すかいらーく、ABILI Careerでクルー10万人を育成 昇給・昇格率1.7倍
ベストカレンダー編集部
2025年12月11日 11:51
ABILIで10万人育成
開催日:1月1日
すかいらーくグループ、10万人規模のクルー育成をデジタル化
サービス業向けの現場支援ソリューションを提供するClipLine株式会社は、株式会社すかいらーくホールディングス(以下、すかいらーくHD)が、サービススキルマネジメントシステムABILI Career(アビリ キャリア)を約3,000店舗に導入し、店舗で働くクルー約10万人のキャリア育成・管理システムを完成させたと2025年12月11日に発表しました。
発表によれば、導入から約半年の活用で、昇給・昇格率は前年同期比1.7倍に達しており、導入効果が定量的に確認されています。以下では、背景、開発の経緯、活用状況と成果、関係者コメント、関連サービスや企業情報まで、発表資料に記載されたすべての情報を整理して伝えます。
導入の背景と設計思想:紙運用から評価基準の標準化へ
すかいらーくHDはそれまで、店舗で働くパート・アルバイト(クルー)のキャリアアップ制度を紙で運用しており、評価基準のばらつきや進捗の可視化の困難を課題としていました。社員向けの育成・評価システムはデジタル化されていた一方で、ブランドごとに求められるスキルや知識が異なるため、同じ仕組みをクルーにそのまま適用することは難しいという現実がありました。
また、顧客ニーズの多様化や商品提供サイクルの短期化が進む中、全国のクルー一人ひとりが自らの成長ステップを明確に把握し、公正に評価される仕組みを整える必要性が高まっていました。これらの課題が、ABILI Careerの導入検討の主な背景となっています。
サービスプロフィットチェーンの理念を教育DXで実現
本プロジェクトは、サービスプロフィットチェーン(従業員満足が顧客満足を生むというフレームワーク)の考え方を教育DXの形で具現化することを理念としています。プレスリリースでは、ハーバード大学教授の唱えたこのフレームワークに言及し、従業員満足(ES)や顧客満足(CS)を通じた持続的成長を目指す観点が明記されています。
サービスプロフィットチェーンに関する注記として、国内では「バリュー・プロフィット・チェーン」という書籍で詳述されている点も補足されています(出典注記あり)。
- 従来の課題:紙運用による評価基準の曖昧さ、進捗の見えにくさ
- 求められる対応:ブランド差を吸収する柔軟かつ共通化された評価基準
- 目指す効果:クルーの自律的学習と公正な評価による店舗力の向上
共同開発のプロセスとシステムの設計
ABILI Careerの構築は、すかいらーくHDの育成ノウハウとClipLineの現場運用に強いプロダクト設計力を組み合わせる形で進められました。設計段階ではブランドや職種ごとに異なるスキル体系を一つのプラットフォームで運用できるようにするため、評価基準や昇格ステップの柔軟性と共通化の両立を目指しています。
また、現場運営に即した育成循環を作るため、マネジャーだけでなく、マネジャーが任命するリーダークルーにも評価権限を付与する仕組みが導入されました。これにより日常業務の中で無理なく成長を実感できる構造を実現しています。
システムの主要設計ポイント
以下はプレスリリースで示された設計上の主要ポイントです。導入後の運用を見据えた柔軟な設定が重視されています。
- ブランド・職種ごとのスキル体系を一元管理する仕組み
- 評価基準と昇格ステップを柔軟に設定可能にしつつ共通化
- マネジャーとリーダークルーへの評価権限の委譲
- 現場で使える育成循環とOJTの質向上を想定した運用設計
協創の過程では議論や調整を重ね、店舗運営の実態に即した運用を実現することに注力したと説明されています。システムは「できるをふやす」というClipLineの理念と、すかいらーくHDの目指す現場の姿が合致したことで立ち上がりました。
導入後の活用状況と定量的な成果
ABILI Careerは2025年1月にクルーを対象として本格運用が開始されました。従来ランクアップの基準が明示されていなかった点に対し、ABILI Careerは次のランクに昇格するための基準を明確に提示できるように設計されています。
基準と連動して必要なマニュアルや動画コンテンツを紐づけて表示することも可能です(動画教材の紐づけには別途ABILI Clipの導入が必要)。すかいらーくHDは教育用動画を作成し、ABILI Clipに登録して教育・研修用途でも活用しています。
具体的な運用効果
導入から約半年の定量的な効果として、昇給・昇格率が5割を超え、前年同期の約3割と比較して1.7倍に上昇したことが確認されています。プレスリリースでは、この結果が過去のヒアリングや退職者の実績から明らかだった課題(成長ステップの不明確さと評価・承認のサイクル不足)に対して、仕組み導入が有効に機能した証左であると説明しています。
また、評価基準の明確化により自発的に学習に取り組むクルーが増加し、マネジャーとの対話を通じた育成計画の作成や、リーダークルーに権限を委譲したことで店舗内で育成・評価のサイクルが自然に回り始め、OJTの質が向上した点も報告されています。
- 運用開始:2025年1月
- 適用範囲:約3,000店舗、クルー約10万人
- 導入後半年の昇給・昇格率:5割超(前年同期3割→1.7倍)
- 動画教材の使用:ABILI Clipを別途導入(すかいらーくHDは登録済み)
組織内の権限設計と教育連携
システムは単なる評価ツールではなく、日常業務の中で学びを促進する設計となっています。評価権限の委譲により、マネジャーだけでなく現場リーダーが育成の担い手となることで、評価・承認が迅速に行われるようになったとされています。
また、教育コンテンツと評価基準を紐づけることで、必要な学習リソースへアクセスしやすくし、学習から評価へつなげる導線が整備されています。ABILI Clipは短尺動画と双方向コミュニケーションを活用し、経営層から現場までの課題解決を支援する実行支援・マネジメントシステムです。
関係者のコメント、関連調査、会社情報と問い合わせ先
すかいらーくHDの人事総務本部 人財企画グループ ディレクターである久永進氏は、ClipLine社との連携について「ミッションやビジョン、人づくりに対する思いが一致した」とし、設計段階から伴走したパートナーシップを評価しています。久永氏は、評価基準が明確になったことでマネジャーが昇格判断に自信を持てるようになり、現場での育成が活発化していると述べています。
また、クルー自身が自分の不足点に気づき主体的に学ぶ姿勢の醸成や、生産性向上と顧客への付加価値創出につなげたいという意図も示されています。コメントでは、ABILI CareerとABILI Clipを通じて従業員の能力開発を図る方針が明確に述べられています。
関連調査と背景データ
ClipLineが前年に実施した「非正規社員のキャリア制度運用の実態調査」では、約9割の企業が紙とExcelを併用しており、多くの企業が評価基準のばらつきを課題と認識していることが示されています。プレスリリースはこの調査を参照し、デジタル化の必要性を補強しています。
調査リリースや詳細情報は、プレスリリースに記載されているリンクから参照可能です(原文では『調査リリースはこちら』の表記あり)。
ClipLine株式会社の会社概要と問い合わせ情報
プレスリリースに記載されたClipLineの主な企業情報は以下の通りです。
- ミッション
- 「できる」をふやす
- 代表者
- 代表取締役社長 高橋 勇人
- 設立
- 2013年7月11日
- 所在地
- 〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町 15 グランファースト神田紺屋町 5F
- 資本金
- 4億円(資本準備金含む。2023年8月31日現在)
- 企業URL
- https://corp.clipline.com/
- サービスサイト
- https://service.clipline.com/
- 事業内容
- サービス業の潜在力を引き出す「ABILI」の開発・運営、及び経営コンサルティング事業
- 関連会社
- Chain Consulting株式会社(https://chain-c.co.jp/)
プレスリリースに掲載された本件の問い合わせ先は以下の通りです。
- ClipLine株式会社 広報担当:井上
- TEL:03-6809-3305
- Email:pr@clipline.jp
なお、プレスリリース内では使用画像のダウンロードが可能である旨が明記されており、画像の種類は『商品サービス』に分類されています。
まとめ:導入のポイントと成果を表で整理
この章では、本記事で取り上げた導入の背景、システム設計、運用開始日、定量成果、関連サービス、企業情報、問い合わせ先などの要点を表にまとめて整理します。以下の表はプレスリリースの内容を忠実に整理したものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年12月11日 10時00分 |
| 導入企業 | 株式会社すかいらーくホールディングス(代表取締役社長COO:金谷 実) |
| 提供・開発 | ClipLine株式会社(代表取締役社長 高橋 勇人)との協創 |
| 導入範囲 | 約3,000店舗、クルー約10万人対象 |
| 運用開始 | 2025年1月(クルー対象の本格運用開始) |
| 目的 | 紙運用からの脱却、評価基準の統一、スキル可視化、育成循環の構築 |
| 設計の特徴 | ブランド・職種ごとのスキル体系を一元管理、評価基準と昇格ステップの柔軟共通化、マネジャーとリーダークルーへの評価権限付与 |
| 導入後の定量成果 | 導入後半年の昇給・昇格率は5割超(前年同期約3割→1.7倍) |
| 連携サービス | ABILI Clip(動画教材の紐づけには別途導入が必要。すかいらーくHDは教育用動画を登録済み) |
| 関連調査 | ClipLineの調査:非正規社員のキャリア制度運用の実態(約9割の企業が紙・Excel利用、評価基準のばらつきを課題と認識) |
| ClipLine会社情報 | 設立:2013年7月11日/所在地:東京都千代田区神田紺屋町15 グランファースト神田紺屋町5F/資本金:4億円(2023年8月31日現在)/URL:https://corp.clipline.com/ |
| 問い合わせ | ClipLine株式会社 広報:井上 TEL 03-6809-3305 Email pr@clipline.jp |
以上がプレスリリースに基づく導入の経緯と現状の整理です。導入規模、運用開始時期、具体的な設計方針、定量的成果、関連サービスや会社情報まで全ての記載内容を含めて報告しました。