27卒人気企業ランキング、伊藤忠が首位継続と業種変遷
ベストカレンダー編集部
2025年12月10日 11:38
27卒人気企業ランキング発表
開催日:12月10日
ランキングの主な変化――20年で浮かび上がる業種の転換
株式会社学情が発表した「2027年卒就職人気企業ランキング」は、過去20年・10年との比較を通じて、就職希望先の業種構成が大きく変化したことを示している。2007年卒時点ではメーカーが上位を占め、特に電気機器分野の存在感が強かった。一方で2010年代以降は航空、食品、コンテンツ・エンターテインメント系が台頭し、銀行の順位低下や業種間の入れ替わりが進行している。
本発表は株式会社学情(本社:東京都中央区)の調査結果に基づくもので、発表日時は2025年12月10日10時00分である。業種分類・企業名は発表時点のものである点に留意が必要だ。以下では、プレスリリースの内容を年次ごとの特徴と重要な指標を織り交ぜて整理する。
TOPICSの要点整理
発表本文では主に次の2点が大きなトピックとして挙げられている。まず、20年前(2007年卒)はサントリーが1位、トヨタ自動車が2位と、メーカーが上位を占めていたこと。次に、10年前(2017年卒)はANAとJALが人気を博し、食品企業が上位を占める一方で大手銀行がトップ10から消えたことだ。
これらの変化は、日本の産業構造や就業環境の変化、さらにはコロナ禍や金融政策の影響を反映している。以下の章で各年の具体的な顔ぶれと注目点を詳述する。
年別の顔ぶれと業種別の動向(2007年 → 2017年 → 2027年)
2007年、2017年、そして最新の2027年卒ランキングに関するプレスリリース上の言及を年代順に追い、どの業種が上位に入っていたか、どの企業が長期にわたり人気を維持したかを整理する。
ここではプレスリリースに記載された具体的な企業名とその特徴を漏れなく取り上げる。
2007年卒の特徴:メーカー優位と電気機器の集中
2007年卒のトップはサントリー、2位はトヨタ自動車、3位は資生堂という顔ぶれであった。トップ10のうち8社がメーカーで、特に電気機器分野はソニー、NEC(日本電気)、松下電器産業(当時)、日立製作所の4社が入るなど、当時の日本の産業構造を反映する結果となっている。
また、JTBは2002~07年に6年連続でトップ10入りするなど旅行・レジャー分野の根強い人気も見られた。伊藤忠商事はこの年に9位に入ったことを皮切りに、2027年卒まで21年連続でトップ10入りを続けるという長期的な支持を得ている。
- 2007年の代表的な上位企業(プレスリリース記載)
- 1位:サントリー、2位:トヨタ自動車、3位:資生堂、その他:ソニー、NEC、松下電器産業、日立製作所、JTB、伊藤忠商事(9位)
2017年卒の特徴:航空の台頭と食品の上昇、銀行の後退
2017年卒ではANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)の航空2社が1位・2位を占めた点が大きな特徴である。ANAは2016~19年の4年連続1位となっている。
上位には食品関連企業も並び、味の素、森永製菓、サントリーホールディングスなどが顔を出した。逆に、2010年代に常にランキング入りしていた大手銀行は、マイナス金利政策等の影響で2017年卒の三菱東京UFJ銀行(当時)を最後にトップ10から姿を消したとされる。
- 航空の高人気(ANA、JAL)
- 食品企業の上位化(味の素、森永製菓、サントリーホールディングス)
- 銀行の順位低下(2017年を最後に上位から消滅)
2020年卒以降の変化:コンテンツ産業の台頭とコロナ影響からの回復状況
2020年卒以降は、任天堂、集英社、KADOKAWAなど、人気コンテンツを持つゲーム会社・出版社などのエンターテインメント系企業がトップ10に続々とランクインするようになった。コンテンツ産業がトップ10の常連になり、人気企業の勢力図は大きく様変わりしている。
また、航空業界はコロナ禍で2021年卒から新卒採用を中止するなど大きな打撃を受けたが、採用を再開した後はインバウンド需要の回復もあり人気が戻りつつある。学情の発表では、2027年卒における順位はANAが14位、JALが26位と復調の兆しが明記されている。
調査方法と学情の役割――データの信頼性とサービス概要
本ランキングは株式会社学情が実施した調査に基づく。調査の対象や期間、方法について具体的な情報が公開されているため、指標の解釈にあたっては調査設計を踏まえることが可能である。
併せて、調査を公表した株式会社学情の事業内容や沿革、運営するサービスについてもプレスリリースにて紹介されている。これにより、同社が若年層の就職・転職領域で長年にわたり情報提供・イベント運営を行ってきた背景がわかる。
調査概要(プレスリリース記載)
調査期間は2025年3月1日から2025年10月31日。調査機関は株式会社学情で、調査対象は2027年3月卒業予定の全国大学3年生、大学院1年生である。回収された有効回答数は15,492件というボリュームである。
調査方法は大きく2つで、(1) Re就活キャンパス登録学生へメールで告知しWeb入力フォームで回収、(2) 同社主催のイベント来場学生へのWeb入力フォームによるアンケート調査及び回収である。回答は選択式(最大5社)で集計された。
- 主な調査要素
- ・調査期間:2025年3月1日~2025年10月31日
・有効回答数:15,492件
・対象:2027年3月卒業予定の大学3年生・大学院1年生
・回答方法:選択式(最大5社)
株式会社学情の事業と沿革(プレスリリース記載)
学情は東証プライム上場、経団連加盟企業で、1994年以降の若年層向け採用支援サービスを展開している。2004年からは「20代通年採用」を提唱し、若年層に特化したサービス群で実績を持つ。
主要サービスには、会員数280万人を擁する20代向け転職サイト「Re就活」(2019~2025年の東京商工リサーチ調査で20代向け転職サイト第1位)や「Re就活30」、「Re就活キャンパス」(会員数60万人のスカウト型就職サイト)などがある。また、合同企業セミナーや転職博・就職博などのイベント運営、外国人材の採用支援サービス「Japan Jobs」も手掛ける。
- 創業:1976年
- 資本金:15億円
- 加盟団体:日本経団連ほか複数
- 公式サイト:https://company.gakujo.ne.jp
まとめと要点整理(表で一目で分かる情報)
ここまでに出てきた主要な数値や年次ごとの特徴、調査概要を表形式で整理する。続く文章で表の項目を簡潔に補足する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表機関・日時 | 株式会社学情、2025年12月10日 10時00分 |
| 調査期間 | 2025年3月1日~2025年10月31日 |
| 調査対象 | 2027年3月卒業予定の全国大学3年生、大学院1年生 |
| 有効回答数 | 15,492件 |
| 回収方法 | Re就活キャンパス登録学生へのメール告知(Web入力)、主催イベント来場学生へのWeb入力フォーム回収 |
| 2007年卒の特徴 | トップはサントリー、2位トヨタ。トップ10のうち8社がメーカー、電気機器(ソニー、NEC、松下電器産業、日立製作所)が4社 |
| 2017年卒の特徴 | ANAとJALが1位・2位。食品企業(味の素、森永製菓、サントリーホールディングス)が上位に増加。大手銀行は2017年を最後にトップ10から消失 |
| 2020年卒以降の特徴 | 任天堂、集英社、KADOKAWAなどコンテンツ・エンタメ系企業がランクイン。ANA・JALはコロナ禍で一時採用中止後、復調(2027年卒:ANA14位、JAL26位) |
| 継続的な動向 | 伊藤忠商事は2007年の9位を起点に2027年卒まで21年連続でトップ10入り。銀行はマイナス金利終了で回復の兆し |
| 参照先(学情) | 詳細レポートURL:https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/251125/ 関連資料:https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/251210/ |
以上を整理すると、本調査は有効回答数15,492件という一定のサンプルに基づき実施され、過去20年・10年との比較を通じて就職人気企業の業種構成が変遷していることを示している。2007年にはメーカー・電気機器が上位を占めていた一方、2010年代以降は航空、食品、そしてコンテンツ系が存在感を高めた。銀行は2017年を機に順位を下げたが、金融環境の変化に伴い再浮上の兆候が見られる点も、本調査から読み取れる重要なポイントである。
本記事で示した情報はすべて株式会社学情のプレスリリースおよび同社公表の調査概要に基づく。詳細なランキング順位や個別企業の順位推移は学情の公開ページで確認できる。
参考リンク: