12/15開始・個人申込可の労災特別加入制度

個人向け労災受付開始

開催日:12月15日

個人向け労災受付開始
個人でも労災に加入できるの?
はい。所属団体の有無にかかわらず、個人事業主の実演家・スタッフ等が個人で労災保険の特別加入を申請できます。受付は労災保険センターで2025年12月15日開始、財団会員になる必要はありません。詳細はperformingarts-rousai.orgで確認できます。
加入の費用はどれくらい安くなるの?
発起人・賛同団体・会員の会費を運営費に充て、加入者の手数料や事務費を補助する仕組みで、業界最安クラスの負担を目指しています。具体的な料金や給付内容は労災保険センターの窓口で案内されます。

日本の実演芸術に新たな福祉基盤が誕生した背景と目的

エンターテインメント業界は、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全国で多くの公演やイベントが中止となり、実演家やスタッフ等、雇用形態が流動的な人々の就労環境と社会保障の脆弱性が顕在化しました。アンケート調査(2023年 文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会、n=20,273)でも、労災保険や失業手当といったセーフティネットが十分に機能していない実態が確認されています。

こうした課題に対応するため、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)を含む4団体が発起人となり、創設賛同10団体とともに、一般財団法人日本実演芸術福祉財団が2025年7月に創設されました。財団は、実演芸術分野の事業者・興行主(発注者側)と実演家・スタッフ(受注者側)の団体が協働し、業界全体で実演家・スタッフの福祉に総合的に取り組む、業界初の組織を目指しています。

芸能実演家・スタッフ向け「労災保険」加入促進にむけて画期的な仕組みを実現 2025年12月15日より加入受付開始 画像 2

財団設立の狙いと取り組み方針

財団は、実演芸術活動を「仕事」として継続できるように、社会保障の基盤を整備することを目的としています。具体的には、労災保険特別加入の支援、福祉事業の企画・実施、セーフティネット周知のための啓発活動など、業界内外の連携を重視した互助プラットフォームの構築を掲げています。

財団の公式サイトは https://jpawf.or.jp/ にて公開されており、発起人・創設賛同団体、会員構成としては事業者、興行主、職能団体、劇団・バレエ団といった多様な団体・個人が参加しています。

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労災保険特別加入の新しい仕組み:業界負担で個人加入の障壁を下げる

財団は設立直後の取り組みとして、母体に「(一財)日本実演芸術福祉財団 労災保険センター」を設置し、芸能関係作業従事者区分の労災保険特別加入業務を2025年10月から開始しました。これまでは、財団の協同会員を経由した加入受付を先行して行っていましたが、2025年12月15日より、所属・加盟団体の有無に関わらず、個人事業者の実演家、スタッフ、制作者等を対象に「個人」での保険加入申込みの受付を開始します。

重要な点として、個人での労災保険特別加入を行う際に、財団の会員になる必要はありません。対象となる職種、給付の内容、料金シミュレーション等の詳細は、労災保険センターの窓口で案内されます。労災保険センターのウェブサイトは https://performingarts-rousai.org/ です。

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加入手続きと費用負担の軽減メカニズム

労災保険センターでは、発起人や創設賛同団体、会員からの会費を運営費に充当することで、特別加入にかかる加入者本人の費用負担を大幅に軽減しました。これにより手数料は業界最安クラスを実現しています。会費による支援を原資に、個人が単独で負担していた入会金や手数料等のコストを低減し、金銭的な理由で加入をためらっていた実演家やスタッフの加入促進を狙います。

具体的な仕組みとしては、以下の点が挙げられます。

  • 財団の会費(支援)を運営費に充当し、特別加入の手数料や事務費を補助する仕組み。
  • 所属団体を通さない個人申込(2025年12月15日開始)により、団体未加入者も直接加入可能。
  • 労災保険センターが窓口となり、対象職種や給付内容、料金シミュレーションを提示。
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なぜ労災保険特別加入が必要だったのか:実態と制度の変遷

国の労災保険は、仕事や通勤が原因で負傷・疾病・死亡した場合に給付が行われる制度で、雇用形態にかかわらず事業主には加入義務があります。しかし、雇用されていない形で活動する実演家・スタッフ等は個人事業者となり、労働者に該当しないため通常の労災保険適用の対象外となってきました。

こうした運用の中で、職業ごとに例外的に加入できる「特別加入」制度が存在し、2021年4月からは「芸能関係作業従事者」も特別加入の対象になりました。とはいえ、特別加入の認知不足や不定期な就労、保険料や他団体への入会金・手数料負担が加入の障壁となっており、加入が進まないという課題が続いていました。

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芸団協の調査と連携の取り組み

公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)は、2022年から「芸術家のための社会保障等に関する研究」を継続し、関係団体と共同で実態調査や諸外国の事例研究を行ってきました。調査結果やアンケートで明らかになった現場の声を踏まえ、業界全体で資金と仕組みを拠出して財団を設立し、周知・加入促進に取り組むという方針がまとまりました。

これらの取り組みは、職域を超えた連携によって、個人事業者として働く実演家・スタッフの生活と活動の安定化を図ることを目的としています。

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公開シンポジウムの開催と問い合わせ先

芸団協は、2025年12月12日(金)に公開シンポジウム「芸術家のための社会保障シンポジウム ― 今、文化芸術の担い手が求めるセーフティネットとは」を日比谷三井カンファレンスで開催します。シンポジウムでは、国内外の取り組み事例や芸術家等の社会福祉、キャリア形成支援に関する議論を通じて、日本におけるセーフティネットの在り方が検討されます。

また、特別加入に関する問い合わせや加入手続き、給付内容の確認等は、以下の窓口で案内されています。

一般財団法人日本実演芸術福祉財団(本部)
〒163-1466 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー11階
TEL:03-6258-2800(平日10時~18時)
Web:https://jpawf.or.jp/
労災保険センター((一財)日本実演芸術福祉財団 労災保険センター)
Web:https://performingarts-rousai.org/
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会[芸団協]
Web:https://geidankyo.or.jp/
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記事内容の整理と重要ポイントの一覧

以下の表で、本稿で触れた主要な事実と日付、窓口などを整理します。表の後に簡潔な補足を付します。

項目 内容
財団名 一般財団法人日本実演芸術福祉財団
創設時期 2025年7月(発起人:4団体、創設賛同:10団体)
労災保険センター設置 (一財)日本実演芸術福祉財団 労災保険センター(業務開始:2025年10月)
個人申込受付開始日 2025年12月15日(所属団体の有無に関わらず個人で申込可能)
対象 個人事業者の実演家、スタッフ、制作者等(芸能関係作業従事者区分)
加入要否 財団会員になる必要はない(個人加入可)
費用面の工夫 発起人・賛同団体・会員の会費を運営に充て、加入者負担の大幅削減を実現。手数料は業界最安クラス。
関係イベント 公開シンポジウム「芸術家のための社会保障シンポジウム」2025年12月12日(会場:日比谷三井カンファレンス)
主要窓口 財団本部(東京都新宿区、TEL:03-6258-2800、Web:jpawf.or.jp)、労災保険センター(performingarts-rousai.org)
参考事項 コロナ禍以降の人材不足や働き方改革、ハラスメント対策など業界の複合的課題に対応するための仕組みづくり

上の表は、本稿で紹介した主要な情報を時系列と項目別に整理したものです。創設の背景、労災保険特別加入の仕組み、個人申込開始の日付(2025年12月15日)、および問い合わせ先を明記しています。労災保険センターのウェブサイトや財団の公式サイトでは、対象職種や給付内容、料金の具体的なシミュレーションが案内されるため、詳細確認は各窓口をご利用ください。

本稿は、実演芸術分野に関わる人々の福祉基盤整備に向けた制度的な変化と、その実務的な窓口・日程等の情報を整理してお伝えしました。制度の適用範囲や給付内容、手続きの詳細については、労災保険センターおよび一般財団法人日本実演芸術福祉財団の案内を参照の上、必要な手続きを行ってください。