KADOKAWA、SOZOを子会社化 AFAで東南アジア展開を強化

KADOKAWAがSOZOを子会社化

開催日:12月2日

KADOKAWAがSOZOを子会社化
KADOKAWAは何を買収したの?
シンガポール拠点のイベント運営会社SOZOの株式を取得して子会社化した。AFAなど大型アニメイベントやJ-POP公演の運営力を取り込み、KADOKAWAが80%出資(取得は2025年11月、発表は2025年12月2日)。
これで何が変わるの?
SOZOの現地ネットワークとイベントノウハウにより、KADOKAWAは東南アジアでのリアルイベントとD2Cを強化。IPの認知拡大と収益化を図る狙いで、当面の連結業績影響は軽微とされている。

KADOKAWAがSOZOを子会社化し、東南アジアでのIP展開を本格化

株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO: 夏野剛)は、2025年11月にシンガポール拠点のSOZO Pte Ltd(読み:ソウゾウ、創業者・Managing Director:Shawn Chin) の株式を取得し、子会社化したことを2025年12月2日13時03分付のリリースで発表しました。今回の取得は、KADOKAWAグループの東南アジアにおけるIP展開とリアルイベント、D2C(Direct to Consumer)事業の強化を目的としたもので、SOZOの持つ現地でのイベント運営力やネットワークをグループで取り込みます。

発表資料には、(左から)SOZO Managing Director Shawn Chin氏、SOZO Executive Director Maria Hendro氏、KADOKAWA Chief Executive Officer 夏野剛、KADOKAWA Chief Global Officer 泉水敬が並ぶ写真の説明が添えられています。取得後の株主構成は、KADOKAWAが80%、Shawn Chin氏が10%(Managing Director)、Maria Hendro氏が5%(Executive Director)、株式会社ホリプロが5%となっています。なお、本件が当期の連結業績に与える影響は軽微であると明記されています。

東南アジア最大級のアニメイベントやJ-POPトップアーティストの海外ライブを興行するSOZO社を子会社化 画像 2

取得の基本事項と日時

本件は2025年11月に株式取得が行われ、KADOKAWAの公式リリースは2025年12月2日13時03分に公表されました。子会社化によりSOZOの事業がKADOKAWAグループの一員として運営されます。

取得後の主なポイントは、イベント運営やアーティスト公演のノウハウを通じてKADOKAWAのIPを東南アジア全域へ広げる点であり、既存の翻訳出版、電子書籍プラットフォーム、MD(マーチャンダイジング)流通などと連携した包括的なメディアミックス体制を強化することです。

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SOZOの事業概要と「AFA」の実績

SOZOは2009年設立のシンガポール企業で、東南アジアにおける日本関連エンターテインメントのプラットフォーム運営を牽引してきました。中核事業は大型アニメイベント「アニメ・フェスティバル・アジア(AFA)」の企画・運営であり、これに加えて日本人トップアーティストの東南アジア公演プロデュース、各種展覧会やポップアップイベント、関連グッズの開発・流通といった多様な事業を展開しています。

「AFA」は2008年にシンガポールで第1回が開催されて以来、インドネシア、マレーシア、タイ、香港、さらに日本を含む各国へ展開してきました。これまで合計32回開催、約300万人を動員した実績を持ち、東南アジア最大級のアニメイベントとして定着しています。最近の開催では「AFA Singapore 2024」で3日間で約13万人が来場し、大規模なブース展示、声優や監督などによるトーク、音楽アーティストによるステージなどが実施されました。

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SOZOの事業領域

SOZOの事業領域は多岐にわたります。下記はリリースに明記された事業内容です。

  • 東南アジア圏におけるアニメ、コミック、ゲーム、音楽関連の大型イベントの開催
  • 日本を中心としたアジアのアーティストのライブコンサートの開催
  • ポップアップイベント等のコンテンツ関連展示会の開催
  • 関連グッズの商品開発・流通

これらを通じて、現地ファンと企業の接点を作り、IPの体験提供や商品化を進めるビジネスモデルを確立しています。

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創業者のコメント

SOZO創業者でManaging DirectorのShawn Chin氏は、KADOKAWAへの参加について日本語版のコメントと原文の英語版を寄せています。日本語コメントではKADOKAWAへの敬意と、グループに加わることへの喜び、今後の協働による成長への期待が述べられています。

日本語コメント(要旨)
KADOKAWAに敬意を抱いており、自身が設立した会社が歴史と信頼あるグループの一員になることを喜んでいる。SOZOは17年前の創業以来、シンガポールと東南アジア全域で日本のエンターテインメント市場を開拓してきた。KADOKAWAと共にさらに強力になると確信している。
英文原文(原文掲載)
I have always admired KADOKAWA, and it feels like a dream to see the company I founded become part of such a long-standing and respected group. Since its inception 17 years ago, SOZO has been committed to pioneering and growing the Japanese entertainment market in Singapore and across Southeast Asia. With SOZO joining the KADOKAWA group, I am confident we will become even better and stronger. I look forward to working closely with KADOKAWA’s dynamic management to bring SOZO to new heights in Southeast Asia and beyond. The future can only get brighter from here.

統合の狙いとこれまでの連携実績

KADOKAWAは「グローバル・メディアミックス with Technology」を基本戦略に掲げ、IP創出から多メディア展開、テクノロジー活用による世界展開を進めています。東南アジア市場では既に翻訳出版、電子書籍プラットフォーム運営、グッズ企画・流通、直営店舗運営、映画配給などを展開しており、SOZOの子会社化により、リアルイベントとD2Cの機能を加えてIPの創出から体験提供までを一気通貫で行う体制を整えます。

KADOKAWAグループとSOZOは10年以上にわたり協業を継続してきました。具体的には2014年に当社グループの株式会社ドワンゴが主催する「ニコニコ超会議」の海外出張版を「AFA」と併催した事例や、近年の国際的なクリエイター連携プログラム「Asia Creators Cross」の立ち上げ(ドワンゴとSOZOによる共同事業)、そして「AFA Singapore 2025」への出展・協賛などが挙げられます。

KADOKAWA側のコメント

代表執行役社長の夏野剛氏は、長年の信頼できるパートナーであるSOZOをグループに迎え入れられたことを歓迎すると述べています。統合により出版・IP創出事業にリアルイベントとD2Cの機能が加わり、東南アジアにおけるIPの認知拡大や収益拡大を図る狙いがあると説明しています。

夏野氏のコメントでは、本統合が「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略実現の一環であり、SOZOと連携して世界中のファンへさらなるコンテンツ体験を届ける旨が述べられています。

SOZOの会社概要、株主構成、業績への影響とKADOKAWAの東南アジア拠点

リリースにはSOZOの会社概要と株主構成、業績への影響等が明記されています。SOZOはシンガポールを拠点に2009年に設立され、Managing DirectorはShawn Chin氏です。事業内容は先述のイベント開催やライブコンサート、展示会、関連グッズの開発・流通に集中しています。

株主構成は以下の通りです。KADOKAWAが大株主となり、SOZO創業メンバーおよびホリプロが継続的に関与する体制です。

株主 持分比率
KADOKAWA 80%
Shawn Chin(Managing Director) 10%
Maria Hendro(Executive Director) 5%
株式会社ホリプロ 5%

業績面については「本件が当期の連結業績に与える影響は軽微です」としています。財務的な負担を限定しつつ、事業シナジーによる中長期的な収益拡大を見込む方針が示されています。

KADOKAWAグループの東南アジア拠点一覧

リリースではKADOKAWAグループが東南アジアで展開する拠点一覧も提示されています。これにより、SOZOの参入が既存拠点との連携を通じて各国での展開力を高めることが期待されます。

国・地域 会社名 概要(要旨)
タイ KADOKAWA AMARIN COMPANY LIMITED 2016年設立。タイ最大手出版社AMARINと共同で翻訳出版、Eコマース、映画配給、グッズ製造等を展開。
タイ First Page Pro Company Limited 2024年にKADOKAWAグループ入り。ライトノベル/コミックの翻訳出版を展開し、特定ジャンルで強みを持つ。
インドネシア PT PHOENIX GRAMEDIA INDONESIA 2024年設立。Gramediaと共同で翻訳出版、MD販売、イベント事業を展開。
マレーシア KADOKAWA GEMPAK STARZ SDN. BHD. 2015年に株式取得。コミック・児童書の大手出版社で、日本向けオリジナルコンテンツの展開を実施。
シンガポール KADOKAWA GEMPAK STARZ(S) PTE. LTD. マレーシア子会社の支社。シンガポールでの翻訳出版、グッズ販売、イベント出展を担う。

関連の共同事業および出展情報

過去の協業としては、2014年にドワンゴ主催の「ニコニコ超会議」海外出張版をAFAと併催した実績があります。また、ドワンゴとSOZOが立ち上げたクリエイター連携プログラム「Asia Creators Cross」は国際的なクリエイターの接続を図り、AFA Singapore 2025に出展・協賛するなど具体的な共同活動が続いています。

関連ニュースやイベント情報として、ドワンゴの発表ページも参照できます。ニコニコ関連のAFA出展やAsia Creators Crossの開始に関する詳細は以下のリンクから確認可能です。

本稿の要点まとめ

ここまでの本文で触れた主要な事実を整理します。以下の表は、発表内容を分かりやすくまとめたものです。表の後に自然な文章で締めくくります。

項目 内容
発表日 2025年12月2日 13:03(株式会社KADOKAWAのリリース)
取得時期 2025年11月(株式取得・子会社化)
買収対象 SOZO Pte Ltd(本社:シンガポール、設立:2009年、代表:Shawn Chin)
取得後の株主構成 KADOKAWA 80% / Shawn Chin 10% / Maria Hendro 5% / 株式会社ホリプロ 5%
主な事業内容(SOZO) 大型アニメイベント(AFA等)開催、J-POP等の海外ライブ公演、展示会・ポップアップイベント開催、関連グッズの開発・流通
AFAの実績 2008年開始、これまで32回開催、累計約300万人動員。AFA Singapore 2024では3日間で約13万人来場
今回の狙い KADOKAWAのIP創出から体験提供までを一気通貫で実現。リアルイベントとD2C事業の強化、東南アジア市場でのIP認知・収益拡大
業績への影響 当期の連結業績に与える影響は軽微
KADOKAWAの戦略 「グローバル・メディアミックス with Technology」に基づくIPの世界展開およびテクノロジー活用
KADOKAWAの東南アジア拠点(一部) タイ:KADOKAWA AMARIN / First Page Pro、インドネシア:PT PHOENIX GRAMEDIA INDONESIA、マレーシア:KADOKAWA GEMPAK STARZ、シンガポール:KADOKAWA GEMPAK STARZ(S) PTE. LTD.

以上が本リリースの主要点の整理です。KADOKAWAはSOZOの知見とネットワークを取り込み、東南アジア市場でのイベント運営やD2C機能を強化することで、既存の出版・デジタル・グッズ流通などの事業と連動したメディアミックスを推進します。リリースに記載された各種イベントや共同プログラムの情報は、リンク先の公式発表でも確認できます。