大学生は12月にシフト増加、3人に1人が勤務時間を増やす理由
ベストカレンダー編集部
2025年12月5日 14:27
大学生の12月アルバイト増加
開催期間:12月1日〜12月31日
大学生は12月にアルバイト時間を増やす傾向――増加幅と理由の詳細
株式会社マイナビが発表した「多様化する年末のアルバイト実態調査」によると、アルバイト就業中の大学生のうち2025年12月に現在のアルバイト先で働く時間を「増やす」と回答した割合は34.5%でした。アルバイト就業者全体の14.5%と比べて20.0ポイント高く、大学生の年末に向けたシフト増加への積極性が顕著に表れています。この記事では、増やすと答えた大学生がどの程度勤務時間を増やすつもりか、またその理由に関する詳細データを整理して伝えます。
増加幅に関する設問では、月間の平均就業時間からどの程度増やすかを尋ねた結果、「1~2割」が45.1%「3~4割」が35.2%という回答が得られました。年末を「稼ぎ時」として捉え、比較的短期的に勤務時間を大きく増やす傾向が見られます。以下に、増やす理由の内訳も具体的な数値で示します。
- 収入を増やしたいから:71.8%
- 時間に余裕があるから:43.7%
- 報酬や条件が一時的に良くなるから:21.1%
学校の冬休み期間による時間的余裕と、年末の繁忙期に伴う短期募集・高時給などの求人条件が重なり、大学生が労働時間を増やす大きな動機になっていることがこれらの数値から読み取れます。図1〜図3に関連データが収録されていますが、本稿では数値を文章中に明示して整理しています。
増加幅の背景と具体的影響
「1~2割」や「3~4割」といった増加幅は、実際の月間労働時間によって実働時間の変化が異なります。たとえば月80時間の人が「1~2割」を増やす場合は約8~16時間の上乗せ、「3~4割」では約24~32時間の上乗せとなり、年末の短期集中で収入が大きく変わる可能性があります。
増加理由の上位に「収入を増やしたいから(71.8%)」があることから、年末のまとまった収入確保を目的とした時間調整が実務的な動機となっている点が重要です。一方で「時間に余裕があるから(43.7%)」という回答は、学業のスケジュールや休暇期間に左右された可変的な働き方が根底にあることを示しています。
別の職場で働きたい大学生は半数以上――スポットワーク志向が優勢
同調査において、2025年12月に「現在のアルバイト先以外で新しい仕事をしたい」と回答した大学生の割合は58.3%
新たに希望する働き方の上位には、「スポットワーク」「単発の仕事」がそれぞれ30.6%
- 現在の就業先以外での就労意向(大学生):58.3%
- 現在の就業先以外での就労意向(全体):40.4%
- 希望する働き方上位:スポットワーク 30.6%、単発の仕事 30.6%
年末の短期需要や企業側の人材確保施策が短期雇用の機会を生む一方、大学生側は休暇期間を活用して効率的に収入を増やしたいというニーズが明確です。柔軟性の高い働き方への志向は、年末の労働市場における重要なトレンドとして注目できます。
就労意向と働き方の選好に関する補足
調査結果は、年末に向けた大学生の就労意欲が単に「時間を増やす」ことだけでなく、勤務先や働き方そのものを流動的に考えている点を示しています。スポットワークや単発勤務はシフトの自由度が高く、帰省先や短期滞在先でも働きやすい特徴があります。
図4、図5に関連データがありますが、本文では各種割合を明示して、大学生の志向が全体と比べて顕著であることを提示しています。企業側は短期や単発の求人を通じて、短期的な人手不足を補う対象として大学生に着目する必要があります。
年末年始の帰省とスポットワーク――帰省先で働く大学生の実態
帰省先があるアルバイト就業中の大学生に限定した集計では、年末年始に「帰省する予定」と回答した割合が55.7%
さらに、帰省する大学生のうち26.6%が「帰省先でスポットワークをする予定」
- 帰省予定(大学生、帰省先がある者):55.7%
- 帰省先でスポットワークをする予定(帰省する大学生):26.6%
- 帰省先でスポットワークをする予定(全体):16.5%
以上の数値から、年末年始における大学生の働き方は、帰省を契機に勤務先を変える柔軟性や、短期・スポットの仕事を取り入れることが定着しつつあると読み取れます。図6、図7にも対応データが収録されています。
調査担当者のコメントと示唆
キャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋麻友美氏は、本調査について、大学生が全体と比較して12月にアルバイト時間を「増やす」と回答する割合が高いこと、年末を「稼ぎ時」として捉える動きと短期就労への関心が高まっている点を指摘しています。冬休みによる時間的余裕や企業の人材確保施策が、短期就労を魅力的に映らせていると考えられるとの見解です。
また、帰省先でのスポットワーク意向が示すように、時間や場所に縛られない柔軟な就労スタイルの広がりは、学生側のニーズと企業側の人手不足をマッチングする有効な手段となりうる点が示唆されています。こうしたマッチングの促進は、年末年始の人手不足対策としての実務的価値を持ちます。
調査概要と主要数値の整理
本章では、調査の基本情報と本記事で触れた主要な数値を表形式で整理します。調査期間、対象、サンプル数、調査方法などの基本情報は結果の解釈に不可欠ですので、以下に明確にまとめます。
以降の表は、本調査のポイントを一目で確認できるように項目ごとに整理したものです。各数値は本文中の記載と一致しています。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 調査名 | マイナビ「多様化する年末のアルバイト実態調査」 |
| 調査期間 | 2025年11月4日(月)~11月10日(月) |
| 集計対象(全体) | 全国の15-69歳の男女(中学生を除く)でアルバイト就業者 |
| 集計対象(大学生) | 19-23歳の大学生(大学院生、短期大学、専門学校、高等専門学校等の学生含む) |
| 有効回答数(全体) | 3,210サンプル |
| 有効回答数(大学生) | 206サンプル |
| 調査方法 | WEBアンケート調査(株式会社マイナビ アンケートモニター提供元:外部調査会社) |
| 大学生が12月に現在のアルバイト先で働く時間を増やす割合 | 34.5%(アルバイト就業者全体:14.5%) |
| 増やす場合の増加幅 | 1~2割:45.1%、3~4割:35.2% |
| 増やす理由(上位) | 収入を増やしたいから:71.8%、時間に余裕があるから:43.7%、報酬や条件が一時的に良くなるから:21.1% |
| 現在のアルバイト先以外で新しい仕事をしたい(大学生) | 58.3%(アルバイト就業者全体:40.4%) |
| 希望する働き方(大学生) | スポットワーク:30.6%、単発の仕事:30.6% |
| 帰省予定(帰省先がある大学生) | 55.7%(アルバイト就業者全体:33.3%) |
| 帰省先でスポットワークをする予定(帰省する大学生) | 26.6%(アルバイト就業者全体:16.5%) |
表に示した通り、本調査は大学生の年末に向けた働き方の傾向として次のポイントを示しています。大学生は12月に現在の勤務先で労働時間を増やす意向が高く、同時に別の職場やスポットワークも選択肢として検討する割合が高い。帰省先でもスポットワークを行う予定が一定程度あることから、時間・場所にとらわれない柔軟な就労が年末年始の現実的な働き方として定着していることが分かります。
本稿では、マイナビが公表した調査結果の主要数値を網羅的に掲載しました。調査の詳細なデータや図表については、マイナビの公式リリースや調査ページをご参照ください(出典:株式会社マイナビ「多様化する年末のアルバイト実態調査」2025年12月5日発表)。