櫻田智也『失われた貌』が年末ミステリ2冠獲得
ベストカレンダー編集部
2025年12月4日 21:54
失われた貌が2冠達成
開催日:12月4日
年末のランキングで光った二重の評価 — 受賞の経緯と公表日時
櫻田智也氏による長編小説『失われた貌』(新潮社刊)が、年末の主要ミステリランキングで相次いで1位に選出されました。まずは既報のとおり、ハヤカワミステリマガジン掲載の「ミステリが読みたい! 2026年版」(国内篇)で1位を獲得したのち、週刊文春が選出する「週刊文春ミステリーベスト10 2025 国内部門」(週刊文春2025年12月11日号)でも1位となり、年末のミステリ界で二冠の評価を得ています。
この情報は株式会社新潮社発のプレスリリースにより公表され、発表日時は2025年12月4日 11時00分です。プレスリリース本文には書名、著者情報、書誌データ、作品紹介、著名作家からのコメント等が含まれており、編集者や書店、読者に向けて正式に伝えられています。
ランキングの位置づけと本作への評価
二つのランキングはいずれも国内のミステリ作品に対する読者・評論家・選考者の評価を反映するものです。「ミステリが読みたい!」は刊行後の業界・読者からの評価をまとめる指標として注目され、「週刊文春ミステリーベスト10」は同誌が独自の視点で選定する年末恒例のランキングです。本作が両者で1位を得たことは、刊行直後から広がった支持と評価の厚さを示しています。
プレスリリース内では、評論的な言葉が並びます。「伏線回収が気持ちいい」「すべての登場人物が立っている」「これぞミステリを読む喜び!」といった評が紹介され、読後にタイトルの意味合いが変わる点や、張り巡らされた伏線と閃きを導く描写、そして最後に裏返る真相といった作品の特徴が強調されています。
著名作家から寄せられた評言 — 作品が喚起した反応
本作に対する反応として、伊坂幸太郎氏、恩田陸氏、米澤穂信氏という日本のエンターテインメント界を代表する三人の作家からコメントが寄せられています。いずれも短く力のある一言が並び、それぞれの観点から本作の完成度を窺わせます。
コメントはプレスリリース中に原文のまま掲載されています。原文の表現や括弧書きも本稿では尊重して提示します。
- 伊坂幸太郎
- 【うっとり】 ミステリーが好きで良かったなあ、本当に良かったなあ、と思わずにはいられない。主人公の日野は非情な私立探偵のようだ。彼の葛藤を勝手に想像し、しばらくそのことばかり考えていた。
- 恩田陸
- 【舌を巻く】 捜査と謎解きのハイブリッド。すべてのピースがひとつに収まるのが驚異的。
- 米澤穂信
- 【ガッツポーズ】 成熟した小説が大胆な真相に至る――。こういうミステリを待っていた。ついに、来てくれた。
これらの評言は作中人物の描き方、構成の巧みさ、真相の設計といった複数の側面で高い評価が示されている点に注目できます。短いコメントながら、それぞれ作家の視点が反映されており、読者にとっての期待値を高める要素となっています。
上記のコメントは作品選定における重要な参考情報であり、ランキング結果とあわせて作品理解を深める手がかりになります。
物語の構造と主要な展開 — あらすじとテーマの整理
プレスリリースに記載された内容を整理すると、物語は一連の事件報道と、その裏側にある過去の行方不明事件を絡めて展開します。山奥で発見された死体は、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされるという残虐な状況であり、現場には不審者目撃の情報があったにもかかわらず、警察の対応に問題があるとの投書が寄せられていた時期の出来事でした。
その後、生活安全課に一人の小学生が現れ、「死体は自分のお父さんかもしれない」と訴えます。彼の父親は十年前に行方不明となり、失踪宣告を受けていた人物です。この発言を契機に、表面的には無関係に見えた出来事が絡み合い、過去と現在が重なり合うことで事件は予想外の方向へ膨らんでいきます。
謎の骨子と読者に求められる視点
プレスリリース中では「張り巡らされた伏線、閃きを導く手がかり、最後に裏返る真相、読後に意味合いを変えるタイトル」という表現で作品の構成が紹介されています。これらは、読者が細部に注意を払いながら読み進めることで真相へ到達する楽しみを示唆しています。
同時に「刑事にできるのは、事実を見つけ、真実に向き合わせること、それだけだ。」という一節からは、物語における職業倫理や真実追求の姿勢が主題の一つとして据えられていることが読み取れます。登場人物の行動や葛藤、過去の出来事の重みが結末にどのように影響するかが焦点となる構成です。
- 発見された死体の状況:顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされていた。
- 警察と投書:不審者目撃情報と警察の対応不足を指摘する投書があった。
- 小学生の申し出:死体が自分の父親かもしれないという申告。
- 過去との接続:父親は十年前に行方不明、失踪宣告が出ていた。
- 物語の特徴:伏線、手がかり、裏返る真相、読後に変わるタイトル。
以上の要素がどのように組み合わさり、読者にどのような驚きと納得を提供するかが、本作の読みどころになります。
著者情報・書誌データと総括的整理
著者は櫻田智也(さくらだ・ともや)氏。1977年生まれ、北海道出身。作家としての経歴は2013年に遡り、昆虫好きの青年・魞沢泉を主人公とした「サーチライトと誘蛾灯」で第10回ミステリーズ!新人賞を受賞してデビューしています。2017年に受賞作を表題作とした連作短編集が刊行され、2021年には魞沢泉シリーズの2冊目『蟬かえる』で第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞をダブル受賞しました。その他の著作に『六色の蛹』があり、本書『失われた貌』は初の長編作品です。
下記はプレスリリースに記載された書誌データと関連リンク、並びに発表関係の要点を整理した表です。記事末尾で改めて表形式でまとめていますが、ここでも主要データを明記します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 失われた貌 |
| 著者 | 櫻田智也 |
| 発売日 | 2025年8月20日 |
| 造本 | 四六版三方断ちカバー |
| 定価 | 1,980円(税込) |
| ISBN | 978-4-10-356411-9 |
| 出版社 | 新潮社(株式会社新潮社) |
| プレスリリース発表日時 | 2025年12月4日 11時00分 |
| 試し読み・書籍ページ | https://www.shinchosha.co.jp/book/356411/ |
ここまでに示した情報はすべてプレスリリースの記載内容に基づきます。ランキングの受賞、著名作家のコメント、物語のあらまし、著者の経歴と受賞歴、書誌的な詳細を網羅しています。
| 整理項目 | 本文での要約 |
|---|---|
| 二冠の内容 | 「ミステリが読みたい! 2026年版」国内篇1位、および「週刊文春ミステリーベスト10 2025 国内部門」1位 |
| プレス発表 | 株式会社新潮社による発表(2025年12月4日 11時00分) |
| 作品の特徴 | 張り巡らされた伏線、閃きを導く手がかり、最後に裏返る真相、読後に意味合いを変えるタイトル |
| 主要プロット | 山奥で残虐な状態の死体発見→小学生が父親の可能性を主張→十年前の行方不明との接続→過去と現在が絡む展開 |
| 著者経歴と受賞 | 櫻田智也(1977年生・北海道出身)。2013年デビュー(第10回ミステリーズ!新人賞)。2021年に『蟬かえる』で第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞を受賞。 |
| 書誌データ(主要) | 発売日:2025年8月20日/定価:1,980円(税込)/ISBN:978-4-10-356411-9/造本:四六版三方断ちカバー |
| 著名作家コメント | 伊坂幸太郎「【うっとり】…」/恩田陸「【舌を巻く】…」/米澤穂信「【ガッツポーズ】…」 |
| 関連リンク | https://www.shinchosha.co.jp/book/356411/ |
上記の表は本記事中の重要点を整理したものです。プレスリリースに記載された全情報を網羅し、作品の評価、内容、著者情報、書誌的事項を分かりやすくまとめました。読者が作品の位置づけと基本情報を迅速に把握できるよう構成しています。
参考リンク: