InsightXがシリーズAで6億円調達、共同代表制で成長加速

InsightXが6億円調達

開催日:12月9日

InsightXが6億円調達
InsightXってどんな会社なの?
InsightXは2021年創業のAIスタートアップで、CX変革プラットフォーム『InsightX』と世界初の『シェルフ型レコメンド®』を用いて、EC上で売り場の切り口そのものを個別化し自社ECのパーソナライズを支援する会社です。
今回の6億円は何に使うの?
6億円はプロダクト開発の強化、営業・マーケティング体制の拡充、組織強化とハイクラス人材の採用に充てられ、ファッション領域での実績を他のBtoC分野へ横展開する投資に使われます。

急拡大するEC市場と顧客体験(CX)が直面する課題

国内のEC市場は著しい拡大を続けており、2014年の約13兆円から2024年には約26兆円へとほぼ2倍の規模に成長しました。扱われる商品数も増え続け、例えばAmazonの掲載アイテム数は過去10年で約2.5億個から6億個へと増加しています。この一方で、消費者の可処分時間は増えておらず、スマートフォンやSNSの普及により情報量が飛躍的に増加している状況です。

こうした環境下で、ユーザーは限られた時間の中で自分のニーズに合った商品にたどり着くことがかつてないほど難しくなっており、消費者の約73%が「商品の選択肢の多さに圧倒されている」と回答しています。さらに生成AIの普及により商品説明文や訴求コンテンツは今後も増加する見込みで、ユーザーは商品だけでなくコンテンツの洪水にさらされるリスクが高まっています。

BtoC企業側にも課題は多く、データ活用基盤や検証プロセスの未整備、そしてUI/UXの変更に際してECベンダーへの見積もりや開発が必要となり、本番リリースまで数カ月を要するケースが大半です。そのため、消費者の変化するニーズにスピードと精度を持って対応できないという構造的な問題が生じています。

  • 市場規模:2014年 約13兆円 → 2024年 約26兆円
  • 商品数の増加例:Amazon掲載アイテム数 約2.5億個 → 約6億個(過去10年)
  • 消費者の意識:約73%が選択肢の多さに圧倒されていると回答
  • 主要課題:情報過多による「情報の海に溺れる」リスク、企業側のデータ・検証体制不足、リリース速度の遅さ
CX変革AIプラットフォーム「InsightX」を提供するInsightXがシリーズA 1st closeで6億円を調達。同時に共同代表制を導入し経営体制を強化 画像 2

InsightXのコア技術と提供価値――『シェルフ型レコメンド®』の要点

株式会社InsightX(本社:東京都、代表取締役CEO:中沢弘樹)は、2021年創業以来、CX(顧客体験)変革を目的としたAIプラットフォーム『InsightX』を開発・提供してきました。中核プロダクトである世界初の『シェルフ型レコメンド®』は、従来のレコメンドが「個別に商品を提示する」アプローチと一線を画し、ユーザーごとのインサイトに合わせて商品の切り口そのものをパーソナライズする点が特徴です。

この技術により、ECサイトやメールなどあらゆる接点で「一人ひとりに最適化された売り場」を自動構築でき、運用工数を大幅に削減しつつ表現の豊かさと訴求力を両立します。InsightXは単なるレコメンド提供にとどまらず、CX改善プロセスを一気通貫で支援するチーム体制とAIプラットフォームを用意しています。

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提供価値①:エンドユーザー体験の変革

『シェルフ型レコメンド®』は、従来の「あなたにおすすめの商品」を提示する単純な個別推薦ではなく、ユーザーの深いインサイトに合わせて売り場の切り口自体を変化させることで、真の意味での1対1の体験を実現します。

その結果、ユーザーは「自分だけの特別な売り場」に出会う体験が得られ、限られた可処分時間でもニーズに合った商品の発見確率が高まります。コンテンツの量が増えても、ユーザー視点で最も訴求力の高い表現を自動的に構成するため、情報過多の課題に対する有効な対策となります。

  • 一人ひとりに最適化された売り場の自動生成
  • 既存コンテンツ(商品ページ・スタッフ記事・特集など)のフル活用
  • 表現の豊かさとパーソナライズを同時実現
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提供価値②:クライアント企業のCX改善プロセスの高速化

InsightXは単体プロダクトの提供にとどまらず、CX改善のPDCAを高速化するためのプロセス支援も行います。体験課題の特定、施策立案、実装、効果測定、次施策の立案まで一貫して支援することで、企業の内部リソースに依存しない高速な改善サイクルを提供します。

企業はこの支援を受けることで、AmazonやNetflixに匹敵する高度なパーソナライズを自社で実現し、変化の激しいユーザーニーズに対してスピード感をもって対応できます。特に自社ECを運営するBtoC企業においては、UI/UX変更に伴う外部開発コストや時間を削減する効果が期待されます。

課題 InsightXのアプローチ 期待効果
情報過多での商品発見困難 ユーザーごとに売り場の切り口をパーソナライズ 発見確率向上、離脱低下
運用工数の増加 既存アセットの自動最適化と自動配信 運用負荷軽減
改善のスピード不足 一気通貫のCX改善プロセス支援 施策の迅速な実行・効果検証
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シリーズA 1st closeで総額6億円調達――資金使途と今後の体制

2025年12月9日、株式会社InsightXはDNX Venturesを引受先とする第三者割当増資により、シリーズAの1st closeとして総額6億円の資金調達を実施したと発表しました。InsightXは引き続きシリーズA final closeに向けて調達活動を継続する予定です。

調達資金はプロダクトのさらなる強化、営業・マーケティング体制の拡充、組織体制の強化及びハイクラス人材の採用に集中投資されます。特にファッション・アパレルで培った技術を他のBtoC領域へ横展開すること、営業を加速して各種業界のパーソナライズ支援体制を構築すること、エンジニアやカスタマーサクセス等の採用を通じたAIネイティブなプロフェッショナルチームの構築が明示されています。

調達金額
総額6億円(シリーズA 1st close)
調達方法
第三者割当増資
引受先
DNX Ventures
  1. プロダクト開発の強化:『InsightX』の進化と他BtoC領域展開
  2. 営業・マーケティング体制の拡充:ファッション・アパレルの実績を基盤に業界横展開
  3. 組織体制の強化・ハイクラス人材の採用:エンジニア、営業、CS、BD等

採用情報、募集職種の詳細は採用サイト(https://careers.insightx.tech/)に記載されています。募集中の職種には、デプロイメントストラテジスト(DS)、フォワードデプロイドエンジニア(FDE)、エンジニアリングスペシャリスト、エンタープライズセールス、ファイナンス責任者/CFO候補、一人目コーポレート、一人目HR、オープンポジションなどが含まれます。

CX変革AIプラットフォーム「InsightX」を提供するInsightXがシリーズA 1st closeで6億円を調達。同時に共同代表制を導入し経営体制を強化 画像 6

経営体制の変更:共同代表制の導入

同社は2025年12月付で共同代表制を導入します。新経営体制は代表取締役CEO 中沢弘樹、代表取締役CEO 佐竹佑基(元取締役COO)の二人体制となります。共同代表制の導入はプロダクト開発と事業推進の両面から迅速な意思決定を行う目的があります。

佐竹氏は創業期からCOOとして事業基盤の構築に尽力してきた人物であり、今後は中沢氏と共同で経営を担い、AIネイティブなプロフェッショナルカンパニーとしての成長を目指すとされています。

CX変革AIプラットフォーム「InsightX」を提供するInsightXがシリーズA 1st closeで6億円を調達。同時に共同代表制を導入し経営体制を強化 画像 7

導入実績と具体的効果、関係者コメント

InsightXは自社ECを運営するBtoC企業10社以上に導入されており、オンワード、パル、アーバンリサーチ、ルミネなどファッション・アパレル領域を中心に展開しています。導入企業では売上向上、既存アセットの活用、運用工数の大幅削減など複数の効果が報告されています。

具体的な導入効果としては、エンドユーザーの買い物体験を改善することでサイト全体の買い物効率が向上し、売上の増加を実現した事例があるほか、既存商品情報や記事、特集などの資産を新たに作ることなく個々のユーザーに最適化して活用できる点、そして手動でのセグメント設定や施策切り替えが不要となることで運用負荷が大幅に軽減される点が挙げられます。

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DNX Ventures コメント

DNX Ventures(マネージングパートナー兼日本代表 倉林陽/プリンシパル 井無田ゆりか/プリンシパル 新田修平)は、InsightXについて次のように述べています。

「モノと情報に溢れ、BtoC事業者が一般消費者のニーズを適時適切に把握し、最適な商品を届けることが難しくなっている時代において、InsightXは膨大なABテストに裏打ちされた確かなAIソリューションによって、従来では実現できなかった高度なパーソナライゼーションと次世代のユーザー体験を提供しております。また、昨今のAIブームの中で定量的な導入効果を実現できていないAIプロダクトも多い中、同社のソリューションは明快で定量的な導入効果を即座に実現できており、BtoC事業者の真のAIトランスフォーメーションに貢献しております。今回調達した資金を活用し、InsightXが真のAIカンパニーとして、次世代のBtoC顧客体験を牽引してくれることを期待しております。」

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代表取締役CEOのコメント(中沢弘樹・佐竹佑基)

代表取締役CEO 中沢弘樹は、資金調達と共同代表制への移行について次のように述べています。

「当社は創業以来、ファッション・アパレル業界において、真にエンドユーザー1人ひとりに最適化された体験を大規模に実現するという、技術的にも事業的にも非常に挑戦的な課題に正面から取り組んでまいりました。世界初の『シェルフ型レコメンド®』という革新的なプロダクトと、AIネイティブな技術力、そしてプロフェッショナルとしての深い専門性――この両輪で、クライアント企業様のAIトランスフォーメーションを支援してきました。」

中沢氏はさらに、ファッション・アパレルの実績を基盤にコスメ、食品、家電などあらゆるBtoC企業のデジタル変革を支援すること、優秀な人材の採用と組織作りの重要性を強調しています。

代表取締役CEO 佐竹佑基は、COOとしての経験を踏まえ、共同CEOとして全力で事業成長に取り組む意向を示しています。佐竹氏は『シェルフ型レコメンド®』を中核としたプラットフォームを通じて、ブランドと顧客の関係性を根本から変革することが可能であり、その価値は業界を超えて広がると述べています。

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要点の整理(本記事で触れた項目のまとめ)

以下の表は、本記事で触れたInsightXの資金調達、プロダクト、導入実績、経営体制、採用情報など主要な情報を整理したものです。続く段落では表を補足する形で自然な文章で要点をまとめます。

項目 内容
会社名 株式会社InsightX(本社:東京都)
創業年 2021年
代表者(2025年12月付) 代表取締役CEO 中沢弘樹、代表取締役CEO 佐竹佑基
提供プロダクト CX変革AIプラットフォーム『InsightX』、世界初『シェルフ型レコメンド®』
調達ラウンド シリーズA 1st close
調達金額 総額6億円(第三者割当増資、引受先:DNX Ventures)
資金使途 プロダクト開発強化、営業・マーケティング体制拡充、組織強化・ハイクラス採用
導入実績 オンワード、パル、アーバンリサーチ、ルミネ等を含む自社EC運営BtoC企業10社以上
主な導入効果 自社EC売上向上、既存アセットの最大活用、運用工数の大幅削減
採用情報 https://careers.insightx.tech/(募集中職種の例:DS、FDE、エンジニア等)
問い合わせ Email: pr@insightx.tech / Tel: 050-5470-6197
サービスサイト https://insightx.tech/

まとめとして、InsightXは市場の情報過多と消費者の時間制約という課題に対し、独自のパーソナライズ技術と一貫したCX改善支援プロセスで対応しています。今回の6億円の調達は、プロダクトの横展開と組織強化を通じてファッション・アパレル領域での実績を他のBtoC領域に広げることを目的としており、共同代表制の導入はプロダクト開発と事業推進の両面で迅速な意思決定を可能とする狙いがあります。

本件に関する問い合わせは株式会社InsightX広報(Email: pr@insightx.tech / Tel: 050-5470-6197)へご連絡ください。サービスサイト(https://insightx.tech/)および採用サイト(https://careers.insightx.tech/)には詳細情報が掲載されています。

参考リンク: