Mujin、シリーズDで364億円調達 MujinOS製品化を加速

シリーズD初回クローズ364億円

開催日:12月2日

シリーズD初回クローズ364億円
この資金でMujinは具体的に何をするの?
今回の364億円はMujinOSの製品ライン拡充、工場・倉庫のデジタルツイン化、欧米中心のグローバル展開強化、次世代技術開発と人材採用に充てられ、製品主導へ移行を加速します。
誰が出資しててどう変わるの?
共同リードにNTTグループとカタール投資庁、ほか三菱HCキャピタルリアルティやSalesforce Ventures、複数銀行のデットで構成。戦略的提携で事業スケールと導入支援体制が強化されます。

Mujin、シリーズDラウンド初回クローズで364億円を調達 — MujinOSを軸にスケールを加速

総合オートメーションテクノロジー企業の株式会社Mujinは、2025年12月2日16時45分付で発表したプレスリリースにおいて、シリーズDラウンドのファーストクローズとして総額364億円の資金調達を実施したと公表しました。今回の調達は第三者割当増資による株式調達と複数の金融機関からのデット調達を組み合わせたもので、累計資金調達額は596億円に達しています。

プレスリリースは、今回の資金調達に関して新規の主要出資者や融資の内訳、調達資金の用途、Mujinが提供する統合型オートメーションプラットフォーム「MujinOS」の特徴と市場展開方針、創業者のコメントや引受先からの見解、シンジケートローンの体制までを詳細に説明しています。

シリーズDラウンド初回クローズで総額364億円の大型資金調達を実施 画像 2

調達の構成と主要出資者

今回実行された資金調達は、大きく2つの構成に分かれます。まず株式による第三者割当増資で209億円を調達し、次に銀行や金融系事業会社等からの融資・デットにより155億円を確保しました。これによりシリーズDラウンドの初回クローズ合計は364億円となりました。

第三者割当増資における共同リード投資家にはNTTグループおよびカタール投資庁(Qatar Investment Authority)が名を連ね、その他にも三菱HCキャピタルリアルティ、Salesforce Venturesなどが参加しています。さらに既存投資家である米Pegasus Tech Venturesやアクセンチュアからも追加出資の意向が示されており、Mujinは来年予定のセカンドクローズに向けて追加の資金調達活動を継続する意向です。

シリーズD調達額(ファーストクローズ)
364億円(うち株式による第三者割当:209億円、デット:155億円)
累計資金調達額
596億円
第三者割当増資の主な引受先(新規)
  • NTT株式会社
  • NTTドコモビジネス株式会社
  • カタール投資庁(Qatar Investment Authority)
  • 三菱HCキャピタルリアルティ株式会社
  • Salesforce Ventures
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融資の体制とシンジケートローンの仕組み

借入・シンジケートローンについても詳細が明示されています。融資等として複数の銀行が参加しており、あおぞら銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行、商工組合中央金庫、横浜銀行、UPSIDER Capitalなどが名を連ねています。さらにシンジケートローンには多くの地方銀行や地域金融機関が参加し、アレンジャーとしてみずほ銀行、三井住友信託銀行、横浜銀行が中心的な役割を担っています。

本シンジケートローンは、独立行政法人中小企業基盤整備機構による「革新的技術研究成果活用事業円滑化債務保証制度」を活用して実現されたと説明されています。この制度は、革新的技術研究成果の活用計画を認定されたスタートアップが一定の借入を行う場合に、中小基盤整備機構の債務保証を受けられるものです。

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参加金融機関(主要)

以下はプレスリリースで明記された融資・シンジケートローンに参加する金融機関の一覧です。全ての参加者が明記されています。

  • 株式会社あおぞら銀行
  • 三井住友信託銀行株式会社
  • 株式会社みずほ銀行
  • 株式会社商工組合中央金庫
  • 株式会社横浜銀行
  • 株式会社UPSIDER Capital

シンジケートローン参加金融機関(アレンジャー含む):

  1. 株式会社みずほ銀行(アレンジャー)
  2. 三井住友信託銀行株式会社(アレンジャー)
  3. 株式会社横浜銀行(アレンジャー)
  4. 株式会社紀陽銀行
  5. 株式会社あおぞら銀行
  6. 株式会社名古屋銀行
  7. 株式会社池田泉州銀行
  8. 株式会社常陽銀行
  9. 株式会社福岡銀行
  10. 株式会社京都銀行
  11. 株式会社七十七銀行
  12. 株式会社西日本シティ銀行
  13. 株式会社八十二銀行
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MujinOSの役割と資金使途 — 製品主導でスケールする戦略

Mujinは独自のフィジカルAI、ロボット認識、動作計画、デジタルツイン技術を核に、統合型オートメーションプラットフォーム「MujinOS」を開発・展開しています。MujinOSはロボット、AGV、保管システム、ビジョンセンサ等をデジタルツイン環境で統合制御し、現場のデータをリアルタイムに吸い上げることで、止まらない運用や最適化を可能にする点が特徴です。

今回の資金調達は、従来のインテグレーション中心のビジネスから、よりスケーラブルな製品主導型ビジネスへの移行を加速するために活用されます。これによりMujinOSを長期的な成長戦略の中核に据え、製品ラインアップの拡充や導入の再現性を高めることを狙っています。

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資金の具体的な使用用途

プレスリリースで挙げられた主要な使用用途は次の通りです。すべての用途が明確に記載され、MujinOSを中核に据えた事業展開が示されています。

  • MujinOSプロダクトのラインアップ拡充:デパレタイジング/パレタイジング、ピースピッキング、部品ピッキング、トラック荷降ろし、WES(Warehouse Execution System)、フリートマネジメントなど高付加価値アプリケーションの迅速な開発と自社および顧客自身による導入・複製を可能にする取り組み。
  • 工場・倉庫全体のデジタルツイン化の加速:MujinOSをリアルタイム運用エンジン兼動的データベースとして活用し、トレーサビリティ、在庫追跡、問題の早期検知、ワークフロー最適化、パフォーマンス予測を強化。
  • グローバル展開の加速(特に欧州・北米):エンジニアリング、サービス、サポートチームの拡大と、認定システムインテグレーターのネットワーク構築により現地での導入支援体制を強化。
  • 次世代MujinOSの技術開発と人材獲得:ワールドクラスのエンジニア採用を含むチーム拡大により、フィジカルAIやリアルタイムデジタルツイン技術の研究開発を推進。
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Mujinが標榜する価値と事業背景

Mujinは2011年創業以来、フィジカルAIとデジタルツインを組み合わせたソフトウェアにより産業用ロボットに“知能”を与え、製造・物流現場の複雑な作業自動化を進めてきました。近年はロボット単体の知能化にとどまらず、複数の自動機器を共通のデジタル環境で統合制御するプラットフォームへと進化しています。

このプラットフォーム化により、現場とデジタルが同期した「次世代デジタルツイン工場・倉庫」の実現を目指し、現場の全体最適化と高い稼働率、データドリブンな運用を目標としています。

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経営陣・引受先のコメントと会社情報

プレスリリースには共同創業者からの声明および引受先であるNTTの代表者コメントが含まれています。両共同創業者は今回の資金調達を世界展開とプロダクト化の加速につなげる決意を表明しており、NTT側は自社アセットとの連携によるAI・ロボット高度化の推進に期待を示しています。

また、財務面のアドバイザリーとしてみずほ証券とUBS AGシンガポール支店がIntroducing Agentとして資金調達プロセスを支援したことも明記されています。これにより資金調達の戦略面・実行面でのサポート体制が整っていることが示されています。

主要コメント(抜粋)

滝野 一征(共同創業者)
今回の調達資本をもとに14年培ってきた技術をプロダクト化し、パートナー戦略を加速度的に展開し、労働力不足に起因する社会課題の解決を目指すと述べています。
Rosen Diankov(共同創業者)
MujinOSが投資家から信頼を得ているアーキテクチャであることを強調し、製品主導型ビジネスへの移行やクラウドサービス、リアルタイムデジタルツイン技術の提供能力拡大を述べています。
島田 明(NTT株式会社 代表取締役社長)
NTTが持つIOWNや計算基盤等のアセットと連携し、AI・ロボットの高度化を進めることで生産性向上や人手不足の解消に資する新たな価値創出に取り組む意向を示しています。

会社情報と採用について

プレスリリースには会社情報として所在地、創業日、CEO、ウェブサイトが明記されています。Mujinは創業が2011年7月6日で、所在地は東京都江東区辰巳3-8-5、CEO兼共同創業者は滝野一征氏です。公式サイトはhttps://www.mujin.co.jp/で、採用ページも公開されており、グローバルな人材募集を継続しています。

採用に関する情報は以下のリンクで案内されています。https://www.mujin.co.jp/recruit/ なお、プレスリリースは資金調達に関する情報提供を目的とするもので、有価証券への投資勧誘を目的に作成されたものではない旨も明記されています。

要点の整理とデータテーブル

この記事では、Mujinの今回のシリーズDラウンド初回クローズに関するプレスリリース全文の内容を漏れなく整理しました。以下の表に主要事項をまとめ、最後に簡潔な締めの文章を添えます。

項目 内容
発表日 2025年12月2日 16時45分
シリーズD(ファーストクローズ)調達額 364億円(株式:209億円、デット:155億円)
累計資金調達額 596億円
主要株式引受先(新規) NTT株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、カタール投資庁、三菱HCキャピタルリアルティ、Salesforce Ventures
融資等参加金融機関(抜粋) あおぞら銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行、商工組合中央金庫、横浜銀行、UPSIDER Capital 等
シンジケートローン主な参加銀行 みずほ銀行(アレンジャー)、三井住友信託銀行(アレンジャー)、横浜銀行(アレンジャー)、紀陽銀行、名古屋銀行 等
引受・支援(Introducing Agent) みずほ証券株式会社、UBS AG シンガポール支店
資金使途(主要) MujinOSの製品ライン拡充、デジタルツイン化の加速、欧米を中心としたグローバル展開、技術開発・人材獲得
会社情報 株式会社Mujin/所在地:東京都江東区辰巳3-8-5/創業:2011年7月6日/CEO 兼 共同創業者:滝野一征
公式サイト・採用 https://www.mujin.co.jp/ 、採用:https://www.mujin.co.jp/recruit/

上記の表はプレスリリースに示された事実に基づいて作成しました。資金調達の規模、参加者、用途、会社に関する基本情報が一目で確認できるよう整理してあります。

本稿は、Mujinが公表したプレスリリースの情報を基に作成した解説記事です。調達額や参加企業、資金使途については公表内容を忠実に記載しており、将来の事業計画や実行については企業側の発表に基づき記述しています。

参考リンク: