26卒は「安定」×「アグレッシブ」 就活調査の要点

26卒就活調査発表

開催日:12月2日

26卒就活調査発表
学生は今どんな価値観を持ってるの?
調査では「安定」を最重視する傾向が過去10年で最高となる一方、相互の思いやりやチーム志向など協調性が高まり、基盤の上でチャレンジや競争などのアグレッシブさも増しています。
企業は採用で何を変えればいい?
職場の雰囲気や具体的な仕事内容、勤務地・福利厚生など環境面を早期に明示し、段階に応じた情報発信で学生が入社後のイメージを持てるようにすることが重要です。

リクルートマネジメントソリューションズが明らかにした、26卒の二面性ある価値観

2025年12月2日15時に公表された、株式会社リクルートマネジメントソリューションズによる「2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」は、大学4年生・大学院2年生1,008名を対象に行われたインターネット調査の結果をまとめたものです。調査期間は2025年6月27日から7月16日までで、企業の採用・人事戦略に関わる示唆が多く含まれています。

同社は本調査のエグゼクティブサマリで、学生の価値観に「安定」を重視する傾向と同時に「アグレッシブさ(チャレンジや競争を求める志向)」が高まっているという二面性が鮮明になったと報告しています。調査結果は図表で詳細に示され、過去10年〜12年の推移と比較して、働く環境や意思決定の基準に変化が生じている点が強調されています。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 2

「協調/親和」志向の強まり

調査では、働く上で重視したい社風の上位3項目がいずれも『協調/親和』のカテゴリーに該当しました。具体的には「相互の思いやりとあたたかさ」「オープンなコミュニケーション」「強い連帯感とチームワーク」がトップ3です。これらは2014年卒と比較して選択率が増加しており、安心感のある環境を求める志向が強まっていることが示されました。

一方で「理想に向かう情熱と意欲」「変革と新たな価値の創造」といった創造/開拓的な要素の選択率は減少傾向にあります。こうした変化は、学生がまずは安心できる環境を重視する一方、その基盤の上でチャレンジしたいという意欲も持ち合わせていることを示しています。

  • 働く上で重視したい社風トップ3:相互の思いやりとあたたかさ、オープンなコミュニケーション、強い連帯感とチームワーク
  • 2014年卒と比較して『協調/親和』志向が拡大
2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 3

「安定」が仕事への第一要望だが、挑戦意欲も並行して上昇

仕事に求めることの1位は「安定」で、過去10年で最も高い選択率となりました。次点は「貢献」「成長」でほぼ同水準です。パンデミック期(おおむね2021年卒前後)と比較すると「貢献」「成長」はやや低下していますが、直近数年では「チャレンジ」「理想」「競争」といったアグレッシブな項目の選択率が上昇している点が重要です。

この組み合わせは、学生の価値観が「まず安全・安定を確保したうえで、貢献や成長、さらに思い切った挑戦をしていきたい」という順序的志向を示していると解釈できます。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 4

応募から内定受諾まで:きっかけと最終決定要因の変化

本調査は、企業への応募のきっかけや内(々)定受諾の最終的な決め手についても詳細に分析しています。結果は、応募ルートの多様化と決定要因の変化、そして「自分がその会社で働くイメージを持てるか」が重要になっていることを示しています。

特に注目されるのは、応募のきっかけとして1位が「興味のある仕事・職種だった」である点と、2位の「勤務地」が2022年卒以降選択率を伸ばしている点です。さらに、知人の勧めや斡旋・リクルーター、先輩社員の紹介といったパーソナル/仲介経路の選択率も上昇しました。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 5

応募経路の多様化

調査は、パンデミックを契機としたデジタル化と企業の採用意欲の高まりが相まって、学生へのアプローチ方法が増えたことを指摘します。その結果、学生が応募に至るきっかけは単一ではなくなり、早期化する採用プロセスの中で「自分に合う企業と早く出会いたい」という学生側のニーズが反映されていると分析しています。

応募のきっかけ上位の変化は次の通りです。

  1. 興味のある仕事・職種だった(1位)
  2. 勤務地(2位、2022年卒以降増加、7割を超える選択者あり)
  3. 知人の勧め・紹介、斡旋やリクルーター、先輩社員の紹介(いずれも増加傾向)
2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 6

内定受諾の決め手:イメージの具体性と環境条件

内(々)定受諾の最終的な決め手は、昨年同様「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が1位でした。これに対して、これまで決め手として上位にあった「社員や社風が魅力的」は大きく順位を下げ、5位になっています。

代わりに、決定に影響を与えている要素としては「勤務地」「福利厚生」「業績の安定性」「企業の規模」「労働時間や勤務スタイルの魅力」「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」といった、働く環境や条件の具体性を示す項目が上位に並ぶようになりました。調査は、これを「自分がその会社で働くイメージを具体的に持てるか」「不確定要素が少ないか」が最終的な決め手になっている現象と位置づけています。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 7

情報開示の進展と調査担当者の見解

学生が就職活動中に「知りたかった情報」および「実際に知ることができた情報」についても調査が行われ、情報開示の進展が確認されました。特に「具体的な仕事内容」は90.0%が実際に知ることができたと回答し、非常に高い割合となっています。

また「社内の人間関係・職場の雰囲気」を実際に知ることができた割合は79.5%で、2025年卒の75.1%から増加しています。インターンシップの普及や広報手段の多様化が、学生にとっての“職場のリアル”を得やすくしていると考えられます。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 8

調査担当者・飯塚彩氏のコメント

本調査のコメントは、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRアセスメントソリューション統括部 主任研究員 飯塚 彩氏が行っています。飯塚氏は今回の特徴として、過去10年〜12年の変化に注目し、価値観と企業選びの基準の変化を指摘しました。

飯塚氏は特に次の点を挙げています:安全・安定を重視する傾向が高まる一方で、その上でチャレンジや競争などアグレッシブな要素も求められている点、応募のきっかけが多様化している点、そして最終的な決め手が「働くイメージの具体性」に移っている点です。これらは採用プロセスや広報のあり方に示唆を与える内容です。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 9

調査結果が示す企業側への示唆

調査結果は、企業が学生とのコミュニケーションをどのように設計するかに対して具体的な示唆を与えます。たとえば、職場の雰囲気や具体的な仕事内容を早期かつ多様な手段で示すこと、勤務地や福利厚生、勤務形態といった環境面の情報を明確にすることが重要になっていると考えられます。

また、社員や社風といった魅力は早い段階で学生を惹きつける役割を果たす一方、最終的な受諾判断では具体的な勤務条件が重視される傾向にあるため、段階に応じた情報開示の設計が求められるでしょう。

2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査 画像 10

調査概要・実施主体と企業情報

本調査の名称、対象、方法、期間、人数は次の通りです。調査名は「2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」で、対象は2025年度卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生です。調査期間は2025年6月27日〜7月16日、調査方法はインターネット調査、回答者数は1,008名でした。

調査主体である株式会社リクルートマネジメントソリューションズは、東京都港区に本社を置き、代表取締役社長は山﨑 淳氏です。ブランドスローガンは「個と組織を生かす」で、事業領域は人材採用・人材開発・組織開発・制度構築など、多岐にわたります。

事業領域
人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
ソリューション手法
アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス
社内研究機関
組織行動研究所、測定技術研究所(理論と実践に基づく研究・開発・情報発信)

ウェブサイトのURLは以下です。

調査に関する補足

本調査は、2026年卒の就職活動全体の傾向を過去の卒業年度と比較することで、価値観の変化や採用環境の影響を可視化しています。図表1〜5として示された各項目は調査レポート内で数値・グラフとして整理されており、ここで示したポイントはレポートの主要な知見を抜粋したものです。

調査結果の解釈にあたっては、調査期間や対象の限定性(2025年度卒業を予定している学生)を踏まえた上で、採用活動の実務設計に反映することが望まれます。

この記事の要点まとめ

以下の表に、本記事で取り上げた主要な調査結果と調査概要を整理しました。重要な数値や日付、傾向を分かりやすくまとめています。

項目 内容
プレス発表日 2025年12月2日 15:00
調査名 2026年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査
調査対象 2025年度卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生
調査期間 2025年6月27日〜2025年7月16日
調査方法・人数 インターネット調査、回答者数1,008名
主要な価値観 1位「安定」(過去10年で最高選択率)/協調・親和志向の強まり(相互の思いやり、オープンなコミュニケーション、チームワーク)
応募のきっかけ(上位) 1位:興味のある仕事・職種/2位:勤務地(2022年卒以降増加、7割超の選択者がいる)/知人紹介や斡旋等も増加
内定受諾の決め手(上位) 1位:自分のやりたい仕事(職種)ができる。勤務地・福利厚生・業績安定性など環境条件が上位に並ぶ。社員や社風は5位に低下
職場のリアルを知れた割合 具体的な仕事内容:90.0%、社内の人間関係・職場の雰囲気:79.5%(2025年卒の75.1%から増加)
調査主体 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山﨑 淳)
関連情報 事業領域:人材採用・人材開発・組織開発・制度構築、ソリューション:アセスメント等/サイト:https://www.recruit-ms.co.jp

以上が、本調査の主要な内容と数値の整理です。調査結果は、学生の価値観の変化や企業選びの基準の変化を示しており、採用担当者や教育関係者が今後の採用施策や情報発信を検討するうえで参考になるデータとなっています。

参考リンク: