共感で食品ロス削減、ファミマの涙目シールが受賞
ベストカレンダー編集部
2025年12月4日 14:38
涙目シール受賞
開催日:12月4日
「涙目シール」が示した、共感を軸にした食品ロス削減の新しいかたち
株式会社ファミリーマートは、2025年12月4日付のプレスリリースにおいて、環境省主催の「第13回 グッドライフアワード」にて実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞を受賞したと公表しました。リリースは同日11時21分に発表されており、受賞対象となったのは、同社が進める食品ロス削減の取り組み「涙目シール」です。
「涙目シール」は、値下げシールに単なる価格情報ではなくお客さまの心に響くメッセージと「涙目」キャラクターを併記することで、購買行動の心理的ハードルを下げ、消費者の共感を食品ロス削減の力に変える試みです。ファミリーマートはこの取り組みを同社の掲げる5つのキーワードの一つ、「食の安全・安心、地球にもやさしい」の具体化として位置づけています。
取り組みの背景と目的
食品ロス削減は流通・小売り全体での重要課題であり、コンビニエンスストアにおける売れ残りや廃棄の抑制は業界全体の関心事項です。値下げ販売は従来から行われてきましたが、購入者側の心理的抵抗をどう下げるかが課題でした。
「涙目シール」は、その心理を正面から捉え、「安いから買う」から「助けたいから買う」へと消費行動の動機付けを変えるコミュニケーションを目指しています。具体的には値引きラベルに「たすけてください」というメッセージを添え、消費者に行動の意味を提示する手法です。
デザインとコミュニケーションが評価された受賞実績
「涙目シール」はグッドライフアワードの評価に加え、複数のクリエイティブ・PR系アワードでも受賞しています。デザイン面・コミュニケーション面の双方で外部評価を得ている点が特徴です。
受賞歴としては、特に次の実績が明記されています。
- 環境省「第13回 グッドライフアワード」:実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞
- 65th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS:PR部門でゴールド、デザイン部門でシルバー、ブランデッド・コミュニケーション部門でブロンズ
- PRアワード2025:シルバー
なお、65th ACCおよびPRアワード2025の受賞は、同社のクリエイティブパートナーであるThe Breakthrough Company GO社との共同受賞として発表されています。
デザインが果たす役割
デザインは単に視覚的に訴えるだけでなく、購買の心理を変える媒体として機能しています。値下げシールという接点を通じて、店頭での短い意思決定プロセスに影響を与える点が評価されました。
受賞理由の一部には、消費者に対するメッセージ性の明確さ、親しみやすいキャラクター表現、店舗運用に支障をきたさない実装のしやすさなどが含まれていると説明されています。
実証実験から全国展開、そしてフリー素材化までの歩みと効果
「涙目シール」は段階的に展開され、効果検証を経たうえで拡大されています。主なスケジュールと結果は以下の通りです。
- 2021年7月
- バーコード付き値下シールを貼付する「ファミマのエコ割」を導入(消費期限の迫った中食商品対象)。
- 2024年3月
- 「ファミマのエコ割」シールに「涙目」キャラクターと「たすけてください」メッセージを追加。
- 2024年10月
- 実証実験を実施。従来シールと比較して購入率が向上。
- 2025年3月
- 全国展開を開始。
- 2025年10月
- 「涙目シール」のイラストをフリー素材化、パン・肉・魚・ケーキの4種類のイラストを追加して公式サイトで公開。ファミリーマートの「ファミマネットワークプリント」での印刷も可能(印刷サービスは有料)。
実証実験では従来シールに比べて購入率が向上し、全国展開の前提となる効果が確認されました。全店での実施を想定すると、年間で約3,000トンの食品ロス削減につながると試算されています。
また、実際の店舗における廃棄量は前年同期比で約5%削減(2024年度上期と2025年度上期の比較)を達成しており、その他の施策と合わせて効果が出ていることが示されています。
フリー素材化と普及の仕組み
2025年10月のフリー素材化では、ファミリーマート店舗以外の販売店でも活用できるようにするため、既存デザインに加えて食品カテゴリー別のイラストを整備しました。提供場所はファミリーマートの公式ウェブサイト内サステナビリティページです。
印刷については、ファミリーマートの店舗に設置されている「ファミマネットワークプリント」を使って印刷することが可能ですが、印刷サービスは有料となっています。素材の無償提供により、チェーン外を含めた横展開が容易になっています。
ファミリーマートの環境目標と取り組みの位置づけ
ファミリーマートは、環境に関する中長期目標として「ファミマecoビジョン2050」を2020年2月に策定しています。取り組みは主に次の3つのテーマで進められています。
- 温室効果ガス(CO2排出量)の削減
- プラスチック対策
- 食品ロス削減
食品ロス削減に関しては具体的な数値目標が掲げられており、2030年に50%、2050年に80%削減を目標としています。「涙目シール」はこの目標達成に向けた店舗施策の一つであり、包装改良、発注精度の向上、「てまえどり」の実施などと併せて推進されています。
詳細な取り組みと目標の解説は、ファミリーマートのサステナビリティページで公開されています(https://www.family.co.jp/sustainability.html、および食品ロス削減ページ)。
過去施策との連携
「涙目シール」は、すでに導入されていた「ファミマのエコ割」と連携して運用されています。バーコード付き値下シールの仕組みにメッセージ性を付与することで、既存オペレーションに大きな変更を加えずに導入可能な点が利点です。
また、包装のロングライフ化や発注精度の向上といった従来の施策と組み合わせることで、店舗単位での食品廃棄量削減が推進されています。
要点の整理
ここまで示した情報を表形式で整理します。受賞情報、時系列の主要な出来事、効果の数値、関連リンクを分かりやすくまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元 | 株式会社ファミリーマート(発表日:2025年12月4日 11時21分) |
| 受賞 | 第13回 グッドライフアワード 実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞 |
| その他受賞実績 | 65th ACC:PRゴールド、デザインシルバー、ブランデッド・コミュニケーションブロンズ。PRアワード2025:シルバー(いずれもThe Breakthrough Company GO社と共同受賞) |
| 取り組み名 | 「涙目シール」 ― 値下シールに「たすけてください」メッセージと「涙目」キャラクターを併記 |
| 導入の沿革 | 2021年7月「ファミマのエコ割」導入 → 2024年3月に涙目追加 → 2024年10月実証実験 → 2025年3月全国展開 → 2025年10月フリー素材化 |
| 効果 | 実証実験で購入率向上。全店展開時の試算で年間約3,000トン削減の見込み。店舗廃棄量は前年同期比で約5%削減(2024年度上期 vs 2025年度上期)。 |
| フリー素材化 | 2025年10月に公開。パン、肉、魚、ケーキの4種類のイラストを追加。公式サイトで無償提供。店舗のネットワークプリントで有料印刷可。 |
| 関連URL | 環境省 グッドライフアワード ファミリーマート サステナビリティ |
| 中長期目標(ファミマecoビジョン2050) | 食品ロス削減:2030年50%削減、2050年80%削減。その他テーマ:CO2削減、プラスチック対策。 |
本稿は、ファミリーマートが公表したプレスリリースの内容に基づき、「涙目シール」の経緯、受賞歴、実証データ、フリー素材化の方針、および同社の環境目標との関連性を整理したものです。出典元や詳細は上記の関連リンクを参照できます。
参考リンク: