由とプロフィールの要点を網羅的にまとめた表です。
| 部門 | 受賞者 | 肩書/特徴 | 選考の理由(要旨) | プロフィールの要点 |
|---|---|---|---|---|
| 芸能・スポーツ | ミャクミャク / 山下 浩平 | 大阪・関西万博公式キャラクター / デザイナー・絵本作家 | 議論を巻き起こしつつ唯一無二のキャラクター性で万博の顔となり、デザイン作者の緻密な企画と努力が伝わったため。 | ミャクミャクは2022年選出。山下氏は1971年生、大阪芸術大学卒、絵本等著作多数、着ぐるみ設計にも関与。 |
| 芸能・スポーツ | HANA | 7人組ガールズグループ | 多様性尊重やルッキズムへの提言、若年層への影響力、連続ヒットで社会的価値観を変えたため。 | BMSG×ちゃんみなオーディション発、7人(CHIKA等)、ストリーミング記録多数。 |
| 芸能・スポーツ | 遠藤 航 | プロサッカー選手(リヴァプール、代表キャプテン) | 日本代表主将としてチームを統率しW杯出場権獲得、クラブでリーグ優勝に貢献したため。 | 神奈川出身、リヴァプール在籍、2023年代表キャプテン就任、2024-25でプレミア制覇。 |
| 芸能・スポーツ | 村竹 ラシッド | 陸上選手(110mH) | 日本人初の12秒台を達成し日本記録更新、世界舞台での接近戦により感動を呼んだため。 | 2002年生、松戸国際高→順天堂大→JAL所属、パリ五輪5位、2025年12秒92記録。 |
| 学術・文化 | 鈴木 俊貴 | 動物言語学者(東京大学准教授) | シジュウカラの言語能力を証明し「動物言語学」を創出、一般向け書籍で科学の面白さを伝えたため。 | 1983年生、東京大学卓越研究員、『僕には鳥の言葉がわかる』刊行で複数賞受賞。 |
| 学術・文化 | 王谷 晶 | 作家 | 『ババヤガの夜』英訳版がCWAダガー賞翻訳部門を受賞、日本人初の快挙で国際的評価を得たため。 | 1981年生、多数著作、『ババヤガの夜』が各国で評価を獲得。 |
| 学術・文化 | 袴田 ひで子 | 再審運動の当事者・活動家 | 弟・巖氏の無罪確定に至る長年の活動が日本の再審制度や報道のあり方に影響を与えたため。 | 1933年生、58年にわたり弟を支援、2014年再審開始、2024年無罪確定。再審法改正や死刑廃止を訴える。 |
| 企業・事業 | 藤本 壮介 | 建築家 | 万博会場の大屋根リング設計により公共性と一体感を追求し、交流を生む場を作り出したため。 | 1971年北海道生、東京大卒、2000年事務所設立、国際的受賞多数。会場デザインプロデューサー。 |
| 企業・事業 | 河合 祐子 | 高知銀行 取締役頭取 | 行員との対話を重ね組織を変革し、地方の社会課題改善に向けたリーダーシップを発揮したため。 | 京大法学部卒、金融・公的機関を経て2025年6月頭取就任。ウォートン校MBA。 |
| 企業・事業 | 井田 奈穂 | 一般社団法人あすには 代表理事 | 選択的夫婦別姓の法制化を目指す活動を継続し、制度見直しの機運を高めたため。 | 2018年団体創設、2023年法人化。国連審査参加、Forbes JAPAN選出、2025年衆議院法務委で参考人。 |
本稿では、2025年12月2日に開催されたPublic of The Year 2025の受賞者全10組、選考理由、プロフィール、審査員陣、運営チームからのコメント、PR TIMESの事業内容とミッション、特設サイト情報まで、プレスリリースの内容を網羅的に整理した。受賞者それぞれの「行動」が社会に与えた影響を正確に伝えることを重視しており、各項目の詳細は特設サイトでの公開資料と合わせて確認できる。
参考リンク: