小売アンケートが示すメーカー提案の変化

メーカー商談調査公表

開催日:12月10日

メーカー商談調査公表
この調査って何が分かるの?
小売業がメーカーに求める提案の変化が分かります。差別化重視や商談の早期化、上層部商談の満足度低下、大手のオペレーション負荷重視などを40ページの分析で示しています。
レポートはどこで手に入るの?
株式会社マーケティング研究協会が配布している調査レポート(40ページ)で、同社ウェブサイトの案内から申し込み可能です。業種別・役職別のグラフや分析が含まれます。

競争激化と構造変化の中で問われる「メーカー営業」の質

マーケティング研究協会トレードマーケティング部は、消費財メーカーの営業活動の質を向上させるための基礎資料として、「【小売業対象】メーカーとの商談・販促立案に関するアンケート2025年」の調査結果を公表しました。公表日時は2025年12月10日 22時10分です。本調査は小売業の現場にいる商品部門、販促・マーケティング部門、営業部門の担当者を対象に行われ、小売業とメーカー間の商談内容や提案への評価、今後の商談のあり方を明らかにすることを目的としています。

近年、小売業は競争環境の激化、M&Aによる企業規模の拡大、人材不足や働き方改革といった構造的変化に直面しています。こうした環境下で、メーカーからの提案に対する求められる視点や商談のタイミング、期待される価値提供が変化していることを背景に、本調査は実施されました。

小売業のへの調査から見えた「メーカー営業に求める提案内容と商談の変化」レポートを公開 株式会社マーケティング研究協会 トレードマーケティング部 画像 2

調査の実施方法と基本データ:対象、期間、回答数、調査形式

調査はWebによるアンケート(選択式/記述式)で実施され、調査期間は2025年5月13日から6月30日までです。調査の有効回答数はn=116となっています。調査対象はスーパーマーケット、GMS、ドラッグストア、コンビニエンスストア、ホームセンター、ディスカウントストア等の業態に属する商品部門、販促部門・マーケティング部門、営業部門の担当者です。

調査目的は明確にされており、小売業としての棚割や販促の方針立案、メーカーとの商談の実態を明らかにし、消費財メーカーの営業活動の質の向上に寄与する情報を提供することにあります。調査方法や対象などは調査概要として報告書内に詳細が示されています。

小売業のへの調査から見えた「メーカー営業に求める提案内容と商談の変化」レポートを公開 株式会社マーケティング研究協会 トレードマーケティング部 画像 3

注目された傾向──4つのポイントと具体的な指摘

本調査では複数の設問を通じて傾向を分析した結果、特に下記の4点が注目すべき変化として浮かび上がりました。以下で各項目の内容と背景、示唆される対応について詳述します。

調査では、メーカーからの提案に対して小売側が「イヤだ」と感じる項目や、商談の時期と時間、上層部との接点、販促施策に関する考え方など多面的に問われています。これにより、小売業が求める提案の性質と、メーカーが改善すべきポイントが具体的に示されています。

1. 他チェーンとの差別化につながる提案の重要性が高まっている

市場環境の不透明さが続く中、同じ業態の中でも好調なチェーンと不調なチェーンの差が拡大しています。そのため、小売業は従来よりも「他社との差別化を実現できる企画や提案」に高い価値を置くようになってきました。

汎用的な販促策や、どのチェーンでも同じ内容のキャンペーンは選ばれにくくなっており、メーカーには独自性のある価値提供がより強く求められています。調査結果では、メーカーからの提案で「イヤだ」と感じる内容の1位が「他チェーンと同じ内容の提案」であり、割合は34.5%でした。

イヤだと感じる提案内容(上位)
1位:「他チェーンと同じ内容の提案」 34.5%

2. 商談の早期化が進む見通しと準備期間の長期化

差別化のためにPB(プライベートブランド)や留め型商品など、企画・開発に時間を要する取り組みが増えつつあります。これにより、実施までのスパンが長期化し、メーカー側は小売業の年間スケジュールに合わせた早期の商談・提案が必要になっています。

また、人手不足の影響もあり、小売側は「早めに全体を見通せる企画」を求める傾向が強まっています。結果として、半期商談や定期商談のタイミングが前倒しになる、あるいは商談開始時期の前倒しが常態化する可能性が示されています。

3. メーカーの“ダイヤモンド営業”志向と小売側の満足度低下のギャップ

メーカー側は小売大手との関係強化を意図して“ダイヤモンド営業”と呼ばれる関係構築を志向していますが、調査では小売業側の満足度が低下している点が指摘されました。特に大手小売業でその傾向が顕著です。

具体的には、メーカーの上層部(営業部長、支店長、役員など)との商談機会は増えている一方で、その商談に対する満足度は前回2023年調査と比べて約20pt近く減少していると報告されています。短期的な打ち手に偏らず、小売業の中長期的な成長に寄与する視点が求められているとまとめられています。

4. 大手小売業の慎重姿勢:オペレーション負荷を重視する判断

大手小売企業ほど売場変更や人的リソースを多く必要とする施策に対して慎重な姿勢を強めています。人手不足や働き方改革の影響で、オペレーション負荷の高い施策は運用面での負担が大きく、「実施負荷に見合う効果があるのか」という観点で厳しく評価される傾向が強まっています。

このため、提案のタイミング、実施計画の精度、効果検証方法の提示など、メーカー側に求められる準備度が高くなっています。実施負荷を軽減する代替案や段階的導入の提案が重要となる局面です。

調査で問われた項目とレポートの内容構成

本調査ではメーカーとの商談や販促立案に関する多岐にわたる設問が用意され、業種別、役職別での分析結果を含む40ページの調査レポートとしてまとめられています。以下が調査レポートの主要項目です。

レポートは小売業側がどの情報を必要としているか、メーカー営業のどの点に不満を抱いているかを可視化することで、メーカーの営業活動改善に直接結びつく実務的示唆を提供する構成になっています。

  • メーカーとの営業活動・商談について
    • メーカーの営業活動における「重視している度合い」と「満足度」:外部環境情報、自社に合った提案内容、自社方針理解、自社販売データ分析、施策の結果検証、組織対応など
    • 提供情報の必要性と活用方法
    • POSデータ開示時に小売側が感じる不足点
    • 情報収集の方法、目的、参考媒体
  • メーカーからの提案についてイヤだと感じる項目(具体的な項目と順位)
  • メーカー営業担当者について:変化/理想像
  • 今後のメーカーとの商談の変化(半期商談/定期商談):商談時期、時間、今後変化しそうな点
  • 小売業の方針検討について:カテゴリー方針・販促方針の決定方法、最初に相談するメーカー、棚割の検討・決定時期、新規出店・改装時の商品部関与
  • 販促について(価格販促以外の施策)
  • メーカーの上層部との接点:商談やコミュニケーションの有無とその内容、満足度
  • 業務上の困りごと:最近の問題意識

レポートの配布とグラフの種類

調査レポートは40ページにわたり、業種別・役職別などで整理されたグラフや解析を収録しています。これにより、例えば大手チェーンの商品部門と中小の店舗担当で求める提案の内容や評価基準がどのように異なるかを視覚的に理解できるようになっています。

レポートの入手を希望する場合は、株式会社マーケティング研究協会の案内に従って申し込みが可能です。詳細は同社のウェブサイト(https://www.marken.co.jp/)で案内されています。

調査主体・会社情報とまとめ

本調査の実施主体は株式会社マーケティング研究協会 トレードマーケティング部です。マーケティング研究協会は設立以来、マーケティング志向をもった人材・組織の育成や、顧客に選ばれ続けるための仕組みづくりを支援しています。主要な事業領域は以下の4つです。

  1. マーケティング支援
  2. 小売業への営業力強化(トレードマーケティング)
  3. 店舗販売力強化
  4. BtoB営業力強化

会社概要は次の通りです。

会社名
株式会社マーケティング研究協会
所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目2番8号 COSMIC BLDG 2F
代表取締役
平林 信吾
事業内容
教育研修事業・マーケティングリサーチ事業・コンサルティング事業・公開セミナー事業・企画制作事業
設立
1962年
関連リンク
https://www.marken.co.jp/

本記事で紹介した調査は、メーカーと小売業の実務的な接点に関する詳細な現状把握を目的としており、メーカー側の営業活動を実効性のあるものに改善するための示唆を多く含みます。レポートは40ページで、業種別・役職別のグラフや分析を含みます。調査は2025年5月13日から6月30日にかけて行われ、有効回答数は116件、アンケート形式はWebでの選択/記述式でした。発表日は2025年12月10日です。

項目 内容
調査名 【小売業対象】メーカーとの商談・販促立案に関するアンケート2025年
実施者 株式会社マーケティング研究協会 トレードマーケティング部
公表日時 2025年12月10日 22時10分
調査期間 2025年5月13日〜2025年6月30日
調査方法 アンケート(選択/記述式・Web)
対象 小売業の商品部門、販促部門・マーケティング部門、営業部門 など(スーパーマーケット、GMS、ドラッグストア、コンビニ、ホームセンター、ディスカウントストア 等)
有効回答数 n=116
主な注目点(要旨) 1. 他チェーンとの差別化を実現する独自性ある提案が重要(「他チェーンと同じ内容の提案」34.5%が最も嫌われる)
2. 商談の早期化が進む見通し(PBや留め型など準備期間長の取り組み増)
3. メーカー上層部との商談機会増だが満足度は前回比で約20pt低下
4. 大手ほどオペレーション負荷の高い施策に慎重
レポート構成 40ページ。業種別・役職別グラフ、商談・販促に関する分析、提案評価、POSデータの活用、上層部接点の実態等
問い合わせ・取得先 株式会社マーケティング研究協会(https://www.marken.co.jp/)

上記の表は本調査の要点を整理したものです。調査結果は、メーカー側が小売業の現状や期待を正確に把握し、提案内容や商談のタイミング、実行可能な運用計画を練る上での参考資料となることが期待されます。詳細なグラフや業態別の示唆は40ページの調査レポートに収録されています。

参考リンク: