カナリーがシリーズCで約40億円調達、Vertical AI強化へ
ベストカレンダー編集部
2025年12月5日 14:48
シリーズCで約40億調達
開催日:12月5日
シリーズCで約40億円を調達 — 出資の内訳とスキーム
株式会社カナリーは、2025年12月5日10時00分付の発表において、シリーズCラウンドで合計約40億円の資金調達を実施したと公表しました。今回の調達は株式による資金調達と融資等を組み合わせた構成となっており、調達後の累計資金調達額は約80億円となります。
調達の内訳は株式による調達が約30億円、融資等による調達が約10億円の見込みです。これまでのシリーズA、シリーズBに続き、今回もAngel Bridgeがリード投資家として参画しています。新規投資家としてはWiLおよびみずほキャピタルなどが参加しています。
出資者一覧と役割
企業側が公表した情報に基づく出資者一覧は以下の通りです。リード投資家、コ・インベスター、金融機関からの融資を組み合わせた形での資本調達および負債調達が行われています。
- Angel Bridge(リード投資家、既存投資家)
- WiL(新規投資家)
- みずほキャピタル株式会社(新規投資家)
- その他投資家
上記に加え、融資等による約10億円の資金調達を想定しており、事業成長に必要な運転資金や技術投資を両面から確保する構成です。
不動産業界が直面する課題とカナリーの「Vertical AI」戦略
カナリーは「もっといい『当たり前』をつくる」をミッションに掲げ、不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)とAI実装の推進を目指しています。日本の不動産業は深刻な人手不足と人件費高騰が進む一方で、現場にはアナログ業務が根強く残っており、AI活用に必要なデータ基盤の整備が追いついていないという構造的な課題に直面しています。
同社はこの課題を「Vertical(業界特化型)AI」で解決することを目指しています。Vertical AIとは、汎用AIではなく、不動産領域の特性に合わせて設計・学習させたAIを意味します。これにより、業務プロセスの自動化だけでなく、現場の業務の合理化や意思決定支援が可能になります。
Vertical AI化のアプローチ
カナリーが提唱するアプローチは次の3点に集約されます。まず、SaaSプロダクトを通じて業務のデジタル化とデータ整備を行うこと。次に、蓄積されたユーザー・物件・業務に関する複合データを用いて不動産特化型のAIモデルを構築すること。最後に、そのAIを現場オペレーションに統合して、アナログ作業を削減し「人にしかできないコア業務」に従業員が注力できる環境を整えることです。
この取り組みにより、業界全体の生産性向上と消費者体験の向上を目標に掲げています。データ基盤の整備から学習モデルの運用まで、エンドツーエンドでVertical AIを提供する方針です。
提供プロダクトと導入状況 — CANARYとCANARY Cloudの現状
カナリーはマーケットプレイス事業「カナリー(CANARY)」とVertical SaaS事業「カナリークラウド(CANARY Cloud)」を展開しています。二つのプロダクトはそれぞれ異なる役割を担い、相互に補完しながら不動産業界のデジタル化を促進しています。
マーケットプレイス「カナリー(CANARY)」はユーザー向けの物件検索・閲覧アプリとして機能しており、2025年11月時点で累計ダウンロード数は550万件を突破しています。ユーザー評価はGoogle Play、App Store双方のレビュー率で高評価を得ており、不動産情報アプリ(月間利用者数1万以上のアプリ)のうちApp Ape調査によるレビュー率でNo.1の評価(平均★4.8)を獲得しています。
CANARY Cloudの機能と導入実績
「カナリークラウド(CANARY Cloud)」は不動産事業者向けのVertical SaaSで、CRM(顧客管理)をはじめ、業務管理、物件管理、顧客対応の効率化を支援する機能を有しています。全国の地場密着の中小不動産会社から大手不動産企業まで導入されており、業務のデジタル化を促進しています。
CRM機能を中心に、業務フローの可視化、データ連携、レポーティング機能などが導入企業の作業負担軽減に寄与しており、これがVertical AI実装のためのデータ基盤となることが期待されています。
資金の使途と組織・技術基盤の強化
今回の調達資金は主に開発体制の強化と技術基盤への投資に充てられる予定です。具体的には、AIモデルの研究開発、データ基盤の整備、プロダクトの機能拡充、ならびに不動産会社向けのDXとAI実装を支援するサポート体制の強化が挙げられます。
また、融資等で確保する資金は短中期的な運転資金やインフラ投資に用いる計画が示唆されています。これにより、プロダクトを導入している不動産会社へ安定したサポートを提供しながら、AI導入の実運用フェーズで生じる技術的・運用的な課題に対応できる体制を整える意図があります。
サポート体制と実装支援
カナリーは単に技術やプロダクトを提供するだけでなく、導入企業のDX推進やAI実装を支援する体制を強化することを明示しています。これには、導入支援チームの拡充、現場トレーニング、運用フェーズでのモニタリングと改善サイクルの構築が含まれます。
こうした支援は、特にデータ整備や業務プロセスの見直しが必要な中小事業者にとって価値が高く、業界全体の効率化に寄与することが期待されます。
会社概要と問い合わせ情報
本章では、プレスリリースに記載された株式会社カナリーの基本情報を整理します。事業内容、所在地、設立年など、関係者や報道関係者が確認すべき主要情報を網羅しています。
下記は公表された会社概要です。採用情報やコーポレートサイトのURL、広報問い合わせ先も明記されています。
- 会社名
- 株式会社カナリー
- 代表者
- 代表取締役 佐々木 拓輝
- 所在地
- 〒108-0073 東京都港区三田3-5-19 住友不動産東京三田ガーデンタワー27階
- 設立
- 2018年4月
- 事業内容
-
- マーケットプレイス事業「カナリー(CANARY)」の提供
- SaaS事業「カナリークラウド(CANARY Cloud)」の提供
- DXソリューションズ事業
- コーポレートサイト
- https://corp.canary-app.jp/
- 採用情報
- https://corp.canary-app.jp/career/
- 広報問い合わせ先
- E-Mail:info@canary-inc.jp(株式会社カナリー 広報担当)
加えて、プレスリリースでは2025年8月に移転した新オフィスの言及と、プレスリリース内で使用可能な画像ファイルのダウンロードが可能である旨の案内が含まれていました。
キーワードとカテゴリ
本リリースに関連するキーワードとして、カナリー、資金調達、不動産、スタートアップ、Vertical、不動産テック、生成AI、AIエージェント、CRM、SaaS、ダウンロード等が挙げられています。カテゴリは「住宅・マンション」「システム・Webサイト・アプリ開発」「経営情報」に関連します。
これらのキーワードは、本件が不動産テック領域におけるプロダクト開発とAI先行投資の文脈で重要な位置づけにあることを示しています。
要点の整理
ここまでに示した発表内容をわかりやすく表形式で整理します。主要な数値、日付、関係者、目的を短くまとめたもので、記事全体の要点確認に便利です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年12月5日 10:00 |
| 調達ラウンド | シリーズC |
| 総調達額(今回ラウンド) | 約40億円(株式約30億円 + 融資等約10億円の見込み) |
| 累計調達額 | 約80億円 |
| 主要投資家 | Angel Bridge(リード)、WiL、みずほキャピタル 他 |
| 資金使途 | 開発体制強化、技術基盤投資、DX・AI実装支援体制の強化 |
| 主要プロダクト | マーケットプレイス「カナリー(CANARY)」、SaaS「カナリークラウド(CANARY Cloud)」 |
| CANARYの実績 | 累計ダウンロード数 550万件(2025年11月時点)、ユーザー評価★4.8(App Ape調査でNo.1) |
| 代表者 | 代表取締役 佐々木 拓輝 |
| 所在地 | 〒108-0073 東京都港区三田3-5-19 住友不動産東京三田ガーデンタワー27階 |
| 設立 | 2018年4月 |
| 広報連絡先 | info@canary-inc.jp |
上表は公表されたプレスリリースの情報を基に作成しました。資金調達の詳細(最終的な投資金額の確定や追加投資家の有無、融資条件など)については、今後の正式発表や開示資料で補完される可能性がありますが、本稿では公開された情報をすべて網羅して整理しました。
本稿は株式会社カナリーが公表したプレスリリースの内容を要約・整理した報告であり、関係各社の発表内容に基づいて記載しています。