半数超が「死にたい」と回答 ABABAの就活うつ調査が示す現状
ベストカレンダー編集部
2025年12月4日 11:41
就活うつ調査発表
開催日:12月4日
就活を巡る現状把握と本調査の実施概要
2025年12月4日に公表された株式会社ABABAの発表をもとに、2026年3月卒業予定の大学4年生および修士課程2年生を対象に行われた「就活うつに関するアンケート調査」の全容を整理する。発表は、就職活動の長期化や早期化、SNSによる比較などが学生の精神的負担を増幅しているという問題意識を背景に実施された調査結果を伝えるものである。
本稿では、調査の対象・方法から主要な設問ごとの数値、自由回答の傾向、関連サービスや企業情報まで、発表内容に含まれるすべての情報を漏れなく具体的に整理する。調査結果は学生のメンタルヘルスに関する複数の指標を含み、内定後にまで影響が及んでいる点が特徴的である。
調査の対象・期間・方法
調査は株式会社ABABAが、インターネット調査の手法で実施した。調査期間は2025年10月22日から11月25日までで、有効回答数は200名である。対象は2026年3月卒業予定の大学4年生および修士課程2年生のうち、「就活うつを自覚したことがある」と回答した学生を選定している。
事前調査も行われ、2026年3月卒業予定の大学4年生・修士課程2年生564名のうち「就活うつになった」「就活うつっぽい」と回答した割合が54.3%に達している点が示されている。比較として、ABABA総研が2024年に実施した同様調査では割合が46.3%であり、今回の調査では前年比で8ポイント増となっている(有効回答数は異なる)。
- 調査対象
- 2026年3月卒業予定の大学4年生、修士課程2年生のうち「就活うつを自覚したことがある」学生200名
- 調査機関
- 株式会社ABABA
- 調査方法
- インターネット調査
- 調査期間
- 2025年10月22日〜11月25日
- 有効回答数
- 200名
主要な調査結果のポイントと数値的事実
調査では複数の設問を通じて、就活うつの症状、感情、行動変化、対処方法、原因意識、内定後の状況などが明らかにされている。以下に主な結果を項目ごとに整理する。
発表では調査結果の要約として9つの主要ポイントが挙げられており、各ポイントには具体的な割合や説明が付されている。ここではそれらを番号順に列挙し、該当割合や具体的な設問文の要旨を示す。
- 就活中に「死にたい」と思ったことがある学生が56.5%に上る。命に関わる深刻な精神状態に至った経験が半数を超えている。
- うつ傾向の症状では「なにもやる気が起きなくなった」が56.0%で最多。そのほか「食欲の変化」34.5%、「集中力の低下」34.0%、「勝手に涙が出る」33.5%、「眠れなくなった」28.0%、「頭痛や胃痛などの身体不調」23.0%など多岐にわたる。
- 感情面では「自分だけがダメだと思った」が38.5%、「みんな頑張っているから我慢しなければならないと思った」38.0%、「自分は社会に必要ないと思った」36.5%と、自己否定や自己・他者比較に基づく苦しみが約4割で共通している。
- 行動面への影響では「選考をキャンセル・無断欠席した」が32.5%、「親しい人とも会いたくなくなった」が31.0%など、就活のみならず日常生活や対人関係にも影響が出ている。
- 対処法では「身近な人に相談」が32.5%で最多、次いで「AIチャット(ChatGPT等)に相談」が24.5%。「特になにもしなかった」は25.0%に上り孤立状態の学生が一定数存在する。
- 就活がつらいと感じた最大の原因は「就活期間が長すぎて先が見えなかったから」で40.0%。選考落ちの連続や周囲との比較、周囲からのプレッシャーが続いていることが示される。
- 最初の内定を得た後も就活うつっぽさを感じていた学生は50.5%に達している。内定は必ずしも精神的回復につながっていない。
- 内定後に感じたつらさの原因は「本当にこの企業でいいのか不安」が48.5%で最多。「自分の判断軸が分からなくなった」37.6%、「達成感がなかった」29.7%など、決断に伴うストレスが目立つ。
- 自由回答で最も多かったエピソードは「周りが決まる中、自分だけ取り残される恐怖」。圧迫面接などによる深刻な精神的被害(パニック障害発症など)を訴える声もある。
症状・行動・感情の詳細
具体的な症状別の内訳は、意欲低下が突出しており半数以上が経験している。一方で身体症状や睡眠障害も報告され、精神面だけでなく身体にも影響が波及している。
行動面では面接や選考の欠席、ゼミやサークル活動の欠如、対人関係の希薄化など学業や生活の質に結びつく変化が生じている。これらは単発の問題ではなく就活期間の長期化によって累積的に悪化する傾向が示唆される。
- 意欲の低下:56.0%(なにもやる気が起きない)
- 食欲の変化:34.5%
- 集中力低下:34.0%
- 涙が出る:33.5%
- 睡眠障害:28.0%
- 身体不調(頭痛・胃痛等):23.0%
対処法、原因、内定後の状況 — 学生の実情を細かく見る
調査は対処法や原因の設問から、学生が直面する構造的要因と個別の対応実態を示している。AI利用や孤立、長期化の影響など、現代的な要素が浮かび上がる。
ここでは対処法の割合、就活がつらいと感じた原因ランキング、内定後に継続するうつの要因などを具体的に整理する。
対処法の実態とAIの利用
対処法として最も多いのは身近な人への相談で32.5%、次いでAIチャットへの相談が24.5%と、デジタルな相談手段も上位に入っている。専門機関のカウンセリングを利用した学生は20.5%、一時的に就活を中止した学生が22.5%いる。
一方で25.0%が「特になにもしなかった」と回答しており、相談や支援を受けられないまま孤立している学生が一定割合存在する。AI相談が上位に入る点はデジタルネイティブ世代の特徴を反映している。
| 対処法 | 割合 |
|---|---|
| 身近な人に相談 | 32.5% |
| AIチャット(ChatGPT等)に相談 | 24.5% |
| 特になにもしなかった | 25.0% |
| 就職活動を一時中止 | 22.5% |
| 専門機関でカウンセリングや診断 | 20.5% |
| スケジュールを詰める | 16.5% |
| SNSなどの情報から距離を置く | 14.5% |
| 留学や休学で先延ばし | 12.5% |
つらさの原因と長期化の影響
就活がつらいと感じた原因では、期間の長期化が最大の要因で40.0%に達する。選考落ちの連続(36.0%)や自己理解の不足(33.5%)が続き、他者との比較(30.0%)や周囲からのプレッシャー(25.0%)も無視できない。
長期化により「ゴールが見えない」状況が続くことで不安が累積し、対処行動の選択肢にも影響を与えていることが指摘されている。就活の構造自体が心理的負担を増幅している点が強調されている。
- 就活期間の長期化が最大要因:40.0%
- 選考落ちの連続:36.0%
- やりたいことが分からないままの就活:33.5%
- 周囲との進捗差:30.0%
- 周囲からのプレッシャー:25.0%
内定後も続く不安と学生の声、関連情報
「内定=解決」ではないという実態が本調査の重要な示唆である。最初の内定獲得後も50.5%が就活うつを感じ続けており、決断に伴うストレスが新たな負担になっている。
以下に内定後に抱える主な原因と、自由回答で示された具体的な辛さの内容を整理する。圧迫面接や人格否定、周囲との差が心理的被害を拡大している点も示されている。
内定後に感じたつらさの原因
内定後の主な原因は「本当にこの企業や職種でいいのか不安になったから」で48.5%。次いで「自分の判断軸が分からなくなったから」37.6%、「達成感がなかったから」29.7%と続く。周囲との比較や残存選考の存在も不安を増幅させる要因である。
理由が明確でないまま気持ちが沈んだという回答もあり(11.9%)、内定後の心理的状態は多層的である。内定が出ても「選択の重さ」による消耗が残ることが示される。
- 本当にこの企業でいいのか不安:48.5%
- 判断軸が分からなくなった:37.6%
- 達成感がない:29.7%
- 周りと比較して引け目を感じる:27.7%
- 志望度の高い企業の選考が残る:26.7%
- 理由が特に思い当たらないが気持ちが沈む:11.9%
自由回答に見る具体的な被害感・恐怖
自由記述では「周りが内定を得ていく中で自分だけが決まらない」という孤立感や焦燥感を訴える声が圧倒的多数を占めた。具体例として「友人は3月に決まったが自分は全然決まらなかった」「内定をもらった人から慰められて惨めに感じた」といった比較による劣等感が多く見られる。
また、面接過程での人格否定や圧迫面接によってパニック障害が発症したなど、精神的・身体的に深刻な被害を訴える回答も存在する。これらは個別事例ではなく、就活プロセスの慣行や長期化が誘発する構造的問題として捉える必要がある。
関連サービスの説明と企業情報、記事の要点整理
発表では、ABABAが提供するサービスとして「ABABA」と「REALME」の説明が付されている。以下に、それぞれの機能と目的を発表文に沿って整理する。
また、調査結果が示す構造的問題と、それに対してどのような対応が想定されうるかについて、発表文の指摘を引用しつつ整理する。
提供サービスの概要(発表に基づく整理)
「ABABA」は、最終面接まで進んだ実績を持つ就活生のみが登録できるスカウト型サービスで、最終面接まで進んだという実績情報を企業に示すことでスカウトを受け取る仕組みを持つ。また、不採用通知を前向きな推薦につなげる「お祈りエール」経路を用意し、企業からの応援メッセージを通じて登録を促す取り組みが説明されている。
「REALME」はAI面接で定量化した学生の能力・価値観をもとに、企業の採用要件とマッチングするサービスである。スクリーニング工数の削減や、アトラクト内容の最適化によって選考遷移率や内定承諾率の向上が期待できると説明されている。これらの説明は発表文の記述を整理したものであり、サービス導入を検討する際の情報として提示されている。
会社概要(発表記載)
発表に含まれる株式会社ABABAの会社概要は以下のとおりである。所在地、設立、資本金、従業員数などの基本情報が明記されている。
- 会社名
- 株式会社ABABA
- 所在地
- 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目19番19号 恵比寿ビジネスタワー8階(本社)
- 従業員数
- 70名(インターン・アルバイト含む)
- 設立
- 2020年10月19日
- 資本金
- 1億円
- URL
- https://hr.ababa.co.jp/ababa
本記事の要点整理(表形式)と締めの一段落
以下に、本調査の主要事項を表にまとめる。調査の基本情報、主要な数値、主要な示唆を一覧化している。表の後に、記事全体の要点を簡潔にまとめる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元 | 株式会社ABABA(東京都渋谷区)、発表日:2025年12月4日 10:00 |
| 調査対象 | 2026年3月卒業予定の大学4年生・修士課程2年生のうち「就活うつを自覚したことがある」200名 |
| 調査期間・方法 | 2025年10月22日〜11月25日、インターネット調査 |
| 事前調査結果 | 就活うつを自覚した割合:54.3%(事前調査対象564名) |
| 主要な深刻度指標 | 就活中に「死にたい」と思った:56.5% |
| 主な症状 | やる気が起きない56.0%、食欲変化34.5%、集中力低下34.0%等 |
| 対処法 | 身近な人に相談32.5%、AIチャット24.5%、何もしなかった25.0%等 |
| つらさの主因 | 就活の期間が長すぎて先が見えないから:40.0% |
| 内定後の状況 | 内定後も就活うつを感じる:50.5%、不安の主因は「本当にこの企業でいいのか」48.5% |
| 関連サービス | ABABA(スカウト型サービス)、REALME(AI面接・マッチング) |
本調査は、就職活動が学生の精神的負担に与える影響が広範であることを示している。特に、就活の長期化に伴う不確実性、他者との比較、選考過程での否定的経験などが複合して精神的被害を拡大している点が重要である。内定後も不安が続くことから、内定を出す側・大学・支援機関など複数の主体が採用プロセスや支援体制を点検し、構造的な改善に取り組む必要があることが示唆される。
参考リンク: