城崎温泉・小林屋、発酵×花鍋のヴィーガン会席開始

発酵×花鍋コース開始

開催日:12月1日

発酵×花鍋コース開始
これって本当に全部ヴィーガンなの?
基本はコース全体が完全植物性のヴィーガン設計です。事前予約でグルテンフリーやハラル対応も可能。ただし但馬牛・八鹿豚・松葉がにのアップグレードは別料金で追加できます。
アレルギーやハラル対応はどう頼めばいい?
アレルギーやハラル対応は事前予約が必要で、公式サイトかメール(info@kobayashiya.co.jp)で相談すると対応してくれます。グルテンフリー時は別途ハーブスパイスを用意するなど配慮あり。

城崎温泉の老舗旅館が打ち出した「発酵 X 花鍋コース」の狙いと発売日

兵庫県豊岡市・城崎温泉の老舗旅館小林屋(KOBAYASHIYA)は、2025年12月1日より新ディナー「発酵 X 花鍋コース」を発売開始した。発表資料は2025年12月6日 14時14分付で、同旅館が持つ伝統と現代的なガストロノミーの融合を国内外に示す取り組みとして位置づけられている。

本コースは、全体を完全植物性で構成し、事前予約によりグルテンフリー・ハラル対応が可能とされている。加えて、但馬牛・八鹿豚・松葉がにのアップグレードオプションを用意し、食の多様性に配慮したインクルーシブな提供を目指している点が大きな特徴である。

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背景:訪日客の食の多様性ニーズへの対応

FOOD DIVERSITY社の報告を引き、リリースでは近年の訪日旅行者が「食」を旅の主要要素として重視する傾向が強まっていることが示されている。特にヴィーガン、ベジタリアン、ハラル、アレルギー対応の需要増が指摘され、旅先で安心して食べられる店が限られているという課題が存在する。

城崎温泉は年間約70万人が訪れる国際的な温泉地であるが、地方エリアにおける選択肢の制限が課題となっている。小林屋では訪日客が占める割合が高いことを踏まえ、“旅先でも誰もが同じテーブルを囲める食体験”を実現するため、ヴィーガン料理専門家の監修を受けつつ本コースを開発したと説明している。

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調理の核となる「発酵」と花鍋の構成——素材と味変の工夫

コースの中心は「発酵」による旨味の重ね方と、見た目の美しさを意識した“花鍋”の演出である。発酵は塩麹や味噌など日本の伝統技術を活用し、野菜・きのこ・豆類・穀物の自然な滋味を引き出す設計になっている。

鍋のスープは自家発酵させた塩麹ベース。具体的には燻製した大豆と椎茸・昆布を一晩水に浸したものに、大根・人参・トマトなどの野菜片と生姜を加えて味を整えている。五行野菜と季節のきのこを中心に具材をたっぷりと用い、視覚的にも“花が咲くような”盛り付けを行う。

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味変アイテムとアレルギー対応

各自の好みに合わせてスープを仕上げられるよう、地元産の朝倉山椒オイルすりおろし梨ポン酢発酵唐辛子の3種類の味変アイテムを提供する。グルテンフリーに対応する場合には別途ハーブスパイスを用意して対応する旨が明記されている。

味変アイテムは、発酵の旨味と調和するように設計されており、来訪者の嗜好や食文化、宗教的背景に応じて選べる点が強調されている。分けないスタイルで同じテーブルを囲むインクルーシブな食の提供がコンセプトだ。

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小籠包(蒸物)と〆の無添加麺

鍋の具材の一部として提供される自家製の小籠包は、台湾出身のスーシェフが担当。基本具材は白菜、蓮根、豆腐、きのこ、生姜で構成し、季節ごとに変わるバリエーションで提供される。

鍋の〆には、豊岡の<りゅう製麵>製の無添加うどんを採用。滋養がよく染み込んだ鍋スープを地海苔をたっぷりのせた麺にかけて提供する設えだ。

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コース全体の構成と主な一皿——伝統と地域素材の融合

新メニューはアミューズからデザートまで一貫してVeggie-friendlyに設計されており、会席コース並みの満足感を目指している。以下にコース構成と具体的な料理例を挙げる。

コースはアミューズ、前菜、焼物、燻物、発酵花鍋(メイン)、味変アイテム、蒸物、〆(麺)、デザートの流れで提供される。各品は季節によって素材が入れ替わるが、発酵と地域食材を軸にしたメニュー設計は一貫している。

  • アミューズ:季節のスープと小皿
  • 前菜:発酵の小鉢と手まり寿司
  • 焼物:旬野菜のオーブングラタン(豆乳・昆布出汁・カレー粉使用)
  • 燻物:木綿豆腐のロースト(プラントフライ、揚げ衣にあられ、ワサビ添え)
  • 発酵花鍋(メイン):自家製塩麹スープ+彩り野菜+きのこ+豆製品
  • 味変アイテム:朝倉山椒オイル、すりおろし梨ポン酢、発酵唐辛子(グルテンフリー時はハーブスパイス)
  • 蒸物:月替わりの自家製小籠包(台湾出身スーシェフ担当)
  • 〆:豊岡産無添加うどん(地海苔トッピング)
  • デザート:豆乳・葛粉・てんさい糖使用の濃厚抹茶プリンに美方大納言あんこ(通称「美方ルビー」)を添える
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料理の具体例と地域素材

前菜や小皿には豊岡名産のコウノトリ米の赤米を使った巻き寿司、高野豆腐・きゅうり・いぶりがっこを混ぜた仕立て、稲荷寿司には地場の「ふるさと豆腐」を揚げたものを自家製味付けで提供する。また、季節の野菜を使ったグラタンには地元豆腐店の豆乳を用い、昆布出汁とカレー粉でアクセントを付ける。

燻製には水切りした木綿豆腐を使用した“プラントフライ”を提供。揚げ衣にはあられを取り入れ、ワサビを添えることで食感と風味を両立させる工夫が見られる。

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選べるアップグレードと旅館としての文脈

食の制限に配慮した完全植物性の設計を基本としつつ、制限のないゲスト向けに地元の豪華食材を追加できるアップグレードを用意している。これにより、旅館らしい贅沢さと誰もが囲めるテーブルの両立を図っている。

アップグレードは各一人前の提供で、具体的には但馬牛しゃぶしゃぶ(50g〜)、八鹿豚しゃぶしゃぶ(50g〜)、松葉がに(1/2匹〜)の3種が選べる。野菜主体の鍋を軸にしつつ、目的や嗜好に合わせた追加が可能だ。

アップグレード(各一人前)
但馬牛しゃぶしゃぶ(50g〜)
八鹿豚しゃぶしゃぶ(50g〜)
松葉がに(1/2匹〜)

提供形式はアミューズからデザートまでのコースで、季節によって前菜やアミューズの内容は入れ替わることが明記されている。会席コースに匹敵する満足度を、ヴィーガン基盤で提供することが狙いだ。

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施設背景とデザイン、海外評価

小林屋は創業300年の旅館で、城崎温泉中心部に位置する。登録有形文化財の木造建築をリノベーションし、江戸期の美意識と現代デザインを調和させた空間を提供している。リノベーションの建築設計はSUPPOSE DESIGN OFFICE(谷尻誠・吉田愛)による監修であると書かれている。

館内には詩・現代美術・器などの文化的要素が取り入れられ、宿泊体験そのものを“一つの作品”のように位置づける演出が施されている。海外メディアからは“A hybrid of traditional Japanese aesthetics and contemporary global sensibilities.”と紹介されるなど、国際的な評価も得ている。

館内の主な空間例として、ロビー/ラウンジ、ペントハウススイート<吉右衛門>、ダイニング<CYAN -詩庵->の昼景・夜景が紹介されており、食事のみならず滞在全体の質を高める設えが強調されている。

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要点の整理(本記事で取り上げた内容の一覧)

以下の表は、本記事に記載された「発酵 X 花鍋コース」に関する主要な情報を整理したものだ。コースの構成、対応方針、開始日、連絡先などを一目で確認できるようにまとめている。

項目 内容
商品名 発酵 X 花鍋コース
発売開始日 2025年12月1日(リリース日:2025年12月6日 14時14分)
提供主体 株式会社 小林屋(KOBAYASHIYA)/城崎温泉の老舗旅館(創業300年)
コースの基本設計 完全植物性(ヴィーガン)。事前予約によりグルテンフリー・ハラル対応可能
特徴的な調理要素 自家発酵塩麹スープ(燻製大豆・椎茸・昆布の浸漬)、五行野菜・季節のきのこ、味変アイテム
味変アイテム 朝倉山椒オイル、すりおろし梨ポン酢、発酵唐辛子(グルテンフリー時はハーブスパイス)
小籠包(蒸物) 台湾出身スーシェフによる自家製。白菜・蓮根・豆腐・きのこ・生姜を基本具材に季節変化あり
〆の麺 豊岡・りゅう製麵の無添加うどん(地海苔をたっぷり)
デザート 豆乳・葛粉・てんさい糖使用の濃厚抹茶プリン+美方大納言(美方ルビー)
アップグレード 但馬牛しゃぶしゃぶ(50g〜)、八鹿豚しゃぶしゃぶ(50g〜)、松葉がに(1/2匹〜)
料理監修・担当 ヴィーガン料理専門家監修、台湾出身スーシェフによる小籠包など
建築・空間設計 登録有形文化財の木造建築をリノベーション(SUPPOSE DESIGN OFFICE:谷尻誠・吉田愛監修)
所在地・問い合わせ 兵庫県豊岡市城崎町湯島369/公式サイト:https://kobayashiya.co.jp/Email:info@kobayashiya.co.jp
関連参照 FOOD DIVERSITY 記事:https://fooddiversity.today/article_190165.html
写真クレジット Photo©️Kenta Hasegawa

本件は、地方の旅館が食文化の多様化に対応しつつ、地域資源と伝統技術(発酵、地元食材、建築美)を結び付ける試みとして注目できる。発酵という日本固有の調理法をヴィーガン設計と組み合わせることで、訪日客のニーズと地域らしさを同時に満たす構成になっている点が特徴である。

問い合わせ先は株式会社 小林屋(所在地:兵庫県豊岡市城崎町湯島369)。公式サイトは https://kobayashiya.co.jp、メールは info@kobayashiya.co.jp である。

参考リンク: