Anduril、日本法人を東京に設立 Latticeで防衛連携

Anduril日本法人設立

開催日:12月3日

Andurilってどんな会社なの?
米国発の防衛テック企業で2017年創業。AIやソフトウェア主導の自律システムや無人機、センサー網を開発し、同盟国向けに防衛ソリューションを提供している会社だ。
日本法人は具体的に何をするの?
日本法人は統合防空、低コスト大量生産の打撃システム、海洋自律・水中システム、ヒューマン・マシン・チーミングの4分野で技術提供やJMSDF・大学との連携、実証や人材育成を進める予定だ。

日本法人設立の背景と発表の概要

2025年12月3日12時30分、Anduril Industries(以下「Anduril」)は日本での事業展開を強化するため、日本法人「Anduril Industries Japan合同会社(アンドゥリル・ジャパン)」を設立したと発表しました。本社の発表は、同盟国の防衛・安全保障能力強化およびインド太平洋地域の安定に寄与するという同社の取り組みを大きく前進させるものです。

発表資料では、近年の安全保障環境の複雑化に伴い、先進技術の迅速な導入、短納期での提供、大量生産、そして脅威の変化のスピードに合わせたシステムの調整・更新がますます重要になっている点が指摘されています。日本政府側でも、2027年に始まる新たな5カ年の防衛力整備計画を策定する意向が示されており、防衛力の抜本的強化に向けた検討が進む見込みです。

Andurilは、アジア太平洋地域における事業拡大の一環として日本法人設立を位置付けています。発表資料は、同法人が日本の独自ニーズを理解しながら、即応性とイノベーションを支援する協働的なパートナーシップを目指すことを明記しています。

日本での役割と連携の方向性

Andurilは、日本で培われてきた防衛関連生産の経験と、同社が持つソフトウェア開発や先進製造の技術・ノウハウを相互に活用する意図を示しています。発表では、日本側はAndurilの技術を活用する一方、Andurilは日本の戦略的ビジョンに沿った即応性とイノベーションの強化を支援すると記されています。

具体的には、既存の産業施設を防衛生産向けに転用する可能性の検討や、日本の主要大学との連携を通じた先進的なソフトウェアの開発およびAI人材の育成に取り組むことが明示されています。こうした取り組みが、現代的で俊敏な産業基盤の整備につながることを目指しています。

設立日・発表日時
2025年12月3日 12時30分
日本法人名
Anduril Industries Japan合同会社(アンドゥリル・ジャパン)
所在地(公表)
東京都千代田区
代表
Patrick Hollen(パトリック・ホーレン)

4つの重点戦略領域と具体的取り組み

Anduril Japanは発表で、世界の防衛潮流および日本の戦略的優先事項を踏まえ、相互に密接に関連する4つの分野に注力するとしています。以下に、各分野の狙いと具体的要素を整理します。

各分野ともに、ソフトウェア主導型の設計哲学、スケーラビリティ、大量生産性、迅速なアップデート可能性を共通要素として重視しています。

統合防空ミサイル防衛

説明文では、航空機やミサイルによる脅威が速度・数・複雑性の面で高度化しているため、日本ではリアルタイムに適応可能なネットワーク化されたソフトウェア定義型の指揮統制アーキテクチャが求められていると指摘しています。

Andurilはセンサー、迎撃手段、オペレーターを統合して「システム・オブ・システムズ」として機能させ、分散型かつ多層的な防衛を実現する新たなモデル構築を支援する方針です。

  • ネットワーク化された指揮統制アーキテクチャの導入支援
  • センサーと迎撃手段の統合による状況認識向上
  • リアルタイムでの適応と更新を可能にするソフトウェア基盤

低コスト・スケーラブル・大量生産可能な能力

同社が開発する打撃システムは、拡張性とコスト効率に優れ、複数の領域で協調運用できることを目指しています。これは弾薬保有量の拡充やより分散化した運用コンセプトを志向する日本の関心と整合します。

アプローチの中核にあるのは、商用・デュアルユース技術やモジュール設計を重視する点で、迅速かつ大規模な生産を可能にし、より多くの能力を低コストで戦力化する支援を行うとしています。

  1. 商用技術を活用したコスト削減と生産性向上
  2. モジュール設計による柔軟性と拡張性の確保
  3. 大規模生産と迅速な配備体制の構築支援

海洋自律システムと水中システム

広大なインド太平洋の海洋環境において、水上・水中の継続的な状況把握は主要な課題です。Andurilは大型無人システムからAIを活用したセンシングネットワークに至るまで、自律型海洋技術の可能性を検討しています。

これらのシステムは効率的かつ実効的な規模で展開できるようスケーラビリティと大量生産性を重視しており、オーストラリアでの取り組みから得られた知見も活かすと明記しています。

  • 大型無人海洋システムの開発・適用
  • AIを活用したセンシングネットワークによる常時監視
  • オーストラリアでの実績からの知見の活用

ヒューマン・マシン・チーミングと高度な自律性

次世代の航空およびマルチドメイン作戦は、人と自律システムの協働に依存するため、信頼性の高いヒューマン・マシン・チーミングが不可欠です。AndurilはAIや自律システム、デジタル基盤に関する取り組みを通じて、この変革を支える土台を構築するとしています。

オペレーターがより大規模で高度かつ適応力の高い戦力構造を指揮できるようにするためのソリューション提供が目標とされています。

  • AIを組み込んだ自律システムの信頼性向上
  • オペレーター支援ツールと意思決定支援の強化
  • 人と機械の連携を前提とした運用概念の開発

人事、既往の連携、企業としての立ち位置

Anduril Japanの代表にはPatrick Hollen(パトリック・ホーレン)が任命されました。ホーレンはAnduril入社以前、Raytheon Technologies(レイセオン・テクノロジーズ)に勤務し、米国ミサイル防衛局(MDA)の上級顧問を務めた経歴を有しています。加えて米海軍に30年間勤務していたことが記載されています。

2008年には、米連邦議会の法令に基づき設立されたマンスフィールド・フェローシップ・プログラムに選出され、2年間のフェローシップ期間中に日本の防衛省、国会、内閣官房および国土交通省に配属された経験があります。これらの経歴は日本での業務推進に資する背景として紹介されています。

代表経歴(要旨)
Raytheon Technologiesの勤務歴、米国ミサイル防衛局(MDA)上級顧問、米海軍30年、2008年マンスフィールド・フェローシップで日本機関に配属
所在地
東京都千代田区(公表)

また、Andurilは海上自衛隊(JMSDF)と協働し、同社のオープンかつAI対応のソフトウェア・プラットフォーム「Lattice」を活用した実証に取り組んでいることを明示しています。Latticeは外部装備・システムや各種データ源を統合・融合し、状況認識を向上させ多様な指揮統制を可能にするためのプラットフォームです。

企業の位置付けとメッセージ、まとめ表

Andurilは2017年創業の防衛技術企業であり、AI、ソフトウェア、先端ハードウェアを組み合わせて自律型システムを構築し、空・海・陸・宇宙の各領域で事業を展開している点を改めて説明しています。発表の中で創業者Palmer Luckey(パーマー・ラッキー)は次のように述べています。

「日本には世界でも有数の高度なエンジニアリング人材と製造能力があります。日本の技術的卓越性と当社が培ってきた迅速なイノベーションの経験を組み合わせることで、日本の自律的な防衛能力を強化し、イノベーションを加速し、真のパートナーシップを通じて技術システムを提供する、新たな防衛力整備のモデルを築くことができます。」

Anduril Japan代表のPatrick Hollenも次のように述べています。

「私たちの目標は、日本の産業基盤の一部となることです。Anduril Japanを、日本を代表する優れたエンジニア、デザイナー、科学者が国家への貢献をイノベーションの一形態として捉えることができる場所、すなわちテクノロジーと使命が融合する場所にしたいと考えています。」

項目 内容
発表日 2025年12月3日 12:30
設立法人名 Anduril Industries Japan合同会社(アンドゥリル・ジャパン)
代表 Patrick Hollen(パトリック・ホーレン)
所在地(公表) 東京都千代田区
重点領域 統合防空ミサイル防衛/低コスト・スケーラブル・大量生産可能な能力/海洋自律・水中システム/ヒューマン・マシン・チーミングと高度な自律性
既往の協働事例 海上自衛隊とLatticeプラットフォームを用いた実証
取り組み例 既存産業施設の防衛生産転用検討、大学連携によるソフトウェア開発とAI人材育成
企業概要(要旨) 2017年創業、AI・ソフトウェア・ハードウェアを融合した自律型システムを開発、空海陸宇宙でグローバル展開
公式サイト https://www.anduril.com/

以上が発表された主要な内容の整理です。日本法人の設立は、同社のアジア太平洋地域における事業展開の一環として位置付けられており、統合防空や海洋監視、自律システム、低コスト大量生産など複数の重点領域を通じて、日本側の戦略的優先事項と整合するソリューション提供を図ることが示されています。

参考リンク: